山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第24号 2015.5.31 (日) 発行

松葉ダイオキシン調査の結果について 

 私たち「山形県の環境と観光産業を守る会」は、上山市川口地区に計画されている一般ごみ溶融施設について多方面から研究を重ねて参りました。昨年(平成26年)10月には、ゴミ焼却炉が環境(とりわけ空気)に与える影響があるかどうか明らかにするため、「松葉ダイオキシン調査」を行ったことは、会報でご報告した通りです。

 通常行政が行う調査は、決められた日のみの大気分析に限られており、私たち人間を含む生物が日常的に呼吸している状況の分析とは異なっています。クロマツ、もしくはアカマツの松葉は、調査地にあって日々呼吸しているため、恒常的(長期平均的)なデータを得ることができます。私たちは、現在ストーカ式焼却炉(高温での溶融ではない)が稼働している山形市蔵王半郷地区と、現在は焼却炉が存在していない上山市川口地区のアカマツを採取し、カナダの分析機関で分析した結果を得ることができました。そして、全国で焼却炉が稼働している地区と比較することにより、見えて来た分析結果をこの5月に入手致しましたので、その一部を公開致します。

 このデータは、東京の(株)環境総合研究所がまとめられたもので、山形県だけではなく全国で同様に松葉ダイオキシン調査に参加された複数の市民団体の協力に基づくものです。環境データというものは、そこに居住する人々の熱意と、中立性を保つ検査機関が協力してこそ得られるものであることを実感致しました。

【研修会予告】
お申し込みは次号にてお願い致します。 この報告書をとりまとめられた環境総合研究所顧問でいらっしゃる池田こみち氏をお招きし、分析結果の詳細について研修会を行うことになりましたので、ご案内致します。

日時:平成27年7月4日(土)13:30 ~ 17:00
場所:山形まなび館 地下1階 交流ルーム7
テーマ:松葉調査から分かったこと 資料代 300円


松葉ダイオキシン類調査参加団体 各位

2014年 松葉ダイオキシン類調査参加地域相互比較

 2015年5月11日
株式会社 環境総合研究所
代表取締役 鷹取 敦
顧問 池田 こみち
email: office@eritokyo.jp

 

2014年度の松葉ダイオキシン類調査に参加された各地域のなかで、結果の比較公表にご承諾を頂いた地域について、松葉中ダイオキシン類濃度の比較グラフを作成しましたのでご連絡致します。

1.松葉(クロマツ)に含まれるPCDD、PCDFの濃度比較

2014年度の調査に参加した地域のうち、公表可能な11検体を比較しました。その結果、PCDD+PCDFの毒性等量濃度が最も高かったのは埼玉県寄居町の「彩の国資源循環工場敷地内」2.22pg-TEQ/gでした。比較対象地域として調査した「彩の国資源循環工場」の周辺地域の3倍弱の高濃度となっていることがわかります。

 グラフ中、地名に*印がついている地域は、廃棄物焼却炉などの近傍で松葉を採取しています。同一地域内で2箇所から採取する場合には発生源から離れた場所を対象地域として調査しています。

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図1:2014年度松葉ダイオキシン類調査結果(PCDD及びPCDFの毒性等量濃度比較)
注) *印の地域は発生源周辺、アカマツでの調査地域については、クロマツ換算値

 

2.松葉(クロマツ)の中のダイオキシン類濃度から推定した大気中ダイオキシン類濃度比較

 1.で示したPCDDとPCDFの合計値にCo-PCBの濃度がダイオキシン類濃度に占める割合を20%と仮定して加え、ダイオキシン類の合計濃度を計算した上で、過去の調査より判明している松葉に対する大気のダイオキシン類濃度の比をもとに、松葉採取地域の大気中ダイオキシン類濃度をを推定します。

 図より、焼却炉近傍などの発生源周辺地域が比較対照地域に比べて高いことがわかります。また、青いグラフで示した行政が測定している大気中ダイオキシン類濃度(環境省が公表している全国調査から計算した県平均)と比較すると松葉で測定した結果から推定した大気濃度が高いことがわかります。

 その理由は、松葉から測定した濃度は採取地域の平均、グラフに示したのは県平均であることに加え、行政による大気の測定は年に2回~4回であるのに対して、松葉は間断なく年間を通じて、ダイオキシン類を吸収・蓄積しているため、より長期平均を正確に再現していることがあると考えられます。

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図2 松葉調査から推計した大気中ダイオキシン類濃度の地域比較
注) *印の地域は発生源周辺、アカマツの調査地域についてはクロマツ換算値

