山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

控訴しました! 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟(被告:上山市長 横戸長兵衛氏) [後編] | 山形県上山市川口清掃工場問題

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* 2016-12-30の記事「控訴しました! 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟 [前編] | 山形県上山市川口清掃工場問題」の続きです。

後編となる当記事では、今週の12月27日に仙台高裁に対し提出した「控訴理由書」を公開いたします。

この裁判(平成28年(行ウ)第2号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟事件)の概要:
上山市長 横戸長兵衛氏に対し、現在進められている清掃工場に至る「前川ダム東線道路改良工事」に使用した公金の返還を求める訴訟です。工事自体は既に完了していますが、この計画自体があまりにも杜撰で、工事を行ったにもかかわらず既存の問題がまったく解決しておらず、計画内容にも多々問題があるため、裁判において被告(横戸長兵衛氏、(控訴審では被控訴人として))の責任を追及しています。

 


※内容はブログ用に一部編集しておりますので予めご了承ください。

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平成28年(行コ)第19号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件

控訴理由書

控訴人  上山市民 
控訴人 上山市長 横戸長兵衛 外1名

平成28年12月27日

上記控訴人ら訴訟代理人
弁護士  坂本 博之

仙台高等裁判所第2民事部 御中

第1 はじめに
 原判決は、控訴人らの請求を何れも棄却したものであるが、本書面は、原判決が誤りであり、取り消されるべきことを述べるものである。

 本件における控訴人らの請求は、上山市とA土建株式会社との間で締結された上山市道前川ダム東線の一部に係る道路改良工事を目的とする請負契約が公序良俗に違反して無効であるから、被控訴人は、上山市長である横戸長兵衛及び同契約の相手方である同会社に対して損害賠償請求ないし不当利得返還請求を行うべきである、というものである。

 控訴人らが、上記契約が公序良俗に違反すると主張する根拠は、①本件工事によって前川ダム東線(以下「本件市道」という)について、控訴人らの通行権等が侵害される、②本件工事に至る経緯に問題がある、③談合が行われた、という3点である。

 原判決は、上記の3つの論点の何れについても、控訴人らの主張を退けたものであるが、その何れに関しても、原判決は誤っている。

 以下、順に原判決の誤りを述べる。

 

第2 控訴人らの通行権等の侵害について

1 原判決の内容
 控訴人らの主張は、本件市道には大型車両同士の対面通行が困難な箇所が5カ所あるところ、本件工事後もそれらの箇所において大型車同士のすれ違い、対面交通は不可能なままであり、しかも、本件工事及び清掃工場建設によって本件市道を通行する大型車両が増加することになるから、円滑な交通は困難となり、日常的に本件市道を利用してきた控訴人を含む多くの通行車の通行権が侵害されるとともに、現在にもまして緊急車両等の通行が困難となるから控訴人らの平穏生活権が侵害される上、本件工事の対象区間には歩道が設置されていないため、歩行者や軽車両の通行の安全が妨害されることになる、というものである。

 これに対する原判決の判断は、①今後見込まれる大型車両の通行量の増加は、本件工事による本件道路の利便性の改良に伴うものではなく、あくまでも清掃工場(原判決は、被控訴人の用いた用語に従って「エネルギー回収施設」などと言っているが、この施設は一般廃棄物の焼却処理が主目的であり、そこで発生するエネルギーの一部を回収することを副次的な目的としているに過ぎないから、施設の実態を正しく表現するため、「清掃工場」という用語を用いることにする)の建設に伴うものである(原判決11p)、②本件工事後の本件市道のカーブ箇所のうち、2箇所は車両全体幅3.1m、車両全体の長さ8.16mの大型車同士が容易にすれ違うことができることが認められるから、本件請負契約は大型車同士のすれ違いについて、従前以上の対策を講じたものと言える(同11p)、③控訴人らは本件工事が本件清掃工場の建設と直結した工事であるから、本件清掃工場の建設による通行量の増加を一体的に捉えるべきだと主張しているが、その主張を前提としても、このような控訴人らの主張を前提としても、控訴人の大型車両の通行及び緊急車両の通行が困難となったりする等と認めるに足りる証拠はない(同12p)、④控訴人らは、本件工事によって本件市道の全ての箇所において大型車両のすれ違いが可能とならなければ、本件市道における大型車両のすれ違いの問題は解消されない等と主張するが、本件市道の全ての箇所において大型車両がすれ違うことができなければ控訴人の大型車両等の通行が不可能ないし困難となるほどの通行量の増加があると認めるに足りる証拠はないし、控訴人に本件市道の各カーブ箇所において大型車両がすれ違うことに関する権利があるとまで認めることはできない(同12p)、などというものであった。
 なお、原判決は、上記①と②の点を判断の骨子としており、③と④は付け足しのような位置づけをしている。
 しかし、上記①~④の何れの点についても、原判決の判断は誤りである。
 以下、順に述べることとする。 

