山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

今月(平成29年9月5日)の二件の裁判について | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 平成29年9月5日(火) 13:30より、山形地方裁判所第3号法廷において 「ごみ焼却場本体の建設と操業差し止めを求める行政訴訟」第3回・口頭弁論が行われましたので、今回守る会が提出した第一準備書面と証拠説明甲 9~18を公開いたします。

 今回は、被告である山形広域環境事務組合より5月22日に提出された第一準備書面への反論としての第一準備書面を提出しました。この書面では、被告の第一準備書面の内容に欠陥が多く見られることを指摘し、施設の性能等の具体的な説明を求めました。

 これまで、守る会は組合や山形県に対し基本的情報としての「清掃工場に関する本体図面の公開」を何度も求めてきました。これに対し公開された資料は「企業秘密」を理由に白塗りまたは黒塗りされており、本体の概要すら知ることができない状態が続いています。こうした隠蔽体質についても厳しく指摘しました。守る会の弁護士によれば、こうした内容は一般的には非公開である必要のないデータであるとのことです。

 

原告提出の第一準備書面 ※「禁無断転載」

原告提出の証拠説明甲 9~18 ※「禁無断転載」

今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

平成28年(行コ)第19号前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件判決文の公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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平成29年4月27日、仙台高等裁判所において標記「平成28年(行コ)第19号前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件(原審・山形地方裁判所平成28年(行ウ)第2号)控訴審の判決が言い渡されましたので、判決文を公開致します。

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平成29年4月27日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成28年(行コ)第19号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件(原審・山形地方裁判所平成28年(行ウ)第2号)
平成29年2月23日口頭弁論終結

判決
当事者の表示 別紙当事者目録のとおり

主文
1.本件控訴を棄却する。
2.控訴費用(補助参加費用を含む。)は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,市道前川ダム東線道路改良工事に関してH土建株式会社との間で締結した請負契約に基づく請負代金に係る公金を支出してはならない。
3 被控訴人は,被控訴人補助参加人に対し,5032万8000円及びこれに対する平成27年6月25日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払をするよう請求せよ。
4 被控訴人は,H土建株式会社に対し,5032万8000円及びこれに対する平成27年6月25日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払をするよう請求せよ。

第2 事案の概要
1 本件は,山形県上山市の住民及び上山市に事業所等を有する会社である控訴人(原告)らが,上山市がH土建株式会社(H土建)との間で市道前川ダム東線の一部の改良工事(本件工事)を目的とする請負契約(本件請負契約)は公序良俗に違反して無効であるから,本件請負契約に基づく代金の支払は違法である旨主張して,上山市の執行機関である被控訴人(被告)に対し,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,本件請負契約の未払代金の支出の差止めを求める(以下「本件1号請求」という。)と共に,同項4号に基づき,本件請負契約の代金の一部である5032万8000円を支出したこと(本件支出)について,本件支出当時の上山市の市長であった被控訴人補助参加人(以下「補助参加人」若しくは「横戸」という。)に対して損害賠償請求をすること及び堀川土建に対して不当利得返還請求をすることをそれぞれ求める(両請求 を併せて以下「本件4号請求」という。)住民訴訟である。
 原審は,本件請負契約を私法上無効と解すべき事情は認められないし,既にした代金の支払が違法とはいえない旨判示して,本件1号請求及び本件4号請求をいずれも棄却した。
 控訴人らは,原判決を不服として,本件控訴を提起した。

2 前提事実
 原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」2 (原判決3頁11行目から5頁9行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する(原判決中,「原告」とあるのは「控訴人」と,「被告」とあるのは「被控訴人」とそれぞれ読み替えられることになる。以下同じ。)。

3 争点
 本件1号請求は,本件請負契約の未払代金の支出の差止めを求めるものであるところ,契約に基づく債務の履行として行われる公金の支出について,地方自治法242条の2第1項1号に基づく差止めを請求することができるのは,当該契約が私法上無効な場合に限られるというべきである(最高裁昭和56年(行ツ)第144号同62年5月19日第三小法廷判決・民集41巻468 7頁参照)。
 また,本件4号請求は,本件支出について,補助参加人に対して損害賠償請求をすること及びH土建に対して不当利得返還請求をすることを求めるものであるところ,本件支出は,支出負担行為である本件請負契約の債務の履行の一部としてされているのであるから,本件請負契約が私法上無効というべき場合には,補助参加人が,本件請負契約に基づく本件支出を行ってはならないという財務会計法規上の義務を負い,また本件支出が不当利得となるというべきである。
 したがって,本件の争点は,本件請負契約が私法上無効というべきか否かである。

