山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第39号 2016.03.17 (木) 発行

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守る会は現在5件の訴訟をおこなっています

 山形県の環境と観光産業を守る会は、平成24年5月以降発覚した上山市川口の公称エネルギー回収施設建設に関する経緯に対し、異議を申し立てる活動を継続して参りました。
 これまで、住民説明会での意見衝突に始まり、反対署名提出、刑事告発、提言書や意見書提出等あらゆる手段を講じて来たものの、行政は全く聞く耳を持たずに計画を推し進めているため、訴訟に至っております。
 事業の実施主体は、二市二町(山形市上山市・山辺町・中山町)で構成される「山形広域環境事務組合」であり、管理者は山形市長、副管理者は上山市長となっています。それぞれの人口比率は、8 : 1 : 0.5 : 0.5 であり、ごみ排出比率もほぼ同様です。それ故、この問題は建設予定地である上山市のみの問題ではなく、山形市を中心とする全体の問題と捉えるべきだと思います。
 平成26年12月25日に初めて組合に対し住民監査請求の申し立てを行って以来、4件の住民監査請求の結果、すべて監査委員によって棄却されたため提訴し、現在3件の住民訴訟を行っております。また、建設予定地に入る一級河川「忠川」架橋工事の許可を与えた山形県に対しても、訴訟を継続中です。

 

訴訟経緯一覧

住民監査請求(正式事件名称が複雑なため省略表記します)

相手 内容 結果
1. 山形広域環境事務組合 土地売買契約差止住民監査請求 棄却
2. 山形広域環境事務組合 架橋工事差止住民監査請求 棄却
3. 山形広域環境事務組合 敷地造成工事差止住民監査請求 棄却
4. 上山市 上山市道工事差止住民監査請求 棄却

訴訟 (山形地方裁判所)(正式事件名称が複雑なため省略表記します)

相手 内容 結果
1. 山形広域環境事務組合 忠川架橋工事差止仮処分申立 却下
2. 山形広域環境事務組合 忠川架橋工事差止住民訴訟 継続
3. 山形県 忠川占用許可取消行政訴訟 継続
4. 山形広域環境事務組合 敷地造成工事差止住民訴訟 継続
5. 山形広域環境事務組合 敷地造成工事差止仮処分申立 継続
6. 上山市 上山市道工事差止住民訴訟 継続 

住民監査請求と住民訴訟について(総務省HPより抜粋)

 住民からの請求に基づいて、地方公共団体の執行機関又は職員の行う違法・不当な行為 又は怠る事実の発生を防止し、又はこれらによって生じる損害の賠償等を求めることを通じて、地方公共団体の財務の適正を確保し、住民全体の利益を保護することを目的とする制度。住民監査請求をして、その結果を待たなければ住民訴訟を提起できない。 

訴訟に関する補則

<1と2について>
建設予定地に入るための新橋架橋工事差し止めを求める訴訟(組合に対する)

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訴えの主旨
 架橋工事による建設予定地盛土の土圧や水圧等が、隣接する忠川護岸に悪影響を 与え、コンクリート護岸が崩壊する危険 性がある。「しんちゅうかわばし」はすでに完成しているが、引き続き新橋の使用差し止めを求める。

<3について>
一級河川「忠川」の河川占用許可取り消しを求める訴訟(山形県に対する)

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訴えの主旨:
 組合が行う架橋工事にあたり、この一級河川「忠川」を管理している山形県は、
工事の安全性について精査せずに、河川の一時占用許可を出したことの取り消しを求める内容。特に忠川に開口をもつ上流側の排水樋管は、構造的に問題があると考えられるが、何故県は、設置を許可したのだろうか。

<4について>
敷地造成工事の差し止めを求める訴訟(組合に対する)

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訴えの主旨:
 組合は平成27年8月から敷地造成工事を始めたが、敷地からの排水量の算定に
誤りがある。想定している数値を上回る水量が、排出先の一級河川忠川及び前川に排水されることが予想される。上山市内は二年連続で洪水に見舞われており、これ以上の排水を許すべきではなく、造成工事は不当である。

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 建設予定地は、以前田畑であり忠川護岸壁はその田畑を支えるように構造計算されていたはずだが、すでに当時の構造計算書は存在していない。現在は劣化した護岸にすでに無数のクラックが入っており、中には護岸壁を貫通したものもあり、設計以上の負荷が掛かっているものと推測できる。工事を進めてこれ以上の負荷を掛けるのは危険である。

<5について>
上山市道工事の差し止めを求める訴訟(上山市に対する)

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訴えの主旨:
国道13号線から、公称エネルギー回収施設建設予定地までは、幅の狭い上山市
を通らざるを得ない。上山市は一部直線部のみ拡幅工事を行ったが、予定地に入るま
で4カ所のきついカーブや新幹線のガーがあり、大型車のすれ違いは不可能である。
工事車両や緊急車両の通行に支障が出ると想定され、安全を阻害する計画である。


組合に対し情報公開請求をし、回答を得ました

 守る会は、1カ所だけで200億円超の税金を必要とする公称エネルギー回収施設の是非について大いなる疑問を感じ、これまでに多くの情報公開請求をして参りました。 去る2月23日付けで、組合に対し情報公開請求した文書に対し、平成28年3月7日に下記回答がありましたので、公開致します。公開の期限は、申請日より2週間以内と定められています。
(*ブログ補則:わかりやすくにお伝えするために内容を一部編集しております。

 平成28年2月23日付けで請求があった行政文書の公開については、次の通り公開しないことに決定したので、山形広域環境事務組合情報公開条例第11条第1項の規定により通知します。

【請求があった行政文書の内容と、公開することができない理由】

  1. 川口エネルギー回収施設本体工事建設に係る設計図一式(確認申請図又は発注図・・・配置図、平面図、立面図、矩計図、基礎図、配筋図、構造図、設備図等々)
    組合からの回答:
    該当する文書が不存在(現時点では作成していない)のため、非公開
    (昨年、これ以前の図面を請求した際には、作図した企業に版権があるため、公開できないという理由で、非公開であった)
  2. 1に関わる事業者への支払い状況を示す書類のすべて
    組合からの回答:
    該当する文書が不存在(現時点では作成していない)のため、非公開
  3. 山形県に対する「設置届出書」及び添付書類のすべて
    組合からの回答:
    該当する行政文書が不存在(現時点では作成していない)のため、非公開
  4. 三成分分析表、燃焼計算書、除害施設の性能計算書
    ・三成分分析表については、組合ホームページで公開している文書に含まれており、 山形広域環境事務組合情報公開条例第2条第2号のア「一般に容易に入手することが できるもの」に該当し、同条例の対象となる行政文書から除外するため、公開
    ・三成分分析表以外については、該当する行政文書が不存在(現時点では作成してい ない)のため、非公開
    ※「三成分分析表」は、組合ホームページで公開している「エネルギー回収施設(川口) 建設及び運営事業 要求水準書 設計・建設業務編」の11ページに記載されています。

以上

今後の予定 

次回訴訟(於:山形地方裁判所) 

平成28年3月29日(火)13:15~ 造成工事第1回訴訟(組合に対する)
平成28年3月29日(火)13:20~ 市道工事第1回訴訟(上山市に対する)

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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