山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(エネルギー回収施設)に関する詳細、および諸問題について

7月18日の裁判について3:守る会提出の甲69号証公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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7月18日、山形地裁で行われた敷地造成工事に関する口頭弁論で、この裁判は結審しましたが、守る会は証拠甲69号証として、河川工学博士による論考「前川ダム放水路(忠川)右岸壁と前川右岸壁の接続状況」を提出しましたので、公開致します。

 近年豪雨による河川氾濫、土砂災害は激増しており、行政サイドの河川計画は想定外を超えた事態となっています。その計画のは本当に安全と言えるのでしょうか。* この論考では、現実の現場写真や他の事例を用いて、説明されています。

 守る会は、裁判官に対し調査嘱託申立書を提出し、これまでも何度か現地審査を求めましたが、ことごとく却下されているのは、非常に残念なことです。災害は数字や計算(とはいえ、組合の計算にはミスがあると申し立てています)だけで判断できるものでしょうか。また、守る会は、分析をした者の各種資格証明書等々も証拠として提出しております。

* 守る会は敷地造成計画の設計を担当した業者が、これほどの工事規模にもかかわらず、(道路工事に関する資格は有していても)河川工事に関する資格を有しておらず、専門性・経験が極めて乏しく、そのため設計の内容が誤っていること、そして設計者の裁判での主張の河川の考え方に関する根本的な誤りについても指摘しています。

 


前川ダム放水路(忠川)右岸壁と前川右岸壁の接続状況

河川工学博士 ****

 前川ダム放水路(一級河川忠川)と、一級河川前川は上山市川口地区のJR奥羽本線山形新幹線)ガード直下流で合流する。平常時、前川ダム放水路の計画流量は0㎥/sであるが、豪雨に伴い前川ダムの決壊を防ぐため、緊急時には放水路に放水するとされている。その場合、当然前川も増水している状況であり、計画高水流量170㎥/sプラス造成地からの排水量(昭和48年計画時には想定されていなかった水量)が、この合流点周辺でぶつかり、濁流が護岸壁を超える恐れがある。下記地図の中央を流れる川は一級河川前川。前川ダム放水路(一級河川忠川)と建設地下流で合流し、緊急放水時にはこの辺りで川水が膨れ上がる。ピンク色部は建設地。

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 平成26年と27年7月豪雨において、前川は連続して氾濫し、この合流点より下流域に甚大な被害をもたらした。真夜中に上山市中心市街地に避難勧告が出されたのは、これまでの意見書通りである。造成地へ向かう五反田橋周辺は、前川両岸に浸水し、橋桁スレスレまで押し寄せた経緯があることも同様である。

 前川ダム放水路の右岸は、上山市道に接している。造成地に架かる新忠川橋より下流護岸は、前川との合流点まで高いコンクリート擁壁となっている。(写真‐1)山形新幹線ガードを潜ってすぐの地点で、前川右岸との切り替えが行われており、この地点での放水路擁壁高(上山市道路面をGLとした場合)は、1.43mである(写真‐2)が、前川に接続される部分では斜めに切り下げられており、その段差は0.9mとなっている(写真‐3)。この地点に於いて、前川の左岸はコンクリートで非常に高く構築されているため、合流地点で溢れた川水は、最も低くなったこの切り下げ地点から上山市道へ流出する可能性が非常に高い。現在ですら豪雨時には前川の限界値を超えた水量を支えているにも拘わらず、これ以上造成地からの雨水を前川に受け入れることがあってはならないし、排水樋門や排水口を開いて放水路に放流することがあってはならない。

 この合流地点から流れ出た水が上山市道へ流れ出ると、ガード下から五反田橋までの区間は冠水する恐れが十分に考えられ、隣接地に勤務する社員や、公称エネルギー回収施設に勤務する職員、及び見学者や前川ダム周辺の観光客等の避難路が絶たれることになる。かつて豪雨時には、この上山市道が崩落した経緯があるため、逆に前川ダム方面の上流へ逃げることも不可能となる。 このような理由からも、豪雨時の敷地からの排水は、ゼロでなければならない。

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写真‐1 2016.09撮影 上山市道から見た前川ダム放水路右岸コンクリート擁壁 

 

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写真‐2 2017.06.02撮影 合流地点付近の前川ダム放水路右岸擁壁高 H=1.43m

 

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写真‐3 2016.09撮影 前川ダム放水路から前川に切り下げられたコンクリート護岸
上流に明治初期建造の文化財2連アーチ橋「堅盤橋」が架かる

 

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写真‐4  2016.09 合流地点より前川下流を見る 左岸コンクリート護岸壁
右岸の護岸高は低く、上山市道に接している

 

参考 アメリカのオーロビルダム放水路崩壊によるダム決壊

今年に入っての大雨や豪雪により湖の水位が上昇したため、水を約1,400m3/sで放流していたところ、排水路に穴が発生。それでも湖の水位の上昇が激しく、やむを得なく損傷した放水路から継続して放流を行っていたところ、この穴がさらに拡大。そこで2月11日、問題が起きた際に使用される緊急排水路(補助排水路)を、1968年のダム完成から初めて使用した。

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事態は収まるかとみられていたが、12日午後、今度は緊急用放水路でも浸食が起き、水が360m3/sで流れ始めたことが判明。

出典CNN.co.jp : ダムの放水路が決壊の恐れ、住民に避難勧告 米加州

放水路がいつ決壊してもおかしくない状況となったうえ、土砂などが崩れ落ちてより危険な状態になる可能性が浮上した。

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ブラウン知事は州議会に対し、水インフラ用の財源から3億8700万ドル(約440億円)、さらに州の一般財源から5000万ドル(約56億円)を拠出する予算措置の承認を要請。「老朽化したインフラが限界にきている。何らかの緊急措置を講じることはできるし、そうする予定だが、計画を進めるには巨額の費用を投じなければならない」と述べた。

7月18日の裁判について2:山形環境事務組合提出の第6準備書面の公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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敷地造成工事住民訴訟における山形環境事務組合側の第6準備書面の公開

 平成29年5月29日付で、守る会は山形地方裁判所に第7準備書面を提出致しましたが、それに対し山形環境事務組合側は7月14日付で、第6準備書面を提出しましたので、公開致します。

 7月18日の口頭弁論で裁判は「結審」しましたので、守る会はこの準備書面に対し反論することは不可能となりました。

 


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平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

原告 上山市
被告 山形広域環境事務組合管理者 佐藤孝弘

第6準備書面

平成29年7月14日

山形地方裁判所 民事部 合議係 御中

被告訴訟代理人
弁護士  内藤和暁
同  古澤茂堂
同 小野寺弘行

被告として,以下のとおり,原告ら準備書面(7)に対する反論を行う。

第1 排水口の切欠きによる雨水流出量の増加との原告らの計算の不相当性

 原告ら準備書面(7)の二1と2の第1段落,第2段落は,忠川には「前川治水ダム 下流からの雨水排水は計画されておらず,前川治水ダム放水路の計画洪水流量は0 ㎥/sとなっている」,忠川の「コンクリート水路護岸壁は,流域からの雨水排水量 を規制すべき(本件において,忠川の計画洪水時には0㎥/s) ものである」とし たうえで,本件造成工事における忠川への排水口設置のために忠川護岸を切り欠い たことについて,「その計画護岸を大きく切り欠いて,造成地の排水のみを優先して おり,下流の前川の氾濫への影響には全く考慮されていない」,「排水口の切り欠き は,従前の造成地からの排水口よりも格段に巨大になっており,造成地からの雨水 排水を従前よりも遥かに大量に行うことを可能にしている」,「忠川及び前川への洪 水氾濫を招くことになる」旨を主張している。

 しかしながら,まず,忠川の計画洪水時には0㎥/sとの主張は忠川の計画高水 流量が0㎥/sであることを主張していると思われるが,被告第1準備書面第2の 3 (2) (12頁,13頁)において前述したとおり,甲第18号証の「前川治水ダム 事業計画書」25頁の図1-9「計画高水流景配分図」は前川ダムの流量配分に ついて,前川ダムにおいて140㎥/ sの計画高水流量が発生した場合に,これを 忠川に放流せず,全て前川ダムに貯留するという趣旨で忠川の流量を0としている に過ぎず,エネルギー回収施設の建設地等からの雨水流入分も含めて忠川の計画高 水流量が0㎥/sであるとしているものではないものである。 よって,忠川の計画 高水流量が0㎥/sである,忠川への流域からの雨水排水量を規制すべきである, との上記原告ら主張には理由がないものである。

 また,忠川及び前川の氾濫を招くとの点についても,被告第1準備書面第2の2 (1), (2) (8頁乃至10頁),被告第5準備書面第1 (1頁乃至3頁)において詳述 したとおり,本件造成工事に伴う忠川,前川への排水量の増加は前川本川の計画高水 流量のわずか0.1%程度に過ぎず,忠川,前川の洪水処理計画に影響を生じさせるようなものではない。

