山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第10号 2014.5.20 (火) 発行

山形市ごみ減量推進課「ごみ減量等出前講座」報告

 平成26年5月11日(日)、山形市ごみ減量推進課課長補佐の高橋勇氏および同課の佐藤由美子氏を講師にお招きし、「ごみ減量等出前講座」を聴講しました。高橋課長補佐からは「山形市のごみ処理基本計画について」お話しいただきました。

山形市では平成25年2月に「山形市ごみ処理基本計画」(H25~H34)を策定し、2つの基本方針と4つの個別方針、10の施策により循環型社会の構築を目指していくとのことです(表1は基本方針と個別方針のみ)。

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 初めに、前計画(~H24)の現状と課題を伺いました。前計画のもとに行われた家庭系ごみの有料化や、ごみ減量もったいないねット山形との連携、レジ袋削減の取組みなどにより、「平成23年度のごみの総発生量は、ピーク時だった平成12年度と比較すると28.2%の大幅な減量を達成」したということです。そして、「本市のごみ排出量(家庭系ごみと事業系ごみの合計)は、将来も減少傾向で推移」し、表2のように予測しているということでした。表2では参考まで、今回の計画の目標値も掲載しております。

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 一方、表1の【個別方針4】の施策として「新たなごみ焼却処理施設の整備」が挙げられており、計画しているごみ焼却処理施設の処理規模は、立谷川と川口の「2施設で300t/日(1施設あたり150t/日)」とのことです。

 次に、佐藤氏から「生ごみ減量・雑紙分別・集団資源回収について」お話がありました。平成25年度の山形市の調査によると、家庭から出されるもやせるごみの内訳(重量ベース)のうち、約47%を生ごみが占めているそうです。その生ごみについて、山形市では「生ごみ処理機購入補助事業」、そして、電気式(乾燥式)生ごみ処理機で処理した乾燥生ごみ5kgで500円相当の野菜と交換できる「やさいクル事業」を行っており、事業の詳細を過去に放映されたテレビ番組の鑑賞も交えながら説明していただきました。

 講座の終わりには質疑応答の時間が設けられました。参加者からは「家庭系ごみの排出原単位(市民1人1日あたりの家庭系ごみ排出量)の考え方が、高齢化や少子化といった諸要素を反映していないのではないか」といった質問や、「プラスチックごみとして出せるもの出せないものが自治体間によって異なるのはなぜか」、「プラスチックごみの処理の流れはどうなっているのか」「プラスチックを燃えるゴミとして焼却するのは、ゴミ減量に反し、有害ガスの排出につながるのではないか」といった質問が出されました。最後に、表2を見ると計画目標値が予測値を大きく下回っていないのに、果たして「目標」と言えるのか、また、ごみ排出量削減の取組みが行われているなか、処理規模300t/日ものごみ焼却処理施設が必要なのか疑問に思われました。

 お忙しいところ講師を務めてくださった山形市ごみ減量課のご担当の方々に御礼申し上げます。誠にありがとうございました。

 

組合へ情報公開を求めた結果ご報告

 平成26年3月2日に上山市川口地区で行われた地区総会で、今年度より地区に「環境保全活動資金」が交付される旨報告がありました。しかし、川口地区は立谷川地区より計画が一年遅れており、まだ生活環境影響調査も終わっておりません。さらに建設計画も明らかではなく、入札は平成27年の7月頃までと言うことです。何故この段階で、このような資金が川口地区に交付されるのでしょうか。守る会はこの交付金の出所や主旨及び金額について山形広域環境事務組合へ情報公開を求めました。

■山形広域環境事務組合が上山市川口地区に資金を交付する理由(回答)

  1. 環境保全活動資金」ではなく、「地区の美化活動支援金」として組合が交付する。
  2. 金額は、26年度から毎年300万円。

(質問)まだ建設着手前であり、交付は時期尚早ではないでしょうか?

