山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(エネルギー回収施設)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第12号 2014.7.29 (火) 発行

「カナダ・ノバスコシア州から学ぶ脱焼却政策」について斉藤真実氏が講演されました

 平成26年7月13日(日)、斎藤真実氏(環境行政改革フォーラム・国際担当幹事)を講師にお招きし、「カナダ・ノバスコシア州から学ぶ脱焼却政策」と題して講演をいただきました。カナダのノバスコシア州は、北アメリカ大陸東海岸に位置し、「赤毛のアン」の舞台であるプリンスエドワード諸島の近くにある州です。

ノバスコシア州では、飲料用容器には予めデポジット金が課されており、容器を返却するとその一部が消費者に還元される(リファンド)ことから、空容器の資源としての回収が促進されるシステムとなっています。その管理運営は政府でも企業でもない第三者機関が行い、その機関は経済的に自立しながら、ごみ処理政策を仕切っています。特徴は以下の通りです。またノバスコシア州は、豊かな自然と美しい景観で有名ですが、この地の州都でも、1994年にごみ処理政策が危機を迎えた経緯があります。“脱焼却策”をつくりあげたノバスコシア州のこれまで歩みを振り返りながら学びました。

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カナダ・ノバスコシア州のごみ処理政策の特徴

  1. 第三者機関であるRRFB(NPO)の設置
  2. デポジット・リファンドシステムの導入
  3. 野焼き・焼却・埋立に関する罰則・罰金
  4. 廃棄が禁止されているものを規定

■ ごみ処理政策の危機
 消費社会の進展とともに大量のごみが発生します。1970年代初頭には何百もの処分場(直接埋立処分)がつくられました。焼却炉もありましたが、野焼きに近い簡易な設備でした。悪臭・水質汚濁などの問題が発生し、ごみ処理政策は危機を迎えます。

■ 新しい処分地がみつからない !
 「NIMBY(NOT IN MY BACKYARD)」…「自分の裏庭でさえなければ良い」
この言葉通り、当初の人々の意識は決して高いものではありませんでした。大金をかけても処分場候補地がみつからない事態に直面します。

■ 州政府、最新鋭焼却炉導入提案を却下
 最新鋭焼却炉導入が提案されましたが、次の二つの理由により、州政府が却下します。

  1. 経済的問題:最新鋭焼却炉は、非常に高額。維持管理にも莫大な金額を要する。
  2. 健康問題:最新鋭焼却炉は、健康被害に対する懸念が払拭できない。

■ 地域利害関係者委員会(CSC)の組織
 当初、参加者たちはごみ処理政策や処理施設の立地選定の議論に参加する場に懐疑的であり、保身的であり、頑なで利己主義的でした。しかし、住民は誰でも参加可能なこの委員会は、1994年から5カ月間で数十回の開催を数えます。そして、議論を重ねてくるうちに、処分場選定よりももっと本質的な問題(廃棄物処理の為の総合的戦略)を提案するまでになっていきます。

■ 廃棄物処理の為の総合的戦略
ごみは資源(Waste is misplaced resources)という認識の下、積極的なごみ減量化・資源化計画を導入し、市民に対する教育を充実させていこうという総合的戦略が策定されます。

  1. ゴミ減量化目標:50%以上(州目標と同じ)
  2. 焼却・埋立禁止物
    すべての資源化可能なもの、堆肥化可能なもの、有害なもの、建設廃材等
  3. 4種類に分別した回収システムの構築
    ● 堆肥化できるもの
    ● リサイクルできるもの
    ● 堆肥化・リサイクルできないもの
    ● 有害物

■ RRFB (資源回収基金) の果たした役割の大きさ
RRFBは州政府によって1996年に設立された第三者機関であり、理事等の役員会によって管理されています。企業の分野から多くの理事が選出されており、デポジット金で独立運営される、“資源回収基金”であり、その使命は、以下の通りです。

  1. 産業界との“スチュワードシッププログラム(WINWINの関係の奉仕の精神)”の活性化・改善
  2. 州内全域における、各地域の廃棄物削減に対する取組強化支援
  3. 飲料用器のデポジット・リファンドシステムの管理
  4. 教育・啓蒙プログラムの推進
  5. 付加価値製品の開発推進

■ 経済効果が大きい !
2013年10月、飲料容器プログラムの経済効果を初めて調査したところ、主に農村地帯で約600のフルタイム雇用創出が確認されました。金額ベースでは以下の通りです。

