山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第15号 2014.10.20 (月) 発行

山形県知事へ申し入れ書を提出致しました(全文掲載)
~内容に関する知事との話し合いを求めています~

平成26年10月7日

山形県知事
吉村 美栄子殿

山形県の環境と観光産業を守る会
代表 結城玲子

申し入れ書 (御提言書)

 現在、山形広域環境事務組合(市川昭男組合管理者)が進めておられる、上山市川口地区の公称「エネルギー回収施設」につきまして、何度かご提言させて戴きました。この事業に関しまして、平成24年5月以来2年4ヶ月に渡り組合とのやり取りを繰り返して参りましたが、平成26年6月13日に初めて組合管理者と直接お話しすることができました。その際、私たちが一般ごみ焼却場に関する学習を繰り返した結果、組合から受理した膨大な書類の分析や専門家の意見を加えた書類も提出させて戴きました。

 この度この意見項目の内、山形県に関する以下6項目についてご検討のうえご回答戴きたく、お願い申し上げる所存です。これらの項目は、建設予定地周辺に係る前川ダム及び前川(いずれも山形県管理)に関する事項です。すでに平成26年6月25日付けで、村山総合支庁建設部 山形統合ダム管理課、河川砂防課、建設総務課様より回答書を戴いております。しかし、平成25年7月及び平成26年7月の豪雨災害の際に、前川ダムや前川、忠川周辺は多大なる被害を受けており、この回答に納得できるものではございません。これらの事象を鑑み、改めまして山形県としての見解をお示し下さいますようお願い申し上げます。

【申し入れ内容 】

  1. 前川及び忠川の須川に整合した河川整備基本方針、河川整備計画につき計画書を明らかにするとともに、現況流下能力を示し、上山市川口地区周辺に係る内水も含めた浸水想定区域の見直しをお願い致します。見直しに当たっては平成25年7月及び平成26年7月の水位記録、水害記録の再現を反映させた解析モデルによるものに改定し、さらに両年の内水被害も含めた実績浸水範囲を含めて改定して下さい。
  2. 1により、上山市洪水ハザードマップの更新をご指導下さい。洪水ハザードマップは、豪雨時の避難所、避難経路をも示すもので、土砂崩れによる道路寸断が実際に現れている現状から土砂災害の危険性も見直すとともに、安全な避難が図れる方法をお示しください。現建設予定地は、昨今の内水氾濫や、近隣の道路、土砂崩れの状況からして、平成24年5月9日に上山市で行われた第一回清掃工場候補地検討委員会で示された資料3の「選定条件」(山形広域環境事務組合の抽出3条件)の項目2と3に合致しないものと考えます。予定地にごみ焼却場が建設された場合、水害時等に工場職員、近隣企業社員、ダム周辺の観光客等が安全に避難する経路を断たれる危険性があります。また組合では災害時、工場を川口地区民の避難場所にするとおっしゃっていますが、洪水で川口橋が冠水または橋が流された場合、避難は不可能です。
  3. 蔵王山気象庁が常時監視している全国47活火山のうちの1つであり、近年は火山性地震が頻発し、山形地方気象台は、「噴火しないという認識が一番怖い」と述べています。火山性地震の頻発が、抽出3条件に合致しているとは到底思えません。
  4. 1、2、3により上山市川口地区が、エネルギー回収施設建設地として不適切であることが明白である旨、山形広域環境事務組合をご指導下さい。一般的に県は、市町村に対し指導する立場でないことは存じ上げておりますが、県管理河川の水害の危険性が実態と齟齬があること、特例として知事が権限を持っていらっしゃることをご理解戴ければ幸いです。(守る会会報第2号4頁をご参照下さい)。さらに、現在稼働中の半郷清掃工場、立谷川清掃工場の稼働データ分析の結果、今後ごみ焼却場は一つで足りるという論考をご覧下さい。(会報5号1頁をご参照下さい)現在事業が進んでいる立谷川清掃工場は200億円超と言われています。同様の規模の川口を含めると400億円を超える巨額の経費が掛かる上に維持費も莫大となり、導入自治体の財政を圧迫していることが知られています。少子高齢社会の中で、不必要な税金の支出は極力避けるべきと思います。
  5. 建設した場合の工場廃水について、組合は次のように回答しています。まず、施設内で使用された雑排水は、浄化槽処理後基準値以下にして放流する。プラントで使用された廃水は、高温を発するプラントに掛けて蒸発散させるため排水しない。敷地内に降った雨水は基準値以下として、忠川(前川ダム放水路)に排水させて欲しい。しかし、敷地内にはダイオキシン等の化学物質が蓄積している恐れがあり、有害化学物質が項目化されていない現行基準値を認める訳には参りません。山形県の管理下にある忠川への雨水排水を「不認可」として戴きたくお願い申し上げます。
  6. 山形県は循環型社会推進の方針をお持ちですが、それを推進するため、県全体の取り組みとして「生ゴミのコンポスト化」を推奨されてはいかがでしょうか。長井市レインボープランは、国内外で高く評価されています。都市部等で生ゴミ集荷所の設置が困難な場合は、山形市が行っている「生ゴミ処理器」導入を推進し、優良肥料として県産農作物に活かすことをご検討下さい。(会報9号及び12号をご参照下さい)また、工場から排出されるダイオキシンや重金属類が健康に与える害が、明らかになっています。市民の健康と自然環境、大気や土壌、地下水への悪影響は避けるべきです。(会報8号参照) 特に川口地区は県産品サクランボやつや姫Aランク米の産地で、農業用水としての前川の水質を悪化させる要因は除くことが肝要かと思います。