4 争点に関する当事者の主張
控訴人らの主張)
 本件工事を目的とした本件請負契約は,次のとおり,公序良俗に違反し,無効である。
(1) 通行権等侵害等
ア 通行権等侵害
(ア) 本件市道前川ダム東線道路のうち,①国道13号から本件市道前川ダム東線道路に進入して間もない場所にあるカーブ箇所,②前川に架かる五反田橋を渡る直前のカーブ箇所,③五反田橋を渡り切った後のカーブ箇所,④奥羽本線の下をくぐる前のカープ箇所及び⑤新橋梁と交差するカーブ箇所において,大型車両同土の対面通行及び緊急車両の通行が困難であるところ(以下,これらのカーブ箇所をそれぞれ「本件カーブ箇所①」などといい,これらを併せて「本件各カーブ箇所」という。),本件工事後も,本件カーブ箇所①及び本件カーブ箇所②における大型車両同士のすれ違いが不可能なままであり,本件カーブ箇所③,本件カーブ箇所④及び本件カーブ箇所⑤における大型車両同士の対面通行は不可能である(控訴人らが,福2.39 mから2.49m, 全長11.26 mから11.95mのトラックを用いてすれ違い実験を行ったところ,本件カープ箇所③については,著しい徐行を行い,極めて慎重に運転を行えば辛うじてすれ違うことは可能であったが,橋の間際を通過しなければならないのであるから,社会通念上はすれ違いが困難であると判断されるものであったし,本件カーブ箇所④については,カーブを曲がるた めにはセンターラインを越えなければならないため,すれ違いは不可能であった。)。そして,本件工事及び本件工事の目的である本件エネルギー回収施設の建設によって,従前は道路幅の問題で物理的に通行できなかった大型車両の通行が増加すると共に,道路の改良により利便性が向上することで,交通量が多くなる。
(イ) 山形広域環境事務組合作成の平成29年2月1日付け「エネルギー回収施設(川口)建設だより」に本件市道前川ダム東線道路において工事車両の増加が予定されている旨記載されているとおり,本件工事により,工事車両の交通量が増加する。
(ウ) 本件エネルギー回収施設には防災拠点機能が付加されることとなっており,災害が発生した場合,本件市道前川ダム東線道路に大型の緊急車両や避難用のバス等が出入りすることとなり,十分なすれ違いもできない本件市道前川ダム東線道路は,渋滞を来たし,元来本件市道前川ダム東線道路を利用してきた控訴人Aの車両の通行の妨げとなるし,控訴人Aの従業員らが本件市道前川ダム東線道路を利用して避難することが困難になる。
(エ) 本件工事は本件エネルギー回収施設の利便性の向上を目的として行われるものである。すなわち,本件エネルギー回収施設の建設がなければ本件工事もなかったはずのものであり,両者は表裏一体のものである。したがって,本件エネルギー回収施設の建設によって交適量が増加することも,本件工事を原因とするものというべきである。
(オ) このように,本件市道前川ダム東線道路は,化学消防車などの緊急車両を含む大型車両の相互通行が不可能なままであるにもかかわらず,逆に本件工事によって本件エネルギー回収施設へ出入りする大型車両の通行が増加することで,円滑な通行は困難になり,日常的に本件市道前川ダム東線道路を大型車両の通行のために利用してきた控訴人Aを含む多くの通行者の通行権が侵害されると共に,現在にもまして緊急車両の通行が困難な事態が生じ,控訴人Aやその従業員らの平穏生活権が侵害される。
 また,本件工事対象道路には歩道が設置されていないことから,歩行者や軽車両の道路通行の安全が妨害され,歩行者らの通行権が侵害される。
 本件工事が無駄な公共事業であること
上記のとおり,本件工事によっても,本件市道前川ダム東線道路の大型車両同士のすれ違い困難箇所は,いずれの地点においてもその困難さが全く解消されていない。
また,本件市道前川ダム東線道路は,冬季においては積雪により有効道幅が他の季節より狭くなり,とりわけ五反田橋や奥羽本線ガード下の地点では交通が困難となるが,本件工事は五反田橋や奥羽本線ガード下を対象としていないから,本件工事は中途半端なものとなっている。
このように,本件工事には何の意味もなかったのであって,全く無駄な公共事業であったということである。このような無駄なことに公金を支出すること自体が公序良俗に反する。

(2) 本件工事の経緯の不当性及び談合
次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」4 (原告らの主張) (2)及び(3) (原判決6頁13行目から8頁17行目まで)のとおりであるから,これを引用する。
 原判決7頁5行目の「すり替えた」の次に「(被控訴人は,本件市道前川ダム東線道路では直線部分で大型車同土の対面通行が可能であるから本件大型車両対面通行可能条件は満たされていると主張するが,国道13号との交差点から本件エネルギー回収施設の入り口に架けられた新橋梁に至るまでのそれほど長くない距離の間に5か所もの大型車のすれ違い困難な箇所があるのであるから,単に直線部分では大型車同士の対面通行が可能であるというだけで本件大型車両対面通行可能条件が満たされていると評価することは一般常識と相容れないものである。したがって,道路とのアクセス条件は,本件大型車両対面通行可能条件とは別の条件として定められたものでなく,本件大型車両対面通行可能条件をすり替えるものとして設定されたものと認めるべきである。)」を加える。
 原判決7頁14行目の「選定したのである」の次に「し,前述のとおり,本件工事は本件大型車両対面通行可能条件を満たすための工事であって,本件エネルギー回収施設の建設と本件工事,ひいては本件請負契約とは強い関連性を有するものであり,また上山市は山形広域環境事務組合の構成団体の一つであり,全く別の団体というわけでもない」を加える。

