山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(エネルギー回収施設)に関する詳細、および諸問題について

提出証拠:甲5,甲6号証の公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 今回から数回にわたり、「清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判」において、訴状と共に提出した証拠書類を公開します。

 第1回の今回は甲5号証「行政文書非公開決定通知書」(平成25年12月27日付)、甲6号証「行政文書部分公開決定通知書」(平成27年7月3日付)です。

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山広環第294号
平成25年12月27日

行政文書非公開決定通知書

山形県の環境と観光産業を守る会

山形広域環境事務組合
管理者 山形市長 市川 昭男

平成25年12月18日付けで請求があった行政文書の公開については、次のとおり公開 しないことに決定したので、通知します。

請求があった行政文書の内容:
山形広域環境事務組合が上山市川口地区住民、及び、周辺地区住民 と交わした、エネルギー回収施設建設に係る協定書、又は、合意に 関する文書

公開することができない理由:
〇該当する行政文書が不存在
理由:川口地区住民、及び、周辺地区住民と交わした協定書、又 は、合意に関する行政文書は存在していないため

所管課:
山形広域環境事務組合 管理課 TEL 023-641-1844 (内線912)

備考:
〇 生活環境影響調査(立谷川)の調査結果については、当組合ホー ムページ上にて公表しております。
〇 山形広域環境事務組合議会12月臨時会の議事録については、情 報の提供として、写しを交付します。


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山広環第194号
平成27年7月3日

行政文書部分公開決定通知書

山形広域環境事務組合
管理者 山形市長 市川 昭男

 平成27年6月22日付けで請求があった行政文書の公開については、次のとおりその一部 を公開することに決定したので、山形広域環境事務組合情報公開条例第11条第1項の規定に より通知します。

請求があった行政文書の内容:
エネルギー回収施設建設事業に関する、組合と川口地区会及び立谷川周辺地区会との協定書及びその他取り決め書類の一切
〇(仮称)山形広域立谷川清掃工場の建設に関する協定害

公開の日時:
平成27年7月6日 午前11時00分

公開の場所:
山形広域環境事務組合 管理課 (山形市役所10階)

公開することができない部分及びその理由:
エネルギー回収施設建設事業に関する、組合と川口地区会及び立谷川周辺 地区会との協定書及びその他取り決め書類の一切
〇(仮称)山形広域立谷川清掃工場の建設に関する協定書に押向された 山形市楯山地区振興会の代表者の印影
• 山形広域環境事務組合情報公開条例第8条第3号に該当
(理由)法人等の内部管理情報で、公開することにより、法人等の活 動上の正当な利益を害するおそれがあることが明らかであ るため。
〇川口地区会との協定書及びその他取り決め書類
• 該当する行政文書が不存在(作成していない)のため。

所管課:
山形広域環境事務組合 管理課 TEL 023-641-1844 (内線912)

備考:
平成26年度予算書及び決算書、平成27年度予算書については、情報の 提供として取り扱い、別途配付します。

1 公開の日時に都合が悪い場合には、あらかじめ所管課へご連絡ください。
2 行政文書の公開を受ける際には、この通知書を係員に提示してください。
3 この決定(以下「処分」といいます。)に不服がある場合は、処分のあったことを知った日 の翌日から起算して60日以内に、管理者に対し、異議申立てをすることができます。
また、処分の取消しを求める訴えは、処分のあったことを知った日(異議申立てをした場 合にあっては、当該異議申立てに対する決定の送達を受けた日)の翌日から起算して6か月 以内に、山形広域環境事務組合を被告(管理者が被告の代表者となります。)として提起する ことができます。


この裁判に訴状と共に提出した証拠一覧

甲第1号証 山形広域環境事務組合規約
甲第2号証 地域振興策経費一覧(広域環境事務組合負担分)
甲第3号証 工事請負契約書(平成27年度川口地区農道舗装整備事業)
甲第4号証 工事請負契約書(北裏堰水路整備工事)
甲第5号証 行政文書非公開決定通知書(平成25年12月27日付)(このブログで公開)
甲第6号証 行政文書部分公開決定通知書(平成27年7月3日付)(このブログで公開)
甲第7号証 行政文書部分公開決定通知書(平成29年3月23日付)
甲第8号証 平成28年度川口地区総会
甲第9号証 平成28年度事業(会務)報告書
甲第10号証 川口地区要望事項実施予定スケジュール
甲第11号証 山形広域環境事務組合補助金等の適正化に関する規則
甲第12号証 山形市補助金等の適正化に関する規則
甲第13号証の1~5 平成27年度エネルギー回収施設建設関連施設整備事業補助金交付申請書
甲第14号証 山形広域環境事務組合職員措置請求書
甲第15号証の1 山形広域環境事務組合職員措置請求に係る監査結果について(通知)
甲第15号証の2 監査結果報告


関連記事:

mamorukai.hateblo.jp


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判(判決)|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

2017年3月24日提出の文書嘱託申立書の公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 今回は、原告(山形県の環境と観光産業を守る会)が今年の3月24日に提出した「文書送付嘱託申立書」を公開いたします。

 文書送付嘱託文書(ぶんしょそうふしょくたくぶんしょ)とは:簡単に言えば、事件についての証拠となるような重要な書類を、原告・被告以外の第三者がもっている場合に、裁判所を通してその提出を「お願い」する書面です。
 この事件では、ごみ清掃工場施設本体に関する情報が情報公開請求を通してもほとんど公開されず、施設の詳細が不明のため(この内容が事件に大きく係わっているにもかかわらず)申立書を提出しました。

原告提出の文書送付嘱託申立書 ※「禁無断転載」


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判(判決)|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

2017年5月22日提出の被告・第1準備書面の公開(5完結) | 山形県上山市川口清掃工場問

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 (1)(2)(3)(4)に続き、今年の5月23日におこなわれた「平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件」の第二回・口頭弁論で、被告(山形広域環境事務組合)より提出された第1準備書面を公開いたします。長かったですが、今回でようやく完結です。

(※この訴訟の経緯は以下の記事をご覧下さい。)
[随時更新]進行中の裁判とこれまでの裁判結果 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会

(※この書面に対する、原告(市民)の反論書(原告ら第1書面、平成29年9月5日(火)・第三回・口頭弁論)は以下のリンクからご覧下さい。)

(リンク)平成29年9月5日・原告提出第1準備書面 ※「禁無断転載」
(リンク)平成29年9月5日・原告提出の証拠説明甲 9~18 ※「禁無断転載」


平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件
平成28年12月06日~第一審、山形地方裁判所(松下貴彦裁判長)
原告:地域住民
被告:山形広域環境事務組合
原告ら訴訟代理人梶山正三弁護士(理学博士、ごみ弁連会長)、坂本博之弁護士(ごみ弁連事務局長)
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士


※ Web公開用に一部編集を行っています。

4 施設稼働に伴う騒音について

(1) 法令の定める基準

 本件エネルギー回収施設の建設地は,都市計画区域外に位置していることか ら,公害対策基本法9条に基づく環境基準や騒音規制法,条例等の定める騒音 についての規制値は適用されないものである(乙第15号証 エネルギー回収 施設《川口》建設事業生活環境影響調査書1-15)。 しかしながら,被告においては,本件エネルギー回収施設の稼働に伴う騒音 被害の発生を防止するための独自の基準として,山形県生活環境の保全等に関 する条例をもとに建設地周辺の土地利用状況等を勘案して,敷地境界におけ る基準として次頁の表の基準値を設定しているものである(乙第15号証 エ ネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影薔調査書1-15)。

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 また,本件エネルギー回収施設の稼働後の騒音に関する独自の環境保全目標 として,本件エネルギー回収施設の建設地及び直近民家において現況に著しい 影響を及ぼさないこと,廃棄物運搬車両の走行においても現況に著しい影響を 及ぼさないことという目標を設定しているものである(乙第15号証エネル ギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.2-27)。

(2) 施設稼働における騒音対策

 本件エネルギー回収施設においては,施設稼働に伴う騒音を軽減するため, ファン,空気圧縮機等の騒音発生機器は低騒音の機器を採用すると共に,室内 に設置し,

 また,騒音の発生源周辺では,できる限り壁面の吸音処理や遮音壁 など騒音の漏洩を抑制することとしているものである。 また,機械及び設備・装置は定期的に点検を行い,異常の確認された機器類 は速やかに修理,交換し,機器の異常による騒音の発生を未然に防止すること としているものである(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業 生活環境影響調査書1-15,4.2-28)。

(3) 施設稼働における騒音レベルの予測

 被告においては,本件エネルギー回収施設の建設に先立って,生活環境影響 調査において,本件エネルギー回収施設の稼働による騒音が周辺にどの程度の 影響を及ぼすかを確認するため,2(3)(52頁)で上述したような周辺地域に おける騒音の調査を行ったうえ,これをもとに,本件エネルギー回収施設の稼 働後の騒音の予測を行ったものである。

ア.施設稼働による騒音

 本件エネルギー回収施設の稼働による騒音の,本件エネルギー回収施設の 建設地の敷地境界(St.1),直近民家付近(St.7)における影響を予測するため,本件エネルギー回収施設の騒音の主要発生源毎の設置台数と騒 音パワーレベルを設定し,各室の吸音率,透過損失等を基に外壁面レベルの 音圧レベルを算出したうえ,音源毎の距離城衰の計算を行い,予測地点にお ける現況騒音レベルとの騒音レベルの合成を行った(乙第15号証エネル ギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.2-17)。

 その結果,本件エネルギー回収施設の稼働による騒音の予測値は,本件エ ネルギー回収施設の建設地の敷地境界(St.1)において,朝(6時乃至 8時)で現況騒音レベル56dBに対して予測騒音レベル56dB,昼間(8 時乃至19時)で現況騒音レベル57dBに対して予測騒音レベル57dB, 夕方(19時乃至21時)で現況騒音レベル62dBに対して予測騒音レベ ル62dB,夜間(21時乃至翌6時)で現況騒音レベル57dBに対して 予測騒音レベル57dBであり,(1)で上述した敷地境界における基準値をい ずれも下回っていること,及び現況に著しい影響を及ぼさないことが確認さ れた。また,直近民家付近(St.7)においても,朝(6時乃至8時)で 現況騒音レベル69dBに対して予測騒音レベル69dB,昼間(8時乃至 19時)で現況騒音レベル68dBに対して予測騒音レベル68dB,夕方 (19時乃至21時)で現況騒音レベル69dBに対して予測騒音レベル6 9dB,夜間(21時乃至翌6時)で現況騒音レベル67dBに対して予測 騒音レベル67dBであり,現況に著しい影響を及ぼさず,(1)で上述した環 境保全目標を充足していることが確認された(乙第15号証エネルギー回 収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.2-25乃至27)。

イ.廃棄物運搬車両の走行による騒音

 また,本件エネルギー回収施設への廃棄物運搬車両の走行による騒音の国道13号線及び市道石曽根川口線沿線(St.5),市道前川ダム東線沿線(S t.6)における影響を予測するため,工事用車両の走行による騒音レベル の予測の際と同様,一般車両のみが走行した場合の騒音レベルと「一般車両 +工事用車両」が走行した場合の騒音レベルの差を工事用車両の走行による 騒音レベルの増加量として予測するため,日本音響学会の「ASJRTN -Model2008」に基づいて騒音レベルの予測を行った(乙第15号 証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.2-2 1,13)。

 その結果,本件エネルギー回収施設への廃棄物運搬車両の走行による騒音 レベルの予測結果は国道13号線及び市道石曽根川口線沿線(St.5) において,昼間平均で現況騒音レベルが73.5dBに対して予測騒音レベ ル73.6dB,市道前川ダム東線沿線(St.6)においても,昼間平均 で現況騒音レベルが60.5dBに対して予測騒音レベル65.2dBであ り,現況に著しい影響を及ぼすものではないことが確認された(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.2-2 6,27)。

 

5 施設稼働に伴う振動について

(1) 法令の定める基準

 本件エネルギー回収施設の建設地は,都市計画区域外に位置していることか ら,公害対策基本法9条に基づく環境基準や振動規制法,条例等に基づく規制 値は適用されないものである(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建 設事業生活環境影響調査書1-16)。 しかしながら,被告においては,本件エネルギー回収施設の稼働に伴う振動 被害の発生を防止するための独自の堪準として,山形県生活環境の保全等に関 する条例を基に,建設地周辺の土地利用状況等を勘案して,敷地境界における 振動の基準として,次頁の表の基準値を設定しているものである(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書1-16)。

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 また,本件エネルギー回収施設の稼働後の振動騒音に関する独自の環境保全 目標として,本件エネルギー回収施設の建設地及び直近民家において現況に著 しい影響を及ぼさないこと,廃棄物運搬車両の走行による振動について,振動 規制法に基づく「道路交通振動の限度(要請限度)」を参考に,国道13号線 及び市道石曽根川口線沿線(St.5)及び市道前川ダム東線沿線(St.6) において,昼間70dB以下,夜間65dB以下との目標を設定したものであ る(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査 書4.3-13)。

(2) 本件エネルギー回収施設の振動対策

 本件エネルギー回収施設においては,施設稼働に伴って発生する振動を軽滅 するため,主要な振動発生源については,独立した基礎とし,振動が地盤中に 伝達する程度を低下させ,また,主要な振動発生源に防振措置を行い,発生す る振動を吸収させることとしているものである(乙第15号証エネルギー回 収施設《川口》建設事業生活環境影響調査薯4.1-16)。

(3) 施設稼働における振動レベルの予測

 被告においては,本件エネルギー回収施設の建設に先立って,生活環境影響 調査において,本件エネルギー回収施設の稼働による振動が周辺にどの程度の 影響を及ぼすかを確認するため,3(2)(55頁)で上述したように,周辺地域 において振動の調査を行ったうえ,これをもとに本件エネルギー回収施設の稼 働時の振動の予測を行ったものである。

ア.本件エネルギー回収施設の稼働による振動

 本件エネルギー回収施設の稼慟による振動の,本件エネルギー回収施設の建設地の敷地境界(St.1),直近民家付近(St.7)における影薔を予 測するため,3(55頁,56頁)で上述した建設工事の振動の際と同様に, 国土交通省国土技術政策総合研究所の「道路環境影響評価の技術手法平成2 4年度版」の定める予測手法に従い,本件エネルギー回収施設内の各設置設 備の振動レベルを設定し,距離減衰の計算を行ったうえ,予測地点における 現況騒音レベルとの騒音レベルの合成を行った(乙第15号証エネルギー 回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.3-7)。

 その結果,本件エネルギー回収施設の稼働による振動の予測値は,本件エ ネルギー回収施設の建設地の敷地境界(St.1)において,現況振動レベ ル30dB未満に対して予測振動レベル53dBであり,(1)で上述した環境 保全目標である昼間65dB,夜間55dBを下回ることが確懃された。直 近民家付近(St.7)においても,現況振動レベル30dB未満に対して 予測振動レベル30dB未満であり,現況を著しく悪化させるものではなく, (1)で上述した環境保全目標を充足していることが確認された(乙第15号証 エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.3-11, 16)。

イ.廃棄物運搬車両の走行による振動

 また,本件エネルギー回収施設への廃棄物運搬車両の走行による振動の国 道13号線及び市道石曽根川口線沿線(St.5),市道前川ダム東線沿線(S t.6)における影響を予測するため,一般車両のみが走行した場合の騒音 レベルと「一般車両+工事用車両」が走行した場合の騒音レベルの差を工事 用車両の走行による騒音レベルの増加量として予測するため,工事用車両の 走行による振動の際と同様に,国土交通省国土技術政策総合研究所の「道路 環境影響評価の技術手法平成24年度版」に示されている提案式「振動レベ ルの80%レンジの上端値を予測するための式」を使用して,振動レベルの 予測を行った(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活 環境影響調査書4.3-8,6)。

