山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

7月18日の裁判について2:山形環境事務組合提出の第6準備書面の公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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敷地造成工事住民訴訟における山形環境事務組合側の第6準備書面の公開

 平成29年5月29日付で、守る会は山形地方裁判所に第7準備書面を提出致しましたが、それに対し山形環境事務組合側は7月14日付で、第6準備書面を提出しましたので、公開致します。

 7月18日の口頭弁論で裁判は「結審」しましたので、守る会はこの準備書面に対し反論することは不可能となりました。

 


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平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

原告 上山市
被告 山形広域環境事務組合管理者 佐藤孝弘

第6準備書面

平成29年7月14日

山形地方裁判所 民事部 合議係 御中

被告訴訟代理人
弁護士  内藤和暁
同  古澤茂堂
同 小野寺弘行

被告として,以下のとおり,原告ら準備書面(7)に対する反論を行う。

第1 排水口の切欠きによる雨水流出量の増加との原告らの計算の不相当性

 原告ら準備書面(7)の二1と2の第1段落,第2段落は,忠川には「前川治水ダム 下流からの雨水排水は計画されておらず,前川治水ダム放水路の計画洪水流量は0 ㎥/sとなっている」,忠川の「コンクリート水路護岸壁は,流域からの雨水排水量 を規制すべき(本件において,忠川の計画洪水時には0㎥/s) ものである」とし たうえで,本件造成工事における忠川への排水口設置のために忠川護岸を切り欠い たことについて,「その計画護岸を大きく切り欠いて,造成地の排水のみを優先して おり,下流の前川の氾濫への影響には全く考慮されていない」,「排水口の切り欠き は,従前の造成地からの排水口よりも格段に巨大になっており,造成地からの雨水 排水を従前よりも遥かに大量に行うことを可能にしている」,「忠川及び前川への洪 水氾濫を招くことになる」旨を主張している。

 しかしながら,まず,忠川の計画洪水時には0㎥/sとの主張は忠川の計画高水 流量が0㎥/sであることを主張していると思われるが,被告第1準備書面第2の 3 (2) (12頁,13頁)において前述したとおり,甲第18号証の「前川治水ダム 事業計画書」25頁の図1-9「計画高水流景配分図」は前川ダムの流量配分に ついて,前川ダムにおいて140㎥/ sの計画高水流量が発生した場合に,これを 忠川に放流せず,全て前川ダムに貯留するという趣旨で忠川の流量を0としている に過ぎず,エネルギー回収施設の建設地等からの雨水流入分も含めて忠川の計画高 水流量が0㎥/sであるとしているものではないものである。 よって,忠川の計画 高水流量が0㎥/sである,忠川への流域からの雨水排水量を規制すべきである, との上記原告ら主張には理由がないものである。

 また,忠川及び前川の氾濫を招くとの点についても,被告第1準備書面第2の2 (1), (2) (8頁乃至10頁),被告第5準備書面第1 (1頁乃至3頁)において詳述 したとおり,本件造成工事に伴う忠川,前川への排水量の増加は前川本川の計画高水 流量のわずか0.1%程度に過ぎず,忠川,前川の洪水処理計画に影響を生じさせるようなものではない。

 従って,いずれにしても,本件造成工事における忠川への排水口設置のために忠 川護岸を切り欠いたことが「忠川及び前川への洪水氾濫を招くことになる」などとする上記原告ら主張には,理由がないものである。

 

第2 排水口及び排水樋門設置部の護岸強度に関する原告ら主張の不相当性

 原告ら準備書面(7)の二2の第3段落は,本件工事において設置される排水樋門について,「排水樋管周辺の護岸壁内鉄筋は,すべて寸断されてしまい護岸強度を保持 する連続性は失われた」,「樋門コンクリート打設の際,従来護岸壁に残存する鉄筋 と,新たな樋門の鉄筋が正しく接合されたか,疑問である」旨を主張している

 しかしながら,まず,忠川の護岸への排水口,排水樋管のすり付けにおいては, 甲第16号証の雨水排水計画41頁に記載しているように,忠川の護岸本体の既設 配筋を可能な限り残し,補強のための鉄筋を配筋し,この際,配筋ピッチは現況の 300mmよりも密になるよう250mmピッチとし,ダブル配筋とし,コンクリ ート設計強度は現行基準による24Nとしているものである。従って,排水口及び 排水樋門の設置に当たり,護岸コンクリートの強度は十分に確保されているもので あり,「排水樋管周辺の護岸壁内鉄筋は,すべて寸断されてしまい護岸強度を保持す る連続性は失われた」などとする上記原告ら主張には理由がないものである。

 次に,忠川の護岸と排水樋門の接合との点については,甲第16号証の雨水排水 計画36頁乃至40頁記載のように本件工事においては,排水樋門の排水樋管工 設置時の荷重が自立型特殊堤である忠川の護岸本体に影轡を及ぽすことのないよう, 排水樋管工は護岸とは独立した直接基礎によって支持することとしており,忠川の 護岸とは応力を分断しているものである。よって,「従来護岸壁に残存する鉄筋と, 新たな樋門の鉄筋が正しく接合されたか,疑問である」などとする原告ら主張は, 本件造成工事において設置された排水樋門の構造に関する理解を誤ったものに過ぎ ないものである。 従って,いずれにしても,排水口及び排水樋門の強度に関する上記の原告ら主張には,理由がないものである。

 

第3 排水樋門の高さに関する原告ら主張の不相当性

 原告ら準備書面(7)の二2の第4段落は,本件工事において設置される排水樋門が従来の忠川護岸天端よりも低くなっていることについて,「豪雨時に前川ダムから放水された場合放水路を流れる水は,この低く施工された護岸部より造成地内に流入し,樋門部を洗掘することになる。それにより,排水樋門は崩壊流出する恐れがある。」旨を主張している。

 しかしながら,甲第16号証の雨水排水計画28頁,30頁記載のように本件 造成工事において設置された排水樋門は,バランスウェイト式フラップゲートであ り,河川水位の上昇に伴い,上部ヒンジを回転軸として扉体への水圧によりゲート の吐口部が閉鎖される構造となっており,前川ダムから忠川に放水された水がその まま排水樋門内部に流入することとはならないものである。 また,甲第16号証の雨水排水計画29頁記載のように、エネルギー回収施設が 建設される敷地は,造成が行われ、排水樋門の排水口天端よりも敷地造成面の方が 高くなっているものであり,仮に万が一,洪水時に排水樋門のバランスウェイト式 フラップゲートの不完全閉鎖が発生したとしても,上記原告ら主張のような水が敷 地内に流入する,樋門部を洗掘するなどといった事態が生じるものではなく,不完 全閉鎖によって発生する被害は小さいと考えられるものである。

 従って、本件工事において設置される排水樋門が従来の忠川護岸天端よりも低く なっていることを問題とする上記原告ら主張にも、理由がないものである。

以上


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