2 原判決の誤り

(1) 大型車両の通行量の増加はあくまでも清掃工場の建設に伴うものであるとの点について

 原判決は、上記のように、本件工事と、清掃工場の建設とを切り離して、本件市道において大型車両の通行量が増加するのは、本件工事のためではなく、清掃工場の建設に伴うものである、などという判断を行った。これは、被控訴人の主張をそのまま鵜呑みにしたものである(被控訴人の原審における答弁書5p参照)。

 被控訴人の答弁書では、本件工事と清掃工場の建設工事とが関連性を有することについて、敢えて言及を避けている。しかし、本件工事の工事区間は、原判決4pにおいても認定されているとおり、本件市道の五反田橋南側から新橋梁(本件市道から清掃工場用地に入るために、新たに忠川という川に掛けられた橋)までであり、工期も清掃工場の建設が始まる前に終了するというものであり、大型車両が国道13号線から清掃工場用地に出入りするための利便性を向上させるための工事であることが明らかである。

 従って、本件工事は、清掃工場建設がなかったならば、発注はおろか、計画されることもなかった工事であると言わねばならず、清掃工場の建設と表裏一体のものとして理解しなければならないものである。

 そして、原判決4pにおいて認定されているように、本件工事が行われる前は、国道13号線から上記新橋梁に至るまでの間に、大型車両同士のすれ違いが困難なカーブ箇所が4カ所あった(本件市道から新橋梁を渡るための箇所を含めると5カ所になる)。これも原判決11pが認定しているところであるが(しかし、この認定が誤っていることは後述する通りである)、この4カ所のカーブ箇所のうち、2箇所は本件工事のために大型車同士のすれ違いが可能となるとのことである。従って、本件工事は、清掃工場に出入りする大型車の通行の利便性を向上させることが目的であったことが明らかである。もし本件工事を行うことを前提としなかったならば、清掃工場への大型車の出入は極めて不便であるから、その建設はあり得なかったものと思われる。

 以上から、本件工事と清掃工場建設工事とを分けるという原判決の考えが事実を無視し、歪曲した判断であることが明らかであり、本件工事によって清掃工場に出入りする大型車の通行量が増えるものと考えなければならない。

 逆に、原判決が述べるように、本件工事が清掃工場の建設とは別物であるという理解をするのであれば、本件工事は全く行う意味のない工事であり、本件工事に関する公金の支出を行うことがそれ自体において、全く無駄な出費をしたということになる。

(2) 本件工事によって大型車両同士のすれ違いが向上したとの点について

 原判決は、本件工事によって、本件市道の2箇所において、大型車同士のすれ違いが困難であったカーブ箇所において、それが可能となったのであり、本件工事は、大型車同士のすれ違いについて、従前以上の対策を講じたものと言える、などという判断を行った。

  原判決が上記のような判断を行った根拠は、車両全体幅3.1m、車両全体の長さ8.16mの大型車同士がすれ違うことができることが認められる、ということにある。この「大型車」の大きさは、被控訴人が行った実験に用いられた車両の大きさである(乙5の1、2)。しかし、この「大型車」は、大型車としては小型の部類である。道路法上、車両の一般的な制限は、幅2.5m、長さ12.0mであるから(道路法47条1項、車両制限令3条)、この程度の大きさの大型車が道路を通行することが普通であると考えなければならない(甲29、30)。実際、この程度の大きさのトラックが本件市道を通行することが十分に予想される。また、清掃工場において使用が予定されている大型バスの大きさは、長さが12m程度である。その上、本件清掃工場において火災が発生した場合に出動が予想される消防車のうち、梯子車の長さは10.64m~11.24mであり、支援車の長さは10.95mである(甲31、32)。因みに、上山市には梯子車がないから、梯子車が出動する場合は、山形市消防本部から出動することになる。山形県下の市町村及び消防の一部事務組合は、消防相互応援に関して協定を締結し、火災その他の災害の発生に際して、それぞれ相互間の消防力を活用しあうこととなっている(甲33)。