 その結果,本件エネルギー回収施設への廃棄物運搬車両の走行による振動 レベルの予測結果は国道13号線及び市道石曽根川口線沿線(St.5) において,昼間平均で現況振動レベルが37dBに対して予測振動レベル3 7dB,市道前川ダム東線沿線(St.6)においても,昼間平均で現況振 動レベルが30dB未満に対して予測振動レベルが43dBであり,昼間7 0dB以下,夜間65dB以下という環境保全目標を充足していることが確 認された(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境 影響調査書4.3-12,16)。

6 結論(騒音·振動による人格権侵害との原告ら主張の不相当性)

 以上のとおり,本件エネルギー回収施設については,施設及び建設工事の方法 において十分な騒音対策,振動対策がなされているものであり,本件エネルギー 回収施設の建設工事及び稼働によって,本件エネルギー回収施設周辺の現況の騒 音レベル,振動レベルを著しく悪化させることはなく,騒音規制法,振動規制法 や条例等を参考にして定められた環境保全目標を充足するものであることが予 測されているものである。

 よって,かかる本件エネルギー回収施設の建設工事及び稼働で生じる騒音,振 動によって,原告らの生命,健康,財産が侵害されるおそれがあるとは認められ ないものである。

 他方,本件エネルギー回収施設は,第1の1において上述したとおり,山形市上山市山辺町及び中山町においてもやせるごみを処理するために必要不可欠の 施設となっているものであり,その公共性,公益性の程度は大きいものである。 従って,本件エネルギー回収施設の建設工事及び稼働に伴う騒音,振動によっ て原告らが被る不利益が,社会生活上一般に受忍するのが相当とされる限度を超 えているとは到底評価し得ないものであり,本件エネルギー回収施設の建設工事 及び稼慟に伴う騒音,振動による人格権侵害に基づいて本件エネルギー回収施設 の建設及び操業差止を求める原告らの請求にも,理由がないものである。

 

第4 景観利益の侵害との原告ら主張の不相当性

 原告らは,訴状第3の3(7)(80頁81頁)において,原告****が事業所 の緑化と美しい景観保持に努めてきたこと,環境技術,都市計画保全に関する各 種表彰を受けてきたことを挙げたうえで,間口60m,奥行90m,高さ35m, 煙突の高さ59mの本件エネルギー回収施設が建設されることによって,強い圧迫 感があり,さらにパッカー車が出入りすることで,景観の破壊,眺望の阻害がなさ れ,原告****の人格権侵害,財産権侵害となる旨を主張している。

 しかしながら,このような良好な景観の恵沢を享受する利益を侵害したことにつ いて,違法な侵害と認められる場合については,国立市のマンションに対する建築 物撤去請求等事件における最高裁平成18年3月30日第一小法廷判決(乙第23 号証判例タイムズNo.1209の93頁)が,

「都市の景観は,良好な風景として,人々の歴史的又は文化的環境を形作り,豊かな生活 環境を構成する場合には,客観的価値を有するものというべきである。被上告人Y1が本 件建物の建築に着手した平成12年1月5日の時点において,国立市の景観条例と同様に, 都市の良好な景観を形成し,保全することを目的とする条例を制定していた地方公共団体 は少なくない状況にあり,東京都も,東京都景観条例(平成9年東京都条例第89号。同 年12月24日施行)を既に制定し,景観作り(良好な景観を保全し,修復し又は創造す ること。2条1号)に関する必要な事項として,都の責務,都民の責務,事業者の責務, 知事が行うべき行為などを定めていた。また,平成16年6月18日に公布された景観法 (平成16年法律第110号。同年12月17日施行)は,『良好な景観は,美しく風格の ある国土の形成と潤いのある豊かな生活猿境の創造に不可欠なものであることにかんがみ, 国民共通の資産として,現在及び将来の国民がその恵沢を享受できるよう,その整備及び 保全が図られなければならない。』と規定(2条1項)した上,国地方公共団体,事業者 及び住民の有する責務(3条から6条まで),景観行政団体がとり得る行政上の施策(8条以下)並びに市町村が定めることができる景観地区に関する都市計画(61条),その内容 としての建築物の形態意匠の制限(62条),市町村長の達反建築物に対する措置(64条), 地区計画等の区域内における建築物等の形態意匠の条例による制限(76条)等を規定し ているが,これも,良好な景観が有する価値を保護することを目的とするものである。そ うすると,良好な景親に近接する地域内に居住しその恵沢を日常的に享立している者は 良な景観が有する客観的な価値の侵害に対して密接な利害関係を有するものというべき でありこれらの者が有する良好な景観の恵沢を享受する利益(以下「景観利益」という。 は、法律上保護に値するものと解するのが相当である。

 もっとも,この景観利益の内容は景観の性質、態様等によって異なり得るものである し、社会の変化に伴って変化する可能性のあるものでもあるところ、現時点においては 私法上の権利といい得るような明確な実体を有するものとは認められず、景観利益を超え て『景観権』という権利性を有するものを認めることはできない。

4 ところで,民法上の不法行為は,私法上の権利が侵害された場合だけではなく,法律上 保護される利益が侵害された場合にも成立し得るものである(民法709条)が,本件に おけるように建物の建築が第三者に対する関係において景観利益の違法な侵害となるかど うかは,被侵害利益である景観利益の性質と内容,当該景観の所在地の地域環境,侵害行 為の態様,程度,侵害の経過等を総合的に考察して判断すべきである。そして,景観利益 は,これが侵害された場合に被侵害者の生活妨害や健康被害を生じさせるという性質のも のではないこと,景観利益の保護は,一方において当該地域における土地・建物の財産権 に制限を加えることとなり,その範囲・内容等をめぐって周辺の住民相互問や財産権者と の間で意見の対立が生ずることも予想されるのであるから,景観利益の保護とこれに伴う 財産権等の規制は第一次的には,民主的手続により定められた行政法規や当該地域の条 例等によってなされることが予定されているものということができることなどからすれば, ある行為が景観利益に対する違法な侵害に当たるといえるためには、少なくとも、その侵 害行為が刑罰法規や行政法規の規制に違反するものであったり、公序良俗違反や、利の濫 用に該当するものであるなど侵害行為の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を欠くことが求められると解するのが相当である。

 これを本件についてみると,原審の確定した前記事実関係によれば,大学通り周辺にお いては,教育施設を中心とした閑静な住宅地を目指して地域の整備が行われたとの歴史的 経緯があり,環境や景観の保設に対する当該地域住民の意識も高く,文教都市にふさわし く美しい都市景観を守り,育て,作ることを目的とする行政活動も行われてきたこと,現 に大学通りに沿って一橋大学以南の距離約750mの範囲では,大学通りの南端に位置す る本件建物を除き,街路樹と周囲の建物とが高さにおいて連続性を有し,調和がとれた景 観を呈していることが認められる。そうすると,大学通り周辺の景観は,良好な風景とし て,人々の歴史的又は文化的環境を形作り,豊かな生活環境を構成するものであって,少 なくともこの景観に近接する地域内の居住者は,上記景観の恵沢を日常的に享受しており, 上記景観について景観利益を有するものというべきである。

 しかしながら,本件建物は,平成12年1月5日に建築確認を得た上で着工されたもの であるところ,国立市は,その時点では条例によりこれを規制する等上記景観を保護すべ き方策を講じていなかった。

 そして国立市は同年2月1日に至り,本件改正条例を公布・施行したものであるが, その際本件建物は,いわゆる根切り工事が行われている段階にあり,建築基準法3条2 項に規定する「現に建築の工事中の建築物」に当たるものであるから,本件改正条例の施 行により本件土地に建築できる建築物の高さが20m以下に制限されることになったとし ても,上記高さ制限の規制が本件建物に及ぶことはないというべきである。本件建物は, 日影等による高さ制限に係る行政法規や東京都条例等には違反しておらず違法な建築物 であるということもできない。また,本件建物は建築面積6401.98平方メートル を有する地上14階建てのマンション(高さは最高で43.65m。総戸数353戸)で あって相当の容積と高さを有する建築物であるがその点を除けば本件建物の外観に周 囲の景観の調和を乱すような点があるとは認め難い。その他,原審の確定事実によっても, 本件建物の建築が,当時の刑罰法規や行政法規の規制に違反するものであったり,公序良 俗違反や権利の濫用に該当するものであるなどの事情はうかがわれない。以上の諸点に照らすと,本件建物の建築は行為の態様その他の面において社会的に容認された行為とし ての相当性を欠くものとは認め難く,上告人らの景観利益を違法に侵害する行為に当たる ということはできない。」

と判示している。

 これは,地方公共団体において都市の良好な景観の形成,保全を目的とした条例 を設けているなど,良好な景観に近接する地域内に居住し,その恵沢を日常的に享 受している者が有する良好な景観を享受する利益(景観利益)は,法律上保護に値 するものではあるものの,その内容は景観の性質態様等や社会の変化に伴って変 化する可能性があることから,私法上の権利とまでは認めることができないとして いるものである。そして,かかる景観利益の法的性質を前提に,景観利益に対する 違法な侵害があると認められるためには,少なくとも,その侵害行為が刑罰法規や 行政法規の規制に違反するものであったり,公序良俗違反や権利濫用に該当するな ど,侵害行為の態様や程度の面において社会的に容認された行為としての相当性を 欠くものであることが必要であるとしているものである。

 最高裁平成18年3月30日第一小法廷判決(乙第23号証判例タイムズNo. 1209の94頁)は,このような前提の下,「建築面積6401.98平方メート ルを有する地上14階建てのマンション(高さは最高で43.65m。総戸数35 3戸)であって,相当の容積と高さを有する建築物であるが,その点を除けば本件 建物の外観に周囲の景観の調和を乱すような点があるとは認め難い。」と判示し,相 当の容積と高さを有する建築物であるという点のみをもって,建物の外観が,社会 的に容認された行為としての相当性を欠くとすることはできないとしているもので ある。

 これを本件について見ると,本件エネルギー回収施設の建設地においては景観利 益の保護を目的とした条例等の制定はなされておらず,また,原告****が事業 所の緑化と美しい景観保持に努めてきたこと,環境,技術,都市計画保全に関する 各種表彰を受けてきたこと等によって原告****に生じることとなる景観利益の具体的な内容も不明といわざるを得ず,景観の破壊,眺望の阻害に関する原告** **の利益も,そもそも,私法上の権利とまでは認められないものである。

 そして,本件エネルギー回収施設の建築規模は第1の3(2)(10頁)において上 述したとおりであり,煙突59m,軒の高さ28.2m,建築面積4885.67 ㎡,延床面積8409.75㎡という規模ではあるものの,本件エネルギー回収施 設の建物の外観は乙第16号証の「エネルギー団収施設(川口)建設及び運営事業 工事概要」のイメージ図記載のようなものであり,周囲の景観の調和を乱すような 点は認められないものである。

 従って,最高裁平成18年3月30日第一小法廷判決(乙第23号証判例タイ ムズNo.1209の93頁)の上記判示内容に照らせば,被告が本件エネルギー 回収施設を建設することは原告****の景観利益に対する違法な侵害とは認め られないものである。よって,本件エネルギー回収施設の建設差止めを請求する根 拠の1つとして原告****の景観利益の保護の点を挙げる原告ら主張にはそも そも理由がないものである。

 

第5 その他の原告ら主張の不相当性

1 道路の交通障害との原告ら主張の不相当性

 原告らは,訴状第3の3(1)(65頁乃至69頁)において,本件エネルギー回 収施設の建設工事の工事用車両が通行することにより,市道前川ダム東線のJR のガード下のカーブにおいて大型車同士のすれ違いができなくなり,原告**** の業務上の安全性と効率が低下する旨を主張している。

 しかしながら,市道前川ダム東線においては,上記カーブの前後の直線部分に おいて,大型車同士が容易にすれ違うことが可能であり,上記原告ら主張のよう に,大型車同士のすれ違いができなくなり,原告****の業務に支障を来たす などということはないものである。この点については原告****らが上山市 に対して提起した,前川ダム東線道路改良工事の公金支出差止請求住民訴訟にお いても同様の主張がなされていたものであるが,同訴訟(山形地方裁判所平成2 8年《行ウ》第2号前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟事件) においては,平成28年10月18日に第一審の山形地方裁判所において,大型 車のすれ違いができなって原告****の業務に支障を来たすなどという事実関 係は認められない旨を判示する判決が下され,控訴審である仙台高裁においても 平成29年4月27日に,同決を維持する旨の控訴棄却判決が下されているもの である(乙第24号証の1判決書,乙第24号証の2判決書)。

 また,原告らは,本件エネルギー回収施設の建設工事の工事用車両や完成後の 廃棄物運搬車両の走行による騒音,排ガス,振動等により,原告****におい て窓を開けて仕事をすることが困難になる旨を主張している(訴状68頁,69 頁)。

 しかしながら,かかる事情は被告としては不知であるが,工事用車両や廃棄物 運搬車両の走行に伴う騒音,振動が人格権侵害として本件エネルギー回収施設の 建設及び操業差止を求める原因となるようなものではないことは,既に第3にお いて上述したとおりである。

2 忠川護岸の崩壊,市道の水没との原告ら主張の不相当性

 原告らは,訴状第3の3(2)(69頁,70頁)において,水害時に忠川護岸の 崩壊,市道の水没という事態が容易に予想され,本件エネルギー回収施設に出入 りする工事用車両,廃棄物運搬車両によって,災害時のリスクが一挙に高まる旨 を主張している。

 しかしながら,そもそも,原告らが主張するような水害時に忠川護岸が崩壊 する危険性や,市道が水没するなどといった事態が発生する危険性は認められな いものであり,上記原告ら主張にも理由がないものである。

 この点については原告****が被告に対して提起した,忠川橋梁建設工 事の公金支出差止請求住民訴訟においても同様の主張がなされていたものである が,同訴訟(山形地方裁判所平成27年《行ウ》第2号忠川橋梁建設公金差止 請求住民訴訟事件)においては,平成29年3月21日に山形地方裁判所におい て,水害時に忠川護岸が崩壊する危険性や,市道が水没するなどといった事態が 発生する危険性があるなどという事実関係は認められない旨を判示する判決が下 され,同判決が確定しているものである(乙第25号証判決書)。

 

第6 結論  

 以上のとおり,本件エネルギー回収施設の建設工事や本件エネルギー回収施設の 稼働によって原告らの人格権が侵害されるなどという原告らの主張には全く理由が なく,人格権侵害に基づいて本件エネルギー回収施設の建設及び操業差止を求める 原告らの請求は棄却を免れないものである。

以上


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判(判決)|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

2017年5月22日提出の被告・第1準備書面の公開(4) | 山形県上山市川口清掃工場問

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 (1)(2)(3)に続き、今年の5月23日におこなわれた「平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件」の第二回・口頭弁論で、被告(山形広域環境事務組合)より提出された第1準備書面を公開いたします。

(※この訴訟の経緯は以下の記事をご覧下さい。)
[随時更新]進行中の裁判とこれまでの裁判結果 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会

(※この書面に対する、原告(市民)の反論書(原告ら第1書面、平成29年9月5日(火)・第三回・口頭弁論)は以下のリンクからご覧下さい。)

(リンク)平成29年9月5日・原告提出第1準備書面 ※「禁無断転載」
(リンク)平成29年9月5日・原告提出の証拠説明甲 9~18 ※「禁無断転載」


平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件
平成28年12月06日~第一審、山形地方裁判所(松下貴彦裁判長)
原告:地域住民
被告:山形広域環境事務組合
原告ら訴訟代理人梶山正三弁護士(理学博士、ごみ弁連会長)、坂本博之弁護士(ごみ弁連事務局長)
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士


※ Web公開用に一部編集を行っています。

5 排ガスに関する生活環境影響調査

 被告においては,本件エネルギー回収施設の建設に先立って,生活環境影響調査において,本件エネルギー回収施設の排ガスが周辺地域の生活環境に及ぼす影 響について予め調査を行ったものである。