 従って,いずれにしても,本件造成工事における忠川への排水口設置のために忠 川護岸を切り欠いたことが「忠川及び前川への洪水氾濫を招くことになる」などとする上記原告ら主張には,理由がないものである。

 

第2 排水口及び排水樋門設置部の護岸強度に関する原告ら主張の不相当性

 原告ら準備書面(7)の二2の第3段落は,本件工事において設置される排水樋門について,「排水樋管周辺の護岸壁内鉄筋は,すべて寸断されてしまい護岸強度を保持 する連続性は失われた」,「樋門コンクリート打設の際,従来護岸壁に残存する鉄筋 と,新たな樋門の鉄筋が正しく接合されたか,疑問である」旨を主張している

 しかしながら,まず,忠川の護岸への排水口,排水樋管のすり付けにおいては, 甲第16号証の雨水排水計画41頁に記載しているように,忠川の護岸本体の既設 配筋を可能な限り残し,補強のための鉄筋を配筋し,この際,配筋ピッチは現況の 300mmよりも密になるよう250mmピッチとし,ダブル配筋とし,コンクリ ート設計強度は現行基準による24Nとしているものである。従って,排水口及び 排水樋門の設置に当たり,護岸コンクリートの強度は十分に確保されているもので あり,「排水樋管周辺の護岸壁内鉄筋は,すべて寸断されてしまい護岸強度を保持す る連続性は失われた」などとする上記原告ら主張には理由がないものである。

 次に,忠川の護岸と排水樋門の接合との点については,甲第16号証の雨水排水 計画36頁乃至40頁記載のように本件工事においては,排水樋門の排水樋管工 設置時の荷重が自立型特殊堤である忠川の護岸本体に影轡を及ぽすことのないよう, 排水樋管工は護岸とは独立した直接基礎によって支持することとしており,忠川の 護岸とは応力を分断しているものである。よって,「従来護岸壁に残存する鉄筋と, 新たな樋門の鉄筋が正しく接合されたか,疑問である」などとする原告ら主張は, 本件造成工事において設置された排水樋門の構造に関する理解を誤ったものに過ぎ ないものである。 従って,いずれにしても,排水口及び排水樋門の強度に関する上記の原告ら主張には,理由がないものである。

 

第3 排水樋門の高さに関する原告ら主張の不相当性

 原告ら準備書面(7)の二2の第4段落は,本件工事において設置される排水樋門が従来の忠川護岸天端よりも低くなっていることについて,「豪雨時に前川ダムから放水された場合放水路を流れる水は,この低く施工された護岸部より造成地内に流入し,樋門部を洗掘することになる。それにより,排水樋門は崩壊流出する恐れがある。」旨を主張している。

 しかしながら,甲第16号証の雨水排水計画28頁,30頁記載のように本件 造成工事において設置された排水樋門は,バランスウェイト式フラップゲートであ り,河川水位の上昇に伴い,上部ヒンジを回転軸として扉体への水圧によりゲート の吐口部が閉鎖される構造となっており,前川ダムから忠川に放水された水がその まま排水樋門内部に流入することとはならないものである。 また,甲第16号証の雨水排水計画29頁記載のように、エネルギー回収施設が 建設される敷地は,造成が行われ、排水樋門の排水口天端よりも敷地造成面の方が 高くなっているものであり,仮に万が一,洪水時に排水樋門のバランスウェイト式 フラップゲートの不完全閉鎖が発生したとしても,上記原告ら主張のような水が敷 地内に流入する,樋門部を洗掘するなどといった事態が生じるものではなく,不完 全閉鎖によって発生する被害は小さいと考えられるものである。

 従って、本件工事において設置される排水樋門が従来の忠川護岸天端よりも低く なっていることを問題とする上記原告ら主張にも、理由がないものである。

以上


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昨日(7月18日)の裁判について:守る会提出の第7準備書面の公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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上山市川口清掃工場敷地造成工事に関する住民訴訟が結審しました!  

 上山市川口では、昨年6月に敷地造成工事が終了し、8月より本体工事が始まりました。現在、本体差し止め訴訟が行われていますが、同時に以前より敷地造成工事の住民訴訟(平成28年(行ウ第1号))が続いています。

 本日(平成29年7月18日)は、山形地裁において16:00より弁論準備が行われ、引き続き第3号法廷において口頭弁論に進んで結審致しました。

 判決は、平成29年11月6日に、山形地裁で言い渡されます。

 ここに至るまで、守る会は証拠として1~69号証と準備書面(1)~(7)を提出し、 組合側は証拠として1~13号証と第1~6準備書面を提出しています。また、途中で守る会は、山形県に対し「公開質問状」を提出し、回答を戴きました。これらの経緯につきまして、順次公開して参ります。

 この造成工事に関し最も大きな問題は、これまで田畑であった土地が、造成工事 によって保水力を失い、隣接する「前川ダム放水路(一級河川忠川)」に雨水や廃水が流失する事態を危険とみなす点です。これまでの準備書面では、この造成工事を計画した受注企業や、雨水排水計画を立案した個人の資質も問うています。山形県の計画では、本来この前川ダム放水路を流れる計画流量は0トンであるべきですが、 組合の計画では「わずかだから問題ない」という判断で、工事が進められました。

 守る会は河川工学の専門家に依頼し、この計算を分析して戴いた結果、組合の雨水排水計画書の計算に誤りがあったことを指摘しました。「計画を立案した企業担当者の反論書は、説得性に欠けていて危険というのが、守る会の申し立てです。

 更に守る会は、前川ダム放水路三面張りコンクリート壁の劣化状況や、組合が左岸壁を大きく切り欠いたことによる放水路の危険性についても指摘して参りました。 また、平成29年4月17日付で、守る会は裁判所に対し下記2点の申し立てを行いました。

  1. 証拠申出書(2)「人証の申請」
    造成工事を行った企業代表を証人として呼び出すことを求めました。
  2. 調査嘱託申立書
    山形県村山総合支庁建設部に対し「忠川及び前川に関する計画高水流量が争点の一つとなっているため、担当官庁の見解を調査する」ことを求めました。

 しかし、本日の口頭弁論では、裁判長よりいずれの申し立ても「必要がない」と の理由で却下されたため、結審に至りました。

 本日結審したとはいえ、これまでの守る会の申し立てに対し、組合側は十分に反論したと納得することはできませんが、判決が下る日を待ちたいと思います。

 当記事では、前回5月29日付で、守る会が提出した「準備書面(7)」を公開致します。


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平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

準備書面(7)

原告 上山市
被告 山形広域環境事務組合 管理者佐藤孝弘

平成29年5月29日

上記原告ら訴訟代理人
弁護士 坂本 博之

山形地方裁判所 御中

第1 はじめに
 本書面は、原告らの主張の補充を行うものである。

第2 原告らの主張の補充
 原告らの第6準備書面に対する被告の態度について
 被告は、原告らの第6準備書面に対して、前回の弁論準備手続きの際に、特に反論を行わない旨発言した。
 このことは、被告において、原告らの第6準備書面の内容について、特に争わない旨を表明したものと理解すべきである。

二 本件造成地における排水口の問題

1 前川ダム設計時の計画について

 昭和48年8月、「前川治水ダム事業計画書」に基づき、前川治水ダム放水路としてコンクリート護岸3面張り水路が築造された。この前川治水ダム放水路が忠川である。この設計に於いては、忠川の流域(集水区域)に、本件造成地は含まれていない。つまり設計時は、前川治水ダム下流からの雨水排水は計画されておらず、前川治水ダム放水路の計画洪水流量は0㎥/sとなっている。この点は、これまで、原告らが繰り返し述べたところである。

2 敷地造成工事における前川治水ダム放水路左岸の欠損について

 組合が行っている本件造成工事において、改めて注目すべきなのは、その雨水排水計画における2か所の排水口地点で、忠川の左岸側コンクリート水路護岸壁高さを大きく切り欠いている点にある。このように、護岸コンクリートを大きく切り欠いていることは、忠川及び前川への洪水氾濫を招くことになる。

 即ち、コンクリート水路護岸壁は、流域からの雨水排水量を規制すべき(本件において、忠川の計画洪水時には0㎥/s)ものであるが、組合は、その計画護岸を大きく切り欠いて、造成地の排水のみを優先しており、下流の前川の氾濫への影響には全く考慮されていない。この排水口の切り欠きは、従前の造成地からの排水口よりも格段に巨大になっており、造成地からの雨水排水を従前よりも遙かに大量に行うことを可能としている。

