山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第17号 2014.12.10 (水) 発行


山形県と山形広域環境事務組合様より回答を戴きました

 私たち山形県の環境と観光産業を守る会から、山形県様宛の質問及び意見に対する回答書を、平成26年10月31日に各部局より戴き、会報16号に掲載致しました。しかし納得できない点も多いため、再度質問書を提出させて戴きました。また同時に11月11日同日、上山市川口に計画されている「エネルギー回収施設」に関する質問書を、事業主体である山形広域環境事務組合様宛に提出させて戴きました。その結果、質問から24日後の12月5日、どちらも回答書を戴きましたので、ここに公開致します。その間山形県河川課様、上山市危機管理室様と直接意見交換をさせて戴いた結果の回答となります。

 

山形県の環境と観光産業を守る会の意見書に対する山形県の回答

拝啓 初冬の候、益々御清祥のこととお喜び申し上げます。

 このたびは、県政に関する貴重な御意見をいただき誠にありがとうございました。御意見をいただいた内容につきまして、担当部局より回答がありましたので、下記のとおりご連絡させていただきます。

質問1:
 「山形県の前川整備計画」につきまして、指示されたHPには計画が見当たりません。これは、山形県の河川整備計画には「前川整備計画」が存在しないということでよろしいでしょうか。

回答:
 河川整備計画は、計画策定時から概ね20~30年後の河川整備の目標を明確にし、個別事業を含む具体的な河川の整備の内容を明らかにしたもので、村山総合支庁管内においては、村山圏域河川整備計画を策定しております。

 整備計画に位置付けられた整備対象河川は、過去の出水状況などから優先度の高い河川であり、ご質問がありました前川については、現在のところ整備計画期間中における抜本的な整備の対象とはなっておりません。(県土整備部河川課)

質問2:
 前川ダムから前川に向かう「忠川」(前川ダム放水路)に、山形広域環境事務組合が平成26年11月10日より橋の架け替え工事を行っております。 これは忠川を管理されている山形県に対し申請、審査、受理された結果の行為でしょうか。

回答:
 平成26年9月10日に山形広域環境事務組合から申請があり、同年10月7日に許可しております。(県土整備部河川課)

質問3:
 ハザードマップについて、村山総合支庁河川砂防課では平成26年5月8日に守る会代表が訪問した際の説明において、前川の堅磐橋周辺は浸水域であることを認めていらっしゃいます。浸水域であることを、早急にハザードマップに反映させる予定はございますか。また、そのように上山市に指示して下さいますか。これは、エネルギー回収施設建設条件として、非常に重要なことです。

回答:
 洪水ハザードマップの基になる、県が作成する浸水想定区域図は、想定される降雨や洪水についてシミュレーションしたものです。一方、内水による湛水など、実態に即した浸水域を洪水ハザードマップに追加する場合は、地域防災計画を所管する上山市が検討することになります。(県土整備部河川課)

質問4:
 蔵王山火山活動に関し火山性微動が頻繁に起こっていますが、それらの地震によって、麓に建設される焼却施設の地盤に影響が出て、建物本体が傾く等の被害が想定されます。この点につきまして山形県建築住宅課様のご意見をお聞かせ下さい。地上高35m、煙突高59m、建築面積5,400㎡の建物を建築確認申請なしに建築することが可能という組合の説明ですが、そのようなことはあり得るものでしょうか。

回答:
 どのような建物であっても、耐震性などに配慮し、安全を確保する必要があると認識しています。なお、以下の建築物や工作物は、建設する場所に関わらず確認申請が必要です。

  • 木造以外の構築物で、2以上の階数を有し、又は延べ面積が200㎡を超えるもの。
  • 高さが6mを超える煙突。
  • 木造の構築物で3以上の階数を有し、又は延べ面積が500㎡、高さが13m若しくは軒の高さが9mを超えるもの。

(県土整備部建築住宅課)

質問5:
 上山市川口は、イザベラ・バードが歩いたアルカディア街道そのものであり、慶長出羽合戦の古戦場で、最上軍と上杉軍が鬩ぎ合った歴史的な場所です。さらに建設予定地に接する里山は「物見山」と呼ばれた場所です。前川ダム近くには戦死者を祀る「首塚」も存在しています。観光地としても重要な役割を果たす場所の上に無粋な巨大工場が存在することは、景観上問題ではないでしょうか。景観審議会での検討はされたでしょうか。まだであれば、歴史的景観について是非ご検討をお願い致します。