 すなわち,具体的には,大気質への影響の分析方法としては,大気質への影響 が事業者の実行可能な範囲で回避又は低減されているものであるか否かについて 明らかにし,かつ,国、県等による環境保全の観点から施設によって示されてい る基準又は目標が示されている場合は,この基準又は目標と予測結果との整合性 について検討することとした。そして,環境保全目標は,周辺住民の日常生活に 支障を生じないこととし,「大気の汚染に係る環境基準について」(昭和48年5月8日環境庁告示第25号),「二酸化窒素に係る環境基準について」(昭和53年 7月11日環境庁告示第38号),「ダイオキシン類による大気の汚染,水質の汚 濁及び土壌の汚染に係る環境基準について」(平成11年12月27日環境庁告示 第68号)を基に,本件エネルギー回収施設の稼働時の二酸化硫黄,二酸化窒素, 浮遊粒子物質,塩化水素,ダイオキシン類についての環境保全目標を設定した(乙 第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.1 -68,69)。

 そのうえで,本件エネルギー回収施設の建設地の敷地の地上気象と上層気象, 本件エネルギー回収施設近辺の大気質の調査を行った(乙第15号証エネルギ ー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.1-1,2)。その後,大 気質の調査結果による各地点のバックグラウンド濃度と,本件エネルギー回収施 設の事業計画に基づく汚染物質排出量及び煙突高さの発生源条件と地上気象調査 の結果(大気安定度,べき指数,大気安定度別風向,風速階級出現頻度)を基に した拡散式による計算と寄与濃度の算出を行い,本件エネルギー回収施設の稼働 による平均予測濃度の算出を行った(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》 建設事業生活環境影響調査書4.1-46)。

 被告の生活環境影響調査においてこのような大気質の予測調査を行ったところ, いずれの調査地点においても,二酸化硫黄,二酸化窒素,浮遊粒子物質,塩化水 素,ダイオキシン類の全ての対象物質について,日平均予測濃度,年平均予測濃 度のいずれも,上記の環境保全目標を下回っていることが確認されたものである (乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4. 1-75)。

6 結論(排ガスによる人格権侵害との原告ら主張の不相当性)

 以上のとおり,本件エネルギー回収施設は,廃棄物処理法等の法令と法令の基 準よりも厳格な新ガイドラインの定める基準に沿ったダイオキシン類の排出抑制 対策,ばい煙(硫黄酸化物,ばいじん,塩化水素,窒素酸化物)の排出抑制対策を施したうえ,その運営,維持管理においても,ダイオキシン類,ばいじん,塩 化水素,硫黄酸化物,窒素酸化物及び一酸化炭素について法令の基準よりも厳し い停止基準を設けているものであり,従って,法令及びガイドラインが定める基 準以上のダイオキシン類,ばいじん,塩化水素,硫黄酸化物,窒素酸化物及び一 酸化炭素が排出されるとの危険性は認められないものである。却って,被告の生 活環境影響調査において,二酸化硫黄,二酸化窒素,浮遊粒子物質,塩化水素, ダイオキシン類の全ての対象物質について,日平均予測濃度,年平均予測濃度の いずれも環境保全目標を下回り,周辺住民の日常生活に支障を生じないと予測さ れることが確認されたものである。 また,法規制がなされている有害物質以外の物質によって人格権侵害がなされ るなどといった原告ら主張には,いずれも理由がないものである。 よって,かかる本件エネルギー回収施設の構成と運営,維持管理のあり方に鑑 みれば,そもそも,本件エネルギー回収施設から排出される排ガスによって,原 告らの生命,健康財産が侵害されるおそれがあるとは認められないものである。 他方,本件エネルギー回収施設は,第1の1(6頁,7頁)において上述した とおり,山形市上山市山辺町及び中山町においてもやせるごみを処理するた めに必要不可欠の施設となっているものであり,その公共性,公益性の程度は大 きいものである。 以上をもとに,第2の1(22頁乃至24頁)で上述した差止請求の要件によ り,本件エネルギー回収施設からの排出ガス中の有害物質による原告らの被害が 社会生活上一般に受忍するのが相当な限度を超えているか否かを検討すると,本 件エネルギー回収施設から排出される排ガス中の有害物質によって,原告らが被 る不利益が,社会生活上一般に受忍するのが相当とされる限度を超えているとは 到底評価し得ないものであり,本件エネルギー回収施設の排ガスによる人格権侵 害に基づいて本件エネルギー同収施設の建設及び操業差止を求める原告らの請求には,理由がないものである。

 

第3 騒音·振動による人格権侵害との原告ら主張の不相当性

1 騒音・振動による差止請求の要件

 原告らは,本件エネルギー回収施設の建設及び操業差止請求の根拠として,訴 状第3の3(6)(72頁乃至80頁)において,本件エネルギー回収施設の建設中 の建設工事及び完成後の本件エネルギー回収施設の稼働による騒音・振動により, 原告****に業務上の支障を生じる旨を主張している。

 この点,本件エネルギー回収施設のような公共施設から生じる騒音に基づいて 施設の利用差止請求がなされた事案に関する裁判例としては,大阪国際空港にお ける夜間飛行禁止等の請求に関する最高裁昭和56年12月26日付大法廷判決, 国道43号線の周辺住民からの自動車騒音等による被害に基づく道路の供用差止請求に関する最高裁平成7年7月7日第二小法廷判決,道路公害を理由とするバ イパス道路の延伸工事差止め等の請求に関する広島高裁平成26年1月29日判 決等がある。これらの裁判例においては,いずれも,差止請求が認められるため には,①侵害行為の態様,侵害の程度,被侵害利益の性質と内容,②侵害行為の 持つ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度等を比較検討するほか,③侵害行 為の開始とその後の継続の経過及び状況,その間に採られた被害の防止に関する 措置の有無及びその内容効果等の事情をも考慮し,これらを総合的に考察した 結果被害が受忍限度を超えるものと認められる必要があるとされているもので ある。

 本件訴訟における本件エネルギー回収施設は,第1の1(6頁,7頁)におい て上述したとおり,山形市上山市山辺町及び中山町においてもやせるごみを 処理するために必要不可欠の公共施設であって,上記裁判例において問題となっ た空港や幹線道路と同様にその公共性,公益性の程度は大きいものであることか ら,本件エネルギー回収施設の建設工事及び完成後の稼働に伴う騒音,振動によ って本件エネルギー回収施設の建設及び操業差止請求が認められるか否かについ ても,上記の最高裁昭和56年12月26日付大法廷判決,最高裁平成7年7月7日第二小法廷判決,広島高裁平成26年1月29日判決と同様の要件が認めら れる必要があるものである。

 そして,上記の最高裁平成7年7月7日第二小法廷判決,広島高裁平成26年 1月29日判決においては,騒音による侵害の程度については,公害対策基本法 9条に基づく環境基準等の基準を勘案して判断がなされているものであり,本件 においても,上記のように騒音,振動による被害が受忍限度を超えるものと認め られるためには,環境基準等の法令の定める基準を超えているか否かが重要な判 断要素となるものである。

 この点,原告らは,訴状第3の3(6)i(73頁乃至78頁)において,騒音環 境基準を被害の判断基準とすることは誤りで,本件においては被害発生の判断基 準としては55dB乃至60dBが適切であるなどとしているが,独自の見解に 過ぎないものである。

 従って,本件訴訟においては,原告らが行っている本件エネルギー回収施設の 建設及び操業の差止請求の当否については,本件エネルギー回収施設の建設中の 建設工事及び完成後の本件エネルギー回収施設の稼働によって生じる騒音・振動 が騒音規制法,振動規制法,公害対策基本法に基づく環境基準等の法令の定める 基準に適合しているか否かを踏まえ,①侵害行為の態様,侵害の程度,被侵害利 益の性質と内容②侵害行為の持つ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度等 を比較検討するほか,③侵害行為の開始とその後の継続の経過及び状況,その間 に採られた被害の防止に関する措置の有無及びその内容,効果等の事情をも考慮 し,これらを総合的に考察した結果,被害が受忍限度を超えるものと認められる か否かが問題となるものである。

2 建設工事に伴う騒音について

(1) 法令の定める基準

本件エネルギー回収施設の建設地は都市計画区域外に位置していることか ら,公害対策基本法9条に基づく環境基準や騒音規制法,条例等の定める騒音についての規制値は適用されないものである(乙第15号証エネルギー回収 施設《川口》建設事業生活環境影響調査書1-15)。

 しかしながら,被告においては,本件エネルギー回収施設の建設工事に伴う 騒音被害の発生を防止するための独自の環境保全目標として,騒音規制法に基 づく「特定建設作業に伴って発生する騒音の規制に関する基準」の定める昼間 85dB以下との基準を参考にして,本件エネルギー回収施設の建設工事にお ける建設地の騒音を昼間で85dB以下とし,また,直近民家においては現況 に著しい影響を及ぼさないこと,工事用車両の走行においても現況に著しい影 響を及ぼさないことという目標を設定しているものである(乙第15号証エ ネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.2-27)。

(2) 建設工事における騒音対策

 被告は本件エネルギー回収施設の建設工事における建設機械の稼働による 騒音を低減するため,使用する建設機械として低騒音型建設機械を採用し,で きる限り低騒音となる工法を採用する,工事工程を十分検討し,建設機械の集 中稼働を避け,建設機械の効率的利用に努める,防音パネルや防音シート等を 設置し,防音対策を講じる,建設機械を使用する際に必要以上の暖気運転(ア イドリング)をしないよう運転手への指尊を徹底する等の措置を講じているも のである(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影 響調査書4.2-28)。

 また,工事車両の走行による騒音を低減するため,工事用車両の走行に際し て集落周辺道路においては速度を十分に落して走行することとし,騒音の低減 に努める,工事用車両が集中しないよう搬入時期・時間の分散化に努める,工 事関係者の通勤は極力相乗りとすることにより通勤車両台数の抑制に努める 等の措置を講じているものである(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》 建設事業生活環境影響調査書4.2-28)。

(3) 建設工事における騒音レベルの予測

 被告においては,本件エネルギー回収施設の建設に先立って生活環境影響 調査において,本件エネルギー回収施設の稼働による騒音が周辺にどの程度の 影響を及ぼすかを確認するため,周辺地域において騒音の調査を行ったうえ, 本件エネルギー回収施設の稼働後の騒音の予測を行ったものである。

 具体的には,まず,下記の本件エネルギー回収施設の建設地の敷地境界(S t.1).直近民家付近(St.7),国道13号線及び市道石曽根川口線沿線 (St.5),市道前川ダム東線沿線(St.6)の各地点において騒音レベ ルの調査を行った(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生 生活環境影響調査書4.2-1乃至7)。

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(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生生活環境影響調査書4.2-9より)。

ア.建設機械の稼働による騒音

 その後,本件エネルギー回収施設の建設工事における建設機械の稼働によ る騒音の,本件エネルギー回収施設の建設地の敷地境界(St.1),直近民 家付近(St.7)における影響を予測するため,国土交通省国土技術政策 総合研究所の「道路環境影響評価の技術手法平成24年度版」の定める予測 手法に従い,建設工事における土建工事,機器据付工事,配管・ダクト工事 における騒音源のパワーレベルを設定し,音源毎の距離減衰の計算を行った うえ,予測地点における現況騒音レベルとの騒音レベルの合成を行った(乙 第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4. 2-10,11)。

 その結果,本件エネルギー回収施設の建設工事における建設機械の稼働に よる騒音の予測値は,本件エネルギー回収施設の建設地の敷地境界(St. 1)において現況騒音レベル57dBに対して予測騒音レベル77dBで あり,(1)で上述した環境保全目標である85dBを下回ることが確認された。 直近民家付近(St.7)においても,現況騒音レベル68dBに対して予 測騒音レベル70dBであり、現況を著しく悪化させるものではなく,(1) で上述した環境保全目標を充足していることが確認された(乙第15号証 エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査粛4.2-29)。

イ.工事用車両の走行による騒音

 また,本件エネルギー回収施設の建設工事における工事用車両の走行によ る騒音の国道13号線及び市道石曽根川口線沿線(St.5),市道前川ダム 東線沿線(St.6)における影響を予測するため,一般車両のみが走行し た場合の騒音レベルと「一般車両+工事用車両」が走行した場合の騒音レベルの差を工事用車両の走行による騒音レベルの増加量として予測するため, 日本音響学会の「ASJRTN-Model2008」に基づいて騒音レベルの予測を行った(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業 生活環境影響調査書4.2-13,14)。

 その結果,本件エネルギー回収施設の建設工事における工事用車両の走行 による騒音レベルの予測結果は国道13号線及び市道石曽根川口線沿線(S t.5)において,昼間平均で現況騒音レベルが73.5dBに対して予測 騒音レベル73.6dB,市道前川ダム東線沿線(St.6)においても, 昼間平均で現況騒音レベルが60.5dBに対して予測騒音レベル66.0 dBであり,現況に著しい影響を及ぼすものではないことが確認された(乙 第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4. 2-24乃至27)。

3 建設工事に伴う振動について

(1)法令の定める基準

 本件エネルギー回収施設の建設地は,都市計画区域外に位置していることか ら,公害対策基本法9条に基づく環境基準や振動規制法,条例等に基づく規制 値は適用されないものである(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建 設事業生活環境影響調査書1-15)。

 しかしながら,被告においては,本件エネルギー回収施設の建設工事に伴う 振動被害の発生を防止するための独自の環境保全目標として,振動規制法に基 づく「特定建設作業に伴って発生する振動の規制に関する基準」の定める昼間 75dB以下との基準を参考に,本件エネルギー回収施設の建設工事における 建設地の振動を昼間で75dB以下とし,また,直近民家においては現況に著 しい影響を及ぼさないこと,工事用車両の走行においても国道13号線及び市 道石曽根川口線沿線(St.5),市道前川ダム東線沿線(St.6)で昼間 (8時乃至19時)に70dB以下,夜間(19時乃至8時)に65dB以下 という目標を設定しているものである(乙第15号証エネルギー回収施設 《川口》建設事業生活環境影響調査書4.3-13)。

(2) 建設工事における振動対策

 被告は,本件エネルギー回収施設の建設工事における建設機械の稼働による 振動を低減するため,使用する建設機械として極力低振動型の建設機械を採用 し,工事工程を十分検討し,建設機械の集中稼働を避け,建設機械の効率的利 用に努める,建設機械を使用する際に必要以上の暖気運転(アイドリング)を しないよう運転手への指導を徹底する等の措置を講じているものである(乙第 15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.3 -14)。

 また,工事車両の走行による振動を低滅するため,工事用車両の走行に際し て集落周辺道路においては速度を十分に落して走行することとし,振動の低減 に努める,工事用車両が集中しないよう搬入時期・時間の分散化に努める,工 事関係者の通勤は極力相乗りとすることにより通勤車両台数の抑制に努める 等の措置を講じているものである(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》 建設事業生活環境影響調査書4.3-14)。

(3) 建設工事における振動レベルの予測

 被告においては,本件エネルギー回収施設の建設に先立って,生活環境影響 調査において,本件エネルギー回収施設の建設による振動が周辺にどの程度の 影響を及ぼすかを確認するため,周辺地域において振動の調査を行ったうえ, 本件エネルギー回収施設の建設時の振動の予測を行ったものである。

 具体的には,まず,2で上述した騒音と同様に,本件エネルギー回収施設の 建設地の敷地境界(St.1),直近民家付近(St.7),国道13号線及び 市道石曽根川口線沿線(St.5),市道前川ダム東線沿線(St.6)の各 地点において振動レベルの調査を行った(乙第15号証エネルギー回収施設 《川口》建設事業生活環境影響調査書4.3-1,2)。

ア.建設機械の稼働による振動

 その後本件エネルギー回収施設の建設工事における建設機械の稼働による振動の,本件エネルギー回収施設の建設地の敷地境界(St.1),直近民 家付近(St.7)における影響を予測するため,国土交通省国土技術政策 総合研究所の「道路環境影響評価の技術手法平成24年度版」の定める予測 手法に従い,工事中において各ユニット等から発生する振動レベルが最も大 きくなる時期における工種毎にユニット等の基準点振動レベルを設定し,距 離減衰の計算を行ったうえ,予測地点における現況振動レベルとの振動レベ ルの合成を行った(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生 活環境影響調査書4.3-4.5)。