 また、この切り欠きは、本来は左右岸平等であるべき河川管理施設護岸高の常識を逸脱している。そして、特に排水樋管周辺の護岸壁内鉄筋は、すべて寸断されてしまい護岸強度を保持する連続性は失われた。組合は、新たにコンクリート樋門を設置したが、この樋門コンクリート打設の際、従来護岸壁に残存する鉄筋と、新たな樋門の鉄筋が正しく接合されたか、疑問である。組合は放水路を管理する山形県に対し、護岸切断とその復旧について図面訂正を申請しているが、その接続における詳細図は示されていない。今後起こり得る豪雨時に、この排水樋門が、前川ダムからの放水の圧力に耐えうることを裏付ける証拠はない。

 そして、河川管理施設として計画護岸高を維持管理すべき施設に、2か所の排水口を設けると共に、計画護岸高を切り下げていることは由々しき問題である。河川法上従来の護岸高は左右岸平等に保持されるべきであるが、排水樋門敷地内部は従来の護岸天端よりも低く施工され、段差ができている。この護岸壁が従来設計を無視した高さであることにより、河川管理施設としての機能は維持できなくなってしまっている。つまり、豪雨時に前川ダムから放水された場合、放水路を流れる水は、この低く施工された護岸部より造成地内に流入し、樋門部を洗堀することになる。それにより、排水樋門は崩壊流出する恐れがある。いかにコンクリートを頑丈に新設しても、洗堀されれば、足元から崩壊する危険性がある。その結果、造成地に本来貯留されるべき洪水氾濫量の水量を忠川に排水し、前川の洪水を増長する施設となってしまっている。早急に護岸壁を従来の形状に復旧すべである(以上、甲68)。

山形県の環境と観光産業を守る会の活動がドキュメンタリー映画になりました!

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ドキュメンタリー映画
上山市川口地区ゴミ焼却場をめぐる静かなる闘いの記録 2012.9 - 2016.12

 平成24年5月、上山市川口における一般ごみ焼却施設の建設問題が明るみに出ました。川口地区住民のほとんどに何も知らされないまま住民説明会が行われて以来5年。話し合いは、まった噛み合わないまま訴訟に至り、これま7件の訴訟を提起し、現在も裁判が続いています。

 市民としての激しい不条理を感じつつ、活動の記録をして参りましたが、これまでの4年間を一本の映画としてまとめました。一般の映画館で観ることはできませんが、現在全国各地で自主上映会が行われています。来る7月22日(土)は、山形市七日町において上映会が行われますので、ご案内致します。

 約1時間の上映後、参加者でのフリートーキングも予定されています。「市民の声」とは何か、一緒に考えてみませんか?

上山市川口地区ゴミ焼却場をめぐる静かなる闘いの記録 2012.9 - 2016.12」 上映会

  • 日時: 平成29年7月22日(土) 18:30~20:00 (開場18:00)
  • 場所: 山形市七日町シネマ通南側 郁文堂書店
  • 問い合わせ先: NPO法人まちづくり山形 
  • TEL: 023-679-3301
  • 入場無料
  • 申し込みは必要ありません

 山形県の環境と観光産業を守る会では、自主上映を希望する団体、個人に 映画DVDまたはブルーレイを貸し出しておりますので、ご希望の方はこのブログのコメントからご連絡ください(やりとりや連絡先等は非公開とさせていただきますので、ご安心下さい)。

2月23日の裁判(控訴審)について : 控訴人側(上山市民)提出の準備書面の公開

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*この記事は前回のブログのつづきです。

 平成29年2月23日に仙台高裁で行われた、敷地造成工事の公費返還及び損害賠償を求める控訴審で、守る会は控訴準備書面(1)と 証拠甲34~49号を提出致しましたので、準備書面を公開致します。

 この書面は、守る会が山形地裁の判決(棄却)を受けた後、仙台高裁への即時抗告時に提出した控訴理由書の内容を補完する内容です。

 平成29年2月17日付で、上山市が仙台高裁に提出した答弁書(前回のブログで文書を公開済み)は、守る会の控訴理由書に対する反論であり、控訴棄却を求める内容でした。通行権侵害に関する主な反論主旨として以下のように述べています。

  • 守る会が主張する通行権侵害が、問題となる余地はない。
  • 大型車や緊急車両の通行、歩行者等の安全が妨害されるほど、通行量が増加するとは認められない。
  • 市道すべての箇所で、大型車がすれ違うことができなければ、大型車の通行が不可能、困難になるとは認められない。
  • 守る会が提出した甲31号証のビデオでは、敢えてセンターラインを越え、ふくらませているに過ぎない。
  • すれ違いが困難になるほど多数の長さ12メートル程度の大型車が通行する根拠がない。

とされていますが、守る会では、この答弁書に対し証拠甲34~49号を添付し、控訴準備書面(1)で反論しています。

 被控訴人側(被控訴人 横戸長兵衛氏)は「市道前川ダム東線の交通量が増加することは、エネルギー 回収施設建設が原因ではなく、関連性がない」と述べていますが、これについて守る会は、甲34~47号証において、組合(上山市長は、組合の 副管理者の立場)が施設建設と道路工事との関連性を認めている各種書類 を提出しています。この市道改良工事は、明らかにエネルギー回収施設関連工事の一環であると考えられます。でなければ、税金を使って市道を拡幅する意義は、どこにも見当たりません。

 更に、冬期は市道に積雪があり、除雪をしても有効幅が狭まる様子を守る会が測定し、写真で説明しています。組合が、エネルギー回収施設稼働後に発生する熱エネルギーを利用して市道の融雪をしたとしても、 市道全長で融雪されるわけではなく(ロードヒーティング箇所は一部に過ぎません)、除雪した雪で狭まる箇所は必ず発生します。ただでさえ狭いカーブ箇所や、橋の上でのすれ違いは、ますます困難になります。新設 される公共施設へのアクセス道路として妥当と言えるでしょうか。

 また道路のカーブ箇所で、長さ12メートル程度の大型車が、センターラインオーバーする様子について、当初守る会はその軌跡を図示していましたが、図示では困難性を認められなかったため、実際のすれ違い動画 を提出した経緯があります。しかし、その動画に対しても、わざとセンタ ーラインを越えさせた画像であるとの指摘がありました。守る会は、証拠 甲49号としてさらなる動画を車内と車外の映像で表現し、提出しております。(後日動画を公開予定)

 これらの証拠すべてはデータ量の関係上公開できませんが、その概略の説明である証拠説明書を公開致します。

 また、2月23日の法廷において、守る会は「証拠申出書」において、控訴人代表1名(60分)と、元上山市役所職員1名(60分)、造成工事を請け負った企業代表者(30分)の人証を求めましたが、裁判官合議の上、申請は認められませんでした。更に追加証拠甲50~52号証が受理されることもありませんでした。

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*ブログ用に内容を一部編集しております。

平成28年(行コ)第19号
前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件

控訴審準備書面(1)

控訴人   上山市
控訴人  上山市長 横戸長兵衛 外1名

平成29年2月21日

上記控訴人ら訴訟代理人
弁護士 坂本 博之

仙台高等裁判所第2民事部 御中

第1 はじめに

本書面は、控訴理由書に関して、控訴人らの主張の補充を行うものである。主張の補充の要点は、①本件工事と清掃工場建設計画とが密接な関連性を有すること、②清掃工場建設工事及びその稼働後に本件道路の交通量が増加すること、③本件工事によってもなお、本件道路は大型車同士のすれ違いが困難となっていること、の3点である。

第2 本件工事と清掃工場建設計画との密接な関連性

 本件工事と清掃工場建設計画との間には、密接な関連性がある。このことは、第一に、上山市平成27年度施政方針に、「エネルギー回収施設に係る前川ダム東線の道路改良工事を実施してまいります」「山形広域環境事務組合が川口地内に建設するエネルギー回収施設については、造成工事及び道路改良工事に着手し、平成30年12月の稼働に向け構成市として協力してまいります」などと述べてあることからも明らかである(甲34)。上山市は、本件工事が清掃工場建設及び操業のために行う道路整備であり、そのための協力工事であることを十分に認識しているのである。

 第二に、本件工事と清掃工場建設計画との間に密接な関連性があることは、山形広域環境事務組合の資料からも明らかに読み取ることができる。即ち、本件工事は、道路に消雪施設を設置する工事も含まれるものである(甲17)が、この道路に消雪施設を設置する計画を含む市道前川ダム東線道路改良工事は、清掃工場建設計画の当初からこの一部として計画立案、実施されている。例えば、次のような資料がある。

