山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第40号 2016.04.27 (水) 発行

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4月26日に 3件の裁判が行われました

平成27年4月26日(火)午後、山形地方裁判所にて3件の裁判が行われました。非公開の審尋及び弁論準備でしたので、簡単にご報告致します。訴えた原告及び債権者は、いずれも上山市及び山形市に住む守る会の会員です。

1 平成27年(ヨ)第16号 仮処分命令申立事件
相 手:山形広域環境事務組合
主 旨:現在行われている公称エネルギー回収施設(川口)の敷地造成工事差し止めを求める訴訟
提出物:守る会側の準備書面(1)及び証拠説明書・証拠書類

2 平成27年(行ウ)第2号 忠川橋梁建設公金差止請求住民訴訟事件
相 手:山形広域環境事務組合
主 旨:既に完成した敷地に入るための新橋設置工事に掛かった公金支出の差し止めを求める住民訴訟
提出物:守る会側の準備書面(3)及び証拠説明書・証拠書類

3 平成27年(行ウ)第1号 上山市忠川河川占用許可取消請求事件
相 手:山形県
主 旨:組合が設置した進入路に架かる新橋が、一級河川忠川を占用していることが不当として、許可取り消しを求める行政訴訟
提出物:守る会側の準備書面(6)及び証拠説明書・証拠書類

 以上3件の裁判のうち1の敷地造成工事差し止めに関する仮処分については、当日結審しました。結果は、後日守る会弁護士宛に通知される予定です。
また2と3については、次回7月4日(月)の予定です。今回の裁判は、1~3に関し、守る会側が準備書面と新しい証拠書類を提出致しました。いずれも膨大な量でしたので、簡略にご紹介致します。

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 図は、1の組合に対する造成工事差止訴訟証拠書類甲第32号証として提出されたものです。上山市川口地区では現在敷地造成工事が行われていますが、この場所には多面的かつ複数の問題点があります。その一つとして、周辺で河川の増水や崖崩れ、下流の上山市街地での洪水等の災害が挙げられます。これらについては、すでに個別に問題点を指摘し、証拠書類として提出しておりますが、問題点を一覧にしたのが、この表です。

■事実1 平成25年7月
耕作放棄地となった建設予定地から、一級河川忠川へ越水して流れ出る雨水
水田であった土地の保水力限界を超えた状況
■事実2 平成26年7月 一級河川忠川上流に至る上山市道が大規模崩落し、その土砂の一部が忠川に 流入した様子
■事実3 平成26年7月 一級河川前川が豪雨のために氾濫し、造成地に至る五反田橋周辺で氾濫した後の様子
■事実4 平成26年7月 豪雨の際に、造成地隣の里山で土砂崩れが発生し、その後山林を管理する 地元組合によって補修された様子
■事実5 平成26年7月 豪雨による前川氾濫により、五反田橋下流のかみのやま高架橋下周辺のコンク リート護岸が流失した様子

 この図よりも下流の上山市市街地では、同日真夜中、住民に避難勧告が出され、避難を余儀なくされています。また、平成26年3月に上山市によって改訂された【洪水避難地図洪水ハザードマップ】によると、川口集落に接する里山の複数箇所が「がけ崩れが発生するおそれのある箇所」及び「土石流が発生するおそれのある箇所」に指定されています。  さらに、公称エネルギー回収施設造成地に接する里山の一部は、「建設不可エリア(がけに近接するエリア)」に指定されています。  これまで、建設予定地は水田または畑地で、ある程度の保水力を保っていましたが、造成工事が進むにつれ、地面は固められて忠川、前川に排水される雨量は増大することが懸念されます。近年は特に豪雨や地震等自然災害が頻発しており、この造成工事は忠川護岸や前川の安全性を阻害する行為として、差し止めを求めています。

 組合の敷地造成工事に対する仮処分命令申立事件で提出された、守る会側の証拠書類は以下の通りです。

     証拠の標目 作成者   作成年月日   立証趣旨
甲第31号証(写し) 五反田橋付近における前川の計画流量と危険水位流下能力について 山形県の環境と観光産業を守る会 2016年4月13日 忠川と合流後の前川の「計画流量」に比べて、前川が現状でも十分な流下能力を有していないこと等。
甲第32号証(写し) 洪水避難地図 洪水ハザードマップ(平成26年3月改訂・上山市発行)による前川・忠川周囲の浸水想定区域および避難時における危険個所と実際に発生した近年の災害例 同上 同上 忠川との合流点付近及びその下流域における浸水想定区域、がけ崩れの発生する恐れのある個所、近年の大雨の際に実際に前川が氾濫した箇所及び災害が発生した箇所、その時に発生した災害のようす等。

以上

今後の予定 

次回訴訟(於:山形地方裁判所) 

平成28年5月31日(火)14:30~ 敷地造成工事第2回住民訴訟(組合に対する)
平成28年5月31日(火)14:40~ 市道改良工事第2回住民訴訟(上山市に対する)

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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