 行政が測定している大気中ダイオキシン類濃度の全国平均、地域平均濃度は年々低下傾向を示していますが、焼却炉近傍などの発生源周辺では、廃棄物の組成の変化(廃プラ類の混入率の増加)や施設の老朽化、施設の維持管理のあり方などによって排ガス中のダイオキシン類濃度は一時的に高濃度となることも有り、年平均濃度を上昇させます。

 松葉調査に参加している地域の中には既に数年から10年以上の継続調査を行っているところ(大田原市寄居町所沢市古賀市など)があり、市民の調査が事業者に対する大きな抑止力となっていると思います。行政や事業者が年に1回測定して公表する排ガス中ダイオキシン類濃度は非常に低くても、大気中のダイオキシン類濃度は対照地域と比べて極めて高いことが多々あります。市民による監視活動によって焼却炉の問題点を明らかにし、地域環境の改善に役立てることが松葉調査の役割でもあります。


会員の声ご紹介

【ごみ焼却場は、やっぱり化学工場プラント。多種大量の化学汚染物質を出し続ける】

 焼却場周辺に何も知らずに新築して27年。こつこつ活動して参りました。  

 月刊廃棄物1月号を読み、嬉しかったのは、横浜ゴミを考える・連絡会の記事「小学校喘息被患率がワースト2だった小学校の被患率が激減して、地区は工場停止後に最も喘息が少ない区になった」ことでした。幹線道路は1本だけで、工場もない蔵王二小が喘息被患率ワースト3になったのはなぜか?と疑問に思っておりました。焼却場は24時間稼動です。  

 毎年2回、回覧される半郷工場の汚染度の数字は、ほとんど変わりなく基準内。日々混入される焼却物の違いから、かなり差が出るはずなのに。同じものを焼いておられるのか?  

 焼却場周辺のこどもたちが喘息で苦しんでいる。閉鎖すれば、こどもたちに笑顔が戻る。改修費が浮きます。川口のこどもたちの笑顔を守るため、さらに声をあげます。皆さん、まず市役所に行ってH25・2月発行「山形市ごみ処理基本計画」を貰い、焼却場廃止先進県と比較研究。全国に誇れる市民発「ごみ資源化具体案」作って出しましょう。焼却場はひとつで充分なのがよくわかります。「税金」は焼却費から”資源化費”に。(山形市 女性)

 

 首都圏からのアクセス上、山形盆地の入り口にあたる上山市川口地区に、巨大なごみ焼却炉が建設されようとしています。これは、山形県の自然環境と観光産業に甚大な被害を与えるだけでなく、巨額の税金の無駄遣いでもあり、山形市上山市・中山町・山辺町の財政困窮要因となります。将来を担う私達の子や孫の世代にとって、大きな負の遺産になります。少し考えれば、小学生でもわかることです。折しも、山形市議会議員選挙が先日行われました。投票率5割未満と史上最低を更新したことは、改めて市民の関心の低さを露呈しています。いまや、小学生のほうが社会科の授業で学習している分、大人よりもごみ問題・環境問題及び経済問題に敏感でしょう。「今、できることをやる勇気。できないことについて、それを受け入れる冷静さと忍耐。そしてそれを識別する体力と知恵を、我らに与えたまえ!」 勇気を出して、できることをやる時が、今まさに来ています!(山形市 男性) 

 

 「西から昇ったおひさまが東にしず~む、これでいいのだ、これでいいのだ。」なにかこのたぐいの語りをしょっちゅう聞くようになった。バカボンのパパは生ける老荘だからこれでいいのだ。でも凡俗の輩がこう言ったら、まさしくただのバカ、正気の沙汰じゃない。 でも、この川口地区、小国川、沖縄いろんなところでこのたぐいの言い方が横行している。 まあ「粛々と」とかも言っている。 普通の人が普通に考えても解らないような言い方をする輩は、国語力の低いひとではない。ペダンチックな見栄っ張りのお子ちゃまか、騙すつもりか、煙に巻くつもりか、そんなところだ。要は、理屈が通ろうが通るまいが結論は変えないぞ、ごり押しするぞということだ。そういえば、ジョージ・オーウェルの『1984年』に分けのわからないスローガンがあったな。「戦争は平和である 自由は屈従である 無知は力である。」そのもとにまともに、普通に、言葉を使うことを犯罪視するニュースピークという言語が成立している独裁国家がある。(北村山郡 女性) 

以上

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