 この点、控訴人は、幅2.39~2.49m、全長11.26~11.95mのトラックを用いて、被控訴人が行ったのと同様のすれ違い実験を行ってみた。すれ違い実験を行った場所は、原判決5pに指摘されている、カーブ箇所③(五反田橋を渡り切った後のカーブ箇所)と、カーブ箇所④(奥羽本線の下をくぐる前のカーブ箇所)の2カ所である。控訴人らの実験の結果、カーブ箇所③においては、著しい徐行を行い、極めて慎重に運転を行えば辛うじてすれ違うことが可能ではあったが、橋の間際を通過しなければならないものであり、社会通念上はすれ違いが困難であると判断されるものであった。カーブ箇所④においては、カーブを曲がるためには、センターラインを超えなければならず、すれ違いは不可能であった(甲31)。

 このように、原判決が大型車同士のすれ違いが可能であると判断した、上記カーブ箇所③④は、実際には、本来の意味での大型車同士のすれ違いが困難ないし不可能なものであると言わねばならない。

 それから、被控訴人が行った実験は、カーブ箇所③④において行ったものではない。原判決は、このように、実際は実験が行われていない場所での実験結果を捉えて、カーブ箇所③④において大型車がすれ違うことが可能であるという間抜けな判断を行ったものである。 原判決5pに掲げられているカーブ箇所①②において、大型車同士のすれ違いの困難さが本件工事によっても解消されていないことは、原判決も認めるところである(11p)。従って、控訴人が指摘した大型車同士のすれ違い困難箇所は、本件工事によって、何れも困難さが解消されないままとなっているものと言うことができる。従って、控訴人が使用している大型車が、清掃工場の工事のための車両や清掃工場に出入りするゴミ運搬車や大型バスのために本件市道が通行困難になることが予想されるし、清掃工場や控訴人で火災等の災害が発生した場合に、清掃工場や控訴人の避難車両と消防車等のすれ違いができないために、災害救助が困難となることも予想されるのである。

(3) 清掃工場の稼働と控訴人等の通行権について

 原判決は、清掃工場の建設によって本件市道の通行量が増加するという控訴人らの主張を前提としても、控訴人等の大型車両の通行及び緊急車両の通行が困難となったり、歩行者や軽車両の道路通行の安全性が妨害されるといった程度にまで、本件市道を通行する車両の通行量の増加があると認めるに足りる証拠がない、などと述べている(12p)。 しかし、清掃工場の建設により、これまで本件市道を通行していなかった多数のゴミ運搬車や大型バス等が本件市道を通行することは明らかである。そして、控訴人は、日常的に多数の大型車を利用している。しかも、本件市道の国道13号線から前記の新橋梁までの距離はそれほど長い距離ではない。この短い距離の間に大型車同士のすれ違いが困難な箇所が5カ所もあるのである。従って、清掃工場の稼働により、控訴人等の大型車両や緊急車両の通行が困難となる可能性が高いことは、定性的に明らかである。 また、このように多数の大型車が通行することになった場合、歩道が設けられていない本件市道においては、歩行者や軽車両の安全が十分に保たれないこともまた、社会通念上、優に認めることができる。

(4) 本件市道における大型車両同士のすれ違い問題の解消という点について

 原判決は、控訴人らは、本件工事によって本件市道の全ての箇所において大型車両のすれ違いが可能とならなければ、本件市道における大型車両のすれ違いの問題は解消されない等と主張するが、本件市道の全ての箇所において大型車両がすれ違うことができなければ控訴人の大型車両等の通行が不可能ないし困難となるほどの通行量の増加があると認めるに足りる証拠はないし、控訴人に本件市道の各カーブ箇所において大型車両がすれ違うことに関する権利があるとまで認めることはできない、などと言う判断も行っている(同12p)。 既に述べたように、本件工事によって、本件市道の大型車のすれ違いの困難さは全く解消されていない。そして、清掃工場の稼働によって、大型車両の通行量が増加し、控訴人等の大型車両の通行が困難となる可能性が高いこともまた、既に述べた通りである。 そして、原判決は、控訴人らに、各カーブ箇所において大型車両がすれ違うことに関する権利があるとまでは認められない、などという変なことを言っているが、大型車両同士のすれ違いが困難とされるということは、通行権の妨害となるものである。

