山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第34号 2015.12.05 (土) 発行 山形県上山市清掃工場に関する3件の裁判と、2件の住民監査請求について

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3件の裁判と2件の住民監査請求に関する意見陳述が行われました

 平成27年12月4日(金)山形地方裁判所に おいて上山市の公称エネルギー回収施設工事に 関する3件の裁判が行われました。 また12月3日(木)には、山形市役所において 敷地造成工事の住民監査請求に関する意見陳述、 さらに4日には上山市役所において、市道拡幅工事の住民監査請求に関する意見陳述が行われました。今号では、それらの報告を行います。

平成27年12月3日 (木) 14:00~ 組合監査委員に対する意見陳述

内容   平成27年10月28日に申し立てた敷地造成工事に関する意見陳述
場所   山形市市役所10階1002会議室
対象   山形広域環境事務組合監査委員
陳述者   守る会会員3名(請求人17人の代表)
請求の主旨
      
エネルギー回収施設建設のための敷地造成工事は、契約内容が不明確であり、河川法に違反して違法であり、かつ請求人の人格権、財産権を侵害するものであり、支出をすることは許されないため、すでに支払った工費の差止と管理者及び対象企業に対し、損害賠償請求、不当利得返還請求を求める。(証拠1号から27号まで提出済み)

陳述の概要

  1. 山形県の環境と観光産業を守る会代表

     敷地造成工事は、上山市川口の場合、県や国の許可なくして着工できるものですが、その影響は甚大であり、組合の責任は非常に重いと言えます。何故なら単に敷地を造成するだけではなく、豪雨の際に造成工事によって被害を受ける市民が広範囲に及ぶ危険性が高いからです。工事は急いで発注され、着工されましたが、十分な監査をお願いしたい。
     行政は、市民の生命と財産を守ることが仕事なのだと思います。特に、昨年の上山市中心市街地の洪水において、周辺住民は真夜中の避難を強いられる等恐怖を体験しました。私は守る会代表として、前川の洪水により被害を受けた方々に代わり、この場で意見を述べさせて戴きました。

  2. 造成工事現場に隣接する企業代表

     社員を擁する企業として日常的に上山市道を利用しているが、昨年、一昨年の豪雨で前川の水位が上がり、上山市道やそこに架かる五反田橋が危険な状況になりました。また造成地から雨水が溢れ、すぐ上の市道は大規模に崩落して土砂が忠川に流れ込みました。これらの写真は、証拠として提出されています。公称エネルギー回収施設の敷地造成工事が行われると、接する里山や敷地から現在よりも遥かに多量の雨水が排出されるようになります。それにより、私たちやダム周辺に居る人たちは、災害時の避難路を断たれることになりかねません。忠川と前川には、現在も河川整備計画がない上に、組合の造成工事資料に於ける排水量の数式には、誤りがあると思われます。本来は敷地内に流量調整池を造り、忠川への排水量を調整すべきでした。造成工事は危険であり、誤りであると思います。

  3. 上山市川口地区で農業を営む住民代表 

     平成25-26年と2年連続の豪雨で前川は増水し、農地と農地に接する護岸が崩れて 被害を受けました。この頃は豪雨が多いので、今後が非常に心配です。公称エネルギー回収施設の造成工事によって、忠川(前川ダム放水路)に多量の雨水が排水され、その水が前川に流入して、今以上の洪水になることには耐えられません。これ以上、前川の流量を増やすべきではないと思います。危険な造成工事を見直し、豪雨の際も安心して暮らせるようにして戴きたいと思います。

以上、敷地造成工事に関する意見陳述

平成27年12月4日に行われた3件の裁判概要

(1) 11:30~  忠川 (前川ダム放水路) に架けられた新橋に関する行政訴訟 (弁論準備)

内容 上山市忠川河川占用許可取消請求事件
対象 山形県
解説
  
守る会は、架橋工事により新たに盛土された余分な土の圧力が、忠川のコンクリート護岸壁に悪影響を与え、崩壊する危険性を指摘しています。しかし山形県は、この架橋工事に対し許可を下ろしていますが、その責任を問うものです架橋工事によって盛り土された新たな土圧が、工事前と比較してどれくらい増加したかを示す水平力比較計算書と、忠川左護岸の網目状クラックに関する証
拠書類(37~39号証)を追加提出しました。

(2) 11:45~ 忠川 (前川ダム放水路) に架けられた新橋に関する住民訴訟 (弁論準備)