  1.  組合は、平成26年7月24日に、「エネルギー回収施設(川口)建設事業施設整備基本計画書」を策定したということであるが(甲35)、その際に作成されたリーフレットに、施設で発生する余熱を利用して市道前川ダム東線のロードヒーティングを実施する計画の記述がある(甲36)。
  2.  組合が同年7月に作成した「エネルギー回収施設(川口)施設整備基本計画書(概要版)」には、「…冬季の構内ロードヒーティングや市道前川ダム東線へのロードヒーティングといった温水供給を行う設備を設置…」(21p)という記載の他、「第3章 余熱利用計画及びエネルギー供給施設の検討について」という箇所の「I 余熱利用先・活用方法」の中の「(3)発電後のタービン排気熱の利活用)」の欄には、「③ 市道前川ダム東線のロードヒーティング」(33p)という記載がある(甲37)。
  3.  平成26年12月19日に公開された「エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業実施方針」の中に「Ⅱ 事業の内容に関する事項」という箇所があるが、その中の「11 事業の対象となる業務範囲」には、「(2) 組合又は上山市が行う業務」との記載があり、その中の「ア 複合施設に関する業務」の「 (ア) 複合施設の設計・建設に関する業務」の中に、「⑤ 市道前川ダム東線改良工事(ロードヒーティング放熱管布設含む)」という記載がある(甲38・7p)。本件道路は、清掃工場に付随する複合施設であり、上山市が行う本件道路改良工事は、組合の事業である清掃工場建設及び運営事業の一環であることが明記されている。また、この文書の8pにも、「Ⅱ 事業の内容に関する事項」の中の「18 余熱利用計画」という項目があり、そこでは、「…発電後のタービン排気熱等を利用して、構内道路、橋梁及び市道前川ダム東線のロードヒーティングを行う。…」と書かれているし、「実施方針添付資料-4 役割分担概念図」の中にも、「熱供給(ロードヒーティング)」の供給先として「市道」という記載がある。
  4.  同じく平成26年12月策定の「エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業要求水準書 設計・建設業務編(案)という文書の中の「第2節 計画主要目」の「5 余熱利用計画」という箇所には、「…発電後のタービン排気熱等を利用して、構内道路、橋梁及び市道前川ダム東線のロードヒーティング用の熱供給を行う」、「(3) 場外余熱利用 橋梁及び市道前川ダム東線のロードヒーティングを行う。」という記載がある(甲39・14p)。この文書には、「第4節 設計・建設条件」の中の「2 建設工事」「(2) 建設工事基本条件」「ウ 復旧」という箇所には、「建設事業者は、工事に伴って上水道設備、橋梁、市道前川ダム東線及びこれらのロードヒーティング放熱管、その他周辺道路や隣接する忠川、隣地などに、汚染や損傷などを生じさせた場合は、組合に報告するとともに早急に建設事業者負担で復旧すること」という記載がある(甲39・26p)ほか、77p、79p、95p、96p、97p等に、本件道路に設置するロードヒーティング設備に関する記載がある。この文書の添付資料-10には、本件道路のロードヒーティング計画図がある。本件道路工事が、清掃工場建設及び運営事業の中に含まれていることが分かる。
  5.  平成27年1月23日に発表された「実施方針等に関する質問・意見への回答」という資料の中には、「市道前川ダム東線部用ロードヒーティング設備の仕様として「ポンプ口径φ100」と記載がありますが、市道前川ダム東線部用ロードヒーティング設備側にポンプは無く、エネルギー回収施設内のポンプにて温水を循環し、取合い点の配管口径がφ100mmであると理解してよろしいでしょうか」という質問がなされ、組合から「御理解のとおりです」という回答がなされている(甲40・№48の質問)。
  6.  平成27年3月23日付「エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業 入札説明書」という書面の「Ⅲ 事業の概要」という部分の「12 事業の対象となる業務範囲」の中の「(2) 組合又は上山市が行う業務」という箇所には、「ア 複合施設に関する業務」のうち、「(ア) 複合施設の設計・建設に関する業務」の中に「⑤ 市道前川ダム東線改良工事(ロードヒーティング放熱管布設含む)」が含まれている(甲41・8p)。
  7.  同日付「エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業 要求水準書 設計・建設業務編」には、前記甲39と同様の内容の記載がある(甲42)。
  8.  同日付「エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業 様式集」には、「要求水準に対する設計仕様書(様式5-4) 記入要領」という欄があり、そこには、「項番140 電力利用以外にも発電後のタービン排気熱等を利用して、構内道路、橋梁及び市道前川ダム東線のロードヒーティング用の熱供給を行う。…」、「項番143  (3) 場外余熱利用 橋梁及び市道前川ダム東線のロードヒーティングを行う。」、「項番326 ウ 復旧 建設事業者は、工事に伴って上水道設備、橋梁、市道前川ダム東線及びこれらのロードヒーティング放熱管、その他周辺道路や隣接する忠川、隣地などに、汚染や損傷などを生じさせた場合は、組合に報告するとともに早急に建設事業者負担で復旧すること。」、「項番854 …水冷式蒸気復水器は、冬季の構内、橋梁及び市道前川ダム東線のロードヒーティング、付帯施設への熱供給を行うための温水を回収する目的で設置する。」、「項番902 ロードヒーティングの範囲を事業提案書の中で図示すること。なお、橋梁及び市道前川ダム東線のロードヒーティング設備(約2,000㎡)への温水等の供給についても考慮すること。」、「項番1436~1460 3 ロードヒーティング設備 …市道前川ダム東線部[ ]GJ/h 必要水量0.4L/min・m2 吐出し量801.0L/min 配管口径φ100 温水送水温度 約40℃ 温水戻り温度 約25.7℃ [中略] 市道前川ダム東線部[約2,000]m2 [中略] エ 橋梁及び市道前川ダム東線に設置するロードヒーティング設備(要求水準書添付資料-10「余熱利用について」参照)への供給熱量や配管経路等を考慮し、設置すること。オ 組合にて市道前川ダム東線に設置するロードヒーティング設備との取り合い点までの配管及びバルブ、ハンドホールの施工を行うこと。 [中略]カ 市道前川ダム東線に設置するロードヒーティング設備には環境負荷の低い不凍液を用いる。」、「項番1488 (5) 特記事項 ア 休炉時に事業実施区域内、橋梁及び市道前川ダム東線のロードヒーティング設備に必要な熱源を供給できるようにすること。」、という記載がある。また、同文書の「(様式6-5)1.設計・建設に関する事項 (1)機械設備に関する事項 エ 地球温暖化対策・エネルギー有効利用」という欄には、「【評価のポイント】」と書かれた箇所があり、そこには、「③余熱利用の安定性の確保」として、「・橋梁部及び市道前川ダム東線のロードヒーティング設備等(市道前川ダム東線は放熱管除く)の不具合への対応等について具体的な提案がなされているか。」という記載がある(甲43)。
  9.  平成27年5月8日に発表された「第1回入札説明書等に関する質問への回答」という文書では、「市道前川ダム東線部のロードヒーティング設備へ供給する温水の温度および水量は、供給熱量を遵守すれば事業者側での検討結果に応じて提案することは可能でしょうか。」という質問が出され、組合は、「原則として要求水準書に記載のとおりとしますが、概要説明会における提案は可能です。可否については別途判断します。」という回答を行っている(甲44・№38の質問)。また、この文書の「添付資料 1」として、「役割分担概念図」という資料が配布されているが、ここでは、「熱供給(ロードヒーティング)」の供給先として「市道」という記述がなされている。それから、この文書の「添付資料 2」として、「消雪計画平面図」という図面が配付された。これは、本件道路における無散水消雪範囲を示す図面であり、前記甲42添付の図面とほぼ同じものであるが、「消雪管取合い点」という記載が加筆されている(甲44)。

 以上のように、清掃工場の建設計画の段階から、本件道路の改良工事は、清掃工場計画の一環として考えられていたのであり、本件道路の改良工事は、清掃工場建設計画があって初めて計画されたものである。

第3 本件工事による本件道路の交通量の増加

 清掃工場建設工事の進捗に伴って、本件道路において工事車両の増加が予定されていることは、組合作成の平成29年2月1日付「エネルギー回収施設(川口)建設だより」第5号にも記載されている(甲47)。清掃工場建設工事が本件道路工事と一体のものであることは前述の通りであり、清掃工場建設工事のための工事車両の交通量が増加するというのは、本件道路工事の結果である。

