山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第28号 2015.9.30 (水) 発行

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山形県知事宛に公開質問状をお送りしました

山形県の環境と観光産業を守る会(以下守る会と省略)は、公称エネルギー回収施設(川口)敷地造成工事に係る申請図面や構造計算書、雨水排水計画書及び組合の許可申請書、山形県の許可書等々を情報公開申請し、書類を受領致しました。これらの書類を精査した結果、守る会弁護士を通じて9月8日、造成工事を許可された山形県知事に対する公開質問状を提出し、9月27日に回答書を受理しましたので、ここに公開致します。(書面の関係で、挨拶文等は省略します) 

 


公開質問状

  1.  平成27年7月29日、上記ご担当である山形県村山総合支庁において公文書開示請求書を提出し、それに対し同年8月12日同支庁にて公開文書720ページを受理しました。
     その開示文書中①平成27年7月23日付け指令村総建総第682号に係る許可申請書及び添付書類の中の、「河川敷地占用許可期間基準」の「審査表」において、「行政事務的意見」として「山形広域環境事務組合による、エネルギー回収施設新設に伴う排水口及び排水樋管の新設であり、公共的な目的で行われること及び河川管理上特に支障となるものではないことから、許可するもやむを得ない。許可期間は内規により、10年以内とする」と記載されています。また、「技術的意見」として同様に「許可するもやむを得ない」と記載されています。
     この2つの意見は、どのような意図で述べられたのでしょうか。何故「許可相当と思料する」「許可に支障はない」「許可に問題はない」等の表現ではなく、「許可するもやむを得ない」と言う表現をされたのでしょうか。その理由をお伺い致します。
  2.  上記開示文書の中の「雨水排水計画」の「1-2-9 水路断面の決定」の箇所において、「忠川の計画高水水流量170㎥/sに対して0.08%の増加であり、」と書かれていますが、「忠川の計画高水流量170㎥/s」というのは、山形県の河川整備計画のどこに記載されているのでしょうか。掲載されている文書の表題、作成年月日、その記載ページをお知らせいただけますよう、お願い致します。また、河川整備計画以外の文書に記載がある場合も、その文書の表題、作成年月日、その記載ページをお知らせいただけますよう、お願いいたします。それから、それらの文書の該当ページの写しもお送りいただければ幸いに存じます。

  3.  上記開示文書中に「表13-28 前川危険水流化能力一覧表」というのがありますが、この表は、何という文書から引用されているのでしょうか。その文書の表題、作成年月日をお知らせいただければ幸いです。また、この表の中に、「計画流量(㎥/s)」という欄がありますが、この欄に書かれている流量は、その文書において策定された流量なのか、あるいは別の文書から引用されているものなのでしょうか。もしこれが別の文書から引用されているものだとした場合、その文書の表題、作成年月日をお知らせいただけますよう、お願いいたします。

     以上、ご多忙中恐縮ではございますが、本書面到達後、2週間以内に文書にて回答戴きたく、宜しくお願い申し上げます。以上の段、よろしくお願いいたします。

以上 


 

上記質問状に対する山形県の回答

公開質問状について

 平成27年9月8日付けでいただきました公開質問状について、下記の通り回答させていただきます。

  1. 「許可するもやむを得ない」という表現の意図について

    ・河川法第24条による河川占用許可については、「逐条解説 河川法解説」によると、「河川」区域内の土地は、河川管理施設と相まって、雨水等の流路を形成し、洪水を疎通させ、洪水による被害を除却し、又は軽減させるためのものであり、かつ公共物として本来一般公衆の使用に供されるべきものであるから、その占用は、原則として認めるべきものではない。しかしながら、占用の目的、態様によっては、公園、広場のように一般公衆の使用を増進する場合、ダム設置の場合のように河川を離れた社会経済上の必要性に基づいて河川としては甘受しなければならない場合等意義はさまざまであるが、占用の制度は不可欠である。」との解説があります。今回の河川法第24条及び第26条に係る許可申請については、原則として認められない事項についての許可申請ではありますが、「河川敷地占用許可準則」及び「工作物設置許可基準」等の基準に基づき審査の上、基準を満たしているので、内部決済の過程では、制度の基本的考え方に基づき、「許可するもやむを得ない」という表現をしております。なお、許可案件を内部決済する際は、原則この表現を用いることとしております。

  2. 「忠川の計画高水流量」について

    ・「忠川の計画高水流量170㎥/s」については、村山地区の河川整備計画「一級河川最上川水系 村山圏域河川整備計画【変更】(知事管理区間)」(平成15年9月24日策定(平成25年3月1日一部変更))には記載されていません。これは、「前川治水ダム事業計画書」(昭和48年12月作成)P25に記載されています。

  3. 「前川危険水位流下能力一覧表」について

    ・平成27年8月11日付け村総建総第351号で開示決定しました公文書の平成17年度洪水ハザードマップ整備事業倉津川外浸水想定区域検討業務委託報告書により検討し、算定された表になります。また、「計画水量(㎥/s)」については、「前川治水ダム事業計画書」(昭和48年12月作成)P24~25から引用しています。