  1. 給与支払額:約19億円(2010万カナダドル
  2. 州に対するGDP貢献:約27億円(2,880万カナダドル
  3. 所得税の税収:約1億1,300万円(120万カナダドル

■ ノバスコシア州が成功した要因

  1. 連邦国家のため、もともと各州で自治権が強かった。
  2. 全ての人に開かれた議論の場を提供し、NIMBYから問題意識を持って解決する方向に導かれた。
  3. 行政でもなく、企業でもなく、第3者機関に実行を任せた。
  4. 第3者機関が経済的に自立できるシステムを導入した。
  5. 行政・事業者・市民のやるべきことを簡単明瞭に呈示し、実効性を高めた。

 ノバスコシア州の人々の意識は、「NIMBY(ノットインマイバックヤード)」から、問題意識を持って解決する方向に導かれたことが、成功要因の一つと言えそうです。しかし、日本では、まだまだ「NIMBY」です。自分さえ良ければよい、先の世代のことなどどうで良いと言わんばかりの状況ではないでしょうか。環境面だけでなく、経済的にも問題のある「流動床式ガス化溶融炉」を次世代に残して良いのでしょうか?山形県の環境と観光産業を守る会は、しっかりとこの問題に向き合いながら、提言を続けて参ります。

 

環境問題フリーライター津川 敬氏のご意見

2012発行「環境プラントのいま」より

 1997年から2002年までの5年間は、「ダイオキシン特需時代」であった。当時の厚生省が全国に通達した「ごみ処理広域化計画」(1997年5月28日)と、その前提となった「ダイオキシン類新ガイドライン」(同年1月28日)の公布によって半世紀に一度という大型焼却施設の建設ブームが到来した。中でも目玉となったのが、ガス化溶融炉と灰溶融炉の開発である。プラント建設に支出される国庫補助率は従来の4分の1から3分の1になり、建設工事に係る地方補償還の50~70%は、地方交付税で補填するという優遇ぶりに、少々耐用期間が残っていても今(大型焼却施設を)つくらなければ損するという空気が全国に拡大した.最盛期には27の企業がこの分野に押し寄せ、中にはごみ焼却など手がけたことのないメーカーも参入するほどだった。(以下略)

 「エネルギー回収施設」という言葉に行政の姿勢が凝縮されている。昔は「ごみ焼き場」だった。次に「ごみ焼却工場」になり、それでは周辺住民を刺激するということで「清掃工場」。さらに「クリーンセンター」になり、 元環境大臣小池百合子氏が国庫補助金に代わって交付金制度を採用した時、「ごみ焼却」のイメージを完全に払拭。本来タブーだった「ごみ発電」を正当化するために「エネルギー回収」という珍妙なキレイごと路線に行き着いた。爆発を含めた事故も多く、嵩みすぎたコスト負担が自治体を圧迫している。

 

ダムと川が及ぼす周辺地域への影響 ディスカッション

 昨年7月に続き、今年(平成26年)7月10日、台風8号が水害をもたらしました。南陽市吉野川周辺の水害は記憶に新しく、激甚災害指定を求めて活動が行われています。隣接する上山市でも前川、須川等に大きな影響を及ぼしています。現在焼却場が建設予定されている上山市川口地区は、前川ダム下部に位置し、前川は農業用水として広く利用されています。今年7月の水害ではダム近くの市道が崩落し、現在も建設予定地以高は、通行止めになっています。今後も豪雨が予想される中、建設予定地としての影響について議論します。

日時:平成26年9月7日(日)13:30~17:00
場所:山形まなび館1F 交流ルーム5
議題:ダムと河川が及ぼす周辺地域への影響~その危険性と避難~
講師:谷岡 やすし氏(災害・防災ボランティアかわせみ代表)
   博士(河川工学)技術士(総合技術監理)技術士(河川砂防及び海岸)
参加費:無料(会員限定)
主催:山形県の環境と観光産業を守る会 代表 結城玲子

 私たちはこの二年間、ゴミ処理、リサイクル、ガス化溶融炉、環境、景観、健康等の専門家を全国からお招きし、学習を続けて参りました。これらの政策提言を活動指針にしております。これらの活動にご賛同戴ける方は、下記講座に寄付をお願い申し上げます。主に講師謝礼や交通費、分析費用として使われます。また会員も、全国から随時募集しております。

 

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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