山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(エネルギー回収施設)に関する詳細、および諸問題について

2017年5月22日提出の被告・第1準備書面の公開(3) | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 前回前々回に続き、今年の5月23日におこなわれた「平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件」の第二回・口頭弁論で、被告(山形広域環境事務組合)より提出された第1準備書面を公開いたします。

(※この訴訟の経緯は以下の記事をご覧下さい。)
[随時更新]進行中の裁判とこれまでの裁判結果 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会

(※この書面に対する、原告(市民)の反論書(原告ら第1書面、平成29年9月5日(火)・第三回・口頭弁論)は以下のリンクからご覧下さい。)

(リンク)平成29年9月5日・原告提出第1準備書面 ※「禁無断転載」
(リンク)平成29年9月5日・原告提出の証拠説明甲 9~18 ※「禁無断転載」

 被告第1準備書面について、守る会の弁護士によれば、具体的根拠等が一切述べられておらず、数十年前にも廃止された法律を持ち出したりと法令や環境問題の知識が陳腐で、饒舌なわりに中身のない”欠陥だらけ”の書面だとのことです。(詳しい説明は、長文になりますが原告提出の第1準備書面をご覧下さい。)
 * この裁判を担当されている「たたかう市民とともにゴミ問題の解決をめざす弁護士連絡会(ゴミ弁連)」の梶山弁護士・坂本弁護士は、ごみ問題を中心とした環境問題に長年取り組んでおられるエキスパートの先生方です。


平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件
平成28年12月06日~第一審、山形地方裁判所(松下貴彦裁判長)
原告:地域住民
被告:山形広域環境事務組合
原告ら訴訟代理人梶山正三弁護士(理学博士、ごみ弁連会長)、坂本博之弁護士(ごみ弁連事務局長)
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士


※ Web公開用に一部編集を行っています。

オ.排ガス冷却設備における対策

 ダイオキシン類は,排ガス処理設備入口の排ガス温度が300℃程度と高い場合には排ガス処理設備内で生成することが知られているが,新ガイドラ インは,このようなダイオキシン類の生成を防止すると共に,エネルギーの 有効利用促進の観点から,ガス冷却設備は廃熱回収ボイラ方式を原則とする こととしている。そして,この廃熱回収ボイラについては,燃焼室はボイラ 水管壁で構成するものとし,高温を保持し十分な滞留時間を確保できる構造, 設計であることとしている(乙第7号証廃棄物処理法の解説平成24年 度版1778頁1779頁,新ガイドライン5-1-4)。

 本件エネルギー回収施設においても,ガス冷却設備として,燃焼室がボイ ラ水管壁で構成された廃熱回収ボイラを設けているものである(乙第2号証 エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務 編14頁,甲第2号証一般廃棄物処埋施設設置届出害別添2-26「燃焼 溶融炉・ボイラ構造図」,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2 -3《2-1施設概要》,2-7《3.1廃熱ボイラ》,2-26《燃焼 溶融炉・ボイラ構造図》,2-37《処理フロー図》)。

カ.排ガス処理設備における対策

 新ガイドラインは,排ガス処理設備は,以下の集じん器の低温化,吸着除 去法あるいは分解除去法を組み合わせることにより,ダイオキシン類の高度 処理を行うこととしている(乙第7号証廃棄物処理法の解説平成24年 度版1779頁,新ガイドライン5-1-5)。

集じん器の低温化

 低温腐食防止に配慮しつつ,入口排ガス温度を200℃未満とする。

吸着除去法

・粉末活性炭の吹込み

 —集じん器入口に粉末活性炭を吸込むことにより,ダイオキシン類を吸着除去する。  ー湿式排ガス洗浄装置の洗浄液に粉末活性炭を添加する。

・活性炭系吸着塔

 活性炭系吸着剤の充てん塔でダイオキシン類を吸着除去する。

分解除去法

 脱硝用触媒をベースとした酸化触媒等により,ダイオキシン類も 分解できる。なお触媒を使用する場合は,排ガス温度を200℃以 上とする場合もある。

 新ガイドラインは,上記のような集じん器の低温化,吸着除去法,分解除 去法の組合せによる全体の排ガス処理設備の構成に関する代表的な組合せの 例を挙げており,その中で,「フロー例2」(塩化水素の乾式処理の例)とし て,消石灰と活性炭の吹込みを行った後に集じん器に送り込み,その後,アンモニアを供給したうえで触媒塔を通過させるとの構成例を挙げている(乙 第7号証廃棄物処理法の解説平成24年度版1780頁,新ガイドライ ン5-1-5)。

