山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第36号 2016.01.14 (木) 発行 住民監査請求の監査結果について

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組合に対する住民監査請求の監査結果が届きました

山形県の環境と観光産業を守る会は、平成27年10月28日付で、山形広域環境事務組合監査委員に対し、公称エネルギー回収施設(川口)の敷地造成工事に関する住民監査請求(正式名称:山形広域環境事務組合職員措置請求)を行いました。(守る会会報第32号をご参照下さい)。その後12月3日、請求人代表の意見陳述を経て監査され、平成27年12月24日付けで監査結果が届きましたので、結果部分のみ公開致します。
守る会はこの結果に到底納得できないため、新たな訴訟を提起する予定です。

 

山形広域環事務組合職員措置請求に係る監査結果について (通知)

平成27年12月24日

平成27年10月29日に提出のあった、地方自治法第242条第1項の規定に基づく山形広域環境事務組合職員措置請求書について、同条第4項の規定に基づき監査を行ったので、その結果を別紙のとおり通知いたします。

  1. 措置請求
    管理者は、本件工事の落札者である本件企業体へ既に支払われた契約金のうち金1億4014万 円をはじめ今後予定されている支出は、違法なものであるから、その支出の差止を行うべきであ るし、すでに支出された金1億1014万円については、市川昭男及び本件企業体に対して損害 賠償請求ないし不当利得返還請求を行うべきであると主張している。

第3 監査の結果
監査の結果は、合議により次のとおり決定した。
請求人が主張する措置請求については、理由がないので棄却とする。
先に記載した、第1の3の(3)で請求人が主張する違法性ないし不当性のうち、「ア 本件工事は河川法等に違反して違法であることについて」、「イ 請求人らの人格権、財産権等を侵害することについて」、「エ 本件工事の入札は談合がなされたものと判断されることについて」は、いずれも法第242条第1項の要件を具備していないので、監査対象としなかった。 また、「ウ 本件工事は契約内容が不明確で無効であることについて」は、法第242条第1項の要件を具備していると認め、監査の対象とした。 以下、判断理由について述べる。

(1) 監査の対象としない理由

  1. 本件工事は河川法等に違反して違法であることについて
    ア 請求人の主張
    請求人は、請求書「三 本件造成工事の問題点」において、本件工事にかかる雨水排水計画に用いた数値や大雨の相対に対する問題点について述べ、また、組合が作成した雨水排水計画に基づいた本件工事が及ぼす周辺河川への大雨時の被害の可能性についても述べている。請求人はそられについて、河川法等に違反して違法であると主張している。
    イ 監査委員判断
    請求人が河川法等に違反して違法であると主張している内容は、組合が行った財務会計上の行為との関連性を示しておらず、法第242条第1項の規定には該当しないと判断した。
  2. 請求人らの人格権、財産権等を侵害することについて
    ア 請求人の主張
    請求人は、請求書および、本件工事により請求人らの人格権、農業水利兼、財産権等及び生命・身体が侵害されると主張している。
    イ 監査委員判断
    請求人が主張している人格権等の侵害は、法第242条第1項に規定する組合がこうむった損害を述べているものではないと判断した。
  3. 本件工事の入札は談合がなされたものと判断されることについて
    ア 請求人の主張
    請求人は、請求書において、甲第27号証「入札結果報告書兼仮契約締結伺」をもとに本件契約は談合がなされたものと判断されると主張している。
    イ 監査委員判断
    昭和44年12月22日の名古屋高裁金沢支部判断では、「地方自治法第242条が監査請求に当たって、違法又は不当な公金の支出等の事実を証する書面を添えることを要求しているのは、事実に基かない単なる憶測や主観だけで監査を求めることの弊害を防止することにあると解される」と判示しており、その客観性を求めるものと解される。
    請求人が提出している甲第27号証は、入札結果を示しているものであり、談合が行われたことを客観的に示しているものではなく、請求人の主張は、単なる憶測や主観を述べたものと判断した。

(2)  棄却の理由

  1. 本件工事は契約内容が不明確で無効であることについて
    ア) 請求人の主張
    請求人は、請求書において、本件工事の仮契約書には、本件工事の内容について「別紙 エネルギー回収施設(川口)敷地造成工事共同企業体協定書」(以下「協定書」という。)というものが存在するような記載があるが、組合に対して工事請負契約書等を含む「川口のエネルギー回収施設敷地造成工事入札に関する全ての書類」について情報公開請求を行ったところ、そのような協定書は開示されなかったとし、そのため、本件工事の契約は、内容が不明確な契約であり、契約内容を特定できないから無効であるというほかはないと主張している。
    イ) 監査委員判断
    請求人が請求書で述べているとおり協定書が不存在であれば、本件企業体は入札参加資格がないことになり、組合契約規則で準用する山形市契約規則第17条で定める「入札参加資格のない者の入札の無効」及び第12条で定める「無資格者であることが判明したときの契約の解除」の要件となる可能性がある。そのため、本件企業体が入札参加資格があるのかも含め、組合が行った財務会計上の行為である本件工事の入札及び契約手続きが適正に行われているか監査を行った。 本件工事の入札については、共同企業体による条件付き一般競争入札が採用された。条件については、条件付き一般競争入札実施の公告文及び入札説明書において一般に公表された。本件企業体を含めた入札参加希望企業体は7企業体あり、組合は、それらから提出された入札資格確認のための書類について資格調査を実施、入札参加希望の全ての企業体が入札参加要件を満たすことを確認し、「条件付き一般競争入札参加資格確認通知書」を通知した。平成27年7月1日に入札が執行され、本件企業体が落札した。本件工事の入札について確認したところ、入札参加希望企業体の資格審査過程について特段の指摘を行うような事項は見受けられなかった。よって、本件企業体は、本件工事における入札資格を有し、契約解除されるべき無資格者ではないと判断した。 なお、請求人が不存在として協定書は、組合から提出された書類に存在していることを確認した。 また、本件工事の契約手続きについては、7月3日に工事請負仮契約書が締結された。この工事請負仮契約書は、7月組合議会定例会において契約締結の決議を得、7月24日をもって本契約とされている。 本件工事の契約手続きについて確認したところ、特段の指摘を行うような事項は見受けられず、本件工事の契約は有効であると判断した。

