山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

7月18日の裁判について3:守る会提出の甲69号証公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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7月18日、山形地裁で行われた敷地造成工事に関する口頭弁論で、この裁判は結審しましたが、守る会は証拠甲69号証として、河川工学博士による論考「前川ダム放水路(忠川)右岸壁と前川右岸壁の接続状況」を提出しましたので、公開致します。

 近年豪雨による河川氾濫、土砂災害は激増しており、行政サイドの河川計画は想定外を超えた事態となっています。その計画のは本当に安全と言えるのでしょうか。* この論考では、現実の現場写真や他の事例を用いて、説明されています。

 守る会は、裁判官に対し調査嘱託申立書を提出し、これまでも何度か現地審査を求めましたが、ことごとく却下されているのは、非常に残念なことです。災害は数字や計算(とはいえ、組合の計算にはミスがあると申し立てています)だけで判断できるものでしょうか。また、守る会は、分析をした者の各種資格証明書等々も証拠として提出しております。

* 守る会は敷地造成計画の設計を担当した業者が、これほどの工事規模にもかかわらず、(道路工事に関する資格は有していても)河川工事に関する資格を有しておらず、専門性・経験が極めて乏しく、そのため設計の内容が誤っていること、そして設計者の裁判での主張の河川の考え方に関する根本的な誤りについても指摘しています。

 


前川ダム放水路(忠川)右岸壁と前川右岸壁の接続状況

河川工学博士 ****

 前川ダム放水路(一級河川忠川)と、一級河川前川は上山市川口地区のJR奥羽本線山形新幹線)ガード直下流で合流する。平常時、前川ダム放水路の計画流量は0㎥/sであるが、豪雨に伴い前川ダムの決壊を防ぐため、緊急時には放水路に放水するとされている。その場合、当然前川も増水している状況であり、計画高水流量170㎥/sプラス造成地からの排水量(昭和48年計画時には想定されていなかった水量)が、この合流点周辺でぶつかり、濁流が護岸壁を超える恐れがある。下記地図の中央を流れる川は一級河川前川。前川ダム放水路(一級河川忠川)と建設地下流で合流し、緊急放水時にはこの辺りで川水が膨れ上がる。ピンク色部は建設地。

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 平成26年と27年7月豪雨において、前川は連続して氾濫し、この合流点より下流域に甚大な被害をもたらした。真夜中に上山市中心市街地に避難勧告が出されたのは、これまでの意見書通りである。造成地へ向かう五反田橋周辺は、前川両岸に浸水し、橋桁スレスレまで押し寄せた経緯があることも同様である。

 前川ダム放水路の右岸は、上山市道に接している。造成地に架かる新忠川橋より下流護岸は、前川との合流点まで高いコンクリート擁壁となっている。(写真‐1)山形新幹線ガードを潜ってすぐの地点で、前川右岸との切り替えが行われており、この地点での放水路擁壁高(上山市道路面をGLとした場合)は、1.43mである(写真‐2)が、前川に接続される部分では斜めに切り下げられており、その段差は0.9mとなっている(写真‐3)。この地点に於いて、前川の左岸はコンクリートで非常に高く構築されているため、合流地点で溢れた川水は、最も低くなったこの切り下げ地点から上山市道へ流出する可能性が非常に高い。現在ですら豪雨時には前川の限界値を超えた水量を支えているにも拘わらず、これ以上造成地からの雨水を前川に受け入れることがあってはならないし、排水樋門や排水口を開いて放水路に放流することがあってはならない。

 この合流地点から流れ出た水が上山市道へ流れ出ると、ガード下から五反田橋までの区間は冠水する恐れが十分に考えられ、隣接地に勤務する社員や、公称エネルギー回収施設に勤務する職員、及び見学者や前川ダム周辺の観光客等の避難路が絶たれることになる。かつて豪雨時には、この上山市道が崩落した経緯があるため、逆に前川ダム方面の上流へ逃げることも不可能となる。 このような理由からも、豪雨時の敷地からの排水は、ゼロでなければならない。

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写真‐1 2016.09撮影 上山市道から見た前川ダム放水路右岸コンクリート擁壁 

 

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写真‐2 2017.06.02撮影 合流地点付近の前川ダム放水路右岸擁壁高 H=1.43m

 

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写真‐3 2016.09撮影 前川ダム放水路から前川に切り下げられたコンクリート護岸
上流に明治初期建造の文化財2連アーチ橋「堅盤橋」が架かる

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写真‐4  2016.09 合流地点より前川下流を見る 左岸コンクリート護岸壁
右岸の護岸高は低く、上山市道に接している

 

 

参考 アメリカのオーロビルダム放水路崩壊によるダム決壊

f:id:mamorukai:20170725035531j:plain2017.02.15 カリフォルニア州オーロビルダム(1968竣工)の放水路に陥没穴が見つかる

今年に入っての大雨や豪雪により湖の水位が上昇したため、水を約1,400m3/sで放流していたところ、排水路に穴が発生。それでも湖の水位の上昇が激しく、やむを得なく損傷した放水路から継続して放流を行っていたところ、この穴がさらに拡大。そこで2月11日、問題が起きた際に使用される緊急排水路(補助排水路)を、1968年のダム完成から初めて使用した。

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事態は収まるかとみられていたが、12日午後、今度は緊急用放水路でも浸食が起き、水が360m3/sで流れ始めたことが判明。

出典CNN.co.jp : ダムの放水路が決壊の恐れ、住民に避難勧告 米加州

放水路がいつ決壊してもおかしくない状況となったうえ、土砂などが崩れ落ちてより危険な状態になる可能性が浮上した。

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ブラウン知事は州議会に対し、水インフラ用の財源から3億8700万ドル(約440億円)、さらに州の一般財源から5000万ドル(約56億円)を拠出する予算措置の承認を要請。「老朽化したインフラが限界にきている。何らかの緊急措置を講じることはできるし、そうする予定だが、計画を進めるには巨額の費用を投じなければならない」と述べた。

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