 また、清掃工場計画の中に、本件清掃工場を防災の拠点とする、ということが盛り込まれている。これは、平成26年7月の「エネルギー回収施設(川口)施設整備基本計画書(概要版)」17pに、「災害発生時、近隣住民等が避難すること等に対して、「上山市地域防災計画」との連係を図ります」と書かれているし(甲37・17p)、組合作成の平成28年3月15日付「エネルギー回収施設(川口)建設だより」創刊号にも「防災拠点としての機能強化」として、「東日本大震災で浮き彫りとなった「電力」、「水」、「燃料」不足を補うことができる防災拠点とします。300名×7日間の避難を想定した備蓄計画とし、地域の皆様の安全と安心に貢献します」(甲45)、同年9月1日付同だより第3号にも、組合管理者・佐藤孝弘が清掃工場に関して「防災拠点機能を付加」することを述べたことが書かれている(甲46)。 清掃工場用地が防災拠点とされるということは、災害が発生した場合、本件道路に緊急車両等が殺到することを意味する。当然のことながら、大型の緊急車両や避難用のバス等も殺到するということである。これは、単に、清掃工場に緊急車両が来るということだけではなく、ピストン輸送等のために、清掃工場から出て行く車両もあるということである。この場合、十分なすれ違いもできない本件道路は、渋滞を来たし、元来本件道路を利用していた控訴人の車両の通行の妨げとなるし、同控訴人の従業員等が本件道路を用いて避難することを困難とさせることにもなる。

 特に冬期は、積雪により、本件道路の有効道幅が、他の季節よりも狭くなり、交通が困難となる。本件工事は、国道13号線との交差点に近い五反田橋は、工事の対象となっていないため、消雪設備もないから(甲42、44)、積雪があると、道幅が著しく狭くなる。平成29年1月16日の積雪の際には、本件道路の道幅は、五反田橋で4.5m、奥羽本線のガード下で5.0mとなっていた(甲48)。五反田橋やガード下の地点を工事対象区間としなかった本件工事は、中途半端な意味のない工事となっていることを物語っている。

第4 本件工事によっても大型車両のすれ違いが困難となっていること

本件工事によっても、大型車両のすれ違いの困難性が全く解消されていないことは、既に控訴理由書において述べたところである。控訴人らは、近時の本件道路における大型車両の通行状況を調査した。その結果、大型車両は、奥羽本線のガード下においては、センターラインを越えて通過していることが分かった(甲49)。これは、この地点において、大型車同士のすれ違いは不可能であることを物語っている。

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今後予定されている裁判:

平成29年3月7日
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|本体訴訟(事件名称未定)

突如建設が決まった、山形県上山市「川口」清掃工場の建設中止および操業差し止めを求める裁判です。この清掃工場建設計画は、平成11年に山形広域環境事務組合によって計画され、以後4度に渡り計画が頓挫しました。川口は5度目の候補地として、平成24年12月に突然決定されたため、建設中止及び操業差し止めを求めています。

平成29年4月18日
平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金差止請求住民訴訟事件

清掃工場の建設される土地の、主に河川法の観点からの違法性についてが主題です。

本日(2月23日)の裁判(控訴審)について : 被控訴人側(被控訴人 横戸長兵衛氏)提出の答弁書の公開

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 平成29年2月23日午後1時半より、仙台高等裁判所第402号法廷において、上山市長 横戸 長兵衛氏(公人と私人)に対する住民訴訟控訴審が行われましたので、ご報告致します。

■ これまでの経緯
 守る会は、平成27年10月29日付で、上山市の監査委員に対し、前川ダム東線道路改良工事 内容が極めて不公正であり、通行権を侵害するもので、談合が行われていたと考えられるため 住民監査請求を行いました。

 しかし、2か月後の平成27年12月28日に請求は棄却されたため、守る会は翌年1月27日 付で山形地裁に対し住民訴訟(前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟事件)を提 起しました。これは、この工事請け負ったH社の請負代金1億2582万円のうち、7549万2000 円を支出の差し止めと、上山市長及びH社に対し、5032万8000円等の損害賠償請求を求める ものです。

 この、平成28年 (行ウ)第2号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟事件は、 平成28年1月27日に提訴後、わずか7か月にも満たない裁判で、8月16日山形地裁の松下貴彦 裁判長により突然結審が告げられ、同年10月18日の判決で「棄却」されました。守る会は準 備書面を2度提出したのみで、それ以上の反論は認められませんでした。

 そのため守る会は、棄却6日後である平成28年10月24日、仙台高等裁判所へ即時抗告し (平成28年(行コ)第19号 前川ダム東線道路改良工事公金差止請求住民訴訟控訴事件)、平成28 年12月27日には控訴理由書を提出致しました。

 それに対し上山市は、平成29年2月17日に「答弁書」を仙台高裁へ提出しました。控訴人は 守る会の法人1社と住民4名。これに対する被控訴人は、上山市長及び個人としての横戸長兵衛氏です。

 平成29年2月23日に行われた仙台高裁での控訴審口頭弁論では、守る会が「控訴審準備書面(1)」と、証拠説明書及び証拠甲第34~49号証(すれ違い不可能な状況を示す実験DVD)を提出。さらに法廷で、甲51~53号証と証拠申出書を提出しようとしたものの、認められませんでした。 上山市側は、証拠として乙3~6号証を提出したのみです。

 これにより控訴審は結審し、来る4月27日仙台高裁において13:15に判決が出ることになりま した。この控訴審に関し、まずは2月17日付で上山市及び市長個人から提出された答弁書を公開致します。

 

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*ブログ用に内容を一部編集しております。

平成28年(行コ)第19号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件

控訴人 上山市
控訴人 上山市長 横戸長兵衛 外1名

答弁書

平成29年2月17日

仙台高等裁判所 第2民事部 い1係 御中

(送達場所)
〒990-0055 山形県山形市相生町6番56号
古澤・内藤法律事務所
電話 023-631-7507
FAX 023-631-7174
被告訴訟代理人
弁護士  内藤和暁
同  古澤茂堂
同 小野寺弘行

第1 控訴の趣旨に対する答弁
1 控訴人らの控訴を棄却する
2 第2審の訴訟費用は控訴人らの負担とする
との判決を求める。

第2 控訴理由書に対する反論

1  通行権侵害との控訴人ら主張の不相当性
(1) 本件工事について控訴人ら主張の通行権侵害が問題となる余地はないこと(大型車の通行量増加は本件工事によるものではないこと)
 控訴人らは,本件工事請負契約が公序良俗巡反により無効となることの理由として,山形広域環境事務組合のエネルギ一回収施設によって市道前川ダム東線道路(以下,「本件市道」という。)の大型車の通行量が増加すること.本件工事がこれに合わせて行われるものである ことを挙げたうえ,本件工事によっても大型車同士のすれ違いが困難な箇所が残ることから,本件工事が控訴人ら等の通行権を侵害している旨を主張している(訴状第3の3)。 かかる控訴人ら主張につき,原判決第3の1(1)ア(イ)(11頁)は,
「・・・本件市道前川ダム東線道路において、今後一定の大型車両の通行 量の増加が見込まれるものの,今後見込まれる大型車両の通行量の増加 は、本件工事によるによる本件市道前川ダム東線道路の利便性の改良等に伴うものではなく、飽くまで本件エネルギー回収施設の建設に伴うものであると認められる。」
「・・・今後,本件エネルギ一回収施設の建設に伴い大型車両のの通行量の増加が見込まれ,本件工事によっては本件市道前川ダム東線道路における 大型車両のすれ違い困難さを完全には解消できないとしても、それだけで本件工事が公序良俗に反するとはいえない。」
としている。これば控訴人らが通行権侵害の原因として挙げる大型車の通行量増加は,山形広域環境事務組合が行うエネルギー回収施設の建設に伴うもので,本件工事によって生じるものではないことから,控訴人らが縷々主張するような,本件工事によって本件市道における大型車のすれ逃いの困難さが解消されたか否かとの問題を論じるまでもなく、そもそも,本件工事について控訴人らが主張するような通行権侵害が問題となるものではない旨を判示したものである。
 この点,本件工事は本件市道の道路改良,拡幅を行ってその利便性の改良を行うという工事であり(通行を改善した点について,原判決第3の1(1)ア(ウ)〈(11頁》を参照),控訴人らが通行権侵害の原因として挙げる大型車の通行量増加が本件工事によって生じるものではないことから,原判決の上記判示内容は相当なものである。 控訴理由書第2の2(1) (3頁)は,これを争い,本件工事は「大型車両が国道13号線から清掃工場用地に出入りするための利便性を向上させるための工事であること」や「本件工事を行うことを前提としなかったならば,滑掃工場への大型車の出入は極めて不便であるから,その建設はあり得なかったものと思われる。」と主張している。
 しかしながら,本件工事がエネルギー回収施設への大型車の出入りの利便性を向上させるためのものであったとしても,本件工事によって大型車の通行量が増加することとなるものではなく,控訴理由書の上記主張が原判決の上記判断を覆す理由となるものではない。
 また,控訴人らは通行権侵害によって本件工事請負契約が公序良俗違反の無効になると主張しているが,そもそも,通行権侵害によって工事請負契約が公序良俗違反になるとの論理関係も全く不明といわざるを得ないものである。
 従って,いずれにしても,本件訴訟においては,控訴人ら主張の通行権侵害などが問題となる余地はないものである。