(被控訴人及び補助参加人の主張)
 原判決8頁18行目の「被告の主張」を「被控訴人及び補助参加人の主張」に改め, 9頁1行目末尾の次に改行の上次のとおり加えるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」4 (被告の主張)(原判決8頁18行目から10頁11行目まで)のとおりであるから,これを引用する。
「また,本件工事は,本件市道前川ダム東線道路の道路改良,拡幅を行ってその利便性の改良を行うという工事であって,控訴人らが通行権等侵害の原因として挙げる大型車両の通行量増加は,本件エネルギ一回収施設の建設に伴うものであり,本件工事によって生じるものではないから,本件工事によって本件市道前川ダム東線道路における大型車のすれ違いの困難さが解消されたか否かという間題を論じるまでもなく,そもそも,本件工事について通行権等の侵害が問題となるものではない。」

第3 当裁判所の判断
 当裁判所も,本件請負契約が無効であるとはいえず,控訴人らの請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,次のとおりである。

1  通行権等侵害等について
(1) 通行権等侵害について
 控訴人らの主張は,前記第2の4(控訴人らの主張)(1)のとおりであり,その要旨は,①本件工事は本件エネルギー回収施設の建設に伴う本件市道前川ダム東線道路の利便性の向上を目的とするものであるにもかかわらず,本件工事によっても本件各カーブ箇所のいずれにおいても大型車両のすれ違い通行は不可能のままである一方,本件エネルギー回収施設の建設によって大型車両の通行は増加する,②本件工事により,工事車両の交通量が増加する,③本件エネルギー回収施設には防災拠点機能が付加されるため,災害時には大型の緊急車両や避難用バス等が出入りすることにより,本件市道前川ダム東線道路は渋滞を来し,控訴人A等の車両の通行の妨げや災害時の避難等を困難にする,④このように,本件工事は,控訴人Aやその従業員らの平穏生活権を侵害するものであると共に,控訴人Aを含む多くの通行者の通行権を侵害するものである,というものである。
 しかしながら,まず,前記前提事実によれば,本件工事は,本件工事対象道路の掘削,盛土による道路改良,消雪施設設置及び直線部を中心とした拡幅等を内容とするものであるというのである。この事実によれば ,本件工事には本件市道前川ダム東線道路における大型車両の通行量を増加させ,同道路の渋滞を促進させる要素はない(控訴人らも,本件工事によっても本件各カーブ箇所においては依然として大型車両同士の対面通行が不可能であること等を主張するのみで,本件工事によって本件前川ダム東線道路の通行条件それ自体が悪化することを主張するものではない。)と認められるのであって,控訴人A等の平穏生活権や通行権に対する関係 で,本件工事が権利侵害行為と評価されるべき点は全くないというべきである。
 この点,控訴人らは,要旨,本件エネルギー回収施設の建設により本件市道前川ダム東線道路における大型車両の通行量が増加するところ,本件工事は本件エネルギー回収施設の利便性の向上を目的とするものであって,本件エネルギー回収施設の建設がなければ本件工事もないのであるから,本件市道前川ダム東線道路の交通事情の悪化は本件工事に起因するものと認めるべきである旨主張する。しかしながら,上記のとおり,本件工事の内容には本件市道前川ダム東線道路の交通事情を悪化させる要素は認められないのであるから,仮に,本件工事竣工後に本件市道前川ダム東線道路における大型車両の交通量が増加するとしても,そのことと本件工事との間には何らの事実的因果関係も認められない。したがって,本件エネルギー回収施設の建設と本件工事の間に,その目的において関連性があるとしても,上記大型車両の交通量の増加が本件工事に起因するものであると認めるべき根拠はないというべきである。
 なお,本件工事を施工するに当たり,本件市道前川ダム東線道路において工事車両の交通量が増加することは認められるが,それが控訴人A等の平穏生活権を侵害する態様又は程度のものであると認めるに足りる証拠はない。また,本件市道前川ダム東線道路は,上山市民各自が日常生活上欠くことのできない要具であるから,上山市民は,他の市民が本件市道前川ダム東線道路に対して有する利益ないし自由を侵害しない程度において,自己の生活上必須の行動を自由に行うという法律上の利益を有するというべきであるが(最高裁判所昭和35年(オ)第676号同39年1月16日第一小法廷判決・民集18巻1号1頁参照),この利益は,上山市長が市道として認定し,上山市が管理して一般交通の用に供している(道路法2条1項,8条1項,1 6条1項参照)ことの反射的利益というべきものであって,上山市による管理行為としての本件工事のための工事車両が本件市道前川ダム東線道路を通行することが上記利益の侵害行為に当たると解することはできない。
 したがって,本件工事が控訴人Aの平穏生活権又は通行権等の侵害行為であるために本件請負契約が公序良俗に違反する旨の控訴人らの主張は理由がない。