 本件エネルギー回収施設においては,ダイオキシン類の高度処理を行うた めの排ガス処理設備は上記のフロー例2の塩化水素の乾式処理の例としてい るものである(乙第16号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事 業工事概要,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2 -1施設概要》,2-37《処理フロー図》,8-9《8-3物質収支図 〔排ガス〕》)。

 すなわち,本件エネルギー回収施設においては,廃熱ボイラ,エコノマイ ザ,減温塔で冷却された排ガスは,煙道において,活性炭貯留塔から供給さ れる粉末活性炭(活性炭)と消石灰貯留塔から供給される消石灰を吹き込ま れた後に,濾過過集じん器(バグフィルタ)に送り込まれるものである(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書設計· 建設業務編86頁,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3 7「処理フロー図別添2-42「計装フロー図」)。この工程により,排ガ ス中のダイオキシン類は煙道に吹き込まれた粉末活性炭に吸着された後,濾過集じん器(バグフィルタ)のフィルター(ろ布)によって除去されること となる(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水 準書設計・建設業務編86頁,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出 書別添2-3《2-1施設概要》,2-4《表ー1エネルギー回収施設〔川 口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境保全設備の概要》,2-27《滅温塔構造 図》,2-28《バグフィルタ構造図》,2-37《処理フロー図》,別添8- 9《8-3物質収支図《排ガス》》。

 その後,窒素酸化物を除去するために,アンモニア水貯槽から供給される アンモニア水を噴霧された後,触媒反応させるが,触媒反応塔の触媒にはダ イオキシン類分解効果を有するものを選択しており,触媒反応塔においても ダイオキシン類が除去されるものである(乙第2号証エネルギー回収施設 《川口》建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編87頁,88頁, 甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》, 2-4《表−1エネルギー回収施設〔川口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境 保全設備の概要》,2-29《触媒反応塔構造図》,2-32《アンモニア水 貯槽構造図》,2-37《処理フロー図》,2-42《計装フロー図》,別添8 -8《(6)設備方式》,別添8-9《8-3物質収支図《排ガス》)。

(2) ばい煙(硫黄酸化物,ばいじん,塩化水素,窒素酸化物)の排出抑制対策

 本件エネルギー回収施設の焼却炉は,ばい煙(硫黄酸化物,ばいじん,塩化 水素,窒素酸化物)の排出抑制対策についても,廃棄物処理法に関連して定め られている一般廃棄物処理施設の技術上の基準,一般廃棄物処理施設の維持管 理の技術上の基準及び平成9年1月に策定された新ガイドライン(乙第7号証廃棄物処理法の解説平成24年度版)中の新設ごみ焼却炉に関する基準を全 て満たしているものである。

 ごみ焼却排ガス成分のうち,有害物質として指定されているばいじん,窒素 酸化物塩化水素,硫黄酸化物等については,既に除去プロセスが確立されて いるものである。すなわち,ばいじん除去については,電気集じん器が使われることがあるが,従来の乾式電気集じん器ではダイオキシン類除去用としては 限界があるとされる。窒素酸化物については,燃焼制御をはじめとする炉内で の生成抑制法や無触媒脱硝,触媒脱硝などの反応除去法が排出目標値に応じて 使われている。塩化水素,硫黄酸化物については,中和剤による乾式法,半乾 式法湿式法などが排出目標値に応じて使われているものである(乙第7号証 廃棄物処理法の解説平成24年度版1779頁,新ガイドライン5-1- 5)。