 その結果,本件エネルギー回収施設の建設工事における建設機械の稼働に よる振動の予測値は,本件エネルギー回収施設の建設地の敷地境界(St. 1)において,現況振動レベル30dB未満に対して予測振動レベル51d Bであり,(1)で上述した環境保全目標である昼間75dBを下回ることが確 認された。直近民家付近(St.7)においても,現況振動レベル30dB 未満に対して予測振動レベル30dBであり,現況を著しく悪化させるもの ではなく,(1)で上述した環境保全目標を充足していることが確認された(乙 第15号証エネルギー回収施設《JII口》建設事業生活環境影響調査書4. 3-9,15)。

イ.工事用車両の走行による振動

 また,本件エネルギー回収施設の建設工事における工事用車両の走行によ る振動の国道13号線及び市道石曽根川口線沿線(St.5),市道前川ダム 東線沿線(St.6)における影響を予測するため,一般車両のみが走行し た場合の振動レベルと「一般車両+工事用車両」が走行した場合の振動レベ ルの差を工事用車両の走行による振動レベルの増加量として予測するため, 国土交通省国土技術政策総合研究所の「道路環境影響評価の技術手法平成2 4年度版」に示されている提案式「振動レベルの80%レンジの上端値を予 測するための式」を使用して,振動レベルの予測を行った(乙第15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.3-6)。 その結果,本件エネルギー回収施設の建設工事における工事用車両の走行 による振動レベルの予測結果は国道13号線及び市道石曽根川口線沿線(S t.5)において,昼間平均で現況振動レベルが37dBに対して予測振動 レベル37dB,夜間平均で現況振動レベルが33dBに対して予測振動レ ベルが33dB,市道前川ダム東線沿線(St.6)においても,昼間平均 で現況振動レベルが30dB未満に対して予測振動レベルが54dB,夜間 平均で現況振動レベルが30dB未満に対して予測振動レベルが33dBで あり,昼間(8時乃至19時)に70dB以下,夜間(19時乃至8時)に 65dB以下という環境保全目標を充足していることが確認された(乙第 15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4. 3-9,10,15)。

 *** 次回に続きます。 ***


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判(判決)|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

2017年5月22日提出の被告・第1準備書面の公開(3) | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 前回前々回に続き、今年の5月23日におこなわれた「平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件」の第二回・口頭弁論で、被告(山形広域環境事務組合)より提出された第1準備書面を公開いたします。

(※この訴訟の経緯は以下の記事をご覧下さい。)
[随時更新]進行中の裁判とこれまでの裁判結果 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会

(※この書面に対する、原告(市民)の反論書(原告ら第1書面、平成29年9月5日(火)・第三回・口頭弁論)は以下のリンクからご覧下さい。)

(リンク)平成29年9月5日・原告提出第1準備書面 ※「禁無断転載」
(リンク)平成29年9月5日・原告提出の証拠説明甲 9~18 ※「禁無断転載」

 被告第1準備書面について、守る会の弁護士によれば、具体的根拠等が一切述べられておらず、数十年前にも廃止された法律を持ち出したりと法令や環境問題の知識が陳腐で、饒舌なわりに中身のない”欠陥だらけ”の書面だとのことです。(詳しい説明は、長文になりますが原告提出の第1準備書面をご覧下さい。)
 * この裁判を担当されている「たたかう市民とともにゴミ問題の解決をめざす弁護士連絡会(ゴミ弁連)」の梶山弁護士・坂本弁護士は、ごみ問題を中心とした環境問題に長年取り組んでおられるエキスパートの先生方です。


平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件
平成28年12月06日~第一審、山形地方裁判所(松下貴彦裁判長)
原告:地域住民
被告:山形広域環境事務組合
原告ら訴訟代理人梶山正三弁護士(理学博士、ごみ弁連会長)、坂本博之弁護士(ごみ弁連事務局長)
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士


※ Web公開用に一部編集を行っています。

オ.排ガス冷却設備における対策

 ダイオキシン類は,排ガス処理設備入口の排ガス温度が300℃程度と高い場合には排ガス処理設備内で生成することが知られているが,新ガイドラ インは,このようなダイオキシン類の生成を防止すると共に,エネルギーの 有効利用促進の観点から,ガス冷却設備は廃熱回収ボイラ方式を原則とする こととしている。そして,この廃熱回収ボイラについては,燃焼室はボイラ 水管壁で構成するものとし,高温を保持し十分な滞留時間を確保できる構造, 設計であることとしている(乙第7号証廃棄物処理法の解説平成24年 度版1778頁1779頁,新ガイドライン5-1-4)。

 本件エネルギー回収施設においても,ガス冷却設備として,燃焼室がボイ ラ水管壁で構成された廃熱回収ボイラを設けているものである(乙第2号証 エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務 編14頁,甲第2号証一般廃棄物処埋施設設置届出害別添2-26「燃焼 溶融炉・ボイラ構造図」,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2 -3《2-1施設概要》,2-7《3.1廃熱ボイラ》,2-26《燃焼 溶融炉・ボイラ構造図》,2-37《処理フロー図》)。

カ.排ガス処理設備における対策

 新ガイドラインは,排ガス処理設備は,以下の集じん器の低温化,吸着除 去法あるいは分解除去法を組み合わせることにより,ダイオキシン類の高度 処理を行うこととしている(乙第7号証廃棄物処理法の解説平成24年 度版1779頁,新ガイドライン5-1-5)。

集じん器の低温化

 低温腐食防止に配慮しつつ,入口排ガス温度を200℃未満とする。

吸着除去法

・粉末活性炭の吹込み

 —集じん器入口に粉末活性炭を吸込むことにより,ダイオキシン類を吸着除去する。  ー湿式排ガス洗浄装置の洗浄液に粉末活性炭を添加する。

・活性炭系吸着塔

 活性炭系吸着剤の充てん塔でダイオキシン類を吸着除去する。

分解除去法

 脱硝用触媒をベースとした酸化触媒等により,ダイオキシン類も 分解できる。なお触媒を使用する場合は,排ガス温度を200℃以 上とする場合もある。

 新ガイドラインは,上記のような集じん器の低温化,吸着除去法,分解除 去法の組合せによる全体の排ガス処理設備の構成に関する代表的な組合せの 例を挙げており,その中で,「フロー例2」(塩化水素の乾式処理の例)とし て,消石灰と活性炭の吹込みを行った後に集じん器に送り込み,その後,アンモニアを供給したうえで触媒塔を通過させるとの構成例を挙げている(乙 第7号証廃棄物処理法の解説平成24年度版1780頁,新ガイドライ ン5-1-5)。

 本件エネルギー回収施設においては,ダイオキシン類の高度処理を行うた めの排ガス処理設備は上記のフロー例2の塩化水素の乾式処理の例としてい るものである(乙第16号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事 業工事概要,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2 -1施設概要》,2-37《処理フロー図》,8-9《8-3物質収支図 〔排ガス〕》)。

 すなわち,本件エネルギー回収施設においては,廃熱ボイラ,エコノマイ ザ,減温塔で冷却された排ガスは,煙道において,活性炭貯留塔から供給さ れる粉末活性炭(活性炭)と消石灰貯留塔から供給される消石灰を吹き込ま れた後に,濾過過集じん器(バグフィルタ)に送り込まれるものである(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書設計· 建設業務編86頁,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3 7「処理フロー図別添2-42「計装フロー図」)。この工程により,排ガ ス中のダイオキシン類は煙道に吹き込まれた粉末活性炭に吸着された後,濾過集じん器(バグフィルタ)のフィルター(ろ布)によって除去されること となる(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水 準書設計・建設業務編86頁,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出 書別添2-3《2-1施設概要》,2-4《表ー1エネルギー回収施設〔川 口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境保全設備の概要》,2-27《滅温塔構造 図》,2-28《バグフィルタ構造図》,2-37《処理フロー図》,別添8- 9《8-3物質収支図《排ガス》》。

 その後,窒素酸化物を除去するために,アンモニア水貯槽から供給される アンモニア水を噴霧された後,触媒反応させるが,触媒反応塔の触媒にはダ イオキシン類分解効果を有するものを選択しており,触媒反応塔においても ダイオキシン類が除去されるものである(乙第2号証エネルギー回収施設 《川口》建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編87頁,88頁, 甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》, 2-4《表−1エネルギー回収施設〔川口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境 保全設備の概要》,2-29《触媒反応塔構造図》,2-32《アンモニア水 貯槽構造図》,2-37《処理フロー図》,2-42《計装フロー図》,別添8 -8《(6)設備方式》,別添8-9《8-3物質収支図《排ガス》)。

(2) ばい煙(硫黄酸化物,ばいじん,塩化水素,窒素酸化物)の排出抑制対策

 本件エネルギー回収施設の焼却炉は,ばい煙(硫黄酸化物,ばいじん,塩化 水素,窒素酸化物)の排出抑制対策についても,廃棄物処理法に関連して定め られている一般廃棄物処理施設の技術上の基準,一般廃棄物処理施設の維持管 理の技術上の基準及び平成9年1月に策定された新ガイドライン(乙第7号証廃棄物処理法の解説平成24年度版)中の新設ごみ焼却炉に関する基準を全 て満たしているものである。

 ごみ焼却排ガス成分のうち,有害物質として指定されているばいじん,窒素 酸化物塩化水素,硫黄酸化物等については,既に除去プロセスが確立されて いるものである。すなわち,ばいじん除去については,電気集じん器が使われることがあるが,従来の乾式電気集じん器ではダイオキシン類除去用としては 限界があるとされる。窒素酸化物については,燃焼制御をはじめとする炉内で の生成抑制法や無触媒脱硝,触媒脱硝などの反応除去法が排出目標値に応じて 使われている。塩化水素,硫黄酸化物については,中和剤による乾式法,半乾 式法湿式法などが排出目標値に応じて使われているものである(乙第7号証 廃棄物処理法の解説平成24年度版1779頁,新ガイドライン5-1- 5)。

 本件エネルギー回収施設においても,後述する硫黄酸化物20ppm,塩化 水素50ppmとの停止基準を充足するため,上記のように,煙道において, 排出ガスに活性炭貯留塔から供給される粉末活性炭(活性炭)と消石灰貯留塔 から供給される消石灰を吹き込まれた後に,濾過集じん器(バグフィルタ)に 送り込むこととしているものである(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》 建設及び運営事業要求水準書設計·建設業務編86頁,甲第2号証一般廃 棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》,2-4《表ー1エ ネルギー回収施設〔川口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境保全設備の概要》,2 -27《減温塔構造図》,2-28《バグフィルタ構造図》,2-29《触媒反 応塔構造図》,2-32《アンモニア水貯槽構造図》,2-37《処理フロー図》, 2-42《計装フロー図》,別添8-8《(6)設備方式》,別添8-9《8-3物 質収支図《排ガス》)。排ガス中の硫黄酸化物と塩化水素は,消石灰との化学反 応により反応生成物(固体)を形成し,形成された反応生成物(固体)は濾過 集じん器(バグフィルタ)のフィルター(ろ布)によって除去されることとなるものである(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要 求水準書設計・建設業務編86頁)。

 排ガス中のばいじんも,濾過集じん器(バグフィルタ)のフィルター(ろ布) によって除去されるものである(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建 設及び運営事業要求水準書設計·建設業務編86頁,甲第2号証一般廃棄 物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》,2-4《表ー1エ ネルギー回収施設〔川口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境保全設備の概要》,2 -28《バグフィルタ構造図》,2-37《処理フロー図》,別添8-8《(6) 設備方式》,別添8-9《8-3物質収支図《排ガス》))。

 窒素酸化物については,濾過集じん器を通過した後に,煙道において窒素酸 化物の濃度に応じてアンモニア(NH3)を噴霧し,触媒反応塔において,触 媒反応により窒素酸化物を窒素に還元し(4NO+4NH3+O2→4N2+6 H2Oなど),無害化するものである(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》 建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編87頁,88頁,甲第2号証 一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》,2-4《表 -1エネルギー回収施設〔川口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境保全設備の 概要》,2-29《触媒反応塔構造図》,2-32《アンモニア水貯槽構造図》, 2-37《処理フロー図》,別添8-8《(6)設備方式》,別添8-9《8-3物 質収支図《排ガス》)。

(3) 排ガス中の有害物質等の停止基準

 本件エネルギー回収施設の運用は,乙第3号証の要求水準書(エネルギー回 収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書運営・維持管理業務編)に従 って行うこととされているものであるが,その中で,被告は第1の6(20 頁,21頁)で上述したようにかみのやま環境サーピスが行うこととなる本件 エネルギー回収施設の運営,維持管理において,(1),(2)(29頁乃至38頁) で上述したようなダイオキシン類及びばい煙の排出抑制対策が適切に行われ,第2の2(24頁乃至28頁)において上述した排ガスに関する法令及びガイ ドラインの基準が確実に遵守されるよう,本件エネルギー同収施設の排ガス中に含まれる有害物質の量に関する基準(停止基準)を設けているものである。 すなわち,被告は,法令及びガイドラインで基準が定められているダイオキ シン類,ばいじん,塩化水素,硫黄酸化物,窒素酸化物及び一酸化炭素につい て,停止基準として,ダイオキシン類0.05ng-TEQ/N㎥、硫黄酸化 物20ppm,ばいじん0.01g/N㎥,塩化水素50ppm,窒素酸化物 50ppmという上記の法令及びガイドラインの基準値よりも厳しい堪準値 を設定し(下記の比較表を参照),排ガス中の有害物質の量がこれを上回った 場合には本件エネルギー回収施設を停止することとしているものである(乙 第3号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書運営・維持管理業務編26頁,27頁)。

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 被告においては,ばいじん,塩化水素,硫黄酸化物,窒素酸化物及び一酸 化炭素については,排出量を常時計測すると共に(乙第3号証エネルギー 回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書運営·維持管理業務編2 6頁「1時間平均値が・・」,「瞬時値のピークを・・」,「4時間平均値が・・・」), 仮に万が一,排ガス中の有害物質の量がこの停止基準を超えることとなった 場合には,本件エネルギー回収施設のガス化炉,溶融炉等の全ての運転を停止し,原因を究明して,対策を施したうえで再度の運転を行うこととなって いるものである。また,ダイオキシン類については,定期バッチ計測データ が上記基準値を逸脱した場合直ちに追加測定を実施し,この2回の測定結 果が基準値を逸脱した場合には,速やかにエネルギー回収施設の運転を停止 し,同様の対応を行うこととなっているものである(乙第3号証エネルギ 一回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書運営・維持管理業務編 26頁)。

(4) 結論(本件エネルギー回収施設の法令及びガイドラインの基準への適合性)

 以上のとおり,本件エネルギー回収施設は,廃棄物処理法に関連して定めら れている一般廃棄物処理施設の技術上の基準,一般廃棄物処理施設の維持管理 上の技術上の基準と共に,かかる法令の基準よりも厳格な新ガイドラインの定 める基準の定めるダイオキシン類の排出抑制対策,ばい煙(硫黄酸化物,ばい じん,塩化水素,窒素酸化物)の排出抑制対策を施したうえで,さらに,その 運営,維持管理においても,第1の6(20頁)で上述したように高度の専門 知識技術力と経験を有するかみのやま環境サービスが,(3)(38頁乃至40 頁)で上述したように,ダイオキシン類,ばいじん,塩化水素,硫黄酸化物, 窒素酸化物及び一酸化炭素の排出量が法令の定める基準よりも厳しい停止基 準の下で運営維持管理を行うこととなっているものである。

 かかる本件エネルギー回収施設の構成と運営,維持管理の体制に鑑みれば, 本件エネルギー回収施設から法令及びガイドラインが定める基準以上のダイ オキシン類,ばいじん,塩化水素,硫黄酸化物,窒素酸化物及び一酸化炭素が 排出される蓋然性は認められず,本件エネルギー回収施設は法令及びガイドラ インの基準に適合しているものである。