(2) 本件工事が無駄な公共工事であることについて
 控訴人らは,本件工事によっても,本件市道前川ダム東線道路の大型車両同士のすれ違い困難箇所は,いずれの地点においてもその困難さが解消されていないし,五反田橋や奥羽本線ガード下の地点では積雪期の通行が困難となるのに本件工事は上記地点を対象としていないなど,本件工事は何の意味もない無駄な工事である旨主張する。
 しかしながら,既に説示したとおり,本件工事は,本件工事対象道路の掘削,盛土による道路改良,消雪施設設置及び直線部を中心とした拡幅等を内容とするものであるから,本件市道前川ダム東線道路の車両通行条件の改善につながるものであることは明らかであって,上記アのような控訴人らの主張事実をもって無駄な工事であるとはいえないことは明らかである。この点に関する控訴人らの主張は理由がない。

2 本件工事の経緯の不当性について
 原判決13頁19行目から26行目までを次のとおり改めるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 争点(本件請負契約に基づく支出の違法性の有無)に対する判断」1 (1)イ(原判決12頁26行目から14頁1行目まで)のとおりであるから,これを引用する。
「(ウ) また,控訴人らは,上山市が選定条件のすり替えをしたと主張するが,上山市が清掃工場候補地検討委員会に提示した条件が本件大型車両対面通行条件を満たすものであるか否かないしその程度,更には本件エネルギー回収施設の所在地を建設予定地に選出するか否かは最終的に上記検討委員会又は山形広域環境事務組合が検討し,判断する事項であり,その検討・判断の過程において上山市が違法又は不当な特為をしたと評価すべき事情が見当たらない以上,本件請負契約が公序良俗に反すると評価すべき理由はない。」

3 談合について
 原判決の「事実及び理由」欄の「第3 争点(本件請負契約に基づく支出の違法注の有無)に対する判断」1(1)ウ(原判決14頁3行目から20行目まで)のとおりであるから,これを引用する。

4 結論
 以上によれば,控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は正当であって,本件控訴は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。

仙台高等裁判所第2民事部

裁判長裁判官 古久保 正人
裁判官坂本浩志
裁判官 杉森洋平は転補のため署名押印できない。
裁判長裁判官 古久保 正人

別紙
当事者目録
(一部省略)
山形県上山市河崎1丁目1番10号
控訴人 上山市長 横戸長兵衛
同訴訟代理人弁護士 内藤和暁
同 古澤茂堂
同 小野寺弘行
同 指定代理人 鈴木英夫
同 鈴木亨
同 鏡順
同 木村昌光
同 近埜 伸二
同 須貝 信亮
山形県上山市河崎1丁目1番10号
控訴人補助参加人 横戸 長兵衛
以上

これは正本である。
平成29年4月27日
仙台高等裁判所第2民事部
裁判所書記官 直井克哲

ドキュメンタリー映画「なしてみなしゃねんだべ」のディスクがきました! | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 ドキュメンタリー映画「なしてみなしゃねんだべ 上山市川口地区ゴミ焼却場をめぐる静かなる闘いの記録 2012.9 - 2016.12 -」」のDVD・ブルーレイディスクが到着しました。

 かっこいい感じに仕上がっていますね。もう少しで正式にご案内できると思いますので、続報をお待ち下さい!

 

ドキュメンタリー映画 「なしてみなしゃねんだべ -上山市川口地区ゴミ焼却場をめぐる静かなる闘いの記録 2012.9 - 2016.12 -」とは

 平成24年5月に、市民にほとんど知らされないまま突然決まった山形県上山市川口地区の清掃工場(ごみ焼却場)計画。反対する住民たちの、およそ四年間の運動を記録した映画です。裁判(平成29年8月現在も継続中)の様子や、計画を推し進める役所や関係団体との、想像の遙か先を行く生々しいやりとりが克明に収めてあります。ぜひ一度ご覧下さい。

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ドキュメンタリー映画の正式タイトルとビジュアルイメージが決定! | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 先月7月に完成し、パイロット版を公開していたドキュメンタリー映画ですが、正式なタイトルが決定しました!

ビジュアルイメージととともに公開致します。映画タイトルは、

「なしてみなしゃねんだべ - 上山市川口地区ゴミ焼却場をめぐる静かなる闘いの記録 2012.9 - 2016.12 -」

映画の舞台となっている山形県の方言がタイトルになっています。
近日中に映画のオフィシャルサイトが公開予定で、現在、映画の方は海外版の制作に入っています!
今後も公開情報など随時をお伝えしていきますのでご期待下さい!