 本件エネルギー回収施設においても,後述する硫黄酸化物20ppm,塩化 水素50ppmとの停止基準を充足するため,上記のように,煙道において, 排出ガスに活性炭貯留塔から供給される粉末活性炭(活性炭)と消石灰貯留塔 から供給される消石灰を吹き込まれた後に,濾過集じん器(バグフィルタ)に 送り込むこととしているものである(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》 建設及び運営事業要求水準書設計·建設業務編86頁,甲第2号証一般廃 棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》,2-4《表ー1エ ネルギー回収施設〔川口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境保全設備の概要》,2 -27《減温塔構造図》,2-28《バグフィルタ構造図》,2-29《触媒反 応塔構造図》,2-32《アンモニア水貯槽構造図》,2-37《処理フロー図》, 2-42《計装フロー図》,別添8-8《(6)設備方式》,別添8-9《8-3物 質収支図《排ガス》)。排ガス中の硫黄酸化物と塩化水素は,消石灰との化学反 応により反応生成物(固体)を形成し,形成された反応生成物(固体)は濾過 集じん器(バグフィルタ)のフィルター(ろ布)によって除去されることとなるものである(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要 求水準書設計・建設業務編86頁)。

 排ガス中のばいじんも,濾過集じん器(バグフィルタ)のフィルター(ろ布) によって除去されるものである(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建 設及び運営事業要求水準書設計·建設業務編86頁,甲第2号証一般廃棄 物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》,2-4《表ー1エ ネルギー回収施設〔川口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境保全設備の概要》,2 -28《バグフィルタ構造図》,2-37《処理フロー図》,別添8-8《(6) 設備方式》,別添8-9《8-3物質収支図《排ガス》))。

 窒素酸化物については,濾過集じん器を通過した後に,煙道において窒素酸 化物の濃度に応じてアンモニア(NH3)を噴霧し,触媒反応塔において,触 媒反応により窒素酸化物を窒素に還元し(4NO+4NH3+O2→4N2+6 H2Oなど),無害化するものである(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》 建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編87頁,88頁,甲第2号証 一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》,2-4《表 -1エネルギー回収施設〔川口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境保全設備の 概要》,2-29《触媒反応塔構造図》,2-32《アンモニア水貯槽構造図》, 2-37《処理フロー図》,別添8-8《(6)設備方式》,別添8-9《8-3物 質収支図《排ガス》)。

(3) 排ガス中の有害物質等の停止基準

 本件エネルギー回収施設の運用は,乙第3号証の要求水準書(エネルギー回 収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書運営・維持管理業務編)に従 って行うこととされているものであるが,その中で,被告は第1の6(20 頁,21頁)で上述したようにかみのやま環境サーピスが行うこととなる本件 エネルギー回収施設の運営,維持管理において,(1),(2)(29頁乃至38頁) で上述したようなダイオキシン類及びばい煙の排出抑制対策が適切に行われ,第2の2(24頁乃至28頁)において上述した排ガスに関する法令及びガイ ドラインの基準が確実に遵守されるよう,本件エネルギー同収施設の排ガス中に含まれる有害物質の量に関する基準(停止基準)を設けているものである。 すなわち,被告は,法令及びガイドラインで基準が定められているダイオキ シン類,ばいじん,塩化水素,硫黄酸化物,窒素酸化物及び一酸化炭素につい て,停止基準として,ダイオキシン類0.05ng-TEQ/N㎥、硫黄酸化 物20ppm,ばいじん0.01g/N㎥,塩化水素50ppm,窒素酸化物 50ppmという上記の法令及びガイドラインの基準値よりも厳しい堪準値 を設定し(下記の比較表を参照),排ガス中の有害物質の量がこれを上回った 場合には本件エネルギー回収施設を停止することとしているものである(乙 第3号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書運営・維持管理業務編26頁,27頁)。

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 被告においては,ばいじん,塩化水素,硫黄酸化物,窒素酸化物及び一酸 化炭素については,排出量を常時計測すると共に(乙第3号証エネルギー 回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書運営·維持管理業務編2 6頁「1時間平均値が・・」,「瞬時値のピークを・・」,「4時間平均値が・・・」), 仮に万が一,排ガス中の有害物質の量がこの停止基準を超えることとなった 場合には,本件エネルギー回収施設のガス化炉,溶融炉等の全ての運転を停止し,原因を究明して,対策を施したうえで再度の運転を行うこととなって いるものである。また,ダイオキシン類については,定期バッチ計測データ が上記基準値を逸脱した場合直ちに追加測定を実施し,この2回の測定結 果が基準値を逸脱した場合には,速やかにエネルギー回収施設の運転を停止 し,同様の対応を行うこととなっているものである(乙第3号証エネルギ 一回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書運営・維持管理業務編 26頁)。