(回答)廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第9条の4に規定する周辺地域の生活環境の保全及び増進に配慮すると共に、地域の活性化を図るために交付するものです。また詳細については、今年度(平成26年4月1日)から施行された新しい交付要綱に基づきます。具体的には上山市川口地区における生活環境の保全及び増進に資する事業を対象に、環境保全活動(地域清掃、里道、水路等の適正管理)等々の他、管理者が特に必要と認めた事業に対し交付されます。

 

会員の意見コーナー

■ 父の病気で山形から米沢に三年間頻繁に通った時期がありました。気持ちが落ち込んで疲れた帰り道、米沢方面から上山に差し掛かると、美しい山々に囲まれた里山の風景が目に入り、その独特の雰囲気に毎回ほっと癒されるのでした。なぜあの美しい素朴な場所に焼却場が!かなりの衝撃でした。しかも人間への深刻な健康被害の心配も払拭されていない現状で本当に推し進めていいのでしょうか?つくづく思います。誰が何のためにこんな理不尽なことをするのか?本当に必要な設備なのかどうか、行政も結論ありきではなく、私達住民の気持ちに寄り添って考えて欲しいと思います。(山形市 50代女性)

■ この会に入り、上山市川口に建設予定の「流動床式ガス化溶融」は、今までの焼却炉に比べると非常に危険な炉であり、近隣で生活する人々の健康を害する可能性が高いことが分かって来ました。勉強すればするほど、いろいろなことが分かってきて恐ろしくなります。地域の活性化ということで賛成した地元住民も、溶融炉が稼働を始めれば、さぞびっくりするだろうと思います。健康被害に遭わなければ良いがと危惧しています。そして行政にはいろんな仕掛けがあり、それに引っかからないように、市民同士がスクラムを組んで立ち向かわなければなりません。(上山市 60代男性)

■ 平成29年からの家庭ゴミ処理計画では、今まで上山市で分別してきたプラスチック類も燃やされるということです。導入予定の流動床式ガス化溶融炉から排出されるものは、数値上何ら問題がなく、安心、安全だという行政側の説明です。でも素人の私には、民家のすぐ近くの生活圏の中にゴミ焼却場を建設することを理解し、納得することは困難です。それで真実を知りたいと思い、「山形県の環境と観光産業を守る会」に参加しました。勉強するほどに、いろんなことが分かりました。まず、「脱焼却への道」は、最も大事な一つの方法だと強く感じました。次の世代(子や孫)に何を残し、どういう地域にしていくべきか、山形県をよりよい環境にするために、市民レベルで一緒に勉強していきませんか。(上山市 60代女性)

 

廃棄物処理がもたらす健康被害についての研修会

山形広域環境事務組合が管理している二市二町(山形市上山市・山辺町・中山町)の家庭系ゴミを焼却するため、流動床式ガス化溶融炉が導入されます。この溶融炉は1300°~1800°の超高熱であらゆるゴミを融かし、ガスを大気中に排出します。通常は800°程度の焼却炉で十分に燃やすことができます。何故このような超高温で溶かす必要があるのでしょうか。そして、高い煙突から排出される目に見えないガスは、本当に安全なのでしょうか。現在全国で問題になっている事例を示して戴きながら、ガス化溶融炉の真実に迫ります。さらに、一般ゴミ処理だけではなく広範囲の廃棄物処理が、環境や健康に与える影響についても、ご講演戴きます。質疑応答の時間もありますので、どうぞご参加下さい。

日時:平成26年6月1日(日)13:30~17:00

場所:山形霞城セントラルビル22F 会議室B

演題:廃棄物処理がもたらす健康被害

講師:梶山正三氏(ゴミ弁連会長/弁護士/理学博士)

参加費:500円(資料代)

主催:山形県の環境と観光産業を守る会 代表 結城玲子

* ゴミ弁連とは、たたかう住民とともにゴミ問題の解決をめざす100人の弁護士の連絡会です。

 私たちはこの二年間、ゴミ処理、リサイクル、ガス化溶融炉、環境、景観、健康等の専門家を全国からお招きし、学習を続けて参りました。これらの政策提言を活動指針にしております。これらの活動にご賛同戴ける方は、下記講座に寄付をお願い申し上げます。主に講師謝礼や交通費、分析費用として使われます。また会員も、全国から随時募集しております。

 

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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