山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第5号 2013.12.24 (火) 発行

山形広域清掃工場(一般ゴミ焼却場)は1つで間に合う!

前号(第4号)で、現在稼働している半郷及び立谷川清掃工場に関する「山形市ゴミ処理基本計画」と「精密機能検査報告書」分析の結果をお伝えしました。現在計画されている山形市立谷川と上山市川口のゴミ焼却能力はどちらも150トンで、合わせて300トンの予定ですが、川口焼却場が竣工予定の平成30年には排出されるゴミの量が減り、川口で燃やすべきゴミはほとんど無くなるという結論です。この工場の総工費は、現在のところ不明です。

去る12月10日に行われた山形広域環境事務組合臨時議会では、「地権者全員の了解が得られた」と組合から報告された後、議会で決議されました。議員の皆さんは、この梶山氏の報告結果をご存じのはずでしたが、質問や議論はまったくないまま決定されたことになります。地権者の了解さえ得られれば、何も問題はないのでしょうか。一説に1工場100億円前後と言われる巨大公共事業が、時代の変化に全く配慮することなく議事が進んで行くことに、驚きを禁じ得ません。税金の使い方に疑問を感じることなく、巨大事業が進展して行くことに問題はないでしょうか。*12月18日組合に対し、5回目の情報公開請求を行いました。

爆発事故や運転上のトラブルにどう対処するか

全国で頻発するガス化溶融炉事故は、後を絶ちません。小学生や住民などの一般市民が見学するガス化溶融炉工場は、危険性の低い工場のクリーンな一部でしかありません。化学薬品を使用するガス化溶融炉工場は、常に計器のトラブルや爆発事故と隣り合わせの施設(第3号に取材掲載済み)です。産廃処分場は、周囲半径500メートル内の住民の了解が必要ですが、同様の危険性をはらむガス化溶融炉については、条例がありません。市民県民の命を預かる行政は、きちんと安全性について検討し、必要に応じて条例を設けるべきと思います。特に川口地区は、建設用地北側にJR山形新幹線、そのすぐ外側には国道13号線が走る交通の要所です。万一事故が起これば、山形-米沢間の交通に支障が生じることになりかねません。何故このような重要なことが、議会で一度も論じられないのでしょうか。住民や交通の安全性について検証、議論すべきと考えます。

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ゴミ焼却方式を見直すべきです!

日本では、ゴミは「燃やすもの」という意識が一般的で、疑問を感じる人はごく一部の人に限られています。それ故日本のゴミ焼却炉数は1243カ所と断トツの世界一で2位のアメリカ351カ所を引き離しています。国土面積からすると、高密度の配置。それに伴い日本から排出されるダイオキシン類も全世界の40%と高い比率になっており、この排ガスに含まれるダイオキシンや重金属類は、各地で問題を引き起こしています。また有害な化学物質である水銀、ヒ素、鉛、クロム、アスベスト、ニトロ多核芳香族炭化水素臭素ダイオキシン、塩素化芳香族炭化水素、多核芳香族炭化水素、脂肪族有機塩素化合物、(コプラナPCB以外の)PCBなどの排ガス基準値はありません。その結果、日本の生活環境影響調査をクリアしても、実質的な問題は置き去りになります

また、上山市川口地区では現在、生活環境影響調査が行われていますが、その結果が出る前に、すでに地権者に土地代の一部が支払われました。もし調査の結果「不適切」との判断が下された場合、支払われた税金はどうなるのでしょうか。公共事業の手順に矛盾を感じます。全国のゴミ焼却場周辺で訴訟が起こり、問題提起されている現在、「流動床式ガス化溶融炉」を2カ所も新設することは、時代に逆行するものです。ゴミ焼却方式そのものを見直す必要があります。

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「生ゴミは資源」であることは、現在日本だけではなく、ヨーロッパ各地や、消費大国アメリカでも見直されています。「循環型社会推進」を掲げる山形県でも是非導入し、環境先進県になりたいものです。長井市では「レインボープラン」として実績を上げており、生ゴミ回収及び堆肥化を行っている自治体は、全国で増え続けています。

電気式コンポストを使用してみました

現在山形市では、生ゴミの堆肥化を推進するためコンポスト機器を購入する際に、半額の補助を行っています。生ゴミは水分が多いため焼却炉を傷め、焼却する効率を悪化させる原因になります。焼却温度が下がると、ダイオキシンの発生が推進されます。このため、生ゴミの水切りを徹底することも必要ですが、むしろ生ゴミを「燃えるゴミ」として出さない方が効果的です。家に庭や畑がある家庭には、6000円程度のエネルギーを使わないコンポスト槽をお薦めします。またマンション等にお住まいの方は、家電メーカーで販売している電気式コンポストを購入すると、同様に価格の二分の一が市から補助されます。生ゴミの水切りをしてこのコンポストに入れ、深夜電力を利用して稼働させると、朝にはごくわずかの乾燥した状態になります。価格は60,000円程度で、自己負担額は30,000円程と高額ですが、これらが普及することで、行政が焼却するゴミ総量とダイオキシン類の発生を削減することに役立ちます。また、町内会単位で業務用コンポスト槽を設置することも一案かもしれません。

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写真:家電売場で購入できる家庭用コンポスト。生ゴミを入れ、夜間電力で堆肥化する。

 

生ゴミを焼却し、その余熱を限られた周辺地域だけに還元することが、果たしてエネルギー回収施設と言えるでしょうか。さらに焼却する場合は灯油等の助燃剤を必要とするため、不経済です。給食の残飯やスーパー等の食品廃棄物、一部家庭の生ゴミなどは、現在民間の施設で堆肥化されています。生ゴミを堆肥化し、紙ゴミをリサイクルに回す意識を高めるだけでも焼却されるゴミ量は、相当削減できます。実際この電気式コンポストを購入し、紙ゴミリサイクルを始めた会員のゴミ排出量は、1/3~1/4になりました。一人ひとりの「燃やさない!意識」を高め、ゴミ排出量を減らしましょう! 

未来の子どもたちのためです。

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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