(4) 結論(本件エネルギー回収施設の法令及びガイドラインの基準への適合性)

 以上のとおり,本件エネルギー回収施設は,廃棄物処理法に関連して定めら れている一般廃棄物処理施設の技術上の基準,一般廃棄物処理施設の維持管理 上の技術上の基準と共に,かかる法令の基準よりも厳格な新ガイドラインの定 める基準の定めるダイオキシン類の排出抑制対策,ばい煙(硫黄酸化物,ばい じん,塩化水素,窒素酸化物)の排出抑制対策を施したうえで,さらに,その 運営,維持管理においても,第1の6(20頁)で上述したように高度の専門 知識技術力と経験を有するかみのやま環境サービスが,(3)(38頁乃至40 頁)で上述したように,ダイオキシン類,ばいじん,塩化水素,硫黄酸化物, 窒素酸化物及び一酸化炭素の排出量が法令の定める基準よりも厳しい停止基 準の下で運営維持管理を行うこととなっているものである。

 かかる本件エネルギー回収施設の構成と運営,維持管理の体制に鑑みれば, 本件エネルギー回収施設から法令及びガイドラインが定める基準以上のダイ オキシン類,ばいじん,塩化水素,硫黄酸化物,窒素酸化物及び一酸化炭素が 排出される蓋然性は認められず,本件エネルギー回収施設は法令及びガイドラ インの基準に適合しているものである。

 

4 排ガスに関するその他の原告ら主張の不相当性

(1) 重金属について

 原告らは,訴状第3の2(1)エ(30頁乃至40頁)において,ガス化溶融炉 にいては,排ガス中の重金属(砒素《As》,鉛《Pb》,カドミウム《Cd》, 水銀《Hg》)濃度が他の炉形式のものと比して高い旨を主張している。 そして,その理由として,ガス化溶油炉の溶融炉の温度が1200℃以降に 達することから,重金属がガス化して排ガス中に移行すること,多くの重金属 は塩素化によって沸点が低下し,ガス化しやすくなることを挙げている。

 しかしながら,以下のとおり,かかる原告ら主張には理由がないものである。

 新ガイドラインではもやせるごみに含まれる重金屈に対する対応については,

「溶融固化は燃料の燃焼熱や電気から得られた熱エネルギー,またはその他のエネル ギーにより焼却灰・飛灰を加熱し,1,250から1,450℃あるいはそれ以上の 高温条件下で有機物を燃焼,ガス化させ,無機物を溶融してガラス質のスラグとして 回収するものである。焼却灰・飛灰に含まれていた低沸点の重金属類は排ガス中に揮 散した後,排ガス処理装置で捕集される溶融飛灰の中に濃縮される。一方,スラグ中 へ移行した一部の重金属類はSiO2の網目構造の中に包み込まれた形となり,外部 への溶出防止が可能となる。」

とされている(乙第7号証廃棄物処理法の解説平成24年度版1783頁, 新ガイドライン7-1)。

 すなわち,もやせるごみに含まれる重金属については,その一部は溶融炉に おいて高温で燃焼することによりガラス質のスラグの中に移行し,SiO2の 網目構造の中に包み込まれて外部への溶出防止が図られ,他方,残りの一部は 燃焼によって発生する燃焼ガスに揮散した後に,排ガス冷却工程で微細なばい じんになり,集じん器で捕集されることとなるものである(乙第8号証の5 ごみ処理施設整備の計画・設計要領2006改訂版534頁)。

 本件エネルギー回収施設においても,もやせるごみに含まれる重金属の一部 は,溶融炉において灰分(Cao,SiO2等)が1200℃以上の高温で溶 融されて溶融スラグとなり,溶融炉下部から連続して安定的に排出される際に, ガラス質の溶融スラグ中のSiO2の網目構造の中に包み込まれて外部への溶 出防止が図られることとなるものである(乙第2号証エネルギー回収施設 《川口》建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編15頁)。