 

4 排ガスに関するその他の原告ら主張の不相当性

(1) 重金属について

 原告らは,訴状第3の2(1)エ(30頁乃至40頁)において,ガス化溶融炉 にいては,排ガス中の重金属(砒素《As》,鉛《Pb》,カドミウム《Cd》, 水銀《Hg》)濃度が他の炉形式のものと比して高い旨を主張している。 そして,その理由として,ガス化溶油炉の溶融炉の温度が1200℃以降に 達することから,重金属がガス化して排ガス中に移行すること,多くの重金属 は塩素化によって沸点が低下し,ガス化しやすくなることを挙げている。

 しかしながら,以下のとおり,かかる原告ら主張には理由がないものである。

 新ガイドラインではもやせるごみに含まれる重金屈に対する対応については,

「溶融固化は燃料の燃焼熱や電気から得られた熱エネルギー,またはその他のエネル ギーにより焼却灰・飛灰を加熱し,1,250から1,450℃あるいはそれ以上の 高温条件下で有機物を燃焼,ガス化させ,無機物を溶融してガラス質のスラグとして 回収するものである。焼却灰・飛灰に含まれていた低沸点の重金属類は排ガス中に揮 散した後,排ガス処理装置で捕集される溶融飛灰の中に濃縮される。一方,スラグ中 へ移行した一部の重金属類はSiO2の網目構造の中に包み込まれた形となり,外部 への溶出防止が可能となる。」

とされている(乙第7号証廃棄物処理法の解説平成24年度版1783頁, 新ガイドライン7-1)。

 すなわち,もやせるごみに含まれる重金属については,その一部は溶融炉に おいて高温で燃焼することによりガラス質のスラグの中に移行し,SiO2の 網目構造の中に包み込まれて外部への溶出防止が図られ,他方,残りの一部は 燃焼によって発生する燃焼ガスに揮散した後に,排ガス冷却工程で微細なばい じんになり,集じん器で捕集されることとなるものである(乙第8号証の5 ごみ処理施設整備の計画・設計要領2006改訂版534頁)。

 本件エネルギー回収施設においても,もやせるごみに含まれる重金属の一部 は,溶融炉において灰分(Cao,SiO2等)が1200℃以上の高温で溶 融されて溶融スラグとなり,溶融炉下部から連続して安定的に排出される際に, ガラス質の溶融スラグ中のSiO2の網目構造の中に包み込まれて外部への溶 出防止が図られることとなるものである(乙第2号証エネルギー回収施設 《川口》建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編15頁)。

 他方,もやせるごみに含まれる重金属のうち,燃焼ガスに揮散した部分にい ては,廃熱ボイラ,エコノマイザ及び減温塔において約175℃まで冷却され ることにより,融点を下回って微細なばいじん(固体)となり,ろ過集じん器 により除去されることとなるものである(甲第2号証一般廃棄物処理施設設 置届出書別添2-3《2-1施設概要》,2-4《表ー1エネルギー回収 施設〔川口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境保全設備の概要》,2-37《処理 フロー固》,別添8-8《(6)設備方式》,別添8-9《8-3物質収支図《排 ガス》))。なお,原告らは,訴状第3の2(1)エ(33頁下段)において,多くの重金屈が塩素化によって沸点が低下し,ガス化しやすくなる旨を主張してい るが,重金属が塩素化したとしても,上記のように約175℃まで冷却されれ ば,融点を下回って微細なばいじん(固体)となり,ろ過集じん器により除去 されることに変わりはないものである。

 また,常温で固化しない唯一の金属元素である水銀(Hg)については,上 記の溶融スラグ及びろ過集じん器による除去方法では除去が不可能であるこ とから,被告を構成する2市2町においては,ごみの分別収集を行い,体温計 や電池等の水銀(Hg)を含有するごみがもやせるごみに混入しないようにし ているものである(乙第22号証の1保存版ごみ減量・分別大百科,乙第2 2号証の2ごみの分け方・出し方,乙第22号証の3ごみの分け方・出し 方,乙第22号証の4ごみの分け方・出し方)。

 従って,ガス化溶融炉においては,排ガス中の重金属(砒素《As》,鉛《Pb》,カドミウム《Cd》,水銀《Hg》)濃度が他の炉形式のものと比して高 いなどとする原告ら主張には理由がないものである。

(2) 塩素化芳香族炭化水素多環芳香族炭化水素,全有機ハロゲン化合物等について

 原告らは,訴状第3の2(1)イ,ウ(23頁乃至30頁)において,一般廃棄 物焼却に際して,ダイオキシン類に比して圧倒的に多量に排出される脂肪族有 機塩素化合物,ポリ塩化フェノール,ポリ塩化ベンゼン,塩化ナフタレンはダ イオキシン類とその毒性において極めて強い類似性を有する,多環芳香族炭化 水素(PAHs)は発がん性の強いことで知られる代表的な化合物である,ニ トロPAHsはPAHsよりも変異原性が極めて強い化合物である,ところが この極めて強い変異原性を有するものが廃棄物焼却施設からの排ガス中に常 時検出されるのである,などと主張している。

 しかしながら,上記原告ら主張は,廃棄物焼却施設において上記各物質が排 出されるとの点,上記各物質の有害性との点のいずれについても根拠資料が提 出されておらず,根拠不明といわざるを得ないものである(そもそも,廃棄物 焼却施設から原告ら主張のような強い有害性を有する有害物質が排出されて いるのであれば,法令やガイドラインにおいてこれに対する規制がなされてい ると思料されるところである。)。

 また,原告らからは,第1の4,5(11頁乃至20頁),第2の3(29頁 乃至40頁)において上述したようなごみ処理工程である本件エネルギー回収 施設において,いかなる有害物質がいかなる程度に排出され,どのような被害 が生じるかについての主張,立証が全くなされていないものであり,いずれに しても,上記原告ら主張は,本件エネルギー回収施設の建設及び操業差止を求 める原告ら請求の根拠となるものではない。

(3) フライアッシュ,ボトムアッシュについて

 原告らは,訴状第3の2(1)ア(19頁)において,

「以上は例示であるが,燃焼とは超高速度で合成と分解を繰り返し,極めて短時間で 一種類の化合物からだけでも千種類にも及ぶ膨大な種類の予測不可能な化合物が生 成する熱反応であると言えよう。 このようなごみ焼却によって生成する膨大な有害化合物群は『排ガス』だけでなく, 金属・非金属等の物質も含めて,フライアッシュ(飛灰),ボトムアッシュ(焼却残 さ又は主灰)・・・中の有害物質の種類や濃度変化についても妥当する。」

として,排ガス以外にも,フライアッシュ,ボトムアッシュに含まれる有害物 質が開題となる旨を主張している。

 しかしながら,まず,ボトムアッシュ(焼却残さ又は主灰)はもやせるごみ の熱処理(焼却処理)を行うストーカ炉等において発生するものであるが,本件エネルギー回収施設のようなもやせるごみをガス化したうえで1200℃ 以上の高温で処理するガス化溶融炉においては,ボトムアッシュは発生しない ものである。すなわち,ガス化溶融炉においては,灰分(CaO,SiO2等) は溶融されて溶融スラグとなり,これに含まれる重金属等の有害物質はガラス 質の溶融スラグ中のSiO2の網目構造の中に包み込まれて外部への溶出が防 止されるものである。

 また,フライアッシュ(飛灰)については,本件エネルギー回収施設のよう なガス化溶融炉においても発生するものの,廃熱ボイラ,エコノマイザ及び減 温塔における燃焼ガスの冷却の後になされる排ガス処理設備における燃焼ガ スの処理において,ろ過集じん器(バグフィルタ)において除去されることに より,外部への流出は防止されるものである。

 従って,排ガス以外にも,フライアッシュ,ボトムアッシュ,スラッジに含 まれる有害物質が問題となる旨を述べる上記原告ら主張にも理由がないものである。

(4) ダウンウォッシュ,ダウンドラフトについて

 原告らは,訴状第3の2(2)のi(52頁,53頁)において,本件エネルギ ー回収施設の煙突からの排出ガスについて,煙突からの吐出速度が比較的小さ いために排出ガスが急激に地上に降下するダウンウォッシュ,ダウンドラフト といった現象が発生し,煙突直下付近の汚染濃度が著しく高まる旨を主張して いる。

 この点,ダウンウォッシュとは,煙突から出た排出ガスが,強風により煙突 下流側に発生する渦に巻き込まれ,下降して発生する高濃度汚染をいい,ダウ ンドラフトとは,煙突風上あるいは風下側の構造物や地形によって発生する渦 に排ガスが引き込まれるために発生する高濃度汚染をいう(乙第15号証エ ネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.1-54)。 被告においては,本件エネルギー回収施設の建設に先立って,生活環境影響 調査において,本件エネルギー回収施設が周辺地域の生活環境に及ぼす影響について予め調査を行ったものであるが,その中で,本件エネルギー回収施設の 煙突高,口径等を基に,ダウンウォッシュ,ダウンドラフトが発生する条件や, 発生時に生じることとなる周辺地域の大気質への影響についても予測,検討を行っているものである。

 その結果,本件エネルギー回収施設の煙突からの排出ガス吐出速度の約1/ 1.5以上となり得る風速は14.8m/s以上であることから,ダウンウォ ッシュ,ダウンドラフト時の気象条件は風速14m/s程度と予測され,この 場合,煙源の風下約664m風下の地点が最大着地濃度地点となっていたもの の,二酸化硫黄,二酸化窒素,浮遊粒子状物質,塩化水素,ダイオキシン類の いずれの項目についても,環境庁の告示等をベースに周辺住民の日常生活に支 障を生じないことを目標に設定された大気汚染に係る環境保全目標に掲げら れている基準を下回っていることが確認されたものである(乙第15号証工 ネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.1-66,75,乙第7号証の4廃棄物処理施設生活環境影響調査指針,乙第7号証の5焼 却施設の生活環境影響調査手法)。また,さらにいえば,14m/sとの風速 は,世界気象機関の風力の標準的な表現法として採択され,日本の気象庁の採 用する気象庁風力階級表にも使用されているビューフォート風力階級表の風 力階級7(強風;樹木全体がゆれる。風に向かっては歩きにくい。)に該当し, 平成25年8月23日から平成26年8月22日までの地上気象調査結果で は,かかる気象状況となった場合は認められなかったものである(乙第7号証 の6ビューフォート風力階級表)。

 従って,本件エネルギー回収施設の煙突からの排出ガスについて,ダウンウ ォッシュ,ダウンドラフトといった現象によって煙突直下付近の汚染濃度が著 しく高まるなどとする上記原告ら主張にも,理由がないものである。

(5) 結論(排ガスに関するその他の原告ら主張の不相当性)

 以上より,第2の2,3(24頁乃至40頁)において上述した法規制がな されている有害物質以外の本件エネルギー回収施設からの排ガスに関する原 告ら主張は,いずれも理由がなく,本件エネルギー回収施設の建設及び操業差 止を求める原告ら請求の根拠となるものではない。

*** 次回に続きます。 ***


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判(判決)|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

2017年5月22日提出の被告・第1準備書面の公開(2) | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 前回に続き、今年の5月23日におこなわれた「平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件」の第二回・口頭弁論で、被告(山形広域環境事務組合)より提出された第1準備書面を公開いたします。

 この訴訟の経緯は以下の記事をご覧下さい。

[随時更新]進行中の裁判とこれまでの裁判結果 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会

 この書面に対する、原告(市民)の反論書(原告ら第1書面、平成29年9月5日(火)・第三回・口頭弁論)は以下のリンクからご覧下さい。

(リンク)平成29年9月5日・原告提出第1準備書面 ※「禁無断転載」
(リンク)平成29年9月5日・原告提出の証拠説明甲 9~18 ※「禁無断転載」

 被告第1準備書面について、守る会の弁護士によれば、具体的根拠等が一切述べられておらず、数十年前にも廃止された法律を持ち出したりと法令や環境問題の知識が陳腐で、饒舌なわりに中身のない”欠陥だらけ”の書面だとのことです。(詳しい説明は、長文になりますが原告提出の第1準備書面をご覧下さい。)
 * この裁判を担当されている「たたかう市民とともにゴミ問題の解決をめざす弁護士連絡会(ゴミ弁連)」の梶山弁護士・坂本弁護士は、ごみ問題を中心とした環境問題に長年取り組んでおられるエキスパートの先生方です。


平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件
平成28年12月06日~第一審、山形地方裁判所(松下貴彦裁判長)
原告:地域住民
被告:山形広域環境事務組合
原告ら訴訟代理人梶山正三弁護士(理学博士、ごみ弁連会長)、坂本博之弁護士(ごみ弁連事務局長)
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士


※ Web公開用に一部編集を行っています。

第2 排ガスによる人格権侵害との原告ら主張の不相当性

1 排ガス中の有害物質による差止請求の要件

 原告らは,訴状第3の1,2(13頁乃至65頁)において,本件エネルギー 回収施設の操業により,排ガス中に含まれるダイオキシン類等の有害物質が排出 され,その結果,原告らに健康被害を生じ,原告らの生命,身体,財産等が侵害 されるなどとして,人格権(身体権,平穏生活権)に基づき,本件エネルギー回 収施設の建設と操業の差止を請求している。

 上記原告らの請求のように,人格権に基づき本件エネルギー回収施設のような 公共施設の操業差止が請求された場合、かかる請求が認められるためには当該公 共施設の操業に違法性が認められることが必要であるところ,「差止請求を認容す べき違法性があるというためには,侵害行為の態様と侵害の程度,被侵害利益の 性質と内容,侵害行為の持つ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度等を比較 検討するほか,侵害行為の開始とその後の継続の経過及び状況,その間に採られ た被害の防止に関する措置の有無及びその内容,効果等の事情をも考慮し,これ らを公共施設の差止めという請求との関連において総合的に考察して,当該公共 施設の建設及び操業により個人が被る被害が,社会生活上一般に受忍するのが相 当な限度を超えているといえることを要する」(東京地裁平成19年3月28日判 決)ものである(最高裁平成7年7月7日第二小法廷判決参照)。

 また,本件エネルギー回収施設のような一般廃棄物焼却施設からの排ガス中の 有害物質については,人の生命及び重大な影響を与えるおそれがあるダイオキシ ン類による環境汚染を防止し,国民の健康を図ることを目的とするダイオキシン類対策特別措置法,工場等の事業活動に伴うばい煙等の排出等を規制し,大気の汚染に関して国民の健康を保護すると共に生活環境を保全することを目的とする 大気汚染防止法,廃棄物の適正な処分等により生活環境の保全と公衆衛生の向上 を図ることを目的とする廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下,「廃棄物処理 法」という。)が置かれ,さらに,平成9年1月28日には旧厚生省の「ごみ処理に係るダイオキシン削減対策検討会」により,ダイオキシン対策を一層推進す るための「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」(新ガイドライン)が策定され,法令及びガイドラインにより,排ガス中の有害物質による健康被害の発生を防止するための基準が定められているところである。このため, 一般廃棄物焼却施設の操業による排ガス中の有害物質について,上記のような受 忍限度を超えるか否かを検討する際には当該一般廃棄物焼却施設が上記のよう な法令及びガイドラインの定める基準を遵守しているか否かが重要な判断要素と なるものである。

 地方公共団体の一般廃棄物焼却施設への操業差止請求について判断がなされた 近時の裁判例を見ても,上記の東京地裁平成19年3月28日判決のみならず, 水戸地裁土浦支部平成23年3月28日判決,岡山地裁平成24年12月18日 判決,名古屋地裁平成21年10月9日判決等においても,当該一般廃棄物焼却 施設が上記のような法令及びガイドラインの定める基準を遵守しているか否かを 踏まえ,焼却施設からの排ガスが受忍限度を超えているか否かが判断されている ものである。

