山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(エネルギー回収施設)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第50号 2016.08.27 (土) 発行

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49号の続き

ごみ弁連が 上山市川口の予定地等を視察しました

 平成28年8月1日(月)午前中、ごみ弁連(たたかう住民とともにゴミ問題の解決をめざす弁護士連絡会) は総会を行い、次年度の開催地を東京都に決 定致しました。今回の集会では、福島県由来 の放射能ごみに関連した事例が多く、その深刻な状況が発表されました。放射性ごみが、 福島県のみならず、全国的な問題になっていることは、今後の大きな課題です。その後希望者は、流動床式ガス化溶融炉建設が予定されている上山市川口へ向かい、 高さ400m程度の里山と、一級河川忠川(前川ダム放水路)、JR山形新幹線(奥羽本線)に囲ま れた造成済みの敷地を視察。河川の専門家より、敷地と河川の複雑な関係について説明を受けました。敷地造成工事が、忠川やその下流の前川に与える影響について、様々な意見が 出されました。このような議論を、上山市市民検討委員や組合、議会がかつて行い、検討したことがあったでしょうか。はなはだ疑問に思われます。敷地選定の初歩的なミスではないかという意見も聴かれました。

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造成された敷地を視察する参加者

長井市レインボープラン視察について

 ごみを焼却すること自体に大きな問題があることは、ごみ弁連では共通の認識ですが、ごみを安全に処理する方法について考えることは、非常に重要なことです。前日、青山氏の講 演ではカナダの事例が示されましたが、県内での独自の取り組みを視察させて戴くため、山形県長井市へ向かいました。
 長井市は、上山市から車で約1時間弱の人口27,745人、9,687世帯(平成28年3月)の町 です。自然と共生しながら関わり合いを続けてきた長井市は、平成元年に「不伐の森条例」 を制定し、市民が未来永劫巨木と森の自然を育む聖域づくりに取り組む決意を世界に発信しました。そのような長井市では、土・農・食という「いのちの根幹」への危機感が募る現代 において、食といのちの安全を未来につなげる地域循環づくりに「官」「民」の隔てなく、市民 一体となって「レインボープラン」に取り組んでいます。長井市では、このプランを「ごみ処理事業」として捉えていません。昭和30年代以降の「大量消費社会」により、疲弊した土や低い自給率を背景にして生まれた「循環型社会実現のためのプラン」だということでした。
 レインボープランに関する基本的なレクチャーを受けた後、説明を伺いながら、たい肥化工場を視察しました。工場は、住宅が散らばる田園風景の中に、複数棟建っていました。
 生ごみは、各家庭でよく水切り後、分別して、 週2回集荷所のコンテナへ出し、コンポストセンターへ運ばれて、たい肥化されます。完成した堆肥は、長井市内で使われ、それによってできた作物も、長井市で消費されるという地産地消を実行しています。
工場は非常に開放的で、通風に配慮されています。プラントはアナログ式で、自然の力を借りて稼働している様子が分かります。驚いたことにこのプラントは、ガス化溶融炉を製作しているメーカーのものでした。自治体は、どちらの方式でも選ぶことが可能な訳ですが、小さな自治体は費用負担と維持管理費の少ないコンポスト方式を採用する方が得策だと思えました。特に、難しい高度な技術は必要がないので、地元の方でも働くことができます。こちらの工場は海外からの視察も多いということですが、納得できました。

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コンポストセンター

コンポストセンターの概要
工期 平成8年着工竣工 約8ヶ月間
工費 3億8522万円(税込)
処理量 2,400トン/年 (9トン/日)
敷地 9,690㎡
建物面積 2,008.8㎡(平屋建)
請負業者 (株)荏原製作所
補助事業 地域資源リサイクル推進整備事業
(農林水産省補助)

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内部は非常に開放的

 一方人口25.42万人の山形市は、山形県の県庁所在地であり、隣接する上山市、山辺町、中山町と二市二町合同でゴミ処理を行っています。山形市上山市にそれぞれ150トン/日の流動床式ガス化溶融炉を建設し、焼却するとしていますが、その山形市もすでに「生ごみの資源化」を行っています。都市部では生ごみの収集は難しい点もありますが、これらの処理システムを拡充することで、対応が可能かと思えます。現在、生ごみの処理を各家庭で行う場合、住民であれば市から費用の2分の1が補助されますが、その補助率を上げることはできないでしょうか。焼却場で処理する場合、個人負担はゼロですが、焼却場(公称エネルギー回収施設)の建設費や周辺整備費、運営費等に莫大な費用が掛かり、結局国民の税負担となります。生ごみの各家庭処理を拡大することにより、これらの税負担を軽減し、安全に処理することが可能です。行政は現在行っている政策を推進すればよく、決して難しいことではありません。広域処理に頼る時代ではないと思います。

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山形市の「ごみ減量・分別大百科」より抜粋

 現在山形市では、きちんとゴミの分別が行われており、生ごみは焼却するものの、他のゴミはそれぞれリサイクルされています。現在の燃えるゴミを、各家庭で処理できるようになれば、焼却場はほとんど不要になります。焼却することのデメリットは、これまで再三述べてきたので割愛しますが、市民も行政もここまで分別の努力を重ねながら、何故焼却場の規模を変更しようとしないのでしょうか。
 溶融炉が完成すれば、生ゴミだけではなくプラスチックごみも混焼してしまう危険性があります。さらに、これまでストーカ式炉では焼却できなかった粗大ゴミ等も、溶融できることになります。溶融炉の導入により安易に焼却物の幅を広くし、これまでの努力を無にすることは、ごみ削減政策と矛盾することになると思えます。

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 現在、これだけの分別が行われ、リサイクルを推奨しています。ごみの8割を占める燃えるごみが、家庭内処理やリサイクルされれば、焼却炉も、排出される厄介な焼却灰も削減され、最終処分場を探す必要も無くなるはずです。それは、決して困難なことではなく、これまで進めてき た政策を拡大すればよいのです。多額の税金を要し、安全性に疑問が残るガス化溶融炉政策 を是非見直して戴きたいと、守る会は考えております。これまで、何故このような話し合い に応じて戴けなかったのか、裁判に至ったことを非常に残念に思います。

次回裁判予定

平成28年 9月13日(火)11:00~ 山形県に対する河川占用許可取消請求行政訴訟(山形地裁)
平成28年 9月13日(火)11:10~ 組合に対する架橋工事公金差止請求住民訴訟(山形地裁)
平成28年10月17日(月)13:30~ 組合に対する造成工事公金差止請求住民訴訟(山形地裁)

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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