山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

清掃工場建設予定地の上山市川口地区会に対する助成金(25年×300万円)の謎 その2 | 山形県上山市川口清掃工場問題 

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 清掃工場(公称エネルギー回収施設)に関する川口地区会の動きは、一般常識からはほど遠いように思われます。以下は主な川口地区会の清掃工場に関連する動きです。

  • 川口地区会に対する助成金(年間300万円)は「現金」で支払われており、25年間継続して支払われます。山形環境事務組合から直接川口地区会(地縁団体)の口座に振り込まれます。このお金は、地区会の活動費(清掃などの報酬)に使用されます。(なぜ、この地区会にこのような「現金」が清掃工場に関連して支払われるのかも理由が不明です。)
  • 公民館建設などの公共事業を(無論、全部税金です)、公務員でもなければ行政の組織でもない、「ただの」一地区会が主体となり運営・実施しています。
  • これらは、工場の操業開始と共に実施されるはずですが、なぜか4年も前倒しされ、実施されています。

いずれも「普通の町内会」ではおよそ考えられず、一般市民には理解できません。
関連する内容がこのように極めて不透明かつ不明瞭であるため、守る会としてはやむなく提訴し、現在に至っています。


※ 前回のブログの続きです。

第4 住民監査請求の経過

 原告らは、本件と同様の趣旨の住民監査請求を、組合の監査委員に対して、平成29年4月25日、提出した。

 これに対して、組合の監査委員は、同年6月21日付で、監査結果を出し、原告ら代理人の下に、同年6月22日、原告ら代理人の下に到達した。

 監査委員の判断は、概要、次のようなものであった。
(1) 本件で問題とされている支出は、「エネルギー回収施設建設に係る周辺地域活性交付金及びエネルギー回収施設建設関連施設整備事業補助金」である。これらの支出に関しては、地方自治法第232条の2が「普通地方公共団体は、その公益上必要がある場合においては、寄付又は補助をすることができる」と規定しているところ、公益上の必要性に関する判断にあたっては、補助の要否を決定する地方自治体の長に一定の裁量権がある。また、廃棄物処理法9条の4は、「一般廃棄物処理施設の設置の届出をした市町村は、当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び増進に配慮するものとする」との規定がある。本件で問題とされている支出は、被告の裁量の下、廃棄物処理法9条の4の趣旨を総合的に考慮して、公益上必要があるものと判断されたものであり、違法性がないものと判断した。

(2) 組合は、平成26年1月以降、「周辺地域活性交付金交付要綱」を制定し、①生活環境の保全及び増進に資する事業、②地域の住環境のさらなるイメージアップに資する事業、③その他地域の活性化に資する事業について交付金を支出している。地区会活動助成金は、この要綱に基づくものである。また、組合は、年度毎に「施設整備事業補助金交付要綱」を制定し、農業用道路整備事業や水路整備事業などについて、補助金を支出している。

(3) 地区会活動助成金は、川口地区会から交付金交付申請書とともに事業計画書、収支予算所が出され、交付金交付要綱に基づき、地区民の対価等として支払われるものである。平成28年交付金については、交付要綱に掲げられた目的に沿って、地区会において取り組みがなされていることが窺えた。従って、この支出は違法とはいえないと判断した。

(4) 農道舗装事業及び水路整備事業に係る補助金は、川口地区会から交付申請書とともに事業計画書、収支予算所等が提出され、実績報告書に添付された事業実績書等の記載から支出額が正しいと認められ、直ちに違法または不当な支出に結びつくものではないと判断した。

 しかし、上記監査委員の判断は、以下に述べる通り、誤りであることは明らかである。

(1) 本件各支出は、地区会活動助成金にしても農道舗装事業補助金、水路整備事業補助金にしても、何れも川口地区会の活動ないし同地区住民のみの利便のためになされるものであり、2市2町で構成する一部事務組合としての組合全体の利益に関わることではなく、地方自治法232条の2に掲げられている「公益上必要がある場合」の要件が欠けている。従って、本件各支出は、組合の目的外の支出であることが明らかである。

(2) 組合が定めたとされる「周辺地域活性交付金交付要綱」の「②地域の住環境のさらなるイメージアップに資する事業、③その他地域の活性化に資する事業」は、廃棄物処理法9条の4に定める「当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び増進」とは関係がない。そして、地区会活動助成金は、「①生活環境の保全及び増進に資する事業」に該当するという証拠もない。従って、本件地区会活動助成金は、組合の目的外の支出であることが明らかである。

(3) 組合が、年度毎に定めるとされる「施設整備事業補助金交付要綱」に基づいて、農業用道路整備事業や水路整備事業などに対して支出されるという補助金については、上記(1)に述べた通り、これらの支出が組合の公益上必要とされるものとは到底言えないのであり、組合の目的外の支出であることは明らかである。

(4) 地区会活動も、農道舗装事業・水路整備事業も、何れも、川口地区会だけではなく、どこの地区会や自治会でも行う事業であり、組合が川口地区会だけに支出することを正当化できるだけの理由はない。監査結果にこの点に関する記述はない。

(5) 地区会活動助成金に関しては、川口地区から具体的な内容が記載された報告書や領収書は存在しないようであり、その助成金が本当に「周辺地域の生活環境の保全及び増進」と言う目的に使用されているのか否かは不明という他はない。これは、言い換えれば、地区会活動助成金が、「周辺地域の生活環境の保全及び増進」と言う目的に使用されているということを裏付ける証拠はないということになる。

(6) 廃棄物処理法9条の4は、「当該一般廃棄物処理施設に係る周辺地域の生活環境の保全及び増進に配慮する」と規定しているのであり、「周辺地区会」などという規定はしていない。ところが組合は、本件清掃工場から最も至近な位置にある株式会社Gに対しては全く考慮を払わず、少し遠い位置にある川口地区会にだけ配慮を払っているのである。これは、前述したように、極めて恣意的な支出であるという他はない。

 

第5 結論
よって、原告らは、請求の趣旨記載の判決を求める。

 

証拠方法

甲第1号証 山形広域環境事務組合規約
甲第2号証 地域振興策経費一覧(広域環境事務組合負担分)
甲第3号証 工事請負契約書(平成27年度川口地区農道舗装整備事業)
甲第4号証 工事請負契約書(北裏堰水路整備工事)
甲第5号証 行政文書非公開決定通知書(平成25年12月27日付)
甲第6号証 行政文書部分公開決定通知書(平成27年7月3日付)
甲第7号証 行政文書部分公開決定通知書(平成29年3月23日付)
甲第8号証 平成28年度川口地区総会
甲第9号証 平成28年度事業(会務)報告書
甲第10号証 川口地区要望事項実施予定スケジュール
甲第11号証 山形広域環境事務組合補助金等の適正化に関する規則
甲第12号証 山形市補助金等の適正化に関する規則
甲第13号証の1~5 平成27年度エネルギー回収施設建設関連施設整備事業補助金交付申請書
甲第14号証 山形広域環境事務組合職員措置請求書
甲第15号証の1 山形広域環境事務組合職員措置請求に係る監査結果について(通知)
甲第15号証の2 監査結果報告

添付書類

一 甲号証   写し各1通
二 訴訟委任状 2通

 

平成29年7月18日

 

上記原告ら代理人 弁護士 梶山 正三
 弁護士 坂本 博之

山形地方裁判所 御中

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