    以上

 

上山市に対する住民監査請求の監査結果が届きました

山形県の環境と観光産業を守る会は、平成27年10月29日付で、上山市監査委員に対し、公称エネルギー回収施設(川口)に至る上山市道一部拡幅工事に関する住民監査請求(正式名称:上山市職員措置請求)を行いました。(守る会会報第33号をご参照下さい)。その後12月4日、請求人代表の意見陳述を経て監査され、平成27年12月25日付で監査結果が届きましたので、結果部分のみ公開致します。
守る会はこの結果に対しても到底納得できないため、新たな訴訟を提起する予定です。

 

上山市職員措置請求に係る監査結果について(通知)

第3 監査の結果
本件請求については、監査委員の合議により次のとおり決定した。
本件請求を棄却する。なお、本請求書は有効に成立しているものの、請求人のうち企業Aについては、請求人の住所要件に欠けるので、これを却下する。以下、その理由を述べる。

(1) 事実関係

  1. 「本件工事の問題点」について
    ア) 山形広域環境事務組合(以下「組合」という。)の生活環境影響調査書によれば、エネルギー回収施設(以下請求書に合わせ「清掃工場」と表示する。)完成後、廃棄物運搬車両・一般車両の合計で1時間当たり50台前後がピーク時の通行台数と見込まれており、その車両が往復すると考えれば1時間当たり最大100台前後が市道前川ダム東線(以下「本件道路」という。)を通行することになる。この台数は大型車・小型車の合計であり、エネルギー回収施設(川口)施設整備基本計画書によれば、廃棄物運搬車両は4t・2tパッカー車が主となる。台数は少ないが8tロングダンプ車も通行する。一般的に4tパッカー車の全幅は2.2m前後、全長は7~8mであり、2tパッカー車はさらに小型になる。
    清掃工場稼働後は上記の台数であるが、土地造成、工場建設工事においては一定期間15t・10tトラックのような大型車が通行する可能性はある。なお、大型トラックでも一般に全幅2.5m、全長12mの規格内で製造されており、これを超える大きさの車両が公道を通過する場合は、特殊車両通行許可を受ける必要がある。請求人が例示している2,940mm×11,990mmのトラックはこの特殊車両に該当する。
    イ) 通行権として通常使用されているのは他人の土地を通らなければ公道に出られない場合の囲繞地通行権のことである。企業Aの事業所は市道である本件道路に接しており、通行権の問題は発生しないが、ここでは安全・快適に通行する権利、という意味合いで使用しているものと解釈する。本件道路は市道であり、法令に違反しない限り誰でも自由に通行することができる。
    ウ) 本件工事においては歩道の設置計画は無い。本件道路は、上山市市道の構造の技術的基準等を定める条例の第3種第4級の区分による規格で改良工事が行われており、この区分では、歩道設置は道路管理者の判断によるものとされている。
    エ) 道路交通法第40条により、一般の車両は緊急自動車を優先させる義務がある。なお、上山市消防本部が保有する緊急自動車で全幅及び全長が大きいものは、水槽付消防ポンプ自動車(全幅2,330mm×全長7,400mm)及び救助工作車(全幅2,320mm×全長7,670mm)である。
  2. 「本件工事に至る経過の問題」について(省略)
  3. 「談合の疑い」について(省略)

(2) 監査委員の判断

事実関係及び請求人の主張を監査した結果、次のとおり判断する。

  1. 工事契約の違法性について
    ...請求人が主張する本件工事契約の「違法の理由」の中で、清掃工場の建設予定地選定に当たり市が設置した検討委員会での候補地の選定過程に係る行為については、財務会計上の行為とは認められず、さらに、その行為は一連の行政行為であり本件工事契約の直接の原因とは認められないため、監査の判断はしない。
    ア) 道路の通行について
    請求人は本件道路の幅員が狭く5箇所のすれ違い困難箇所があり、本件工事によっても解消されず、清掃工場稼働後は交通量が増加するので、請求人らの通行権及び平穏生活権を侵害し公序良俗に違反し無効である、と主張している。...
    また、歩道の設置については、本件工事による道路拡幅や消雪施設、側溝有蓋化等により安全面での改善が見られることから、歩道の無いことをもって直ちに歩行者の安全を侵害するとは言い難い。よって、対向車との交互通行の可能性をもってのみ通行の安全が侵害され、民法第90条の公序良俗に違反しているとの主張については、理由がないものと判断する。
    (以下省略)

    以上

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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