(2) 控訴人ら主張の通行権侵害の不存在
 原判決第3の1(1)ア(オ)(12頁)は,上記(1)の点を措いて,控訴人ら主張の通行権侵害の有無を検討するとしても,大型車及び緊急車両の通行が困難となり,歩行者,軽車両の道路通行の安全が妨害されるといった程度に車両の通行巌が増加するとは認められないこと,本件市道の全ての箇所で大型車がすれ違うことができなければ大型車の通行が不可能,困難になるとは認められないことから,控訴人ら主張のような通行権侵害などは認められない旨を判示している。
 本件においては,本件市道において大型車の通行困難を生じることや歩行者,軽車両の通行の安全が害されることの具体的な主張,立証 はなされておらず,原判決の上記判断は相当なものである。
 これに対し,控訴埋由啓第2の2(2)(3) (3頁乃至5頁)は,エネ ルギー回収施設では長さ12m程度のトラック,大型バスの通行が予 想されること,火災発生の場合に長さ11 m程度の消防車の通行が予 想されることを挙げ、さらに長さ12 m程度の大型車のすれ速い実 験を行ったとの甲第31号証のビデオを提出し,エネルギー回収施設 に出入りする大型車によって本件市道が通行困難になることや,消防 車のすれ違いができず災害救助が困難となること,多数の大型車の通 行により歩行者や軽車両の安全が十分に保たれないことを主張して いる。

 しかしながら,被控訴人の平成28年3月23日付答弁書の第3に おいて前述したとおり,本件市道は直線部分において大型車同士が容 易にすれ違うことが可能であり,甲第31号証のビデオはカーブ箇所 であえてセンターラインを超え,車体をふくらませているに過ぎない ものである(なお,控訴理由書4頁は,被控訴人の実験はカーブ箇所 ④では行われていないとしているが,乙第5号証の実験はカーブ箇所 ④においても行っているものである。)。
 また,上記控訴人主張においては、すれ違い困難となるほどの多数 の長さ12 m程度の大型車が本件市道を通行することとなる根拠も, 全く示されていないものである。
従って,控訴人らの上記主張にも理由がないものである。

(3)結論
 以上より,そもそも,控訴人ら主張の通行権侵害によって本件工事 請負契約が公序良俗違反となるものでもなく,また,実際にも控訴人 らが主張する通行権侵害となるような事実などは認められないもの であり,いずれにしても,本件工事請負契約の公序良俗違反は認められないとした原判決の判断は相当なものである。

 

2 エネルギ一回収施設の候補地選定行為に関する控訴人ら主張の不相当性

(1) 本件工事についてエネルギ一回収施設の候補地選定行為が問題と なる余地はないこと
 控訴人らは、本件工事請負契約が公序良俗違反により無効となるこ との理由として,山形広域環境事務組合が行うエネルギー回収施設の 建設予定地選定行為のために,上山市の清掃工場候補地検討委員会が 行った候補地選定行為が不当であったことを挙げている(訴状第4 《4頁乃至6頁》)。

しかしながら,原判決第3の1(1)イ(イ) (13頁)が判示するよう にそもそも,「本件請負契約は,本件エネルギー回収施設の建設予 定地選定行為と主体を異にするものであり」、「本件エネルギ一回収施 設の建設予定地選定行為とは独立したものであると認められるから」, 山形広域環境事務組合のエネルギー回収施設の建設予定地選定行為 のために行われた上山市の清掃工場候補地検討委員会の候補地選定 行為の当否によって,本件工事請負契約が公序良俗違反となるものではない。

 控訴理由書第3の2(1) (7頁)はかかる原判決の判断を不当とし て,エネルギー回収施設と本件工事が関連性を有することや,上山市 が山形広域環境事務組合を構成する地方公共団体の1つであること を挙げているが,かかる事情によっても,エネルギー回収施設の建設 予定地選定行為と本件工事が別個独立の行為であることに変わりは なく,控訴人ら主張には理由がないものである。
 従って,上山市の清掃工場候補地検討委員会における候補地選定行 為が不当であったとの控訴人ら主張についても,そもそも,かかる事 実の有無を検討するまでもなく,これによって本件工事諸負契約が公 序良俗違反となる余地はないものである。

(2) エネルギー回収施設の建設予定地選定行為における不当な選定行為の不存在
 なお,原判決第3の1(1)イ(ウ) (13頁,14頁)は,上山市の清 掃工場候補地検討委員会の候補地選定行為において控訴人ら主張の ような選定条件のすり替えは認められず,本件市道が大型車対面通行 可能条件を充たしていないとも認められず,候補地選定行為の不当な どは認められないとしているが,かかる判断は相当なものである。
 控訴理由書第3の2(2)はこれを不相当としているが,すれ違い因 難なカーブがあれば大型車の対面通行が可能とはいえない,などとい った独自の見解を述べるに過ぎず,全く理由がないものである。

(3) 結論
 以上より、いずれにしても,上山市の清掃工場候補地検討委員会に おける候補地選定行為の不当によって本件工事請負契約が公序良俗 違反となるとの上記控訴人ら主張には理由がなく,かかる主張は認め られないとした原判決の判断は相当なものである。

3 談合があったとの控訴人ら主張の不相当性
 控訴人らは,本件工事の入札において談合があったことから,本件工事請負契約は公序良俗違反により無効となる旨を主張している(訴状第 5, 控訴埋由書第4)。

 しかしながら,原判決第3の1(1)ウ(14頁)も判示するように,具体的な談合の事実を認めるに足りる証拠はなく,上記控訴人ら主張には理由がないものである。

4  結論
 以上より,原判決を不相当とする控訴人ら主張はいずれも理由がなく, 本件控訴は棄却を免れないものである。

以上


 

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今後予定されている裁判:

平成29年3月7日
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|本体訴訟(事件名称未定)

突如建設が決まった、山形県上山市「川口」清掃工場の建設中止および操業差し止めを求める裁判です。この清掃工場建設計画は、平成11年に山形広域環境事務組合によって計画され、以後4度に渡り計画が頓挫しました。川口は5度目の候補地として、平成24年12月に突然決定されたため、建設中止及び操業差し止めを求めています。

平成29年4月18日
平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金差止請求住民訴訟事件

清掃工場の建設される土地の、主に河川法の観点からの違法性についてが主題です。

昨日(2月14日)の裁判について:守る会提出の第5準備書面の公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 平成29年2月14日、山形地方裁判所において、上山市川口の清掃工場(公称エネルギー回収施設敷地)造成工事に関する住民訴訟が行われました。

これまでの経緯:
 この裁判(平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件)は、平成27年7月に開始された敷地造成工事が不適切として、守る会会員が、平成27年10月28日付で山形広域環境事務組合に対し、仮処分申し立て(平成27年(ヨ)第16号造成工事禁止の仮処分命令申立事件)をしたことに始まりました。始まった造成工事に対し、緊急で工事停止を求めるものです。

 しかし、平成28年5月12日、山形地方裁判所の竹田奈未裁判官により、 「本件申し立てには理由がないため」「債権者(守る会)らの申立をいずれも却下する」と決定されました。

 その後、守る会は、平成28年5月23日付で仙台高裁に即時抗告(平成28年(ラ)第91号造成工事禁止の仮処分命令申立却下決定に対する即時抗告事件) しましたが、「本件造成工事は、手直しの余地はあるとしても、平成28年5月27日頃までの間に完成したことが認められるから、本件申立ての利益は失われたというべきである」とのことで、平成28年9月20日、仙台高等裁判所 小野洋一裁判長裁判官により、棄却されました。

 しかし守る会は、いかに工事の工期が終了したとはいえ、工事内容が不適切であることは変わらないと考え、平成28年1月21日改めて、山形地方裁判所宛に、 敷地造成工事に関する支出の差し止めと、公費返還を求めて提訴(平成28年(行ウ) 第1号上山清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟)しました。

 現在敷地造成工事は終了し、建設工事が行われているというものの、公費返還を求める裁判は継続され、2月14日の裁判では、組合側と守る会側の両方から準備書面及び証拠書類が提出されましたので、守る会が提出した準備書面(5)と証拠説明書(6)を公開致します。これらは、主に造成地から東側に接する前川ダム放水路に排出される雨水・雑排水に関する内容であり、排水樋管及び排水口設置を許可した山形県に対し、守る会は公開質問状を提出したところです。

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平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

準備書面(5)