 

ドキュメンタリー映画「なしてみなしゃねんだべ」とは

 平成24年5月に、市民にほとんど知らされないまま突然決まった山形県上山市川口地区の清掃工場(ごみ焼却場)計画。反対する住民たちの、およそ四年間の運動を記録した映画です。裁判(平成29年8月現在も継続中)の様子や、計画を推し進める役所や関係団体との、想像の遙か先を行く生々しいやりとりが克明に収めてあります。ぜひ一度ご覧下さい。
 映画をご覧頂くには、DVD・ブルーレイの貸し出し、購入の他に、不定期的に開催される上映会があります。

 

自主上映を希望する団体、個人の方募集中!

 山形県の環境と観光産業を守る会では、自主上映を希望する団体、個人の方を募集中です。 ご希望の方はこのブログのコメントからお気軽にご連絡ください(やりとりや連絡先等は非公開とさせていただきます)。

「上山・川口地区への助成金差し止め請求」 山形新聞 2017年(平成29年)8月8日(火)記事 | 山形県上山市川口清掃工場問題 

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山形新聞 2017年(平成29年)8月8日(火)

上山・川口地区への助成金差し止め請求
山形地裁に提訴

 2017、16年に山形環境事務組合(管理者・佐藤孝弘山形市長)が上山市川口地区会に交付した助成金は違法・不当な支出だとして、「山形県の環境と観光産業を守る会」のメンバー2人が7日までに、公金差し止めなどを求め、山形地裁に提訴した。

 訴状によると、同組合は同地区会に地区活動助成金(年間300万円)に加え各種土木建設事業の補助金を交付しているが、正当な理由がないとしている。守る会は川口地区で進む新清掃工場(エネルギー回収施設)の建設に反対している。

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清掃工場建設予定地の上山市川口地区会に対する助成金(25年×300万円)の謎 その2 | 山形県上山市川口清掃工場問題 

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 清掃工場(公称エネルギー回収施設)に関する川口地区会の動きは、一般常識からはほど遠いように思われます。以下は主な川口地区会の清掃工場に関連する動きです。

  • 川口地区会に対する助成金(年間300万円)は「現金」で支払われており、25年間継続して支払われます。山形環境事務組合から直接川口地区会(地縁団体)の口座に振り込まれます。このお金は、地区会の活動費(清掃などの報酬)に使用されます。(なぜ、この地区会にこのような「現金」が清掃工場に関連して支払われるのかも理由が不明です。)
  • 公民館建設などの公共事業を(無論、全部税金です)、公務員でもなければ行政の組織でもない、「ただの」一地区会が主体となり運営・実施しています。
  • これらは、工場の操業開始と共に実施されるはずですが、なぜか4年も前倒しされ、実施されています。

いずれも「普通の町内会」ではおよそ考えられず、一般市民には理解できません。
関連する内容がこのように極めて不透明かつ不明瞭であるため、守る会としてはやむなく提訴し、現在に至っています。


※ 前回のブログの続きです。

第4 住民監査請求の経過

 原告らは、本件と同様の趣旨の住民監査請求を、組合の監査委員に対して、平成29年4月25日、提出した。

 これに対して、組合の監査委員は、同年6月21日付で、監査結果を出し、原告ら代理人の下に、同年6月22日、原告ら代理人の下に到達した。

 監査委員の判断は、概要、次のようなものであった。
(1) 本件で問題とされている支出は、「エネルギー回収施設建設に係る周辺地域活性交付金及びエネルギー回収施設建設関連施設整備事業補助金」である。これらの支出に関しては、地方自治法第232条の2が「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄付又は補助をすることができる」と規定しているところ、公益上の必要性に関する判断にあたっては、補助の要否を決定する地方自治体の長に一定の裁量権がある。また、廃棄物処理法9条の4は、「一般廃棄物処理施設の設置の届出をした市町村は、当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び増進に配慮するものとする」との規定がある。本件で問題とされている支出は、被告の裁量の下、廃棄物処理法9条の4の趣旨を総合的に考慮して、公益上必要があるものと判断されたものであり、違法性がないものと判断した。

(2) 組合は、平成26年1月以降、「周辺地域活性交付金交付要綱」を制定し、①生活環境の保全及び増進に資する事業、②地域の住環境のさらなるイメージアップに資する事業、③その他地域の活性化に資する事業について交付金を支出している。地区会活動助成金は、この要綱に基づくものである。また、組合は、年度毎に「施設整備事業補助金交付要綱」を制定し、農業用道路整備事業や水路整備事業などについて、補助金を支出している。

(3) 地区会活動助成金は、川口地区会から交付金交付申請書とともに事業計画書、収支予算所が出され、交付金交付要綱に基づき、地区民の対価等として支払われるものである。平成28年交付金については、交付要綱に掲げられた目的に沿って、地区会において取り組みがなされていることが窺えた。従って、この支出は違法とはいえないと判断した。

(4) 農道舗装事業及び水路整備事業に係る補助金は、川口地区会から交付申請書とともに事業計画書、収支予算所等が提出され、実績報告書に添付された事業実績書等の記載から支出額が正しいと認められ、直ちに違法または不当な支出に結びつくものではないと判断した。

