山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

山形県上山市川口に建設予定の清掃工場に反対する裁判 | 本日の裁判(2件)のご報告

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平成28年8月16日(火)午後に行われた住民訴訟についてご報告致します。

13:30~13:35
平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件
〈概要〉
 公称エネルギー回収施設を建設するための造成工事(平成28年5月31日 にて工事終了)が不適切であるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟。 守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求を行ったものの、棄却されたため 住民訴訟を提起し、今回は組合側から「第2準備書面」のみが提出されました。 その準備書面を公開致します。  これに対し守る会は次回、反論書面を提出する予定です。 

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平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件
原告 ** 外8名
被告 山形広域環境事務組合管理者 佐藤孝弘

第2準備書面

平成28年8月10日
山形地方裁判所 民事部 合議係 御中

被告訴訟代理人
弁護士  内藤和暁
同 古澤茂堂
同 小野寺弘行

原告ら準備書面(1)について
1  原告ら準備書面(1)の第3の3(3) (7頁下から8行目以降)は,「雨水の排水が十 分にできない場合,地下水の水圧や浮力が高まることが考えられるのであり,・・・ 雨水排水路等の構造物や,忠川の護岸が,水庄や浮力によって破壊される可能性が 高」い旨を主張している。
 しかしながら,忠川のコンクリート護岸には一般的なコンクリート護岸と同様に 地下水を排水するための水抜き穴が設けられており,地下水によってコンクリート 護岸の破壊の原因となるような水圧が加わることは考え難いものである。また,浮力との点についても,水よりも比重の重く,一般的なコンクリート護岸と同様に地 下水を排水するための水抜き穴が設けられている忠川のコンクリート護岸が地下水 によって上に持ち上げられることはなく,浮力が原因となってコンクリート護岸等 が破壊されるとの機序も考え難いところであり,上記原告ら主張には理由がないも のである。

2 原告ら準備書面(1)の第3の3(3) (7頁下から4行目以降)は,忠川のコンクリー卜護岸の茶褐色の滲出物が鉄分であったことから,護岸コンクリートが著しく劣化 している旨を主張している。
 しかしながら,被告としては滲出物が鉄分であるか否かは不明であるものの,仮に鉄分であったとしても, コンクリート護岸の内部を地下水が透過した際(コンクリートはその内部を水が透過するものである)に,鉄分を含む地下水が透過したこ とによる滲出物とも考えられるものであり,滲出物が鉄分であったことからコンク リート護岸が著しく劣化したとする原告ら主張にも理由がないものである。

以上

13:35~13:40  平成28年(行ウ)第2号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟事件
〈概要〉
 公称エネルギー回収施設敷地に入るため、国道13号線から上山市道を利用する 経緯において不適切な部分があるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟。 守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求を行ったものの、棄却されたため 住民訴訟を提起し、今回上山市から「第1準備書面」(被告からの一度目の主張がかかれた書面)及び「証拠説明書」「証拠 乙3~6号証」が提出されたので、公開致します。 

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平成28年(行ウ)第2号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟事件
原告 ** 外4名
被告 上山市長 横戸長兵衛

第1準備書面

平成28年8月10日

山形地方裁判所 民事部 合議係 御中

被告訴訟代理人
弁護士  内藤和暁
同 古澤茂堂
同(担当)小野寺弘行

原告ら準備書面(1)について

1 原告ら準備書面(1)の第2の3(1)(2) (3頁下段から5頁)は、市道前川ダム東線の国道13号交差点からエネルギー回収施設の建設予定地入口までの区間について、本件訴訟において問題となっている市道前川ダム東線の道路改良工事を行っても、エネルギー回収施設の候補地の選定条件である「敷地が大型車両の対面通行可能な 公道に接しており、又は接することが容易な場所であること」との条件を充足していない旨を主張している。
 しかしながら、平成28年3月18日に本件訴訟において問題となっている市道前川ダム東線の道路改良工事が完成した後(乙第3号証 完成通知書、乙第4号証  工事目的物引渡書)、被告において、平成28年6月17日に,市道前川ダム東線 の国道13号交差点からエネルギー回収施設の建設予定地入口までの区間の大型車同 士のすれ違い状況に関する実験を行ったところ、車体全幅3.10m、車両全体の 長さ8.16mの大型ダンプ車同士が支障なくすれ違い通行可能であることが確認 されたものである(乙第5号証の1 実験のDVD、乙第5号証の2 市道前川ダ ム東線大型車のすれ違い状況に係る現場記録)。
 従って、市道前川ダム東線の道路改良工事後も「敷地が大型車両の対面通行可能な公道に接しており、又は接することが容易な場所であること」との条件を充足していないなどとする上記原告ら主張には理由がないものである。
 なお、原告らは大型車同士のすれ違いが困難な様子の写真として甲第23号証の平成28年3月23日撮影との写真を提出している。しかしながら、同写真には積雪が写っているものの、上山市消防本部調査・作成の平成27年度積雪調査表によ れば平成28年3月は3月3日以降は積雪がなかったとされているところであり (乙第6号証 平成27年度積雪調査表)、同写真は平成28年3月23日に撮影されたものではないと思料されるものである。

2 原告ら準備書面(1)の第2の4(2) (7頁下段から8頁)は、「敷地が大型車両の対面通行可能な公道に接しており、又は接することが容易な場所であること」との条件を充足していないとの原告ら主張の根拠として、被告の第4回清掃工場候補地検 討委員会の評価集計表の付帯意見(甲第11号証の5頁目)に「アクセス道路を近隣会社と完全に共有しなければならない、そう考えると道幅が狭く、新たなアクセ ス道路を通すことを提言したい」との記載があることを挙げている。
 しかしながら、上記記載は,清掃工場候補地検討委員会の委員から挙げられたコ メントを付帯意見として記載したものであるところ、市道前川ダム東線の国道13 号交差点からエネルギー回収施設の建設予定地入口までの区間は、大型車両の対面 通行を行うには道幅が狭いと思われる箇所もあるものの,大型車のすれ違いは可能 であり、また、道幅が狭いと思われる箇所についても舗装幅員の拡幅により対応可能であったことから、上記のような付帯意見を踏まえつつ、川口地区がエネルギー 回収施設の候補地に選定されたものである。
 従って、甲第11号証5頁目の上記付帯意見をもって「敷地が大型車両の対面通 行可能な公道に接しており、又は接することが容易な場所であること」の条件を充 足していないこととなるものではなく、上記原告ら主張にも理由がないものである。

以上

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これら第1準備書面に対し、守る会は次回反論書を提出する予定でした。しかし、裁判長による「(主張は)出尽くした」という判断で、次回は判決が出ることになりました。 10月の判決を待ちたいと思います。

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