山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第38号 2016.02.06 (土) 発行 市道拡幅工事に関し 上山市を提訴致しました

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市道拡幅工事に関し 上山市を提訴致しました

経緯と説明
 平成27年11月2日付で、山形県の環境と観光産業を守る会(以下守る会と略す)会員7名は、上山市監査委員に対し住民監査請求を行いました。 現在進められている公称エネルギー回収施設(川口)に至る「前川ダム東線道路改良工事」に於いて、不適切な行為があるとの監査を求めたものですが、請求人の意見陳述を経た結果、12月25日付けで棄却されました。守る会は、この結果を不服とし、平成28年1月25日付けで山形地方裁判所訴状を提出致しました。
 問題の上山市道は幅員が狭く、現在行われている拡幅工事を行っても、大型車や緊急車両の相互通行に支障が出る他、歩行者等の安全が確保できないという点が、主眼です。(監査請求内容及び結果については、会報33及び36号をご参照下さい)。守る会は、この経緯の中で、この市道における大型車同士のすれ違いシミュレーションや実験を行っており、拡幅工事終了後もすれ違いが困難なカーブが5カ所残る、と主張しています。

 山形市、山辺町、中山町方面から上山市へ向かう場合、この上山市道(前川ダム東線)にアクセスできる道は、国道13号線のみです。かみのやま跨線橋を越えた直後に、信号で左折し、上山市道に入りますが、この信号から焼却場用地までに急なカーブが5カ所存在しています。これらのカーブは、拡幅工事の対象になっておらず、直線部のみ拡幅工事が行われています。この市道は、今後工事のための大型車(トラック・ダンプ等)の通行が見込まれ るだけでなく、この先の企業や高速道路工事に関わる大型車の通行もあり、混雑が予想されます。大型車は内輪差の関係で、カーブでふくらんで曲がらなければなりません。ごみ焼却場用地に入るまで、この5カ所でのすれ違いを、上山市はどのように考えているのでしょうか。また、大型車の相互通行を優先させるあまり、歩道や軽車両の通行ゾーンが確保されていないことも、問題だと思います。

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国道13号線から上山市道へ入る一つ目のカーブ(左)

訴 状

原 告 5名(上山市
被 告 上山市長 横戸長兵衛

前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟事件

請求の趣旨

  1.  被告は、前川ダム東線道路改良工事に関し、平成27年6月1日にA社との間で締結した工事請負契約に基づく請負代金1億2582万円のうち、金7549万2000円を支出してはならない。
  2.  被告は、横戸長兵衛及びA社に対し、金5032万8000円及びこれに対する平成27年6月25日から支払済まで年5%の割合による金員の損害賠償請求をせよ。
  3.  訴訟費用は被告の負担とする。

との判決を求める。

請求の原因(省略)

第4 本件工事に至る経過の問題点

  1.  上山市内における清掃工場の建設予定地を選定するにあたり、上山市は、平成24年4月10日、「清掃工場候補地検討委員会」を設置した(甲6)。そして、第1回検討会が同年5月9日に開かれた。その席上、組合が抽出した3つの選定条件を示した資料(甲6・資料3)が配られたが、その3つの条件の一つが「敷地が大型車両の対面通行可能な公道に接しており、又は接することが容易な場所であること。(進入道路が必要となる場合は、公道から敷地に容易に接続できる場所であること。)」というものであった(引用箇所の下線は、原文のまま)。
     しかし、既にみてきた通り、本件清掃工場予定地は、市道直線部において大型車両の対面交通はかろうじて可能ではあるものの、敷地進入口に架かる橋手前の公道でのすれ違いは、不可能であり、大型車両の対面通行可能な公道に接しているわけでも、そのような公道に接することが容易な場所でもない。
  2. (省略)

第5 談合の疑い(省略)
第6 住民監査請求

  1.  原告らは、平成27年10月29日、本件訴訟の内容と同様の内容の住民監査請求を、組合の監査委員に対して提起した(甲15)。
  2.  ところが、上山市の監査委員は、平成27年12月25日、上記住民監査請求を棄却する決定を行った(甲16の1、2)。同決定は、同年12月28日に原告ら代理人の下に到達した。上記監査結果は、①清掃工場の建設予定地選定に関する経緯に関しては財務会計上の行為とは認められないから監査の対象としない、②本件道路の通行については原告らが主張するほどのすれ違い困難は発生しないと考えられるし、歩道がないからと言って直ちに歩行者等の安全を侵害するとは言い難い、③談合については、原告らの談合疑いは根拠がないものと判断される、④会社の住民要件は本店の住所が上山市の区域内にあるということが必要であるが、原告Bの本店の登記は上山市にはないから、同原告は請求者の法定要件を欠いている、というものであった。
  3.  しかし、上記監査結果は、以下に述べる通り、何れも誤りである。
    (1)  まず、上記①の点について言えば、上山市によって発注された本件工事は、同市によって設置された清掃工場候補地検討委員会における、接道要件に関する同市の欺瞞的な行為から直接に帰結されることであって、同委員会における審議から本件契約の締結までに至る、同市の一連の行為は、一つの行為と評価することができる。そして、この同市の一連の行為は、全体として、公序良俗に違反する行為であるということができるのである。
    (2)  上記②の点について言えば、本件清掃工場には8tのロングダンプが出入りするということであり、一方、原告Bには、日常的に10t、15t、20t超の大型トラックが出入りするのであり、本件道路において、これらの自動車のすれ違いは困難である。また、本件道路においては、上記のような大型車同士がすれ違う場合、歩行者の歩く余地は、拡幅部以外は、側溝の蓋を含めてないのである。平成18年6月に、「高齢者、障害者等の移動等の促進に関する法律」(「バリアフリー新法」とも呼ばれている)が制定・公布され、12月に施行されたが、同法は、道路計画等について、更なる少子高齢社会において、弱者に配慮した計画にするよう求めている。本件清掃工場は全くの新設公共施設であり、本件工事は、その新設施設へのアクセス改善のために行う工事であるから、このような法令にも適合した最新の計画であるべきであるが、そのようにはなっていない。
    (3)  上記③の点について言えば、原告らが示している証拠は、入札結果を示しているものであり、談合が行われたことを客観的に示しているものであり、談合が行われた 事実を十分に推定させ得るものである。
    (4)  上記④の点について言えば、地方自治法242条の「住民」とは、同法10条1項に規定される市町村の区域内に住所を有する者」であるというのは監査結果に述べられているとおりであるが、「住所」の解釈は、「客観的事実を重視すべきである」とされている(逐条地方自治法第6次改訂版129p)。この解釈は、法人についても当てはまるものであり、法人に関していえば、形式的な登記簿上の本店所在地ではなく、客観的事実としての本店機能の所在地を以て、当該法人の住所とされるべきである。そして、原告Bの本店機能は、登記簿上記載されている山形市には全く存在せず、逆にそれは全て上山市に存在するのである。従って、同原告の請求人としての資格は十分である。

第7 まとめ
 従って、上山市は、本件契約に基づいて既に支払われた金5032万8000円、あるいは少なくとも本件契約金額の1割の金1258万2000円について、横戸長兵衛及び堀川土建に対して、損害賠償請求ないし不当利得返還請求を行うべきである。そして、本件契約金額のうち、未だ支出されていない金額については支出を差し止めるべきである。

以上

見通しの悪い山形新幹線カード下における大型車同士のすれ違いシミュレーション
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カーブ部分において対向車との重なり(図中黒の部分)が生じるため、すれ違いが困難。建設地までの市道には、このようにすれ違い不能なカーブが、 他に4カ所も存在しています

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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