山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

山形市長宛の広域清掃工場建設計画の見直し御提言書

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(写真:電車からみた清掃工場建設予定地造成工事 2015年11月10日)

 会報「澄んだ空気と水 31号」では、広域清掃工場建設計画に関する管理者宛の提言書を公開しましたが、本日は山形市長宛の提言書を公開致します。


平成27年11月9日

山形市
佐藤孝弘 殿

山形県の環境と観光産業を守る会
代表 結城玲子

広域清掃工場建設計画の見直し御提言書

現在、山形市上山市・中山町・山辺町の二市二町で広域清掃工場建設計画が進められていますが、私たちの子ども・孫世代の将来を考え、下記見直しを提言致します。

 建設予定の清掃工場は、“流動床式ガス化溶融炉”といい、安全でクリーンな施設であることを前提に、建設計画が強引に進められています。しかし、全国に目を向け調査すれば、人体に有害な化学物質が多量に排出される危険性が極めて高いこと、さらに故障に伴う維持費が莫大にかかることが判明しています。(これらの根拠に付きましては、添付の山形県の環境と観光産業を守る会会報をご覧下さい)

 そもそも、清掃工場は大量生産・大量消費社会を背景に建設されてきた経緯があり、現状の生活を維持するために必要とはいうものの、ダイオキシン問題で知られる“危険な施設”です。東日本大震災により原発の危険性が再認識されましたが、清掃工場も同じです。ひとたび故障すれば、危険な化学物質が大量に放出される危険性をはらんでいます。

 山形県の環境と観光産業を守る会は、我々の将来世代に安心安全な未来を残し受け継いでいくことが我々の最大の責務であると考えます。生ごみもプラスチックも分別しないで焼却してしまうことを可とする現状のごみ処理は、ダイオキシンをはじめとする危険な化学物質の発生原因となるだけでなく、焼却炉の維持修繕に多額の費用を要します。最新式の“流動床式ガス化溶融炉”は自転車も燃やせるとの触れ込みがありますが、前述のとおり、事故が多いため危険極まりなく、莫大な税金を要することから、経済的にも将来世代にとって大きな負担になります。

 持続可能な循環型社会の実現のために見習うべきは「レインボープラン」で知られる長井市地域資源循環型社会システムです。折しも近日の山形新聞に「明治大生がレインボープラン調査」の記事が掲載されていますが、二市二町でもレインボープランが採用されれば、観光産業をはじめ、様々な分野でプラスの相乗効果が期待できます。山形市は、山形県と協働し、この政策を地域に見合ったシステムとして県全体で推進すべきと思います。具体的には、現在山形市が進めている生ごみのコンポスト処理に対する補助金を増やし、生ごみのたい肥化を推進します。これらは山形市民に浸透しておらず、未だに燃えるごみとしてプラスチックと一緒に大量焼却されています。それ故、山形市のごみ削減量は、非常にゆるやかです。生ごみに含まれる水分、塩分は、ダイオキシンの発生源であり、炉を傷める原因でもあります。ダイオキシン類の一部は、バグフィルターを透過するため効果は万全ではない上、交換時の高額な費用は財政を圧迫します。コンポスト処理された肥料を回収し、山形市周辺の農作物に活かせば、農作物のイメージアップにもつながると確信致します。

 以上により、現実的には、清掃工場は立谷川1カ所に限定する。レインボープランの普及と3R推進により、焼却ごみの極少化を進める。そして、将来的には立谷川清掃工場を縮小・廃止していく。これが、山形県の環境と観光産業を守る会が提言する見直し内容です。

 今の便利で快適な生活を続けられるだけ続けて、そのツケは将来世代に回す政策を選ばれますか?
 それとも、安心安全な未来を将来世代に残されますか?

 新しい山形市を創造するため、佐藤市長のご英断を心よりご期待申し上げます。以上、ご検討下さいますよう、宜しくお願い申し上げます。


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