回答:
 今回の清掃工場の計画は、一定の規模を超える建設行為のため、景観法上、計画内容についてあらかじめ県への通知が必要になっています。

 山形広域環境事務組合から通知があり次第、県で定める景観形成基準に適合するかどうかについて、適切に審査してまいります。(県土整備部県土利用政策課)

質問6:
 廃棄物処理法に基づいた施設設置届けが山形県に対し出される、とありました。その際「焼却炉の構造設備や機能などが技術上適正であるか審査する」ことが山形県の役割とのことですが、それ以前に今後排出されるごみの量を鑑み、施設が一つで済むという審査もすべきではないでしょうか。二百数十億税金の無駄使いについて、是非ご検討の上回答をお願い致します。

回答:
 以前にも回答したとおり、山形広域環境事務組合が山形市立谷川地区及び上山市川口地区に清掃工場を建設する計画を決定したと聞いております。県では、今後、廃棄物処理法に基づいて山形広域環境事務組合から出される施設の設置届に対して、焼却炉の構造設備や機能などが技術上適正であるかを審査してまいります。(環境エネルギー部循環型社会推進課)

質問7:
 生ゴミコンポスト化について、山形県は前向きに取り組むとありますが、全県に助成金などを交付する(山形市でとの取り組み例有り)等、具体的に推進して全県的にごみの量を減らす取り組みを行う予定はございますか。具体的にお答え戴ければ幸いです。

回答:
 家庭から出る生ごみは一般廃棄物であり、その処理については、各市町村が責任を持って行うこととなっております。このため、その減量化を図るための一つの方策として、市町村ではコンポストや生ごみ処理機の購入に対する助成制度等を設けております。県においては、レインボープランや生ごみやさいクル事業などの生ごみを減量化する取組みをリサイクルシステムとして認証するなどPRに努めております。(環境エネルギー部循環型社会推進課)

質問8:
 以上質問させて戴きましたが、複数の部署からの回答を戴くことになります。これらについて是非知事にお目に掛かり、私たち守る会と総合的なお話ができますようご配慮戴きたくお願い申し上げます。

回答:
質問に対しては、各担当部署で対応させていただきます。なお、いただいた意見内容につきましては、知事へ報告させていただきます。
 今後とも、県では、県民の皆さまからお寄せいただいた声を、活力あふれる山形県づくりに活かしてまいりたいと考えておりますので、御理解・御協力を賜りますようお願い申し上げます。

山形県総務部 秘書広報課県民相談室

 

山形県の環境と観光産業を守る会の意見書に対する組合の回答

1.
建設不可能になった場合、使用した税金(土地収用費・地域振興費・周辺整備工事費)に対し、組合はどのように責任を取られますか。

回答:
同地に建設する計画としております。

2.
川口地区以外の周辺地区に対する地域振興費支出の予定はございますか。その地域名と、各地域に対する助成金額。また、その名目を教えて下さい。

回答:
該当する行政文書が不存在(作成していない)のため公開できません。

3.
これらの助成金は、どこから支出されるのでしょうか。出処を教えて下さい。

回答:
2の質問に関する支出はありません。

4.
山形河川国道事務所道路維持管理課に対し、施設建設の説明はなさいましたか。国道事務所の反応はいかがでしたでしょうか。

回答:
必要に応じ連絡をすることで、了承を得ております。

 

 川口地区の公称「エネルギー回収施設」は、今年8月に環境影響調査が終了したばかりで、まだ公表もパブリックコメントの募集も行われておりません。また、山形県より戴いた回答通り建築確認申請も行われておりません。にもかかわらず、先行して給水管引き込み工事や、河川への橋の新設工事、地元への公民館建設工事が行われています。さらに、国道13号線に繋がる道路の渋滞調査等も行われず、ハザードマップの修正もできておりません。これらの工事は拙速に過ぎるのではないでしょうか。

 

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

© 山形県の環境と観光産業を守る会, All rights reserved. 当ブログへのリンクについてはこちら。