 他方,もやせるごみに含まれる重金属のうち,燃焼ガスに揮散した部分にい ては,廃熱ボイラ,エコノマイザ及び減温塔において約175℃まで冷却され ることにより,融点を下回って微細なばいじん(固体)となり,ろ過集じん器 により除去されることとなるものである(甲第2号証一般廃棄物処理施設設 置届出書別添2-3《2-1施設概要》,2-4《表ー1エネルギー回収 施設〔川口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境保全設備の概要》,2-37《処理 フロー固》,別添8-8《(6)設備方式》,別添8-9《8-3物質収支図《排 ガス》))。なお,原告らは,訴状第3の2(1)エ(33頁下段)において,多くの重金屈が塩素化によって沸点が低下し,ガス化しやすくなる旨を主張してい るが,重金属が塩素化したとしても,上記のように約175℃まで冷却されれ ば,融点を下回って微細なばいじん(固体)となり,ろ過集じん器により除去 されることに変わりはないものである。

 また,常温で固化しない唯一の金属元素である水銀(Hg)については,上 記の溶融スラグ及びろ過集じん器による除去方法では除去が不可能であるこ とから,被告を構成する2市2町においては,ごみの分別収集を行い,体温計 や電池等の水銀(Hg)を含有するごみがもやせるごみに混入しないようにし ているものである(乙第22号証の1保存版ごみ減量・分別大百科,乙第2 2号証の2ごみの分け方・出し方,乙第22号証の3ごみの分け方・出し 方,乙第22号証の4ごみの分け方・出し方)。

 従って,ガス化溶融炉においては,排ガス中の重金属(砒素《As》,鉛《Pb》,カドミウム《Cd》,水銀《Hg》)濃度が他の炉形式のものと比して高 いなどとする原告ら主張には理由がないものである。

(2) 塩素化芳香族炭化水素多環芳香族炭化水素,全有機ハロゲン化合物等について

 原告らは,訴状第3の2(1)イ,ウ(23頁乃至30頁)において,一般廃棄 物焼却に際して,ダイオキシン類に比して圧倒的に多量に排出される脂肪族有 機塩素化合物,ポリ塩化フェノール,ポリ塩化ベンゼン,塩化ナフタレンはダ イオキシン類とその毒性において極めて強い類似性を有する,多環芳香族炭化 水素(PAHs)は発がん性の強いことで知られる代表的な化合物である,ニ トロPAHsはPAHsよりも変異原性が極めて強い化合物である,ところが この極めて強い変異原性を有するものが廃棄物焼却施設からの排ガス中に常 時検出されるのである,などと主張している。

 しかしながら,上記原告ら主張は,廃棄物焼却施設において上記各物質が排 出されるとの点,上記各物質の有害性との点のいずれについても根拠資料が提 出されておらず,根拠不明といわざるを得ないものである(そもそも,廃棄物 焼却施設から原告ら主張のような強い有害性を有する有害物質が排出されて いるのであれば,法令やガイドラインにおいてこれに対する規制がなされてい ると思料されるところである。)。

 また,原告らからは,第1の4,5(11頁乃至20頁),第2の3(29頁 乃至40頁)において上述したようなごみ処理工程である本件エネルギー回収 施設において,いかなる有害物質がいかなる程度に排出され,どのような被害 が生じるかについての主張,立証が全くなされていないものであり,いずれに しても,上記原告ら主張は,本件エネルギー回収施設の建設及び操業差止を求 める原告ら請求の根拠となるものではない。

(3) フライアッシュ,ボトムアッシュについて

 原告らは,訴状第3の2(1)ア(19頁)において,

「以上は例示であるが,燃焼とは超高速度で合成と分解を繰り返し,極めて短時間で 一種類の化合物からだけでも千種類にも及ぶ膨大な種類の予測不可能な化合物が生 成する熱反応であると言えよう。 このようなごみ焼却によって生成する膨大な有害化合物群は『排ガス』だけでなく, 金属・非金属等の物質も含めて,フライアッシュ(飛灰),ボトムアッシュ(焼却残 さ又は主灰)・・・中の有害物質の種類や濃度変化についても妥当する。」