(5) その他の問題

 以上のとおり、本件工事によっても、本件市道の大型車同士のすれ違い困難箇所は、何れの地点においても、その困難さは全く解消されていないことが明らかとなった。このことは、本件工事には何の意味もなかったということを物語るものである。そもそも、本件工事個所の中には、奥羽本線の下をくぐる箇所があるが、そこは、道路の拡幅をすることが困難な箇所である。いくらほかの箇所を拡幅したとしてもこの箇所で相互のすれ違いが困難となり、大型車の通行量が増えればこの箇所で詰まってしまい、本件市道は大渋滞を引き起こすことになってしまうのである。道路の途中にこのような箇所を含む道路の他の部分を拡幅したりするなどして利便性を高めようと思っても、結局このような箇所があるために、道路自体の利便性は高まらない。このような道路の拡幅工事を行うこと自体、全く無駄な公共事業であると言わねばならない。 このような無駄なことに公金を支出すること自体が、公序良俗に違反するものと言うべきである。

 

第3 本件工事の経緯の不当性について

1 原判決の内容

 控訴人らは、上山市の設置した清掃工場候補地検討委員会における本件清掃工場の建設予定地の選定行為と、同市の本件請負契約締結行為は、一連の行為であり、上記選定行為は不当な方法で行われているから、本件請負契約ないし本件清掃工場建設計画全体が公序良俗に違反する旨主張している。

 これに対して、原判決は、①清掃工場用地選定行為は山形広域環境事務組合が行ったものであり、本件請負契約とは、主体を異にするものであり、本件請負契約は清掃工場選定行為とは独立したものと認められる、②上山市が選定条件のすり替えを行ったと認めるに足りる証拠はなく、③本件市道が本件工事前後において大型車両対面通行可能条件を満たしていないとまでは認められない、④本件工事の内容が本件市道の全ての箇所において大型車両のすれ違いを可能にするものでなければ、本件工事が公序良俗に反するものとなるわけではない、などという判断を行った。

 しかし、上記①~④の何れの点についても、原判決の判断は誤っている。以下、順に述べる。

2 原判決の誤り

(1) 清掃工場用地選定行為と本件請負契約とは主体を異にするとの点について

 原判決は、前記のとおり、清掃工場用地選定行為は山形広域環境事務組合が行ったものであり、本件請負契約とは、主体を異にするものであり、本件請負契約は清掃工場選定行為とは独立したものと認められる、などという判断を行った。この判断は、前記の清掃工場の建設と本件請負契約とは別の物だという判断と同様に、物事の実態を無視して上辺だけを捉えて、形式的な判断というにとどまらず、物事を歪曲した判断を行ったものであり、これは、原判決を書いた裁判体の得意とするところのようである。

 しかし、前述したように、清掃工場の建設と本件請負契約とは強い関連性を有するものであり、前者がなかったならば後者もなかったものである。そして、清掃工場用地選定行為は、用地選定の条件の一つとして、「敷地が大型車両の対面通行が可能な公道に接しており、又は接することが容易な場所であること(進入道路が必要となる場合は、公道から敷地に容易に接続できる場所であること)」というという条件を満たす必要があり、本件工事は、この条件を満たすために行っているものというべきである。

 また、上山市は山形広域環境事務組合の構成団体の一つであり、全く別の団体というわけではない。

 従って、清掃工場用地選定行為と本件請負契約とは、形式的には主体は別であるが、独立したものではなく、相互に強い関連性を有する者と判断されなければならない。

(2) 上山市が選定条件のすり替えを行っているとの点について

 前記のとおり、山形広域環境事務組合が、清掃工場建設用地を選定するに当たって、提示した条件の一つが、「敷地が大型車両の対面通行が可能な公道に接しており、又は接することが容易な場所であること(進入道路が必要となる場合は、公道から敷地に容易に接続できる場所であること)」というものであった。このことは、訴状にも記したことであるが、同組合が作成した、清掃工場用地選定条件を示した資料に明記されている(甲6・資料3)。

