山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

山形県に公開質問状を提出しました

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 現在、上山市川口の清掃工場建設予定地造成工事では、隣接する「忠川」の左岸壁に、排水樋管を設置するための工事が行われています。
 この排水樋管は図面上、直径1000φとされており、南側に接する里山に降った雨水を排水するとされています。これまで、水田や畑地に留まっていた大量の雨水が、この前川ダム放水路に排出されることになります。
 この樋管を設置するのは山形広域環境事務組合ですが、忠川の管理者は、山形県です。この樋管設置に関し、組合は山形県に設置申請を行い、許可されていますが、この1月に組合は護岸壁を大きく切断するに至りました。護岸は切断され、建設予定地側の土を除去されたままです。
 守る会は、これらの工事にいくつかの疑問を感じておりますので、守る会弁護士を通じ、山形県宛に公開質問状を送付致しました。


平成28年2月3日

山形県知事
吉村美栄子 殿

山形県の環境と観光産業を守る会

公 開 質 問 状

 平成27年7月29日、山形県の環境と観光産業を守る会(以下、守る会と略す)は、山形県宛に「上山市川口エネルギー回収施設敷地造成工事に係る書類」1. 排水樋管設置許可申請書一式 2.1の山形県設置許可書 3.雨水排水水量計算書、及び排水管断面計算書(但し、1に含まれる場合は除く)の公文書開示請求書を提出し、同年8月12日に請求文書を受理致しました。
 この敷地は、山形県が管理する一級河川「忠川」に接しており、その左岸壁の2箇所に排水樋管(上流側)及び排水口(下流側)を新たに設置するための、忠川左岸占用許可申請に関する文書です。
 受理した公文書によりますと、山形県は平成27年5月13日に、申請者である山形広域環境事務組合(以下、組合とする)より申請書を受理し、翌5月14日に起案、同年7月23日に決済後同日施行されています。占用許可期間は許可日(平成27年7月23日)から平成28年3月31日まで。行政事務的意見として「山形広域環境事務組合による、エネルギー回収施設新設に伴う排水口及び排水樋管の新設であり、公共的な目的で行われること及び河川管理上特に支障となるものではないから、許可するもやむを得ない。許可期間は内規により、10年以下とする」とあります。また技術的意見としても「許可するもやむを得ない」と記載されています。これにより組合は、平成27年8月より造成工事を開始しましたが、守る会は安全上等の問題から、組合に対し造成工事差し止めを求める仮処分命令申し立てを行い、現在に至っています。

 さて、前置きが長くなりましたが、この造成工事に含まれる忠川左岸への排水樋管及び排水口設置のために、組合は山形県管理下にあるコンクリート護岸壁を、大きく切断する手法を採っています。これについては、守る会が受理した申請図面に概略掲載されていますが、護岸の安全上問題はないとお考えでしょうか。以下、3点の質問に回答戴きたく、公開質問状を提出させて戴きましたので、宜しく御願い申し上げます。

御質問

  1. 忠川左岸壁切断について
    申請図面「エネルギー回収施設(川口)建設事業敷地造成工事」図面NO.19「排水樋管工平面図」に依ると、既存の忠川左岸翼壁を幅2611mmに渡り除去するように記されています。実際平成28年1月において、左岸壁は切断除去された状態が続いていますが、その後どのように護岸を復旧するか、図面には記載されていません。但し、雨水排水計画P41に於いては「本体の既設配筋を可能な限り残し、補強のための鉄筋を配筋する」とあります。しかし、この「可能な限り」という表現における護岸の接続は、非常に曖昧であり、護岸構造の安全性を保障できるものではないと考えます。現在忠川内と敷地内には土嚢が積まれた状態、かつ左岸の敷地側は土が除去されて護岸壁が剥き出しになっており、河川管理上非常に危険な状態ではないかと思われます。この工事を河川管理上安全であると判断された理由は何か、また、今後護岸をいつまでに復旧するのか、復旧させる際に行う配筋の具体的内容はどのようなものか、忠川管理者としてご回答下さい。
  2. 忠川左岸の管理用通路について
    1同様の申請図NO.22において、忠川の管理用通路は2m幅で設計されています。河川管理施設等構造令第21条によると、堤防の天端幅は3m以上であり、第27条では、堤防の管理用通路の必要性が謳われ、規則第15条によれば、堤防の管理用通路の幅員は3m以上とされています。これによると、幅2mの管理用通路は、河川管理施設等構造令に反しています。旧橋梁を河川管理に使用するとの回答を 戴いておりますので、忠川左岸の管理用通路は、当然構造令に従うべきと考えます。これに対し、山形県が組合へ許可を出された理由について、ご回答下さい。
    河川管理施設等構造令 http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S51/S51SE199.html
  3. 忠川、及び前川の河川整備基本方針、河川整備計画未策定について
    工作物設置許可基準によれば、第四の一では、「工作物の設置にあたっては、河川整備基本方針に従ってさだめた計画横断形に適合した位置を選定する」とされています。忠川、前川については、平成9年河川法改正より20年近く経つにも拘わらず、いまだ河川整備基本方針、河川整備計画が策定されておらず、河川計画横断形が決められないまま工作物の許可がされており、申請、審査、許可の書類も残されていない。従って、この度の排水口及び排水樋管の設置は、上記工作物設置許可基準に違反しているのではないでしょうか。この現状について、どう考えられますか。
    改訂 工作物設置許可基準

    http://www.jice.or.jp/cms/kokudo/pdf/tech/material/kousakubutusecchi.pdf

以上3点に付きまして、ご回答下さいますよう宜しくお願い申し上げます。

写真は2016年1月の忠川左岸壁における切断部分の様子。赤枠の壁面が切断除去されている。f:id:mamorukai:20160206204938j:plain

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