 

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【参考】平成24年5月9日に開催された第1回清掃工場候補地検討委員会資料3
建設地選定の基本条件だが、特に条件2に対し不適合と言えるのではないか。

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参考写真:平成25年7月及び平成26年7月の上山川口地区前川ダム周辺崩落・敷地冠水被害

県知事宛提出参考資料:
(1)山形県の環境と観光産業を守る会意見に対する、山形広域環境事務組合の回答書 (平成26年7月24日付)
(2)(1)の3項目に係わる山形県(村山総合支庁)の回答書(平成26年6月25日付) 
(3)平成24年5月9日に開催された第1回清掃工場候補地検討委員会資料3
(4)半郷清掃工場・立谷川清掃工場における、過去10年間の稼働状況分析結果と論考。(ゴミ弁連会長/理学博士 梶山正三氏による) 組合の排出原単位の捉え方の違いと、少子高齢化の見込み方について。 結論 : ゴミ焼却場は一つで足りる。
(5)山形県の環境と観光産業を守る会 会報2号~14号綴り
(6)平成25年7月及び26年7月川口地区周辺水害の写真
(7) カナダのノバスコシア州「脱焼却」の取り組みに付いて

 

世田谷清掃工場 流動床式ガス化溶融炉の稼働実態

 上山市川口地区に設置予定のゴミ焼却炉は、【流動床式ガス化溶融炉】です。ゴミを燃やすだけなら800°程度で済みますが、ガス化溶融炉は1300°~1800°の超高温を発し、ごみを融かします。この時に有毒なガスを発生しますが、フィルターや化学薬品を用いて毒性を削減すると言われています。現在東京都世田谷区において現役で稼働している同タイプ溶融炉の実情を環境面、経済面、多方面からお伺い致します。どなたでもご自由にご参加下さい。

日時:平成26年11月2日(日)13:30~17:00
場所:山形駅西口 霞城セントラルビル23F 会議室A
議題:世田谷清掃工場 流動床式ガス化溶融炉の稼働実態
講師:植田 靖子氏(東京都世田谷区議)
参加費:無料
主催:山形県の環境と観光産業を守る会 代表 結城玲子

 

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されていま気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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