内容 忠川橋梁建設公金差止請求住民訴訟事件
対象 山形広域環境事務組合
解説
  
守る会は架橋工事の危険性、不当性について平成27年2月17日に、組合監査委員宛住民監査請求を求めていましたが、同3月18日に却下されたため、4月14日山形地方裁判所に対し、住民訴訟を提起しました。今回は架橋工事によって盛り土された新たな土圧が、どれくらい増加したかを示す水平力比較計算書と、忠川左護岸の網目状クラックに関する証拠書類(35~37号証)を、山形県同様追加提出しました。

(3) 13:15~ 組合に対する敷地造成工事仮処分命令申立第1回審尋

内容 公称エネルギー回収施設敷地造成工事差止請求
対象 山形広域環境事務組合
解説
  
守る会は、去る10月28日に山形地方裁判所に対し、山形広域環境事務組合が行っている公称エネルギー回収施設敷地造成工事が、危険、かつ不当であため造成工事を差し止めるよう申し立て、今回第1回審尋が行われました。

 

平成27年12月4日 (金) 14:00~ 上山市監査委員に対する意見陳述

内容   平成27年10月29日に申し立てた上山市道改良工事に関する意見陳述
場所   上山市役所3階301会議室
対象   上山市監査委員
陳述者   守る会弁護士及び会員1名
請求の主旨
      
国道13号線より公称エネルギー回収施設に至る上山市道は、大型車同士
の対面通行が不可能ということで、一部拡幅工事が行われています。
しかし、この拡幅工事が終了しても他の数カ所に対面通行が不可能な箇所
は残り、車だけではなく歩行者や軽車両の安全を確保することができませ
ん。隣接企業やその先にある前川ダム周辺の観光客の安全が守られるよう
無駄な市道拡幅工事は中止すべきです。また工事について談合が疑われま
す。

陳述の概要

  1. 守る会弁護士

     国道13号線から建設予定地に入るために使用される上山市道は、現在一部拡幅工事が行われているが、それ以外の部分では大型車同士のすれ違いが不可能な状況になる。それは隣接する企業の通行権を侵害するものであり、敷地の基本選定条件に反するものである。それにも拘わらず、上山市が川口地区を選定したこと自体がそもそもの誤りである。また故意に選定条件を変えたことは、市民を欺いた行為で、許されることではない。この造成工事に至る入札は、落札者の提示した価格が予定価格の99%を超えるものであり、全くもって不自然であると言える。

  2. 隣接する企業の代表者

    上山市の誘致企業として上山市に移転して以降、地域に様々な協力をし、法人税や固定資産税も滞ることなく支払って来た。しかし、今回の公称エネルギー回収施設建設に関しては、最も近い場所にありながら、事前に知らされることはなかった。それ以降も上山市は、業務に支障のあることを立て続けに推進しており、常に話し合いは不調であった。公共事業とは、地域にとって有意義な事業であるべきではないだろうか。

以上、上山市道拡幅工事に関する意見陳述

 

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平成27年10月23日 岐阜市クリーンセンター爆発事故について

 平成27年10月23日午前10時40分過ぎ、岐阜市のごみ処理施設「市東部クリーンセンター」粗大ごみ棟から出火。その後消火作業中に、貯蔵してあった油に引火し、爆発が起きたと報じられました。出火当時、岐阜市内の小学生49人が施設を見学していたとのことですが、出火直後に避難したため、幸い子どもたちにケガはなかったとのことです。爆発した粗大棟は、鉄骨構造一部鉄筋コンクリート造で、延べ4253㎥。保守点検中に出火し、その2時間後に爆発した。(TBSニュース・岐阜新聞より)
 隣接するごみ溶融工場は、旋回流型流動床式焼却炉で一日あたり450トンのごみ焼却能力を持ちます。これらの一般的にクリーンセンターと呼ばれる「ごみ処理施設」は、全国的に爆発を含む事故が見られます。化学薬品を多く使用するため、このような事故が起きても何ら不思議ではありません。それにも拘わらず、「クリーン・安全」をキャッチフレーズにして小学生や、町内会等の見学会を推進しているのは、あまりにも安易で危険ではないでしょうか。岐阜市では周辺に人家がなかったということですが、上山市川口では敷地に隣接して奥羽本線(山形新幹線)や企業、農家が存在します。緊急時に消防車や救急車等が早急に侵入できるのか、改めて敷地選定に誤りがなかったのか、考え直すべきであると、守る会は強く訴えたいと思います。

今後の予定

平成28年2月26日(金) 山形地方裁判所

 

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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