山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

先週の3件の裁判について [ 平成28年4月26日裁判 / その1 ]

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 平成27年4月26日(火)午後、山形地方裁判所にて3件の裁判が行われました。非公開でしたが、簡単にご報告致します。

  1. 平成27年(ヨ)第16号 仮処分命令申立事件
    相手: 山形広域環境事務組合
    主旨: 現在行われている公称エネルギー回収施設(川口)の敷地造成工事差し止めを求める訴訟

  2. 平成27年(行ウ)第2号 忠川橋梁建設公金差止請求住民訴訟事件
    相手: 山形広域環境事務組合
    主旨: 既に完成した敷地に入るための新橋設置工事に掛かった公金支出の差し止めを求める住民訴訟

  3. 平成27年(行ウ)第1号 上山市忠川河川占用許可取消請求事件
    相手: 山形県
    主旨: 組合が設置した進入路に架かる新橋が、一級河川忠川を占用していることが不当として、許可取り消しを求める行政訴訟

 以上3件の裁判のうち1については結審し、後日結果が守る会 弁護士宛に通知される予定です。 また2と3については、次回7月4日(月)山形地方裁判所で行われます。 1~3に関し、今回の裁判は守る会側が準備書面と新しい証拠書類を提出致しました。いずれも膨大な量ですが、その一部を簡単にご紹介致します。 

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【図】洪水避難地図洪水ハザードマップ(平成26年3月改訂。上山市発行)による前川・忠川周囲の浸水想定区域および避難時における危険箇所と、実際に発生した近年の災害例

 これは1の組合に対して提出した書類で、上山市が発行する洪水避難地図をもとに清掃工場建設予定地周辺を流れる前川と忠川周囲の浸水想定区域、避難時の危険箇所、最近おこった周辺河川の増水や崖崩れをまとめたものです。 上山市川口地区では現在、清掃工場建設予定地の敷地造成工事が行われていますが、この場所には多面的な複数の問題点があります。これらはその様々な問題の一つです。

図の下部の写真の説明(左から順に):

平成25年7月 耕作放棄地となった建設予定地から、一級河川忠川へ越水して流れ出る雨水 水田であった土地の保水力限界を超えた状況
平成26年7月 一級河川忠川上流に至る上山市道が大規模崩落し、その土砂の一部が忠川に流入した様子
平成26年7月 一級河川前川が豪雨のために氾濫し、造成地に至る五反田橋周辺で氾濫した後の様子
平成26年7月 豪雨の際に、造成地隣の里山で土砂崩れが発生し、その後山林を管理する地元組合によって補修された様子
平成26年7月 豪雨による前川氾濫により、五反田橋下流のかみのやま高架橋下周辺のコンクリート護岸が流失した様子

 これらよりも下流の上山市市街地では、大雨により同日真夜中に住民に避難勧告が出さ れ、真夜中に避難を余儀なくされています。(被害の様子は以前の記事でとりあげていますので、こちらをご覧下さい)

mamorukai.hateblo.jp

 また、平成26年3月に上山市によって改訂された【洪水避難地図洪水ハザ ードマップ】によると、川口集落に接する里山の複数箇所が「がけ崩れが発生 するおそれのある箇所」及び「土石流が発生するおそれのある箇所」に指定されています。

 さらに、公称エネルギー回収施設造成地に接する里山は、「建設不可エリア (がけに近接するエリア)」に指定されています。

 これまで、建設予定地は水田または畑地で、ある程度の保水力を保っていましたが、造成工事が進むにつれ、地面は固められて忠川、前川に排水される雨量は増大することが懸念されます。

 近年は特に豪雨や地震等自然災害が頻発しています。守る会は、この造成工事は忠川護岸や前川の安全性を阻害する行為として、差し止めを求めています。

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