 しかし、上記監査委員の判断は、以下に述べる通り、誤りであることは明らかである。

(1) 本件各支出は、地区会活動助成金にしても農道舗装事業補助金、水路整備事業補助金にしても、何れも川口地区会の活動ないし同地区住民のみの利便のためになされるものであり、2市2町で構成する一部事務組合としての組合全体の利益に関わることではなく、地方自治法232条の2に掲げられている「公益上必要がある場合」の要件が欠けている。従って、本件各支出は、組合の目的外の支出であることが明らかである。

(2) 組合が定めたとされる「周辺地域活性交付金交付要綱」の「②地域の住環境のさらなるイメージアップに資する事業、③その他地域の活性化に資する事業」は、廃棄物処理法9条の4に定める「当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び増進」とは関係がない。そして、地区会活動助成金は、「①生活環境の保全及び増進に資する事業」に該当するという証拠もない。従って、本件地区会活動助成金は、組合の目的外の支出であることが明らかである。

(3) 組合が、年度毎に定めるとされる「施設整備事業補助金交付要綱」に基づいて、農業用道路整備事業や水路整備事業などに対して支出されるという補助金については、上記(1)に述べた通り、これらの支出が組合の公益上必要とされるものとは到底言えないのであり、組合の目的外の支出であることは明らかである。

(4) 地区会活動も、農道舗装事業・水路整備事業も、何れも、川口地区会だけではなく、どこの地区会や自治会でも行う事業であり、組合が川口地区会だけに支出することを正当化できるだけの理由はない。監査結果にこの点に関する記述はない。

(5) 地区会活動助成金に関しては、川口地区から具体的な内容が記載された報告書や領収書は存在しないようであり、その助成金が本当に「周辺地域の生活環境の保全及び増進」と言う目的に使用されているのか否かは不明という他はない。これは、言い換えれば、地区会活動助成金が、「周辺地域の生活環境の保全及び増進」と言う目的に使用されているということを裏付ける証拠はないということになる。

(6) 廃棄物処理法9条の4は、「当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び増進に配慮する」と規定しているのであり、「周辺地区会」などという規定はしていない。ところが組合は、本件清掃工場から最も至近な位置にある株式会社Gに対しては全く考慮を払わず、少し遠い位置にある川口地区会にだけ配慮を払っているのである。これは、前述したように、極めて恣意的な支出であるという他はない。

 

第5 結論
よって、原告らは、請求の趣旨記載の判決を求める。

 

証拠方法

甲第1号証 山形広域環境事務組合規約
甲第2号証 地域振興策経費一覧(広域環境事務組合負担分)
甲第3号証 工事請負契約書(平成27年度川口地区農道舗装整備事業)
甲第4号証 工事請負契約書(北裏堰水路整備工事)
甲第5号証 行政文書非公開決定通知書(平成25年12月27日付)
甲第6号証 行政文書部分公開決定通知書(平成27年7月3日付)
甲第7号証 行政文書部分公開決定通知書(平成29年3月23日付)
甲第8号証 平成28年度川口地区総会
甲第9号証 平成28年度事業(会務)報告書
甲第10号証 川口地区要望事項実施予定スケジュール
甲第11号証 山形広域環境事務組合補助金等の適正化に関する規則
甲第12号証 山形市補助金等の適正化に関する規則
甲第13号証の1~5 平成27年度エネルギー回収施設建設関連施設整備事業補助金交付申請書
甲第14号証 山形広域環境事務組合職員措置請求書
甲第15号証の1 山形広域環境事務組合職員措置請求に係る監査結果について(通知)
甲第15号証の2 監査結果報告

添付書類

一 甲号証   写し各1通
二 訴訟委任状 2通

 

平成29年7月18日

 

上記原告ら代理人 弁護士 梶山 正三
 弁護士 坂本 博之

山形地方裁判所 御中

清掃工場建設予定地の上山市川口地区会に対する助成金(25年×300万円)の謎 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 山形広域環境事務組合(管理者/佐藤孝弘山形市長・副管理者/横戸長兵衛 上山市長)は、一般ごみ処理施設として山形市立谷川地区と、上山市川口地区に公称「エネルギー回収施設」を建設しています。立谷川工場は、間もなく (平成29年10月)に竣工予定とされていますが、川口工場は、来年(平成30年12月)竣工すると言われています。 

 この上山市川口地区は、世帯数62戸、人口232人(国税調査による)の小さな集落です。この地区には、平成26年以降組合を通じて補助金が拠出されており、各種公共事業の他、毎年25年間に渡り地区会に300万円が給付されま す。熔融炉が稼働する4年前から給付が始まっていることもあり、守る会はこの目的が不適切であると申し立てています。

 この川口地区に対する「周辺地域活性化交付金」の是非について、守る会会員は、平成29年4月24日付で、山形広域環境事務組合監査委員に対し住民監査請求を行い(職員措置請求書を提出)、同年5月23日に会員1名と弁護士1名が、意見陳述を行いました。