 この点,原告らは,訴状第3の2(1)iv(48頁乃至52頁)において,排出規 制基準には反していない等の「『行政上の基準』を持ち出して,周辺住民の人格権 や財産権被害の発生又はその蓋然性を否定するのは,ほとんどの事業者の通有性 であり,行政庁や裁判所も,しばしば同様の誤りを犯している。」(訴状49頁),「要は,行政基準の遵守の有無ではなくて,被害の発生に関する予見可能性及び 結果回避可能性の問題であって・・・」(訴状51頁)などとして,あたかも法令及びガイドラインの定める基準を遵守しているか否かを踏まえた判断を行うこと が誤りであるかのような主張をしているが,独自の見解に過ぎないものである。 従って,本件訴訟においても,原告らが行っている本件エネルギー回収施設の 建設及び操業の差止請求の当否については,本件エネルギー回収施設の法令及び ガイドラインの基準への適合性を踏まえ,本件エネルギー回収施設のごみ処理工程の態様と排ガス中の有害物質の程度,原告らが主張する被侵害利益と本件エネ ルギー回収施設のごみ処理の公共性,公益上の必要性の比較検討のほか,被害の 防止に関する措置の有無とその内容,効果等の事情をも考慮して,本件エネルギ ー回収施設からの排ガス中の有害物質による原告らの被害が社会生活上一般に受 忍するのが相当な限度を超えているか否かが問題となるものである。

2 本件エネルギー回収施設の排ガスに対する法規制の状況

 本件エネルギー回収施設の排ガスについて適用される法令及びガイドラインに よる規制の状況は以下のとおりである。

(1) ダイオキシン

 ダイオキシン類対策特別措置法は,ダイオキシン類による環境の汚染の防止 を図るための基準を設けており,廃棄物焼却炉からの排出ガスに含まれるダイ オキシン類の排出甚準については,ダイオキシン類対策特別措置法施行規則第 1条の2,別表第1が,廃棄物焼却炉の焼却能力に応じて,基準を定めている (乙第18号証の1ダイオキシン類対策特別措置法第1条,第2条,第8条, 乙第18号証の2ダイオキシン類対策特別措置法施行令第1条,別表第一の 五《本件エネルギー回収施設の焼却炉は火床面槙が0.5平方メートル以上で あるため,これに該当》,ダイオキシン類対策特別措置法施行規則第1条の2, 別表第1)。

 本件エネルギー回収施設の焼却炉は,焼却能力が75t/日=1時間当たり 3125kgであることから,ダイオキシン類対策特別措置法施行規則第1条 の2,別表第1の定めるダイオキシン類の排出基準は1ng-TEQ/N㎥ (1立方メートルにつき1ナノグラム)となっているものである。

 また,ダイオキシン類等に対する法規制の状況は上記のとおりであるが,113 厚生省のごみ処理に係るダイオキシン削減対策検討会が作成した「ごみ処理に 係るダイオキシン類発生防止等ガイドラインダイオキシン類削減プログラ ム−」(乙第7号証の3廃棄物処理法の解説平成24年度版1759頁乃至1786頁)(以下,「新ガイドライン」という。)は,ダイオキシン類の更なる排出抑制を進めるため,ダイオキシン類について上記のような法規制の基準を上回る厳しい基準を設けると共に,その他の有害物質の排出抑制の観点も併せて,廃棄物焼却炉の構成例などを示しており,廃棄物焼却炉の建設及び運営管理の実務において,ダイオキシン類を主とした有害物質の排出を抑制するための指針として使用されているところである。

 この「新ガイドライン」は,恒久対策の基準として,「新設の全連続炉にあっては,最新の技術を用いることにより,ダイオキシン類の排出濃度を0.1ng-TEQ/N㎥以下とすることが考えられ,現にこの値を達成している焼却炉も存在する。このため,今後建設される全連続炉については,ダイオキシン類の排出濃度を0.1ng-TEQ/N㎥以下とする」としているところである(乙第7号証の3廃棄物処理法の解説平成24年度版1764頁)。

(2) ばい煙(硫黄酸化物,ばいじん,塩化水素,窒素酸化物)
 大気汚染防止法は,工場における事業活動等に伴うばい煙の排出等を規制し,国民の健康を保護するとともに生活環境を保全するため,物の燃焼に伴い発生する硫黄酸化物,ばいじん,塩化水素,窒素酸化物について,以下のような排出基準を定めている(乙第19号証の1大気汚染防止法1条,2条)。

ア.硫黄酸化物

 大気汚染防止法施行規則3条1項は,硫黄酸化物の排出基準は以下の計算 式により算出した硫黄酸化物の量としている(乙第19号証の2大気汚染 防止法施行規則3条1項)。

 q=K×10−3He2

 q:硫黄酸化物の量(単位温度零度,圧力一気圧の状態に換算 した立法メートル毎時)

 K:大気汚染防止法3条2項1号の政令で定める地域ごとに別表 第一の下欄に掲げる値

 He:大気汚染防止法施行規則3条2項に規定する方法により補正された排出口の高さ

 大気汚染防止法3条2項1号の政令で定める地域の区分については大気汚 染防止法施行令5条,別表3が定めており,本件エネルギー回収施設がある 山形県上山市は同別表3の第100項(前各号に掲げる区域以外の地域)に 該当する。このため,大気汚染防止法施行規則3条1項,別表第一の定める Kの値は17.5であり(別表第一の16)(乙第19号証の1大気汚染防 止法,乙第19号証の2大気汚染防止法施行規則),これを基に計算を行う と,大気汚染防止法施行規則の定める上記の硫黄酸化物の排出基準は3469ppmとなる。

イ.ばいじん

 大気汚染防止法施行規則4条,別表第二は,温度が零度であって,圧力が 一気圧の状態に換算した排出ガス1立方メートル当たりのばいじんの排出基 準を定めている(乙第19号証の1大気汚染防止法3条,乙第19号証の 2大気汚染防止法施行規則4条,別表第二)。この別表第二の36は,大気 汚染防止法施行令別表第一の13項の廃棄物焼却炉(乙第19号証の3大 気汚染防止法施行令別表第一の13項,火格子面積が2平方メートル以上で あるか,又は焼却能力が1時間当たり200キログラム以上である廃棄物焼 却炉)について,焼却能力に応じてばいじんの排出基準を定めている。上記 のように本件エネルギー回収施設の焼却炉の焼却能力は1時間当たり31 25kgであることから,ばいじんの排出基準は0.08g/N㎥(1立方 メートルにつき0.08グラム)となっているものである。

ウ.塩化水素

 大気汚染防止法施行規則5条1号,別表第三は,温度が零度であって,圧 力が一気圧の状態に換算した排出ガス1立方メートル当たりの塩化水素の排 出基準を定めている(乙第19号証の1大気汚染防止法3条,乙第19号証の2大気汚染防止法施行規則5条1号,別表第三)。この別表第三の3項 は,大気汚染防止法施行令別表第一の13項の廃棄物焼却炉(乙第19号証 の3大気汚染防止法施行令別表第一の13項,火格子面積が2平方メート ル以上であるか,又は焼却能力が1時間当たり200キログラム以上である 廃棄物焼却炉)について,塩化水素の排出基準を700mg/N㎥と定めて いる。

 本件エネルギー同収施設の焼却炉の焼却能力は1時間当たり3125kg であることから,塩化水素の排出基準は700mg/N㎥(1立方メートル につき700ミリグラム)となっているものである。

 日本工業標準調査会のJIS(日本工業規格)においては,塩化水素の濃度の単位については,mg/N㎥ではなくppmが使用されていることから, 上記の塩化水素の排出基準700mg/N㎥をppmに換算する必要がある。 この点,昭和52年6月16日の環境庁大気保全局長から各都道府県宛の通 知である「大気汚染防止法に基づく窒索酸化物の排出基準の改定等について」 は,塩化水素の単位の換算式を以下のように定めている(乙第20号証大 気汚染防止法に基づく窒素酸化物の排出基準の改定等について)。

 Cs=(36.5/22.4)×Cp

 Cs:排出ガス中における塩化水素重量(mg/N㎥)

 Cp:JISK0107により算定される塩化水素濃度 (ppm)

 上記換算式によって換算すると,本件エネルギー回収施設の塩化水素の排 出基準は430ppm以下となっているものである。

エ.窒素酸化物

 大気汚染防止法施行規則5条2号,別表第三の二は,温度が零度であって, 圧力が一気圧の状態に換算した排出ガス1立方メートル当たりの窒素酸化物 の排出基準を定めている(乙第19号証の1大気汚染防止法3条,乙第19号証の2大気汚染防止法施行規則5条2号,別表第三の二)。この別表第 三の二の27項は,大気汚染防止法施行令別表第一の13項の廃棄物焼却炉 (乙第19号証の3大気汚染防止法施行令別表第一の13項,火格子面積 が2平方メートル以上であるか,又は焼却能力が1時間当たり200キログ ラム以上である廃棄物焼却炉)で,25項(浮遊回転燃焼方式により焼却を 行うもの《連続炉に限る。》)及び26項(ニトロ化合物,アミノ化合物若し くはシアン化合物若しくはこれらの誘導体を製造し,若しくは使用する工程 又はアンモニアを用いて排水を処理する工程から廃棄物を焼却するもの《排 出ガス量が4万立方メートル未満の連続炉に限る。》以外のものについて,窒素酸化物の排出基準を250立方センチメートル/N㎥(250ppm)と 定めている。

 本件エネルギー回収施設の焼却炉の焼却能力は1時間当たり3125kg で(甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添8-4),上記の25項, 26項のいずれにも該当しないことから,本件エネルギー回収施設の窒素酸 化物の排出甚準は250ppmとなっているものである。

(3) 一酸化炭素

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律廃棄物処理法)は,生活環境の保全及 び公衆衛生の向上を図ることを目的に廃棄物の適正な処理方法等について定 めている。

 廃棄物処理法8条の3項を受けて,一般廃棄物処理施設の維持管理について 従うべき技術上の基準を定める廃棄物処理規則4条の5第2号のルは,焼却施 設におけるごみの焼却方法について,「煙突から排出される排ガス中の一酸化 炭素の濃度が百万分の百以下となるようにごみを焼却すること。」と定めてい る(乙第21号証の1廃棄物処理法,乙第21号証の2廃棄物処埋規則)。

3 本件エネルギー回収施設の法令及びガイドラインの基準への適合性

(1) ダイオキシン類の排出抑制対策

 本件エネルギー回収施設の焼却炉は公害防止対策について万全を期してお り,廃棄物処理法に関連して定められている一般廃棄物処理施設の技術上の基 準,一般廃棄物処理施設の維持管理の技術上の基準と共に,かかる法令の基準よりも厳格な,平成9年1月に策定された新ガイドライン(乙第7号証廃棄 物処理法の解説平成24年度版1759頁乃至1786頁)中の新設ごみ焼 却炉に関する基準を全て満たしているものである。

 まず,ダイオキシン類の排出抑制対策については,以下のとおりである。

ア.ダイオキシン類の排出対策の考え方

 ダイオキシン類は,ごみの不完全燃焼に伴って生成するほか,排ガス処理 設備入口の排ガス温度が300℃程度と高い場合には,排ガス処理設備内で 生成することが知られている。

 このため,新ガイドラインにおいては,焼却施設における排出ガス対策と しては,ダイオキシン類の排出の少ない適切な焼却を行うことが最も重要で あり,これにより,大気へのダイオキシン類の排出が削滅されるばかりでな く,焼却灰や排ガス処理施設において補足される飛灰に含まれるダイオキシ ン類の低滅まで行うことができるとされている(乙第7号証廃棄物処理法 の解説平成24年度版1765頁,1766頁,新ガイドライン第3章, 3-2-2)。

イ.施設運営における対策

 新ガイドラインは,ダイオキシン類の発生抑制の基本となる焼却炉の安定運転のため,焼却炉の運営について,

・ごみ質が均ーになるように努めるとともに,焼却炉の負荷を適正な範囲 に保ち,安定した燃焼を継続すること

・連続運転を可能な限り長期化できるような運営を行うこと

・排ガス中のダイオキシン類濃度を定期的に測定し,その結果を記録に残 すこと。測定頻度は年一回を原則とする。

としている(乙第7号証廃棄物処理法の解説平成24年度版1776頁, 新ガイドライン5-1-1)。

 この点,本件エネルギー同収施設の焼却炉の運営については,要求水準書 において,かかる新ガイドラインの定めに従った運営方法を定めている。 すなわち,ごみの受付·計量業務において,ごみ質が均一になるように, 正しくごみが分別されていることを確認すること,基準を満たしていないご みは受け入れないこと,ごみの種類ごとに個別に計量を行うこと等を定めて いる(乙第3号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水 準書運営・維持管理業務編15頁)。

 また,本件エネルギー回収施設は24時間連続しで焼却処理を行う全連続 式の流動床式ガス化溶融炉であり,連続運転を可能な限り長期化できるよう, 年度別の計画処理量に基づく年間運転計画と年間運転計画に基づく月間運転 計画を作成し,被告の承諾を得ることとされている(乙第3号証エネルギ 一回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書運営・維持管理業務編 17頁)。

 さらに,排ガス中のダイオキシン類濃度の測定についても,運営事業者に て測定管理マニュアルを作成したうえで,最低で年に2回の頻度で計測する こととされている(乙第3号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営 事業要求水準書運営・維持管理業務編25頁)。

ウ.ごみの受入れ供給設備における対策

 新ガイドラインは投入するごみの量及び質を平準化し,焼却炉の安定運 転を行ってダイオキシン類の発生を抑制するため、

・安定した燃焼の継続のために,十分なごみピット容量を確保するととも に,自動ごみクレーンによる効率的な撹拌と定量的な供給を可能とすること。

・解砕装置,破袋装置の設置により,ごみ質の均一化を行うことも有効で ある。また,定量性・制御性の良い供給装置の採用が必要である。

としている(乙第7号証廃棄物処理法の解説平成24年度版1776頁, 新ガイドライン5-1-2)。

 被告は,本件エネルギー回収施設のごみの受入供給設備についても,要求 水準書により,かかる新ガイドラインの定めに従った内容のものとしている ものである。

 すなわち,十分なごみピット容量を確保するため,受入ごみピットと破砕 ごみピットの容最が合計で4076㎥(設計基準ごみで処理能力の5日分以上)となることとし(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運 営事業要求水準書設計・建設業務編53頁),ごみピット内のごみを効率的 に攪拌すると共に,定量的にごみを投入するため,遠隔手動,半自動及び全 自動のごみクレーン2基を設置することとしている(乙第2号証エネルギ ー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書設計·建設業務編54頁, 55頁,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3,2-6, 2-12乃至15,2-37《処理フロー図》)。

 さらに、ごみを破砕してごみ質を均質化するため,最大寸法1辺1m以下 のプラスチック類も円滑に破砕することができ,1基で全量破砕することが できる能力を有するごみ破砕機を設置することとしている(乙第2号証エ ネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編 57頁)。

エ.燃焼設備における対策

 新ガイドラインは,ダイオキシン類の発生抑制の基本となる焼却炉の安定 運転のため,焼却炉の設計に際しては,炉形式構造,炉規模,燃焼方法, ごみ質等を考慮するとともに,安定した燃焼の継続に配慮しつつ,下記条件を指標に維持管理することとしている(乙第7号証廃棄物処理法の解説 平成24年度版1777頁,新ガイドライン5-1-2)。

• 燃焼温度:850℃以上 (900℃以上が望ましい)

• 上記燃焼温度でのガス滞留時間:2秒以上

• 煙突出口の一酸化炭素(CO)濃度:30ppm以下、 (O212%換算値の4時間平均値)

• 安定燃焼:100ppmを越えるCO濃度瞬時値のピークを極力発生させないように留意

 新ガイドラインは,さらに,上記条件について,温度計に加えてCO連続 分析計及びO2連続分析計を設置し監視するものとしている(乙第7号証 廃棄物処理法の解説平成24年度版1777頁,新ガイドライン5-1- 3)。

