山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第31号 2015.11.11 (水) 発行 上山市川口地区へのごみ焼却場建設についての提言書(後編)

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(前編からの続き)

2. 税金の無駄遣いであり、将来の負担増加となります。

(1)ごみは確実に減少しています。

  1. 川口のごみ溶融炉が竣工する平成30年までには、人口減少(ごみ排出数減少)、高齢化(排出原単位の減少)、3R推進によるゴミの減少が見込まれますが、これらは新工場建設に係る組合の排出原単位に見込まれていません。
  2. また、事業系ごみとして出すべきごみを家庭系ごみとして排出していることも読み取れました。事業系ごみの出し方をきちんと見直すべきです。
  3. 過去10年に渡る半郷と立谷川の一般ごみ焼却資料を、専門家に分析して戴いた結果、川口工場竣工時には、燃やすべきごみはほとんど無くなっているとのことでした。
  4. 山形市を含む二市二町では、現在ゴミ減量活動に取り組み、排出量は減少しています。
  5. なんでも燃やせるという触れ込みの流動床式ガス化溶融炉は、生ごみへの他ごみ混入を推進し、これまでの努力を無にしてしまう危険性も持ち合わせています。
  6. 4市町における人口の減少や、市民のエコ意識の向上によるゴミ総量の減少が認められる中で、高額な焼却工場が果たして2カ所必要であるか、早急に再検討する必要があります。
  7. 立谷川で下処理したゴミを20㎞以上離れた川口に運び焼却するよりも、同一場所で焼却完結することは最も経済的かつ、工期も短くて済むと考えます。また、道路の混雑解消や二酸化炭素排出量削減にもつながります。

(2)規模及び金額が大き過ぎます。

  1. 2工場で300トンもの処理能力を持つ必要があるとは思えません。ごみ排出量の過大評価による、税金の大いなる無駄使いとも言えます。
  2. 組合に依りますと、川口の溶融炉建設事業入札試算価格は、223億5800万円(土地代・地域振興費別)となっています。さらに、山形市立谷川の溶融炉建設費用は同一規模で、185億4300万円(落札価格/税別)となっており、これだけで二市二町のエネルギー回収施設工事費は、合計409億0100万円となります。
  3. 山形市上山市・山辺町・中山町の受益者人口は合計312,954人(平成25年度)であり、一人当たりの負担額は約13万円超で、この規模の自治体にしては巨額の予算であると言えます。

(3)将来の負担減のためにも、循環型社会構築をめざすべきです。

 焼却炉の負担が大きい生ゴミをコンポスト処理して堆肥化を推進し、焼却処理するゴミ総量を削減すること、即ち循環型社会構築が将来の負担減に有効であると考えます。さらにその堆肥を山形県内の作物栽培に使うことにより、安全安心の山形産農作物を育て、未来を担う子どもたちの食育にも利用できれば「食産業王国やまがた」実現の第一歩になるものと考えます。3.11以降の食品に対する不安感が募る状況で、これは大切なことです。

3.重大な人権無視が存在します。

(1)上山市における建設予定地選定の経緯が、あまりにも非民主的です。

  1. 市民検討委員会を作り、あたかも民意を反映させたかのような形式を取りながら、作為的に検討資料を不適切な表現にしたことは、川口住民の民意に反し、人権を無視した行為です。
  2. 川口地区の景観と環境を守る会が、建設地の白紙撤回を求める署名を提出しましたが、それに対し誠意ある回答は得られませんでした。

(2)土地収用交渉も、行政の行為としてまったく不適切です。

  1. 建設予定地の地権者に対する土地収用交渉が、一部地権者に対し強引に行われ、地域や家庭内の和を崩壊させています。
  2. 建設予定地の収用価格は周辺相場と比較して高額であり、また価格算定根拠も不審な点あり、公金支出としても不適切です。
  3. 清掃工場は、建設後数十年に渡りその場に存在するものです。清掃工場移転の計画が浮上してから14年という年月が経過した今、十分な環境及び景観アセスメントも行われないまま、不適切な場所に不適切な方式の清掃工場が建設されようとしています。
  4. 平成24年12月6日、山形広域環境事務組合管理者市川昭男山形市長(当時)より、広域清掃工場(エネルギー回収施設)の最終候補地が、上山市川口地区であると一方的に発表されました。
  5. 平成12年に、有識者によるゴミ処理施設建設用地検討会が設置されて以降、候補地は二転三転し、結果上山市川口と決定されたことになります。その間時代は一回りしましたが、候補地選定に関わる手法、ゴミ焼却処理(ガス化溶融炉)方式に関する安全性、及び2工場方式の経済性等改めて検討する必要性を感じるところです。
  6. 特に川口地区は平成24年5月31日付けの新聞紙上で上山市候補地の一つと発表されてから6ヵ月という異例の早さで最終候補地となりました。この間建設地として十分に、かつ真摯に検討されたと言い得るものか、甚だ疑問に思えます。

 以上の理由により、山形県の環境と観光産業を守る会は、上山市川口地区へのごみ焼却場建設中止をご提言申し上げます。二市二町の新しい時代を拓くため、ご英断をお願い申し上げます。

 

今後の予定 (於:山形地方裁判所)

12月4日(金) 11:30~ 架橋工事差止行政訴訟山形県
  13:15~ 造成工事仮処分 (組合) 第1回審尋

 

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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