山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第20号 2015.2.1 (日) 発行

住民監査請求に関する意見陳述を行いました

 平成26年12月25日付で、山形広域環境事務組合監査委員の方々に対し「山形広域環境事務組合職員措置請求書」をお送り致しました。内容については会報19号に掲載した通り、エネルギー回収施設建設候補地である上山市川口の土地売買に関するものです。請求に対する監査結果は、監査委員事務局が書類を受理した12月26日より60日以内に行われることになっております。守る会が請求した内容に関し補足がある場合の意見陳述を求められましたので、平成27年1月28日(水)10:30より山形市役所内において、山形県の環境と観光産業を守る会代表を含む請求人3人が代表して意見陳述を行い、参考資料を提出致しました。その要旨は以下の通りです。

【意見1】
 建設予定地の田んぼは、不定形で水路等も整備されていない土地である。一般的に区画整理されていない田んぼは、区画整理済みの田んぼより売買価格が安いのが普通である。地元の人の話では、「この田んぼは、10アール(1000㎡)当たり20万円でも買う人がいるか疑問」また、「上山市役所近くの田んぼでも80万円くらいだ」という話であった。しかるに、今回の買い取り価格は法外に高く、税金の無駄遣いと言える。さらに「宅地として買うのだから高いのだ」という意見があるが、一般的にごみ焼却場の跡地はダイオキシンや重金属に汚染され、宅地転用は不可能である。仮に宅地化したとしても誰も買う人はいない。よって、宅地だから高いという理屈も適当とは言えない。(東京ダイオキシン・重金属類松葉調査結果提出)

【意見2】
 平成26年3月26日に作成された「建設事業用地取得状況」一覧表における黒塗り部「補償物件」及び「補償費」は、「個人情報に関わるため非開示」との回答であったが、納得できない。通常は樹木や建屋であることが多いとのことだが、平成24年冬撮影時の写真では、田畑以外それに該当する物体は見つけることができず、公金支出として不適切と考える。(2013年3月撮影川口建設予定地写真提出)

【意見3】
 平成26年3月13日に財務省に対して支払われた土地代金は124,000円で、場所は予定地のほぼ中央部の堤塘である。面積は47.28㎡であるから、2,623円/㎡となる。隣接するA氏の田圃は3,044.71㎡に対し15,986,035円支払われているので、単価は5,250円/㎡となる。この価格差は不当ではないだろうか。

【意見4】
 上山市川口地区がエネルギー回収施設候補地と報道されたのは、平成24年5月だったが、そのわずか4ヶ月後の平成24年9月に、地権者に対する土地買収交渉が始まっている。当初より土地を売りたい人もいたが、諸事情により売りたくない人もいたことは事実である。それらの地権者に対し、組合や地区民等による言葉や強圧的態度等の圧力があり、嫌がらせや苦しみの中で捺印した人もいた。結果として家族不和や地区民の対立を生み、土地買収が人権を尊重して行われなかったことは不当である。

【意見5】
 B氏が所有する土地の一部は、予定地南側の里山(C氏所有)に接している。C氏は、未だに立ち会いを行っていないにも拘わらず、B氏は土地を売却している。境界線が確定していない状況での土地売買は不適切ではないだろうか。

【意見6】
 川口への清掃工場誘致について、川口地区民全体が知ったのは、マスコミ等の報道であった。非常に驚いたことと同時に憤りを感じたことを今でも鮮明に思い出す。その時点で、すでに組合、上山市、地権者及び一部の地区民での談合は行われていた。

 その後「川口地区の景観と環境を守る会」を立ち上げ、再三再四「話し合いの場を設けて欲しい」と嘆願したにも拘わらず、「まだ川口に決まった訳ではない」の一点張りで、相手にされなかった。土地の収用についても、一部は非常に強引であったと感じている。以後三者に対し、疑心暗鬼の念を払拭することができず、今に至っている。その後の地区会合においても、ごみ焼却場に関し話題にすることはできない。川口地区の将来に係わる一大事業であるにも拘わらず話し合いを公にせず、地区民の心を分断した罪は当然「上山市長」にもあり、末代まで続くものと危惧します。

以上

山形県県土整備部河川課に対し質問書をお送り致しました

山形広域環境事務組合によりますと、上山市川口における公称エネルギー回収施設建設公告は、約2ヶ月後の平成27年3月23日予定となっています。落札者の決定は同年12月予定です。この見積内容には周辺整備として「橋梁工事」も含まれていますが、組合は昨年9月10日にすでに山形県村山総合支庁宛架橋工事申請書を提出。守る会は村山総合支庁河川課に対し、これまでの経緯を伝えたにも拘わらず、10月7日には許可がおりたため工事が開始されました。現在も一級河川「忠川」に対する基礎工事が行われています。

