山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第27号 2015.8.23 (日) 発行

組合側、敷地造成工事を強行 ! 

 現在、山形広域環境事務組合(以下組合と略す)と山形県との間で訴訟や審尋が続いていることは、ご報告のとおりです。上山市川口の建設予定地までは、山形方面から国道13号線を利用し、川口交差点で上山市道に入ります。この市道は、前川ダムに向かう山道になっており、予定地まで現在幅員6.0mのきついカーブの続く一本道です。今年7月からこの直線部の一部拡幅工事が始まりました。更に、8月5日より建設予定地の敷地造成工事を始めるとの通知が7月31日、地区民に対し行われました。

 しかし私たち守る会会員は、現在も建設予定地に入るための新橋「忠川橋」に対する使用差し止めを求める訴訟を継続中です。差し止めを求める理由は前号でお知らせしましたが、前川ダム放水路である「忠川」のコンクリート護岸が劣化しているため、新橋を使うことは護岸に負担が掛かり、危険であるという見解です。特に新橋下の護岸壁には、周辺護岸よりも多くのクラックが目視できます。組合と忠川を管理する山形県は、この護岸を数年に渡る大型工事の振動等に耐えうるものと証明する書類を提出すべきです。その安全性が示されない限り、周辺住民や前川ダム観光客の方々の安全を確保することはできません。この訴訟は、まだ結審したわけではないのです。

 それにもかかわらず、上山市は市道拡幅工事を開始し、組合は敷地造成工事を始めました。さらに周辺整備工事は進んでおり、川口地区周辺には多くのハード事業が目白押しとなっています。情報公開請求に基づく一覧をご覧下さい。安全性を後回しにした建設ありきの行為と思わざるを得ません。そもそも、平成24年の建設予定地選考会議(上山市市民検討委員会)の委員のほとんどは一般市民であり、建築・土木・都市計画・環境・景観・化学等の専門家不存在の中で、わずか1ヶ月の検討で決められた場所です。議事録によると、安全性の検討が行われたとは思えません。それにしても、その後きちんと専門家が、適正について議論すべきだったと思います。

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上山市川口エネルギー回収施設建設に関わる周辺工事一覧(情報公開請求に基づく) H26.8.21現在 

工事名事業主体工期落札社落札金額(円)
給水管配管工事 上山市上下水道 H26.7.25~11.28 (株)上山設備工業 未調査
川口地区公民館 建設工事 川口地区会 H26.9.1~ H26.12.25 (竣工済) 泰地 建設(造成工事)
さいとう設計室(設計)
中川建築(建築工事)
19,000,000(造成)?
1,500,000(設計)?
48,554,000(建設)?
忠川橋架橋工事 (訴訟中) 山形広域環境事務組合(山形県許可) H26.11.10~27.3.20 (竣工済) 堀川土建(株) (上山市) 57,700,000
西郷地区公民館 設計事業 上山市財政課 H27.4.9~H28.1.29 (設計中) 鈴木建築設計 (山形市) 17,000,000 (設計費のみ)
上山市道拡幅工事 上山市建設課 H27.6.1~H28.3.18 (工事中) 堀川土建(株) (上山市) 116,500,000
建設予定地 敷地造成工事 山形広域環境事務組合 (仮契約) 本契契約移行~H28.5.31 羽陽建設・堀川土建 建設工事共同企業体 370,980,000
川口ポンプ庫新築 及び解体工事 上山市警防係 H27.6.26~H27.9.30(工事中) 小松正和建築設計工房 (設計)500,000
川口ポンプ庫新築 及び解体工事 上山市警防係 H27.6.26~H27.9.30(工事中) (株)土屋建設 (建築解体)4,560,000
川口サイレン放送設備 上山市警防係 H27.6.26~9.30 山形パナソニック(株) 1,280,000
川口遊具設置工事 山形広域環境事務組合(川口地区会) H27.8.3~H27.8.12 (工事中) (株)川井スポーツ 落札資料不存在
施設本体建設工事 (プラント含む) 山形広域環境事務組合 H28.2本契約予定 H27.9上旬~ 受付開始 H27.12落札者決定

 

 今後国道13号線交差点から建設予定地までの条件の悪い市道を、敷地造成工事に関わる大型トラックやクレーン車、ダンプカー等重機類と、道を挟んで立地する企業の大型トラックやトレーラー等、さらにダムの奥で行われている高速道路トンネル工事に関わるトラック等々多くの大型車が、この狭い市道を行き交うことになります。拡幅工事により一部直線部を10m程度に拡幅しても、その他の部分(特に新幹線のガード下以降)は拡幅できません。隣接する企業が業務に支障が出るとのことで、片側交互通行等事業への協力を否定している状況で、この巨大事業は進められるのでしょうか。