原告 守る会会員
被告 山形広域環境事務組合 管理者佐藤孝弘

平成29年2月13日
上記原告ら訴訟代理人
弁護士 坂本 博之

山形地方裁判所 御中

第1 はじめに
 本書面は、被告の平成28年12月2日付第3準備書面及び同日付第4準備書面に対して認否・反論を行い、併せて原告らの主張の補充を行うものである。

第2 被告の第3準備書面に対して
一 同第1に対して
1 同1に対して
 認める。
2 同2に対して
 第1段落は否認する。
 第2段落は争う。
 第3段落は争う。
 第4段落は争う。
 甲20・13pには、山形県が平成15年9月24日に策定した「一級河川最上川水系村山圏域河川整備計画[変更]」の計画対象区間が書かれている。しかし、その対象となる河川が149河川、延長775㎞とあるが、忠川や前川がその対象河川に入っているのか、「延長775㎞」の中に含まれるのかについては、何の記載もないため、不明である。しかも、具体的に山形県が策定した最上川の支流・須川の河川整備計画の箇所を見ると、前川については計画流量の記載はなく、忠川に至っては記載すらない(甲20・29p)。従って、前川や忠川について、河川整備計画が策定されていないものと言うほかはない。
 また、河川法16条2項には、河川管理者は河川の水系ごとに河川整備基本方針を策定する、としているが、忠川や前川が最上川水系に含まれるとしても、実際に忠川や前川に関しては、考慮の対象外としているものと言うほかはなく、これは、河川管理者としての国土交通省山形県の懈怠である。

3 同3に対して
 争う。
 河川の流量に対して、従前よりも大きな負荷を与える工事が河川法に違反するというのは、次のような理由による。即ち、河川法1条は、「この法律は、河川について、洪水、・・・等による災害の発生が防止され、河川が適正に利用され、流水の正常な機能が維持され、及び河川環境の整備と保全がされるようにこれを総合的に管理することにより、国土の保全と開発に寄与し、もつて公共の安全を保持し、かつ、公共の福祉を増進することを目的とする」と定め、同法2条1項は、「河川は、公共用物であつて、その保全、利用その他の管理は、前条の目的が達成されるように適正に行なわれなければならない」と定めている。上記河川法2条1項の名宛人は、河川管理者に限られておらず、何人もこのような責務を負っているものと解される。従って、被告が河川管理者ではないとしても、忠川や前川に対して、河川の洪水等による災害の発生を防止できるように河川の利用(本件の場合は、排水路として利用することになる)を行わなければならないのである。
 被告は、原告らの主張によれば、一般の舗装工事等も全て河川法違反となりかねない、などと述べている。しかし、一般に、多くの河川では河川整備計画が策定されているものが多く、河川整備計画は、大雨が降った場合に道路や宅地等から排水される雨水も想定に入れたうえで策定されるものであるから、そのような河川整備計画に則った河川の流量に負荷を与えないように工事をすればいいだけのことである。本件では、忠川や前川においては、河川整備計画が策定されていないことがそもそも大きな問題であるし、本件工事によって、一般の道路工事等とは比べ物にならないような、従前と比較して大量の排水が生じる可能性が高いこともまた、大きな問題なのである。
4 同4に対して
 争う。

二 同第2に対して
1 同1に対して
 認める。
2 同2に対して
 第1段落は認める。
 第2段落は争う。
 この点については、既に原告らの準備書面(1)・4~5p、準備書面(2)・5~7pにおいて述べた通りである。原告らは、準備書面(2)・5pにおいて、被告がこの点について、反論らしい反論を行っていない旨指摘したものであるが、この度の第3準備書面3~4pにおける主張も、具体的な反論とは全くなっていない。
3 同3に対して
 第1段落は認める。
 第2段落は認める。
 第3段落は争う。
 第4段落は争う。
 第5段落は争う。
 第6段落は争う。
 甲57では、本件造成工事前の排水に関して、5年の降雨強度を用いた計算を行っているが、これは、河川に負荷を与えない、あるべき造成工事を想定した計算をしたものである。そして、ここでは、想定した降雨強度を超える降雨があった場合には、調整池を用いる(造成前を想定するのであれば、水田・休耕田の貯水効果があることを想定している)ことを前提としているため、10年の降雨強度の場合においても、それほど異ならない数値となるものと考えられる。
4 同4に対して
 争う。
 本件で原告らが問題としているのは、河川に対する負荷であり、河川が洪水等の水害を引き起こす可能性である。このような問題を考える場合、道路土工要綱に従った工事であったか否かなどということではなく、河川整備計画を策定するに当たって利用した資料に基づくことが合理的である。
5 同5に対して
 争う。
 本件造成工事は、実際に調整池を造ることが計画されていないのであるから、造成地からの排水は、忠川及び前川にそのまま排水され、その結果、忠川及び前川において水害等の災害を発生させ、開発区域の周辺や下流流域の住民に対して損害をもたらす恐れがある。本件工事請負契約は、このような結果をもたらす可能性が高いものであるから、契約自体が公序良俗違反となり、違法となる。
6 同6に対して
 争う。

第3 被告の第4準備書面に対して

1 同1に対して
  認める。
2 同2に対して
  認める。
3 同3に対して
 認める。
4 同4に対して
 不知。
5 同5に対して
 不知。
6 同6に対して
 不知。
7 同7に対して
 不知。
8 被告の主張を前提とした違法な財務会計行為について
(1) これまで原告らは、本件工事請負契約自体が公序良俗違反であり、無効である、という主張を行ってきた。これは、この契約締結行為自体が違法であるということであり、この違法な契約に従った公金の支出自体が違法な財務会計行為であるということになる。
(2) 従って、被告管理者市川昭男が平成27年8月20日に、羽陽建設・堀川土建建設工事共同企業体に対して、金1億4014万円の支出を行ったことは、違法な財務会計行為となる。
(3) 被告の主張によると、平成28年2月10日に請負代金を金974万0520円増額する旨の変更契約の仮契約が締結され、同年2月17日に被告議会定例会においてこの仮契約が議決されて本契約となった、ということである。但し、この仮契約が締結され、議決されて本契約になった時点において、被告の管理者は市川昭男ではなく佐藤孝弘となっていた。
 しかし、上記変更契約の仮契約及び本契約は、上記のとおり違法であった元の契約を前提としたものであり、その変更の内容は、違法な内容を全く変更するものではなく、違法を治癒するものでもない。
 従って、この違法な変更契約に基づく公金の支出もまた、違法な財務会計行為となる。
(4) 被告の主張によると、被告管理者佐藤孝弘は、上記の違法な変更契約に基づいて、平成28年4月28日に出来高払い分として金1億8343万8000円を、同年6月17日に完成払い分として金5714万2520円を、それぞれ支払ったということであるが、これは、違法な公金支出である。

第4 原告らの主張の補充

1 はじめに
 原告らは、準備書面(4)において、本件造成地の雨水排水計画に関して、河川の治水計画に即した本件造成地からの雨水排水量について、及び本件造成工事前の正確な排水量と被告が計画している10年確率の流出量について、それぞれ詳細な論述を行い、本件造成工事が忠川及び前川に対して与える負荷と、本件造成工事によってもたらされる水害等について述べた。
 その点に関して、以下に若干の補足を行う。

2 前川ダムの目的及び前川の河川整備の未了
 忠川の上流に作られた前川ダムは、前川の治水対策事業の一環をなすものである。その計画によると、前川ダムは、ダム地点で140m3/sの洪水を調節し、ダム下流(前川ダム放水路=忠川)への放流量を0m3/sとして、前川への洪水を調節するものである。また、前川治水対策事業は、40年確率の洪水を安全に流下させる計画としている。
 このように、前川治水ダム事業計画は、前川ダム及び忠川(前川ダム放水路)について、前川への洪水の影響に対して計画された計画内容であり、忠川においては、この計画に基づき、河川改修が行われ、170m3/s能力確保が先行された。ところが、前川については、忠川と同等の能力を持つ河道改修は行われていない。昭和48年に策定された「前川治水ダム事業計画書」の中の「1 事業の概要」中のの「2)事業の必要性」には、前川の小規模河川改良事業は、昭和34年度より45年度で一応完了したとされている。しかし、その改修中の昭和39年及び42年の豪雨により、対象洪水流域を上回る洪水被害を受けた、とされている。そのため、前川は、40年確率流量に対応する再改修を行う必要がありながら、未だに河川改修は行われていないのである。
 即ち、前川治水ダム事業計画に基づいた前川の整備は、実質的に実施途中で未整備なのである(以上、甲61・1~2p及び資料1)。
 前川の河川整備状況が上記のように未整備の状態である以上、そこに前川治水ダム事業計画においても想定されていなかったような大きな負荷を与える本件造成工事は、行ってはならない違法な工事であったというほかはない。