しかし、会報17号でもお伝えしたように、建設に至るためには架橋許可のみならず、複数山形県部局の検討を得た結果でなければなりません。それらの手続きを踏まずして突然の架橋工事開始には多くの問題があります。川口の建設予定地に接する一級河川「忠川」(実質前川ダム放水路)及び忠川に接続する一級河川「前川」は平成25年、26年共に氾濫し、かつ河川計画を持たない川です。何故このような川に、一ヶ月足らずの検討で橋を架ける許可が出せるものでしょうか。架橋工事に当たり、すでに忠川コンクリート護岸壁直近に9本の基礎パイルが打ち込まれていますが、老朽化したコンクリートには無数のクラック(ひび)が見うけられます。この忠川は、上流の前川ダムに関わる下流の住民にとり防災上、環境上重要な川であり、安易な工事を許可するべきでないと守る会は考えております。

私たちはすでに数度に渡り、山形県河川課及び村山総合支庁河川課のご担当者と、詳細な話し合いを続けて参りましたが、到底納得できるものではなく、平成27年1月23日に更なる質問書を提出させて戴きました。この質問に対する回答は2週間以内に、守る会宛送信される予定です。入札公告前に施工者が決まり、一ヶ月足らずで着工するという事実に納得できるものではありません。

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写真:忠川コンクリート護岸と打ち込まれたパイル

 

山形県県土整備部河川課様宛質問書

山形県の環境と観光産業を守る会 河川環境担当

1. 前川、忠川の河川整備計画について

  • 前川については、平成25年及び26年に洪水被害が発生している。その被害の状況、被害発生原因、今後の対策、方針についてお示し下さい。

  • 前川、忠川の河川整備計画の策定時期について、県民に明らかにして下さい。
  • 忠川、前川の河川環境整備の計画を明らかにして下さい。
  • 忠川の環境、親水性の計画をもって上空占用、架橋の計画を手戻りの無いようされたい。
  • 昭和57年完成の前川ダムは1/40年確率とお伺いしました。その治水計画の前川本川の流下能力も計画に達していないと聞きました。そのうえで、須川の河川整備計画が策定されてそれは50年確率で前川の支川、荒町川、八幡堂川の計画流量が決められているのは、如何なものか。(本支川、上下流バランスがとれていないのではないか)

2. 忠川の橋梁の上空占用許可について

  • 県により工事許可された図面をみると、現況の橋梁は取り残され、しかも新設橋梁の法面の取り付けにより段差が出来、車両の通行は出来なく無用の橋梁となるにもかかわらず、河川上空占用を許容するのは、誰に対してどのような法的手続きをとられているのか。河川空間として無駄な橋梁を残置したまま、さらなる新設橋梁への占用許可は許されるのでしょうか。河川上空空間の環境及び現況護岸の維持管理に極めて支障となることが明白な上に進められるのですか。認可の権者は知事でいらっしゃいますか。

  • 忠川河川工事の認可について、忠川護岸の安定性を検討されていますか。検討報告書の閲覧をお願いします。現場では忠川護岸のクラックを確認し、撮影しております。

3. 忠川下流部左岸雨水排水樋管について

  • 忠川下流部に排水樋管の計画の2か所の図面がある。河川管理者として認可されたのですね。かなり老朽化している忠川コンクリート護岸に如何にして排水樋管を取り付けられるのか、図面と構造設計書を教えてください。県で確認、認可されたのですね。また雨水排水の計画規模、合流式下水道との確認、汚水排水の3Q流量の確認と、その流出量、想定雨量を確認、認可された承認の証明を教えてください。

4.ゴミ焼却場(予定)の雨水、汚水排水の水質管理について

  • 雨水排水計画、その計画規模、算定根拠、忠川、前川の流域計画における忠川下流域の扱いについて教えてください。
  • 河川の水質環境について、どのような頻度でどのような水質管理をされるのか、教えてください。忠川下流の前川では営農されておられる方もおられ死活問題になりますし、ごみ処理場建設にあたり、風評被害も想定されますが、いかがなる保障をお考えですか。

    以上、につき宜しくご返信お願いします。内容につきましては、既に事業が動いており許認可されている内容なので、ご回答に時間がかかることではありませんので、すぐにでもお願いいたします。

以上

 平成24年12月6日の記者会見で、組合管理者である市川山形市長が「建設地は上山市川口に決定しました」とおっしゃって以来、市民は「決定であって、土地の買収も済んだ。もう何を言っても無駄だ」という諦めの境地に至ったものと思います。しかし、建設までには、今後も環境影響調査結果に対するパブリックコメント、入札公告、建築確認申請、景観の検討等多くのチェックが必要です。それらをクリアして初めて建設が決定するのだと思います。

 私たちはこの3年間、ゴミ処理、リサイクル、ガス化溶融炉、環境、景観、健康等の専門家を全国からお招きし、学習を続けて参りました。これらの政策提言を活動指針にしており、会員も全国から随時募集しております。活動へのご協力をお願い申し上げます。

※会報「澄んだ空気と水」は、「ゴミ弁連」HPに掲載されています。どうぞご一読下さい。
ゴミ弁連とは「たたかう住民とともにゴミ問題の解決をめざす100人の弁護士の連絡会」です。

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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