として,排ガス以外にも,フライアッシュ,ボトムアッシュに含まれる有害物 質が開題となる旨を主張している。

 しかしながら,まず,ボトムアッシュ(焼却残さ又は主灰)はもやせるごみ の熱処理(焼却処理)を行うストーカ炉等において発生するものであるが,本件エネルギー回収施設のようなもやせるごみをガス化したうえで1200℃ 以上の高温で処理するガス化溶融炉においては,ボトムアッシュは発生しない ものである。すなわち,ガス化溶融炉においては,灰分(CaO,SiO2等) は溶融されて溶融スラグとなり,これに含まれる重金属等の有害物質はガラス 質の溶融スラグ中のSiO2の網目構造の中に包み込まれて外部への溶出が防 止されるものである。

 また,フライアッシュ(飛灰)については,本件エネルギー回収施設のよう なガス化溶融炉においても発生するものの,廃熱ボイラ,エコノマイザ及び減 温塔における燃焼ガスの冷却の後になされる排ガス処理設備における燃焼ガ スの処理において,ろ過集じん器(バグフィルタ)において除去されることに より,外部への流出は防止されるものである。

 従って,排ガス以外にも,フライアッシュ,ボトムアッシュ,スラッジに含 まれる有害物質が問題となる旨を述べる上記原告ら主張にも理由がないものである。

(4) ダウンウォッシュ,ダウンドラフトについて

 原告らは,訴状第3の2(2)のi(52頁,53頁)において,本件エネルギ ー回収施設の煙突からの排出ガスについて,煙突からの吐出速度が比較的小さ いために排出ガスが急激に地上に降下するダウンウォッシュ,ダウンドラフト といった現象が発生し,煙突直下付近の汚染濃度が著しく高まる旨を主張して いる。

 この点,ダウンウォッシュとは,煙突から出た排出ガスが,強風により煙突 下流側に発生する渦に巻き込まれ,下降して発生する高濃度汚染をいい,ダウ ンドラフトとは,煙突風上あるいは風下側の構造物や地形によって発生する渦 に排ガスが引き込まれるために発生する高濃度汚染をいう(乙第15号証エ ネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.1-54)。 被告においては,本件エネルギー回収施設の建設に先立って,生活環境影響 調査において,本件エネルギー回収施設が周辺地域の生活環境に及ぼす影響について予め調査を行ったものであるが,その中で,本件エネルギー回収施設の 煙突高,口径等を基に,ダウンウォッシュ,ダウンドラフトが発生する条件や, 発生時に生じることとなる周辺地域の大気質への影響についても予測,検討を行っているものである。

 その結果,本件エネルギー回収施設の煙突からの排出ガス吐出速度の約1/ 1.5以上となり得る風速は14.8m/s以上であることから,ダウンウォ ッシュ,ダウンドラフト時の気象条件は風速14m/s程度と予測され,この 場合,煙源の風下約664m風下の地点が最大着地濃度地点となっていたもの の,二酸化硫黄,二酸化窒素,浮遊粒子状物質,塩化水素,ダイオキシン類の いずれの項目についても,環境庁の告示等をベースに周辺住民の日常生活に支 障を生じないことを目標に設定された大気汚染に係る環境保全目標に掲げら れている基準を下回っていることが確認されたものである(乙第15号証工 ネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.1-66,75,乙第7号証の4廃棄物処理施設生活環境影響調査指針,乙第7号証の5焼 却施設の生活環境影響調査手法)。また,さらにいえば,14m/sとの風速 は,世界気象機関の風力の標準的な表現法として採択され,日本の気象庁の採 用する気象庁風力階級表にも使用されているビューフォート風力階級表の風 力階級7(強風;樹木全体がゆれる。風に向かっては歩きにくい。)に該当し, 平成25年8月23日から平成26年8月22日までの地上気象調査結果で は,かかる気象状況となった場合は認められなかったものである(乙第7号証 の6ビューフォート風力階級表)。

 従って,本件エネルギー回収施設の煙突からの排出ガスについて,ダウンウ ォッシュ,ダウンドラフトといった現象によって煙突直下付近の汚染濃度が著 しく高まるなどとする上記原告ら主張にも,理由がないものである。

(5) 結論(排ガスに関するその他の原告ら主張の不相当性)

 以上より,第2の2,3(24頁乃至40頁)において上述した法規制がな されている有害物質以外の本件エネルギー回収施設からの排ガスに関する原 告ら主張は,いずれも理由がなく,本件エネルギー回収施設の建設及び操業差 止を求める原告ら請求の根拠となるものではない。

*** 次回に続きます。 ***


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判(判決)|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

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