 その結果、同年6月21日付で「理由がないので棄却とする」との結果が届きました。 一般的に、市民が住民監査請求をしても、監査委員は役所サイドによって選定され、(監査委員会が役所側の知り合いによって構成されているといいかえても差し支えないと思います)、ほとんどが棄却されるため(これまでも守る会がおこなった住民監査請求もすべて棄却されています)、守る会は同年7月18日付で山形地方裁判所に対し、 「川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件」訴状を提出致しました。

 訴状は長文ですので、2回に分けて掲載致します。

 

山形広域環境事務組合のページ:
http://www.yamagata-koiki.or.jp/seisou.html


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訴  状

原告 山形市

                   

上記原告ら訴訟代理人
弁護士 梶山 正三
弁護士 坂本 博之

    

 

〒990-8540   山形県山形市旅篭町二丁目3番25号
被告 山形広域環境事務組合
管理者 佐藤 孝弘

川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

訴訟物の価額 金160万円
貼用印紙額  金1万3000円

請求の趣旨

 

 被告は、佐藤孝弘及び川口地区会に対して、同地区会の地区会活動助成金として、平成28年4月28日に支出した金300万円及びこれに対する同日から支払済まで年5%の割合による金員、及び平成29年5月25日に支出した金300万円及びこれに対する同日から支払済まで年5%の割合による金員の損害賠償請求又は不当利得返還請求をせよ。

 被告は、川口地区会に対して、同地区会の地区会活動助成金として、平成30年度以降、毎年金300万円の支出をしてはならない。

 被告は、佐藤孝弘及び川口地区会に対して、農道大西線の舗装工事に関する施設整備事業補助金として、平成28年4月28日に支出した金839万3000円及びこれに対する同日から支払済まで年5%の割合による金員、農道岩清水線の舗装工事に関する施設整備事業補助金として、平成29年4月28日に支出した金500万円及びこれに対する同日から支払済まで年5%の割合による金員の、損害賠償請求又は不当利得返還請求をせよ。

 被告は、川口地区会に対して、同地区の農道舗装に係る施設整備事業補助金として、平成30年度以降の支出をしてはならない。

 被告は、佐藤孝弘及び川口地区会に対して、北裏堰水路に係る水路整備工事に関する施設整備事業補助金として、平成29年5月19日に支出した金341万8000円及びこれに対する同日から支払済まで年5%の割合による金員の、損害賠償請求又は不当利得返還請求をせよ。

 被告は、川口地区会に対して、北裏堰水路に係る水路整備工事に関する施設整備事業補助金として、平成30年度以降の支出をしてはならない。

 訴訟費用は被告の負担とする。 との判決を求める。

請求の原因

第1 本件で問題とする川口地区会に対する支出

 山形広域環境事務組合(以下「組合」という)は、エネルギー回収施設(川口)建設事業(以下、エネルギー回収施設(川口)を、「本件清掃工場」という)に関連して、同清掃工場が立地する、川口地区の地縁団体である川口地区会に対して、あるいは同地区会が事業主体となった工事について、平成26年度からいくつもの金銭の支出を行っている。

 即ち、第一に、被告は、川口地区会に対して、平成26年度以降、毎年度、地区会活動助成金(同地区会では「地域活性化交付金」と言われている)金300万円を支出している。直近では、平成28年4月28日及び平成29年5月25日に、それぞれ、金300万円が支払われている。この金員は、25年間に亘り、毎年支出されるものである。

 第二に、川口地区の農道の舗装工事が行われる予定であるが、これは、平成27年度~平成29年度の3か年度に亘り、大西線、岩清水線、上ノ台線の3線の舗装が行われる予定であり、総事業費1875万円が予定されている。これらの事業は、川口地区会が業者に発注し、同地区会が支払うべき工事代金を、組合が補助金として助成するものである。平成27年度事業としては、大西線の工事業務が行われ、株式会社Aが受注し、平成28年4月28日に、同社に対して金839万3000円が支払われた。平成28年度事業としては、岩清水線の工事業務が行われ、同社が受注し、平成29年4月28日、金500万円が支払われた。平成29年度事業としては、上ノ台線の工事業務が行われる予定である。

 第三に、川口地区の水路整備工事が行われる予定であるが、これは、平成27年度~平成29年度の3か年度に亘り、総事業費2520万円が予定されている。これらの事業は、川口地区会が業者に発注し、同地区会が支払うべき工事代金を、組合が補助金として助成するものである。平成28年度は、北裏堰水路整備工事を、B・C・D共同企業体が受注し、施工金額金1024万0560円が支払われる予定であった。平成29年5月19日、この金額のうち、金341万8000円が支払われた。平成29年度もまた、北裏堰水路整備工事が行われる予定である。