 一方、上山市が清掃工場予定地の選定のために設置した前記検討委員会に対して、8つの選定条件を示したが、そこで示された条件のうち、前記組合が示した接道に関する条件については、単に「④道路とのアクセス」となっており、さらに同市がこの選定条件に関して調査ポイントとしたのは、「幹線道路との接続が容易であるか。また、周辺の交通事情を把握する」というものであった(甲7~9)。

 以上から、上山市が、清掃工場建設予定地の選定に当たり、山形広域環境事務組合から示された「敷地が大型車両の対面通行が可能な公道に接しており…」という条件が、「幹線道路との接続が容易であるか」という条件に変わってしまっていることは、書証から明確に裏付けることができる。

 原判決が述べるように、上山市が選定条件のすり替えを行ったと認めるに足りる証拠はない、などということは全くなく、上山市が上記のような条件のすり替えを行ったことは、明確な書証の裏付けのあることである。原判決が書証を無視したおかしな判断を行ったことは明々白々である。

 それから、原判決は、被控訴人の、本件市道では直線部分で大型車同士の対面通行が可能であるから上記条件を満たしているという主張を鵜呑みにして、そもそも本件市道は、山形広域環境事務組合が提示した接道に関する条件をクリアしており、その上で「幹線道路との接続が容易であるか」と言う別の要件を上山市は検討したものだ、などと言う捉え方をしたということなのかもしれない。しかし、本件市道は、既に述べたように、国道13号線との交差点から清掃工場入口に掛けられた新橋梁に至るまでのそれほど長くない距離の間に、5カ所もの大型車のすれ違い困難な箇所があるのである。従って、単に直線部分では大型車同士の対面通行が可能であるというだけで、本件市道が「対面通行が可能な公道」であると評価することは、一般常識とは相容れない判断であるというべきである。

(3) 本件市道が大型車両の対面通行条件を満たしていないとまでは認められないとの点について

 原判決は、本件市道が大型車両の対面通行条件を満たしていないとまでは認められない、などという判断を行っている。 しかし、この点については、前記第2、2、(2)において詳細に述べたように、本件市道が大型車両の対面通行条件を満たしていないことは明らかである。

(4) 本件工事の内容が、本件市道の全ての箇所において大型車両のすれ違いを可能にするものでなければ、本件工事が公序良俗に反するものとなるわけではない、との点について

 原判決は、本件工事の内容が、本件市道の全ての箇所において大型車両のすれ違いを可能にするものでなければ、本件工事が公序良俗に反するものとなるわけではない、などとも述べている。 しかし、本件工事の内容が、本件市道の全箇所において大型車両のすれ違いを可能なものにしないのであれば、その工事を行う意味が全くないことについても、前記第2、2、(5)において述べた通りである。

 

第4 談合について

1 原判決の内容

 控訴人らは、本件工事の入札結果を示し、10社が入札を行ったが、予定価格を下回って入札をしたのがA土建だけであり、しかも同社の入札価格は予定価格の99%であったことを踏まえ、本件工事の入札においては談合が行われたものと考えられる旨、主張した。

 原判決は、控訴人らが示したのはあくまで入札結果に過ぎず、談合の具体的内容について明らかにするものではなく、他に具体的な談合の事実を認めるに足りる証拠がない、などという判断を行った(14p)。

2 原判決の誤り

 一つの工事について、10社もの入札者があり、落札者以外の会社が予定価格を上回り、しかも落札者の入札価格が予定価格の99%となる、などということは、常識的にみて、入札者(及び上山市)が談合を行った結果であるとしか考えられない。何の作為もなしに、このような整然とした入札結果が出るなどということは通常はあり得ないからである。

 原判決の判断は、このような一般通常人の考えとは相容れないものであり、非常識かつ不合理な判決との誹りを免れない。

 

第5 結論

 よって、原判決の誤りは明らかであり、取り消されたうえ、控訴人らの請求は認容されるべきである。

 


 *以下スキャンデータ

 

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