2 計画高水流量とダム設計洪水流量との違い
 前回の弁論準備期日において、裁判官から、甲18・25pの上下2つの図の見方について、説明する。
 第一に、甲18・25pの上の図(「図1-9 計画高水流量配分図」)は、前川の治水対策事業として、40年確率規模(40年に1回この数値を超えるという確率)での、忠川及びその周辺における前川の治水計画における、洪水ピーク時の流量配分が示されたものである。ここでは、40年確率の洪水が発生した場合、忠川よりも上流で前川から110㎥/sを分流させて前川ダムで140㎥/sを貯留し、同ダムからの放流量は0㎥/sとし、同ダムの下流(忠川)には基本的に放流しない、という計画とされている(甲61・3p、甲62・3丁目)。
また、この図では、忠川合流点における前川の計画高水流量は150㎥/sとされており、その下流の思川合流点に至るまでの間に25㎥/s増えて175㎥/sとなるという計画である。
 第二に、甲18・25pの下の図は、ダム設計洪水流量を示したものである。これは、万が一ダムが満杯となっても、壊れないように(ダム決壊による被害は甚大であるため)、当該ダムから、ここまでの大量放流を行うことができる構造物として設計する、という意味での流量である。
 ここでは、忠川の流量を170㎥/sとしているが、この流量は、前川ダム及びダム放水路(忠川)を設計するために、東北地方の記録的洪水規模を想定して、同放水路の流量を最大限大きく見積もって計画したものである。そして合理式ではなく、比流量(面積当たりの流出量)を用いている。ここでのダム設計流量はダムからの越流、破壊による壊滅的被害を防ぐためのもので、ダム放水路である忠川は、ダム付帯施設として170m3/sの能力を持つ大きな断面とされている。この170m3/sという流量は、あくまでダム及びダム放水路(忠川)の構造だけを守り、合流する前川の洪水流量や、河川氾濫には考慮されていない。この意味で、170m3/sという流量は、前川治水対策事業における計画流量とは別物であり、ダム設計のための大きな流量を対象としただけであると言える(甲61・2p、甲62・2丁目)。
 被告は、雨水排水計画において、忠川の計画高水流量を170㎥/sとして、本件造成地からの排水量との比較を行ったが、上記のとおり、170㎥/sというのは、忠川の計画高水流量ではないから、上記の被告の計算は完全に誤りである。

3 被告の雨水排水計画の誤り
 被告は、造成前の流出量は流出係数を0.7とし(根拠は不明)、直接忠川へ放流されていたとしている。しかし、原告らの準備書面(4)・7p~にも述べた通り、造成前の耕作放棄地の状況は、里山、鉄道盛土及び忠川護岸に囲まれた池状の形態を成していたため、造成前の雨水流出量は一旦この耕作放棄地に貯留・浸透していたものというべきである。従って、本件造成地の前川への洪水に対する影響は0となっていたものと考えられる。
 被告の雨水排水計画では、造成地から流出する水量の流出増分(基準点1)は0.140m3/sとしているが、上記のとおり、元々耕作放棄地に貯留・浸透されていたため、忠川への流出量はなかった。被告は、造成地の排水路を忠川護岸を大きく切り欠いて2か所設置したが、それによる造成地からの流出増は、造成工事後の基準点1からの排水量である、1.498m3/sと見積もるべきである。
 また被告は、造成地に隣接した里山から流れ落ちてくる流出量の増分を0m3/sとしているが、これも造成前には、耕作放棄地へ貯留・浸透していたものである。故に、造成地からの流出量増分は、排水樋管及び排水口を設置することにより、2.923m3/sが流出量増分となる。
 さらに、被告は、「忠川の計画流量高水流量170m3/s」を前提とし、流出量の増分と比較した結果、「1%を下回る」としている。しかし、前述のように、170m3/sは、あくまでダム設計洪水量であるため、忠川の計画高水流量は0m3/sとすべきである。そして、本件造成地からの排水量と比較すべき河川計画流量は、忠川合流後前川の計画高水流量150m3/sとなる(但し、この計画高水流量が40年確率のものである一方、前記の雨水排水量は10年確率の雨量を前提としているという齟齬があることに注意すべきである)。
 以上から、組合は、造成地開発後の流出量の増分を過小に見積もっていることは明らかである。また、忠川の設計流量を計画流量と置き換えて「影響なし」としているが、正しくは排水樋管及び排水口を設置することにより、1.498+2.923=4.412m3/sが直接排水され前川へ合流し、これが流出量増分となるのである。 この前川の計画高水への影響は、4.412/150=0.029となり、2.9%増となる。即ち、洪水調節池の検討を必要とする1%増を大きく超えるものとなる。
 造成地の、忠川、上山市道を挟んで隣接するクラフトは、自社敷地内に流量調整池を設け、緑地を2分の1以上確保して、前川への排水量に配慮している。さらに前川は、前述の通り、現在においても計画高水に耐えうる改修はなされていない。被告が行った雨水排水計画では、以上のような数字の取り違えが生じており、このままの計画では前川下流域での更なる洪水氾濫を増させるばかりであるため、この敷地造成工事は許可されるべきではなかったものである(甲61・3~4p)。

4 甲23の見方について
 また、前回の弁論準備期日において、甲23の見方について、裁判官から疑問が出されたので、それについて以下に説明する。
 甲23は、山形県村山総合支庁がパシフィックコンサルタンツ株式会社に対して委託して作成された、「平成17年度洪水ハザードマップ整備事業 倉津川外浸水想定区域検討業務委託 報告書」という文書に含まれたものである。この業務は、「・・・前川の水位情報周知河川指定のための浸水想定区域を作成するとともに、指定水位、警戒水位、…の設定と水位観測所の設置位置及び受け持つ範囲の検討を行う」という目的で行われたものである(甲63・1-1)。そして、前川に関しては、「明確な計画高水位の設定がされていない」としながらも、「本検討では、現況河道の危険水位を設定する目的から、現況堤防高から計画流量に見合う余裕高を差し引いた高さをその断面の危険水位として想定し、それに見合う流下能力を算出した」などとされている(甲63・13-62)。そして、この業務では、前川の南陽市に属する上流部から須川との合流点までが業務委託場所とされた(甲63・1-2)。
 しかし、甲23(=甲63・13-63)に危険水位や計画流量等の数値が示された場所の最上流部は、「№126+40」とされた場所である。なお、「№126+40」よりも上流部分に関する甲23に相当する表は、作成されていないようである。甲63・13-87の地図と照合すると、№127が忠川との合流点の直下のようであり、「№126+40」というのはそこからわずかに下流にあたる。この地点における計画流量は175㎥/sとされている。一方、現況流下能力図というグラフを見ると、忠川との合流点を境にして、前川の計画流量は、150㎥/sから175㎥/sに変わっているように見える(甲63・8-7)。このことは、恰も、忠川の計画流量が25㎥/sであるかのように見える。
 しかし、これは、前川に関する河道整備計画を、忠川との合流点を境にして、150㎥/sから175㎥/sに上げているということを意味しているに過ぎない。これは、前述したよう、前川ダム事業計画において、忠川との合流点から思川との合流点までの間に150㎥/sから175㎥/sとなるという計画がなされていることと整合性がある。即ち、この区間のどこで175㎥/sとなっても対応できるような河道整備計画がなされるべきであるということを意味しているものである。

提出証拠:(守る会はすでにこの裁判までで63点(甲第63号まで)の証拠資料を提出しています)

甲第61号証(写し): 造成地雨水排水計画の誤りと洪水調整池の必要性,河川工学博士,平成29年1月作成
甲第62号証(写し): 清掃工場(ガス化溶融炉工場)敷地造成工事・前川ダム事業が前川へ与える悪影響,河川工学博士,平成29年1月作成
甲第63号証(写し): 平成17年度洪水ハザードマップ整備事業倉津川外浸水想定区域検討業務委託,山形県村山総合支庁パシフィックコンサルタンツ株式会社,平成18年3月作成

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今後予定されている裁判:

平成29年2月23日
平成28年(行コ)第19号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件

この訴訟では、清掃工場建設予定地までの道路の改良工事に使用した公金の返還を求めています。工事自体は既に完了していますが、この計画自体があまりにも杜撰で、工事を行ったにもかかわらず既存の問題がまったく解決しておらず、計画内容にも多々問題があるため、裁判において被告(上山市長 横戸長兵衛氏、(控訴審では被控訴人として))の責任を追及しています。

平成29年3月7日
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|本体訴訟(事件名称未定)

突如建設が決まった、山形県上山市「川口」清掃工場の建設中止および操業差し止めを求める裁判です。この清掃工場建設計画は、平成11年に山形広域環境事務組合によって計画され、以後4度に渡り計画が頓挫しました。川口は5度目の候補地として、平成24年12月に突然決定されたため、建設中止及び操業差し止めを求めています。

平成29年4月18日
平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金差止請求住民訴訟事件

清掃工場の建設される土地の、主に河川法の観点からの違法性についてが主題です。

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