 しかし、上記の金員の支払は、何れも、組合の目的範囲外の使途に用いられるものであり、川口地区会との間の契約もなく、支出する理由も不明であるなど、違法な支出であり、支出をすることは許されない。 ところが、被告は、あろうことか、上記のような違法な支出でありながら、平成28年4月28日及び平成29年5月25日、地区活動助成金として各300万円を、平成28年4月28日に農道大西線舗装工事の代金839万3849円を、平成29年4月28日に農道岩清水線舗装工事の代金500万円を、平成29年5月19日に北裏堰水路整備工事の代金341万8000円を、それぞれ既に支払ってしまっている。 従って、被告は、上記予定されている支出は、違法なものであるから、その支出の差止を行うべきであるし、すでに支出された金員については、佐藤孝弘並びに川口地区会に対して損害賠償請求ないし不当利得返還請求を行うべきである。

第2 当事者【省略】

1 原告は、何れも、山形市の住民である。

2 組合は、し尿処理施設の設置、管理及び運営に関する事務、ごみを処理するための中間処理施設の設置、管理及び運営に関する事務を行うことを目的として、山形市上山市東村山郡山辺町、同郡中山町の2市2町が組織した、地方自治法上の特別地方公共団体たる一部事務組合である(甲1・3条)。 被告は、組合の管理者である。

第3 本件各支出の違法性

1 はじめに
本件各支出には、以下に述べるような、様々な違法性がある。

2 これらの支出は、組合の目的外の行為である
組合の規約によると、組合の共同処理する事務は、①し尿処理施設の設置,管理及び運営に関する事務、②ゴミを処理するための中間処理施設の設置、管理及び運営に関する事務、とされており(甲1・3条)、その中には、地区会活動の助成や、一地区の農道整備や水路整備などは含まれていない。 また、組合から補助金が出されている農道や水路は、本件清掃工場の建設や操業と何らの関係もない。 勿論、川口地区の地区会活動もまた、本件清掃工場の建設や操業と全く関係がない。しかも組合は、川口地区会から、この助成金の使途について、十分な報告を受けるということも行っていないようである。 組合のこれらの助成金補助金の交付は、明らかに組合の目的外の行為であり、違法な支出である。

3 これらの支出は、川口地区会との間で、何らの契約もないものである
組合は、川口地区との間で、協定書その他何らの契約も締結せずに漫然と、上記の助成金補助金の支出を行っている。従って、これらの支出は、法的根拠を全く欠くものであり、違法である。

 これらの支出は、法的根拠を欠く違法な支出である
川口地区会から組合に対して補助金の支出がなされる際には、その前提として、同地区会から組合に対して、補助金交付申請書が提出されるようである。そして、その申請書には、「山形広域環境事務組合で準用する山形市補助金等の適正化に関する規則第5条の規定により、関係書類を添え、申請します」という文言が記載されるようである。しかし、この規則の当該条文は、単に補助金申請の際の手続を記したものに過ぎず、補助金交付がどのような場合に許されるかという実体面が規定されたものではない。 そして、前記1の内容とも関連するが、これらの助成金補助金は、組合が支出するための正当な理由を欠いているのであり、法的根拠を欠く違法な支出である。

 組合の主張と矛盾する行為であり、必要のない支出である
上記の川口地区会に対する支出の趣旨は、本件清掃工場が立地する地元の自治会に対して、迷惑をかけることになるから、迷惑料の支払ということであろうと推測される。 しかし、被告によると、本件清掃工場は最新式の設備を備えて、周辺の環境を汚染することはない安全な施設であり、従って、周辺環境に害を及ぼすことはない、ということである。それならば、本件清掃工場が川口地区に対して迷惑を及ぼすことはないのであり、迷惑料を支払うというのは、組合自らの言動と相反する、自己矛盾した行為である。上記の助成金補助金の支出は、組合自らの主張と相反する、全く必要性のない支出である。

 恣意的な支出である
また、もしこれらの支出が迷惑料であるということならば、本件清掃工場の建設・操業によって最も迷惑を蒙るのは、原告Fらが経営する株式会社Gであろう。本件清掃工場の直近に存在する法人だからである。ところが、組合は、同社に対しては何らの迷惑料の支払もしていない。 この点から、上記の支出は、理由のない、極めて恣意的な支出であるということができる。

 法の下の平等に反する支出である
組合の範囲には、幾つもの自治会がある。ところが、組合がこのような支出を行っているのは、川口地区会のみである。曲がりなりにも組合は、特別地方公共団体であり、行政を担う団体なのであるから、憲法の人権に関する規定が直接適用される。憲法14条1項に規定する法の下の平等についても、適用される。上記の各支出は、この憲法の規定に反する、違法な支出である。

 まとめ
従って、被告は、平成28年4月28日及び平成29年5月25日にそれぞれ、既に支出された地区会活動助成金各金300万円、農道大西線舗装工事に関して平成28年4月28日に支出された補助金839万3000円、農道岩清水線舗装工事に関して平成29年4月28日に支出された金500万円、及び北裏堰水路整備工事に関して平成29年5月19日に支出された金341万8000円について、佐藤孝弘及び川口地区会に対して、損害賠償請求ないし不当利得返還請求を行うべきである。そして、地区会活動費及び農道舗装工事に対する補助金、及び水路整備工事に関する補助金のうち、未だ支出されていない金額については支出を差し止めるべきである。

※以降は次回に続きます。

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