 この点,本件エネルギー回収施設の溶融炉も,かかる新ガイドラインの定 めに従った設計及び運用となっているものである。

 すなわち,まず,上記新ガイドラインの燃焼温度850℃以上(900℃ 以上が望ましい),燃焼温度でのガス滞留時間2秒以上との上記基準は,ダイオキシン類の発生は一般的に燃焼状態の善し悪しと密接な関係があり,燃焼 ガスの完全燃焼を継続して達成することによりダイオキシン類の発生を抑制 でき,燃焼温度が高く滞留時間が長いほどダイオキシン類及び前駆体の熱分解には有利であることから設けられた基準である(乙第7号証廃棄物処理 法の解説平成24年度版1777頁3段目,新ガイドライン5-1-3)。 この点,本件エネルギー回収施設の溶融炉の焼却条件は,燃焼温度900℃ 以上,ガス滞留時間2秒以上となっているものである(乙第2号証エネル ギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編14 頁,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》,別添2-37《処理フロー図》,別添8-8《(7)焼却条件》)。

 次に,上記新ガイドラインの煙突出口の一酸化炭素濃度30ppm以下と の上記基準は,燃焼状態を示す重要な指標は一酸化炭素(CO)濃度であり, CO濃度が低いほど完全燃焼に近いといえること,比較的連続測定が容易で あり,中高濃度領域でダイオキシン類濃度と正の相関関係があることからC O濃度を管理値として採用し,30ppm以下(12%O2換算値の4時間 平均値)とすることにより,より完全な燃焼を期すこととしたものである(乙 第7号証廃棄物処理法の解説平成24年度版1777頁3段目,新ガイ ドライン5-1-3)。この点,本件エネルギー回収施設の溶融炉においても, 煙突出口の排ガスの一酸化炭素濃度は30ppm以下(12%02換算値の 4時間平均値)との焼却条件となっているものである(乙第2号証エネル ギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編14 頁,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設 概要》,別添2-37《処理フロー図》,別添8-8《(7)焼却条件》)。

 さらに,上記新ガイドラインの100ppmを越えるCO濃度瞬時値のピークを極力発生させないとの基準は,炉内の熱負荷(単位ごみ当たり発熱量 と燃焼ごみ量の積)を一定に保つことにより,安定した燃焼を継続すること ができることから,安定燃焼の尺度としてCO濃度瞬時値を用い,これが1 00ppmを越える燃焼の急変動(温度の急降下や急上昇)を避けるように 運転することとしているものである(乙第7号証廃棄物処理法の解説平 成24年度版1777頁4段目,新ガイドライン5-1-3)。この点,本件 エネルギー回収施設の溶融炉においても,100ppmを超える一酸化炭素 濃度瞬時値のピークを極力発生させないこととの焼却条件としているもので ある(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準 書設計・建設業務編14頁,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書 別添2-3《2-1施設概要》,別添2-37《処埋フロー図》,別添8- 8《(7)焼却条件》)。

*** 次回に続きます。 ***


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判(判決)|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

2017年5月22日提出の被告・第1準備書面の公開(1) | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 今回は、今年の5月23日におこなわれた「平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件」の第二回・口頭弁論で、被告の山形広域環境事務組合より提出された第1準備書面を公開いたします。この事件は、特に書面の量が多いため数回に分けて公開します。(全文一括でPDFでも公開します。)

 この書面に対して、平成29年9月5日(火)におこなわれた第三回・口頭弁論では原告が「第1準備書面」で反論しました。

(リンク)平成29年9月5日・原告提出第1準備書面 ※「禁無断転載」
(リンク)平成29年9月5日・原告提出の証拠説明甲 9~18 ※「禁無断転載」

 守る会の弁護士によれば、具体的根拠等が一切述べられておらず、数十年前にも廃止された法律を持ち出したりと法令や環境問題の知識が陳腐で、饒舌なわりに中身のない”欠陥だらけ”の書面だとのことです。(詳しい説明は、長文になりますが原告提出の第1準備書面をご覧下さい。)
 この裁判を担当されている「たたかう市民とともにゴミ問題の解決をめざす弁護士連絡会(ゴミ弁連)」の梶山弁護士・坂本弁護士は、ごみ問題を中心とした環境問題に長年取り組んでおられるエキスパートの先生方です。

*この記事の続きはこちら:(2)(3)


平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件
平成28年12月06日~第一審、山形地方裁判所(松下貴彦裁判長)
原告:地域住民
被告:山形広域環境事務組合
原告ら訴訟代理人梶山正三弁護士(理学博士、ごみ弁連会長)、坂本博之弁護士(ごみ弁連事務局長)
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士


※ Web公開用に一部編集を行っています。

平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件
原告 ****
被告 山形広域環境事務組合

第1準備書面

平成29年5月22日

 

山形地方裁判所 民事部 合議係 御中


被告訴訟代理人
弁護士 内藤 和暁
同 古澤 茂堂
同  小野寺 弘行

[目次]

第1 本件エネルギー回収施設の概要···6頁
1 本件エネルギー回収施設の建設に至った経緯(施設の必要性)···6頁
2 本件エネルギー回収施設の位置と周辺の状況···8頁
3 本件エネルギー回収施設の施設概要建・建築規模,工事工程···l0頁
(1) 施設概要···10頁
(2) 建築規模···10頁
ア.エネルギー回収施設処理棟・管理棟···10頁
イ,付属棟···10頁
ウ,付帯施設···10頁
(3) 工事工程···11頁
4 本件エネルギー回収施設のごみ処理方式(流動床式ガス化溶融炉とは)···11頁
5 本件エネルギー回収施設におけるごみ処理の工程···13頁
(1) ごみの受入からガス化炉への投入まで···14頁
(2) ガス化炉及び溶融炉におけるガス化,燃焼···15頁
ア.ガス化炉におけるガス化···15頁
イ,溶融炉における燃焼···16頁
(3) 廃熱ボイラ,エコノマイザ及び減温塔における燃焼ガスの冷却···18頁
(4) 排ガス処理設備における燃焼ガスの処理···19頁
ア.ろ過集じん器による塩化水素,硫黄酸化物ダイオキシン類及びばいじん の除去···19頁
イ,触媒反応塔による窒素酸化物の還元除去···19頁
6 本件エネルギー回収施設の運転・維持管理の体制···20頁
第2 排ガスによる人格権侵害との原告ら主張の不相当性···22頁
1 排ガス中の有害物質による差止請求の要件···22頁
2 本件エネルギー回収施設の排ガスに対する法規制の状況···24頁
(1) ダイオキシン類···24頁
(2) ばい煙(硫黄酸化物,ばいじん,塩化水素,窒素酸化物)···25頁
ア.硫黄酸化物···25頁
イ.ばいじん···26頁
エ.窒素酸化物···27頁
(3) 一酸化炭素···28頁
3 本件エネルギー回収施設の法令及びガイドラインの基準への適合性···29頁
(1) ダイオキシン類の排出抑制対策···29頁
ア.ダイオキシン類の排出対策の考え方···29頁
イ.施設運営における対策···29頁
ウ.ごみの受入れ供給設備における対策···30頁
エ.燃焼設備における対策···31頁
オ.排ガス冷却設備における対策···34頁
カ.排ガス処理設備における対策···34頁
(2) ばい煙(硫黄酸化物,ばいじん,塩化水素,窒素酸化物)の排出抑制対策···36頁
(3) 排ガス中の有害物質等の停止基準···38頁
(4) 結諭(本件エネルギー回収施設の法令及びガイドラインの基準への適合性)···40頁
4 排ガスに関するその他の原告ら主張の不相当性···41頁
(1) 重金属について···41頁
(2) 塩素化芳香族炭化水素,多環芳香族水素,全有機ハロゲン化合物等について···43頁
(3) フライアッシュ,ボトムアッシュについて···44頁
(4) ダウンウォッシュ,ダウンドラフトについて···45頁
(5) 結論(排ガスに関するその他の原告ら主張の不相当性)···46頁
5 排ガスに関する生活環境影響調査···46頁
6 結論(排ガスによる人格権侵害との原告ら主張の不相当性)···47頁
第3 騒音・振動による人格権侵害との原告ら主張の不相当性···49頁
1 騒音・振動による差止請求の要件···49頁
2 建設工事に伴う騒音について···50頁
(1) 法令の定める基準···50頁
(2) 建設工事における騒音対策···51頁
(3) 建設工事における騒音レベルの予測···52頁
ア.建設機械の稼働による騒音···53頁
イ.工事用車両の走行による騒音···53頁
3 建設工事に伴う振動について···54頁
(1) 法令の定める基準···54頁
(2) 建設工事における振動対策···55頁
(3) 建設工事における振動レベルの予測···55頁
ア.建設機械の稼働による振動···55頁
イ.工事用車両の走行による振動···56頁
4 施設稼働に伴う騒音について···57頁
(1) 法令の定める基準···57頁
(2) 施設稼働における騒音対策···58頁
(3) 施設稼働における騒音レベルの予測···58頁
ア.施設稼働による騒音···59頁
イ.廃棄物運搬車両の走行による騒音···59頁
5 施設稼慟に伴う振動について···60頁
(1)  法令の定める基準···60頁
(2) 本件エネルギー回収施設における振動対策···61頁
(3) 施設稼働における振動レベルの予測···61頁
ア.本件エネルギー回収施設の稼働による振動···61頁
ィ.廃棄物運搬車両の走行による振動···62頁
6 結論(騒音・振動による人格権侵害との原告ら主張の不相当性)···63頁
第4 景観利益の侵害との原告ら主張の不相当性···64頁
第5 その他の原告ら主張の不相当性···69頁
1 道路の交通障害との原告ら主張の不相当性···69頁
2 忠川護岸の崩壊,市道の水没との原告ら主張の不相当性···70頁
第6 結論···70頁

[本文]

第1 本件エネルギー回収施設の概要
 原告らは,訴状において,本件エネルギー回収施設からの排ガス,騒音・振動等 によって原告らの人格権が侵害される旨を主張し,本件エネルギー同収施設の建設 及び操業差止めを請求している。

 原告らが主張する排ガス,騒音・振動等の個々の争点に対する反論を行う大前提として,まず,本件エネルギー回収施設の概要すなわち,建設に至った経緯(施 設の必要性),位置と周囲の状況,施設概要・建築規模,主事工程,ごみ処理方式(流 動床式ガス化溶融炉)の仕組み,ごみ処理の具体的な工程等について,概説する。

1 本件エネルギー回収施設の建設に至った経緯(施設の必要性)

 被告は,山形市上山市山辺町及び中山町における,ごみを処理するための 中間処理施設の設置,管理及び運営に関する事務等を共同処理するために設立さ れた一部事務組合(地方自治法第284条2項)であり,被告構成団体の2市2 町のもやせるごみを山形市大宇蔵王半郷字八小路1738番乙所在の半郷清掃工 場(処理規模:180t/日,昭和53年稼働開始)及び山形市大字漆山字中川 原4019番7号所在の立谷川清掃工場(処理規模:180t/日,昭和57年 稼働開始)で処理してきた。

 被告は,一般廃棄物処理施設の一般的な耐用年数が20年乃至25年程度とさ れていることから,将来的な半郷清掃工場及び立谷川清掃工場の老朽化による廃 止に備えて,平成10年以降、新清掃工場の候補地選定に着手した。 被告は,平成23年11月25日に,山形市大字漆山字中川原4019番7号 所在の立谷川清掃工場の隣接地に新清掃工場であるエネルギー回収施設(処理規 模:150t/日)を建設することを決定し,平成24年12月6日に,上山市 川口地区に本件エネルギー回収施設(処理規模:150t/日)を建設すること を決定した(乙第1号証の2被告ウェブサイト)。

 被告は,本件エネルギー回収施設の建設工事について,株式会社神鋼環境ソリューション(以下,「神鋼環境ソリューション」という。)及び山形建設株式会社 により構成される工事施工者である神鋼・山形建設特定建設工事共同企業体との間で,平成28年1月27日,エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業建設工事請負仮契約を締結した(乙第14号証エネルギー回収施設《川口》建設 及び運営事業建設工事請負契約書)。この仮契約は,平成28年2月17日に山形 広域環境事務組合議会において契約を締結することについて議決されたことから, 特約条項により仮契約を本契約とみなすこととなった。当該契約上,本件エネル ギー回収施設の建設における詳細については,要求水準書の記載に従うこととし ており(乙第14号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業建設工事 請負契約書第15条),本件エネルギー回収施設の公害防止基準は,エネルギー 回収施設(川口)建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編第II編第1章第 3節1(乙第2号証)16頁乃至19頁によることとしている。

 被告構成団体の2市2町のごみ処理基本計画においては,本件エネルギー回収 施設の計画目標年度とされる平成31年度には年間8万132tのもやせるごみ の排出が見込まれ,これを処埋するためには,一般廃棄物処理施設の稼働率を踏 まえると,300t/日の処理能力が必要な状況である(乙第15号証エネル ギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書1-6)。そうした中,被告 の半郷清掃工場及び立谷川清掃工場は一般廃棄物処理施設の一般的な耐用年数と される20年乃至25年を大幅に超えて稼働している(平成29年4月現在で3 8年,34年)ために老朽化による廃止が必須であること,平成29年10月稼 働予定の立谷川エネルギー回収施設の処理規模は150t/日であり,上記の300t/日の処埋能力を確保するためにはさらに150t/日の処理規模を確保 する必要があることから,本件エネルギー同収施設は,被告の構成団体である2市2町から排出されるもやせるごみを適正に処理するために必要不可欠の施設と なっているものである(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営 事業要求水準書設計・建設業務編第I編第1章1-1)。

2 本件エネルギー回収施設の位置と、周辺の状況

 本件エネルギー回収施設の建設地は,下図のとおり,上山市川口地内,前川ダムの北部に位置し(山形市の中心部から約16km,上山市の中心部から約4km),国道13号線,JR奥羽本線山形新幹線)の南に隣接している(乙第15 号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書2-1,甲第 2号証一般廃棄物処理設置届書別添1−2、1−3、別添2−3)。

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(乙15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査4.2−2より)

 本件エネルギー回収施設の建設地は,都市計画区域外となっており,下図のように,直近民家から建設地敷地境界までの距離は約150mとなっている(乙第 15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.2- 1,4.2-9)

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(乙15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査4.2−9より)

3 本件エネルギー回収施設の施設概要·建築規模,工事工程
 本件エネルギー回収施設の施設概要・建築規模は以下のとおりである。詳細や 完成イメージ図等は,別紙1「エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業工 事概要」記載のとおりである(乙第16号証エネルギー回収施設(川口)建設 及び運営事業工事概要,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2- 3,2-4)。
(1) 施設概要
施設規模:150t/日(75t/日×2炉1日あたり24時間)
処理方式:流動床式ガス化溶融方式
燃焼溶融設備:神鋼環境ソリューション製
円筒形流動床式ガス化炉+旋回流式溶融炉
ボイラ蒸気条件:4MPa×400℃
余熱利用:蒸気タービンによる発電(3,220kW)
ロードヒーティング(構内道路・駐車場及び周辺道路)
(2) 建築規模
ァ.エネルギー回収施設処理棟・管理棟
主要構造:鉄骨鉄筋コンクリート造,鉄筋コンクリート造,鉄骨造
階数:地下2階,地上6階建
建築面積:4,885.67㎡
延床面積:8.409.75㎡
軒の高さ:28.2m(煙突59m)
イ.付属棟
計量棟,スラグストックヤード棟
ゥ.付帯施設
こどもふれあい広場(大型遊具、幼児用遊具、トイレ,四阿),足湯
電気自動車急速充電設備

(3)工事工程
平成28年2月契約・着工
平成28年9月土木建築工事着工
平成29年7月プラント工事着工
平成30年6月受電
平成30年6月土木建築工事の建築工事完了
(外構・付帯施設工事除く)
プラント工事の機器据付工事,配管工事,
電気計装工事完了
平成30年6月乃至8月機器単体調整
平成30年8月ごみ受入
平成30年8月乃至11月実負荷試運転
平成30年11月竣工
平成30年12月供用開始