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 普通乗用車の車幅は2.0m程度、大型トラックは2.5m程度ですから、スムースにすれ違うためには、道路幅員6.0mは狭すぎます。歩道もなく、新幹線や一級河川、ダム放水路に囲まれた難しい場所で、周辺の人にとって重要な避難路でもあります。さらにこれだけ巨大な施設へのアクセス道が市道1本のみという選定も不適切であり、大型車等将来的にも交通量が増えます。一部拡幅をしたとしても歩行者や車両のすれ違いに支障が出ることが懸念されるため、市道工事を許可された山形県上山警察署へ弁護士さんを通じ、工事許可の取り消しをお願いする下記文書を提出致しました。 

 


市道前川ダム東線の道路改良工事に関する道路使用許可の件

冒頭部は省略します。

 貴職は、堀川土建株式会社に対し、同社が上山市から請け負った、上記前川ダム東線の道路改良工事に関し、当該工事を行う道路について、道路使用許可を出されました。

 上記道路使用許可により、上記堀川土建(株)は、上記道路部分について片側交互通行を行うような規制を実施しております。また同社は、上記道路部分を、資材の搬入等のために頻繁に大型トラック等を通行させ、同社の車両以外の車両の通行をさせないようにしている車線に出入りさせ、その車線にバックで出入りさせる等するために同社の車両以外の車両の通行を可能にしている車線をしばしば阻塞する等の行為を行っています。

 上記堀川土建(株)の上記のような道路使用は、もともとこの道路を日常的に使用していた通知人らの通行を著しく不便にするものです。また、この道路はもともと幅員が広くないため、大型車両が頻繁に通行すること自体において、もともとこの道路を日常的に通行して日常の業務に利用してきた通知人及び来客らの業務ないし生活を阻害し、通行の安全性を著しく低下させるものです。

 そして、この工事が行われている場所は、一級河川前川と忠川との合流点の直近でありますが、予てより、この地点は、豪雨時において川の水が溢水し、道路が冠水する可能性が高い場所です。この道路が国道13号線と交差する直前に、前川に架かる五反田橋がありますが、この橋が冠水する可能性もあります。実際に2013年、2014年と2年連続して、集中豪雨のために、この地区は、前川が溢水しております。このようなことになると、通知人らは避難路が失われてしまいます。更に上流部の前川ダムは釣り客やハイキング客が多く、小学校の遠足などに利用される場です。通知人及び前川ダム利用者等が避難を余儀なくされた場合、本件のような通行規制がなされ、大型車が多数出入りするようなことがなされていると、通知人らは歩道の確保や車の対面通行が困難になり、避難路を失う危険な状態になる可能性が十分にあります。実際平成24年7月には、前川ダム直下の上山市道周辺が大崩落し、先日補修工事が終わったばかりです。

 本件道路使用許可は、上記のとおり、通知人らに被害を与える可能性が高いものでありますので、これを取消していただきたいと存じます。

 また堀川土建(株)による道路拡幅工事と共に、他社による給水管埋設工事が行われる予定です。この工事に関しても道路使用許可申請が行われるものと思われますが、さらにこの道路を混雑させる要因となりますので、これの許可を行わない(すでに認可されて いる場合は許可取り消しする)ことを重ねてお願い申し上げます。

以下省略

 

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H25年7月豪雨時に上山市道沿い前川溢水

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H26年7月豪雨時に前川ダム下上山市道崩落

 

 第2回住民訴訟及び第3回取り消し訴訟の弁論準備が行われました

 去る平成27年7月28日(火)11:00より山形地裁に於いて、山形広域環境事務組合に対する「忠川橋梁建設公金差止請求住民訴訟事件」の第2回住民訴訟が行われました。 引き続き山形県に対する第3回口頭弁論が行われました。今後も忠川橋架橋工事の適否について引き続き争われます。

 さらに、7月30日(木)14:30より山形広域環境事務組合に対する「仮処分命令申立事件」第3回審尋が行われました。守る会側は、コンクリート工学的な準備書面を補充提出し、架橋と周辺盛り土による護岸への影響を訴えました。護岸へ圧力が加わると、護岸壁が崩壊し、忠川の流れを堰き止める可能性も否定できず、危険です。組合側は、それらによる影響はないと主張していますが、その根拠が明らかではありません。その根拠を求めたいと思います。守る会は、今後さらに反論書を準備して次回に備えることになりました。第4回審尋は10月7日(水)10:00からの予定で、結審する予定です。

今後の予定 (於:山形地方裁判所)
9月14日(月)11:30~第3回住民訴訟の電話弁論 (傍聴不可)
10月 7日(水)10:00~第4回 審尋 (山形広域環境事務組合)
10月 7日(水)10:30~第4回取消訴訟 (山形県) の弁論準備  終了後、記者会見を予定しています。

 

< 紙名〈澄んだ空気と⽔〉の命名意図 >

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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