【添付書類】

  • 最上川水系前川 前川治水ダム事業計画書〔参考資料〕昭和48年12月 山形県 P24 (図1-8計画高水合成波形) ~25 (図1-9計画高水流量配分図)
  • 平成17年度 洪水ハザードマップ整備事業 倉津川外浸水想定区域検討業務委託報告書 平成18年3月 山形県村山総合支庁 パシフィックコンサルタンツ(株) 5-1(対象降雨の選定) 13-62(前川における危険水位等の検討) 表13-28(前川危険水位流下能力一覧表)


 

 山形県より以上の回答を得ましたが、私たち守る会と致しましては、今ひとつ納得することができません。複数の疑問は残りますが、特に上山市内を流れる一級河川前川は、事実として平成25年、26年と2年連続で氾濫しており、幸いにも死傷者はなかったものの、洪水対策が十分ではないことが明らかになっております。現在の河川整備状況では不十分であること、更に公称エネルギー回収施設建設によって、前川に今以上の工場排水及び雨水が流入することを考慮すれば、建設計画をすること、建設計画を許可することのどちらも住民の安全性を欠いた計画であると考えざるを得ません。守る会は、川口地区周辺のみならず、浸水被害の大きかった上山市中心市街地の安全確保のために、更なる検討を重ねて参ります。上山市役所や市議の方々は、このような安全性について検討されたことがあったのでしょうか。

 

山形県上山署より上山市道に関する回答をいただきました

 現在工事が行われている国道13号線から公称エネルギー回収施設に至る上山市道の安全性について、8月6日、守る会弁護士を通じて山形県上山署長宛通知をさせて戴きました。(守る会会報27号をご参照ください)。「市道前川ダム東線の道路改良工事に関する道路使用許可の件」に対し、8月25日、山形県上山警察署長より回答を戴きましたので、以下の通り公開致します。

 


 

「道路改良工事に関する道路使用許可に関する件」について

 

 時下ますますご清祥のこととお喜び申し上げます。
 貴殿より本年8月6日付け「市道前川ダム東線の道路改良工事に関する道路使用許可の件」でご通知いただきました件につきましては、交通の安全と円滑を図るため必要な条件を付した上で許可をしたものであり、当該許可を取り消す必要はないと考えています。
 当署では、今後とも交通の安全と円滑に尽力して参りますので、ご理解とご協力をお願いします。

以上

 


 

山形市長立候補者の方々に公開質問状をお渡ししました

 平成27年9月13日に投票が行われた山形市長候補者3名の方々に、守る会は下記公開質問状をお渡しし、2名の候補者の方から回答が得られましたので、公開致します。

質問 A.貴方のめざす【環境先進都市やまがた】とは、どのようなイメージでしょうか。該当する項目に〇をつけて下さいますよう、お願い申し上げます。

  1. 週2回ごみ集積所に置かれた燃やすゴミが速やかに回収されて、集積所に残っておらず、観光客等の方々に、きれいな町並みの印象を与えられる都市。
  2. 資源ゴミの収集日や、資源ゴミの回収車を見かけることが多いこと。また、燃やすゴミの収集日は少なく、循環型社会への市民や企業の意識が高いこと。さらに資源化率が高いため、集積所に集まる燃やすゴミの量が少ない都市。

  3. いずれにも該当しない場合、下欄にイメージをご記入ください。

質問B. 横浜市の「横浜G30」という30%ごみ減量化の取り組みについて、どのように考えられますか。該当する項目に〇をつけてください。

  1. 同じ地方都市として、30%もの資源化率アップを実現することは不可能と考えます。現在の取り組みで十分と思う。

  2. 横浜市で可能で、山形市で出来ないはずがない。山形市の優秀な職員による集積所単位の市民への働きかけや学習により、大幅に資源化率をアップし、循環型社会をつくることはできると考える。
  3. ゴミは燃やして減量化する方法が一番良いと思う。新型炉になれば、焼却灰を溶かしてさらに減容化でき、最終処分場の延命も可能。プラスチックも助燃材として有効に活用できると思う。
  4. いずれにも該当しない場合、下欄にイメージをご記入ください。

【回答】回答順(即日開票により佐藤孝弘氏が当選され、新山形市長となられました)

  • 梅津庸成氏  質問Aの回答は1と2を選択。質問Bは無回答。
  • 五十嵐右二氏 質問Aの回答は1を選択。質問Bは、2を選択。
  • 佐藤孝弘氏  回答なし

以上

今後の予定 (於:山形地方裁判所)

10月7日(水)10:00~ 第4回 審尋(山形広域環境事務組合)
10月7日(水)10:30~ 第4回取消訴訟(山形県)の弁論準備
      11:00~ 記者会見(山形市役所内記者室予定)

 

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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