4 本件エネルギー回収施設のごみ処理方式(流動床式ガス化溶融炉とは)
 全国の一般廃棄物処理施設(廃棄物焼却施設)では,各施設において,様々な ごみ処理方式が採用されているところであるが,本件エネルギー回収施設においてはごみ処理方式として,流動床式ガス化溶融炉の方式を採用しているもので ある。
ガス化溶融とは,ごみを熱分解(低酸素雰囲気で加熱することでごみ中の可燃 物を炭化水素,CO,H2などの可燃性ガス,未燃分に化学的に分解すること) して可燃性ガスと未燃分を生成し,高混で燃焼してごみ中の灰分を溶融するごみ 処理システムをいう。流動床式とは,ごみの熱分解を行うガス化炉が流動砂(空気が送り込まれて流動状態となっている砂層)状態となっている方式をいう。こ のような流動床式ガス化溶融炉は,高温燃焼によりダイオキシン類等の発生を抑制できる,低空気比のため排ガス量が少ない,溶融スラグ及び金属類の有効利用 により最終処分場負荷を軽減できる,ごみの保有するエネルギーを使って焼却, 溶融までを行うことから,エネルギー回収効率が高いなどといった特徴を有する方式である(乙第17号証株式会社神鋼環境ソリューションホームページ)。

 現在の主なごみ処理方法には,ごみを最終処分場で直接埋立処分を行う方法と, 熱処理(焼却処理)を行う方法ガス化溶融を行う方法とがある。ごみの最終処分量は,直接埋立処分を行う方法と比して,熱処理(焼却処理)を行う方法によ ると10%程度まで,熱処理(焼却処理)に加えて灰溶融を行う場合,あるいは ガス化溶融を行う方法によると2-3%まで減量化される。焼却した後に焼却灰 の溶融を行う場合は,焼却炉に灰溶融炉を付帯することとなるが,灰を溶かすためには約1200℃以上の高温が必要なため,灰溶融炉では電気,燃料等のエネ ルギーが必要となる。他方,ガス化溶融炉は,ごみの保有するエネルギーを利用 するため,少ない投入エネルギーで灰溶融を行うことができる。現在日本では, もやせるごみを処理するごみ処理方式として主流となっているのは,ストーカ炉 (+灰溶融炉),流動床式ガス化溶融炉,シャフト炉式ガス化溶融炉の3方式となっている(乙第17号証株式会社神鋼環境ソリューションホームページ)。

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(株式会社神鋼環境ソリューションホームページより


 日本においてガス化溶融炉が開発され,普及してきた経緯としては,1990 年代初めにごみ焼却施設から排出されるダイオキシン類が問題となり,また,焼 却灰からの重金属類の溶出対策,最終処分場の逼迫の問題があり,国の施策とし て,焼却残渣中のダイオキシン類を低滅し,重金属類の溶出を抑制,滅容化,有 効利用が達成できる技術として,焼却灰の溶融が求められるようになった。そう した中,1990年代後半,高温処理でダイオキシン類を分解できごみの保有 するエネルギーを利用して溶融が行えるガス化溶融が注目され,メーカー各社が 実証施設を建設・開発し,2000年代に入って相当数の施設が稼働を開始し, 現在では,ストーカ式焼却炉と並んで主流のごみ処理方式として認知されている ものである(乙第17号証株式会社神鋼環境ソリューションホームページ)。

5 本件エネルギー回収施設におけるごみ処理の工程
 本件エネルギー回収施設に搬入されたもやせるごみに対する具体的なごみ処理 の工程は,以下のとおりである(乙第17号証株式会社神鋼環境ソリューショ ンホームページ,乙第16号証エネルギー回収施設(JII口)建設及び運営事業 工事概要)。

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(株式会社神鋼環境ソリューションホームページより)

(1) ごみの受入からガス化炉への投入まで
 本件エネルギー回収施設に搬入されたもやせるごみは,まず,エネルギー回 収施設処理棟・管理棟内にあるごみピット(もやせるごみの保管場所)に投入 され,保管される。ごみピットにおいては,ごみ質を均ーにすることによって ガス化炉におけるガス化を安定して行えるようにするため,破砕されて細分化 される。
 具体的には,まず,ごみ収集車によって搬入されたもやせるごみは,プラッ トホームのごみ投入扉から受入ごみピット(搬入されたごみをまず最初に保管 する場所)に投入され,受入ごみピットにおいて,ごみクレーンにより,ごみ 質を均ーにするために撹拌混合される。その後撹拌混合されたもやせるごみ は,ごみクレーンによりごみ破砕機の受入ごみ投入ホッパ(受入ごみの投入口) に投入され,ごみ破砕機で破砕される。
 ごみ破砕機で破砕されたごみは,破砕ごみピット(破砕されたごみを保管す る場所)に貯留される。
 破砕ごみピットに貯留された破砕ごみは,ごみクレーンにより破砕ごみ投入 ホッパ(破砕ごみの投入口)に投入され,給じん装置(破砕ごみをガス化炉に 供給するための装置)により,ガス化炉の燃焼状況に合わせて,ガス化炉内に 連続して投入される。
 受入ごみピット,破砕ごみピットのごみ貯留状況やごみクレーンの運転状況 は,中央制御室において,モニター画面を通じて監視されている。また,必要 な場合にはごみクレーンを手動で操作して,受入ごみピットにおけるごみの撹 拌混合や受入ごみ投入ホッパヘのごみの投入,ごみ投入ホッパヘのごみの投入 を行うこととなっている(乙第2号証エネルギー回収施設(川口)建設及び 運営事業要求水準書設計・建設業務編第1I編第2章第2節6乃至9《53頁乃 至57頁甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3,2-6, 2-12乃至15,2-37《処理フロー図》)。

(2) ガス化炉及び溶融炉におけるガス化,燃焼
 ごみピットにおいて破砕されて細分化されたごみは,以下のように,ガス化 炉内でガス化された後,溶融炉において燃焼される(乙第17号証株式会社 神鋼環境ソリューションホームページ,乙第16号証エネルギー回収施設 (川口)建設及び運営事業工事概要,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置 届出書別添2-3,2-37《処理フロー図》)。

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(株式会社神鋼環境ソリューションホームページより)

ア.ガス化炉におけるガス化
 破砕ごみピットからごみクレーンで破砕ごみ投入ホッパに投入された破砕 ごみは,給じん装置を経てガス化炉に供給される。  本件エネルギー回収施設のガス化炉は流動床式であり,ガス化炉の底部は 流動砂(空気が送り込まれて流動状態となっている砂層)状態となっている。 給じん装置からガス化炉に供給されたごみは,流動する砂によって分散され る(乙第17号証株式会社神鋼環境ソリューションホームページ,甲第2 号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3,2-20,2-25《ガ ス化炉構造図》,2-37《処理フロー図》)。

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(株式会社神鋼環境ソリューションホームページより)

 分散したごみの中の可燃物は,ガス化炉で部分燃焼させることで未燃ガス (CO,H2,CH4等),未燃炭素(C《固体の煤》)と灰分(Cao,SI O2等)になり,ガス化炉上部から溶融炉に送られる。他方,ごみの中の不 燃物(ガラス,陶器等)と金属類は,砂よりも比重が重いことから,流動す る砂の中でガス化炉下部に移動し,流動砂と共に抜き出された後分離され, 鉄分とアルミは回収·再資源化され,不燃物の一部は粉砕処理後に溶融炉に 投入され,残った処理不遮物は埋め立て処分される(乙第17号証株式会 社神鋼環境ソリューションホームページ,乙第2号証エネルギー回収施設 (川口)建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編第II編第2章第3節 1乃至3《60頁乃至62頁》,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書 別添2-37《処理フロー図》,別添8-9《8-3物質収支図〔排ガス〕》)。

イ.溶融炉における燃焼
 溶融炉には燃焼用の空気(二次空気)が供給されており,ガス化炉から溶 融炉に送り込まれた未燃ガス(CO,H2,CH4等),未燃炭素と灰分(CaO,SIO2等)のうち,未燃ガス(CO,H2,CH4等),未燃炭素は1 200℃以上の高温で燃焼する。灰分(CaO,SIO2等)はこの120 0℃以上の高温で溶融されて溶融スラグとなり,溶融炉下部から連続して安 定的に排出される(甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3 《2-1施設概要》,2-21,2-26,別添2-37《処理フロー図》, 別添8-9《8-3物質収支図〔排ガス〕》。

 溶融炉の二次燃焼室では,上記の工程で燃焼しきれなかった未燃ガス(C O,H2,CH4等),未燃炭素(C《固体の煤》)を完全燃焼させる。

 このような溶融炉においては,二次燃焼室を含めて,燃焼によって発生した燃焼ガスが900℃以上の燃焼域に2秒以上滞留するよう調整されており, その後、燃焼ガスは廃熱ボイラに送られる(乙第17号証株式会社神鋼環 境ソリューションホームページ,乙第2号証エネルギー回収施設(川口) 建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編第II編第2章第3節4《62 頁,63頁》,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添8-8《(7) 焼却条件》)。

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(株式会社神鋼環境ソリューションホームページより)

` ガス化炉におけるガス化と溶融炉における燃焼の状況は,給じん装置から ガス化炉に供給されたごみの量(給じん量)と溶融炉に供給される二次空気 の量によって異なるものであり,自動制御機能により,自動で制御されてい る。中央制御室では,ガス化炉,溶融炉内の様子や燃焼温度,空気流量,燃 焼室酸素濃度,一酸化炭素濃度等を中央制御装置で監視及び制御し,燃焼室 酸素濃度が適正範囲になるよう空気量調整等を行い,安定燃焼を図ることと している(乙第2号証エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業要求 水準書設計・建設業務編第II編第2章13節1,2,5<134頁,135 頁139頁》)。

(3) 廃熱ボイラ,エコノマイザ及び減温塔における燃焼ガスの冷却

 溶融炉での燃焼によって発生した燃焼ガスは廃熱ボイラに送られ,廃熱ボ イラにおいて熱を利用して水から水蒸気を生成し,冷却される。その後,エコ ノマイザ(煙道に水管を設け,排気の余熱で給水を加熱するもの)に送られ, 熱を回収され,さらに冷却される。

 その後,燃焼ガスは,減温塔において水噴霧により約175度に冷却された 後排ガス処理設備に送られる(乙第17号証株式会社神鋼環境ソリューシ ョンホームページ,乙第16号証エネルギー回収施設(川口)建設及び運営 事業工事概要,乙第2号証エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業 要求水準書設計・建設業務編第II編第2章第4節《74頁乃至85頁》,甲第 2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》,2 -7《3.1廃熱ボイラ》,2-15乃至19,2-26《燃焼溶融炉・ボ イラ構造図》,2-27《滅温塔構造図》,2-37《処理フロー図》)。

 廃熱ボイラ,エコノマイザ及び減温塔によるこのような燃焼ガスの冷却につ いても,中央制御室において,ボイラ水位や減温塔の噴霧水量,ろ過集じん器 (バグフィルタ)入口温度等を中央制御装置で監視及び制御がなされている (乙第2号証エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編第II編第2章第13節134頁乃至141頁)。

(4) 排ガス処理設備における燃焼ガスの処理

ア.ろ過集じん器による塩化水素,硫黄酸化物ダイオキシン類及びばいじんの除去

 廃熱ボイラ,エコノマイザ及び減温塔において冷却された排ガスは,煙道 で消石灰及び粉末活性炭を吹き込まれたうえ,ろ過集じん器(バグフィルタ) に送り込まれる。燃焼ガス中の塩化水素と硫黄酸化物消石灰との化学反応 により反応生成物(固体)を形成する。燃焼ガス中のダイオキシン類等の有害物質は粉末活性炭に吸着される。ろ過集じん器においては,排ガス中のば いじん,塩化水素及び硫黄酸化物消石灰の反応生成物,並びにダイオキシ ン類等の有害物質を吸着した活性炭を,フィルターによりろ過集じんして除 去する(乙第2号証エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業要求水 準書設計・建設業務編第II編第2章第5節《86頁乃至89頁》,甲第2号証 一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》,2-4《表 -1エネルギー回収施設〔川口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境保全設備の 概要》,2-15乃至17,2-19,2-27《滅温塔構造図》,2-28 《バグフィルタ構造図》,2-37《処理フロー図》,別添8-9《8-3物 質収支図《排ガス》)。

イ.触媒反応塔による窒素酸化物の還元除去

 ろ過集じん器から送り出された排ガスは,煙道においてアンモニア水を噴霧して触媒反応塔を通過させることにより,窒素酸化物を還元除去する(脱 硝装置)。この触媒反応塔には,主目的ではないものの,ダイオキシン類等の 分解除去の効果もある(乙第2号証エネルギー回収施設(川口)建設及び 運営事業要求水準書設計・建設業務編第II編第2章第5節4《88頁,89 頁》,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設 概要》,2-4《表ー1エネルギー回収施設(川口)の仕様概要》,2-5 《⑧環境保全設備の概要》,2-15,2-16,2-20,2-29《触媒 反応塔構造図》,2-32《アンモニア水貯槽構造図》,2-37《処理フロ ー図》,2-42《計装フロー図》,別添3-2《処理に伴い生ずる排ガス及 び排水〔1炉運転時〕,別添8-8《(6)設備方式》,別添8-9《8-3物質収支図《排ガス》)。

 ア(前頁)で上述したろ過集じん器の前の消石灰及び活性炭の供給装置と 上記の触媒反応塔の前のアンモニア水の供給装置はいずれも自動制御されて おり,排ガス中の有害物質の濃度に応じて各薬剤の供給量の調整を行うこと となっている。本件エネルギー回収施設の中央制御室では,排ガス中のばいじん濃度,塩化水素濃度,硫黄酸化物濃度,一酸化炭素濃度,窒素酸化物濃 度を中央制御装置で常時監視及び制御することとなっている(乙第2号証 エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業要求水準書設計·建設業務編 第II編第2章13節2《135頁》)。

6 本件エネルギー回収施設の運転·維持管理の体制

 本件エネルギー回収施設の運転,保守管理等は,被告から業務委託を受けた株 式会社かみのやま環境サービス(以下,「かみのやま環境サービス」という。)が 実施することとなっている。かみのやま環境サービスは神鋼環境ソリューショ ンが9割,同社の子会社である神銅環境メンテナンス株式会社が1割を出資して設立した,本件エネルギー回収施設の運営・維持管理等を事業目的とする特別目 的会社である。神鋼環境メンテナンス株式会社は,神鋼環境ソリューショングル ープにおいて,神鋼環境ソリューションからの技術的バックアップを受けて廃棄 物焼却施設の焼却炉,溶礁炉の運転,維持管理等を専門的に行っている関連会社 であり,神鋼環境ソリューションが建築した廃棄物焼却施設の焼却炉,溶紬炉の 運転,維持管理は同社が行うこととしているものである。 本件エネルギー回収施設の運転,保守管理等に当たるかみのやま環境サービス には,上記のように廃棄物焼却施設の焼却炉,溶融炉の運転,維持管理のノウハウを有する神鋼環境メンテナンス株式会社より,十分な専門知識と経験を有する 人材が派遣されることとなっており,本件エネルギー回収施設の運転,保守管理 等は,神鋼環境ソリューションからの技術的バックアップの下,神鋼環境ソリュ ーショングループの有する高度の専門知識,技術力と経験をもって行われる予定 となっているものである。 本件エネルギー回収施設のガス化炉等は,中央制御装置により自動運転される ため,運転員は,中央制御室で,監視用ITVのモニター画面に表示される各施 設の稼働状況や,中央制御装置に表示される燃焼温度,空気流量,排ガス中のば いじん濃度,窒素酸化物濃度,硫黄酸化物濃度,塩化水素濃度,一酸化炭素狼度, 酸素濃度等の連続測定データを集中監視し,異常が生じた場合には,改善作業や 設備の停止等必要な対応を行う態勢をとることとしている。


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

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