澄んだ空気と水 第9号 2014.4.21 (月) 発行
生ゴミコンポスト処理とリサイクルの可能性を探る研修会報告
平成26年4月13日(日)山形県長井市のレインボープラン推進協議会前会長の江口忠博氏を講師にお招きし「レインボープランのまち・長井」と題して講演をいただきました。レインボープランとは、生ごみを堆肥化し、農産物生産に活用。それにより生産された野菜・米等の農産物を家庭で消費し、再び生ごみを堆肥化するという取り組みです。ともに支えあう地域づくり、思いやりとやさしさの地域づくりがレインボープランの最終目的です。
・地域循環を支える連携と役割分担
地場野菜の直売所では、レインボープラン農産物認証制度を取り入れ、生産者・消費者の交流が行われ、市内外の情報の受発信が行われています。また、市内飲食店では、認証農産物を用いた料理・加工食品が提供されています。また、長井市内小学校の給食に認証農産物が採用されたり、認証農産物を用いた料理を中学生が考案したり、首都圏の大学生等の若い世代が研修に訪れたりと、次世代の育成にも活かされています。
・取り組みの成果と波及効果について
- まちの5,000世帯の生ごみが全量堆肥として市内の田畑に入り、農産物として食卓に戻っています。
- 環境保全型農業への関心を持つ市民が増えました。
- 環境保全の一助となっていいます。
- 市内の様々な業種に波及しています。
- 環境学習、地域学習など、市内外の次世代の育成に貢献しています。
- 全国並びに海外でも長井市が高い評価を受けています。
また、レインボープランが誕生する背景についてのお話もありました。誕生前の昭和63年、バブル経済の余波が地方にも及び、まず経済成長ありきの風潮が世の中に蔓延していました。一方、当時の長井市は、それまでの箱モノ行政のつけが祟り、財政再建団体寸前まで財政が悪化、ハード依存ではなくソフト重視のまちづくりを余儀なくされます。行政主導のまちづくりから市民参加のまちづくりへと転換し、“循環”を指向したレインボープランが産声を上げたのです。
・レインボープラン誕生の背景
- 土が弱っている(農家)→農業(土壌)の再生
- 食への不安(消費者)→安心な食の確保
- 焼却場の老朽化(行政)→生ごみ焼却の回避
レインボープランの最終目的は、「ともに支えあう地域づくり、思いやりとやさしさの地域づくり」です。私たちの子孫が困らないようにしたい。先祖代々、人間はそうやって命を受け継いできました。ところが、現代は逆になっているようです。自分達さえ良ければよい、先の世代のことなどどうで良いと言わんばかりの状況ではないでしょうか。次世代に何を残すか?「流動床式ガス化溶融炉」なのか?「ともに支えあう地域づくり、思いやりとやさしさの地域づくり」なのか?山形県の環境と観光産業を守る会は、しっかりとこの問題に向き合って参ります。
山形広域環境事務組合へ情報公開を求めました
平成26年4月8日(火)私たち山形県の環境と観光産業を守る会は、山形広域環境事務組合(山形市・上山市・山辺町・中山町)に対し以下の情報公開を求めました。
1~4に対する情報は4月14日に開示されましたが、2~4については口頭での回答でしたので、さらに質問書を提出して文書での回答を求めました。また項目5として、川口地区はまだ生活環境影響調査の途中であり、何の結果も出ていないにも拘わらず、何故この地区にこのような内容の資金が拠出されるのか、その理由も追記させて戴きました。この質問書に対する回答は、二週間後の4月28日頃になるとのことですので、次号掲載予定です。 とりあえず受理した議事録によりますと、2の川口地区へ拠出予定の「環境保全活動資金」とは「地区の美化活動支援金」とのことで、平成26年度は300万円を支援すると記載されています。これらの具体的内容について、文書での回答を求めています。(次回報告)
会員の意見コーナー
■ 長井市のレインボープランを実行していらっしゃる江口さんのお話で、一番印象に残っているのは、生ごみのコンポスト化でうまくいっている点は、コンポストのニーズがあるところだということでした。同様のことが、ゴミ処理にも言えると思います。人口減少、少子高齢、環境意識の向上に伴いゴミも減少している現在、ゴミ処理に対する住民のニーズも変わっているのではないでしょうか。今回のゴミ処理場の計画が住民のニーズを反映したものなのか疑問が残ります。(山形市 20代男性)
■ 生ゴミを焼却することは、処理方法として適切な方法ではないのだと、この一年間の勉強を通して確信しました。専門性が高い高度な技術が、必ずしも適正技術ではないということです。長井市で実際に運用されているレインボープランの発想の原点が、土壌再生、安全な食の確保、生ゴミ焼却の回避であったことに敬意を覚えます。今考えると、すごい先見の明であり、見事な英断だったと思います。一方山形市の行政は、無駄とも言える大規模な焼却施設の建設を強引に押し通そうとしています。ゴミの減量化に努め、財政の支出をできるだけ抑える努力をしなければならない行政が何故、という思いは、ここに来て不信感に変わりました。1カ所あたり200億円を超すという建設費。2カ所で400億円超の焼却場が本当に必要でしょうか。税金の無駄使いは許せません。(山形市 50代女性)
■ 「ゴミは誰もが出すものだから、ゴミ焼却場が建つのは仕方がない」というのが、大方の市民の考え方だと思います。しかしゴミについて学ぶと、必ずしもそうではないことが分かってきます。何より恐ろしいのは、その焼却がもたらす人間の遺伝子や健康、大気、土壌、水質への悪影響です。これは全国の事例を調べると明らかであり、行政の「無害です」という言葉を覆す事実が証明しています。また「ガス化溶融炉」は、完全開発以前に導入された経緯があり、不備な点が多いことも事実で、事故例は表向き伏せられています。さらに初期投資や維持管理費が高額で、自治体の財政を圧迫しているのも事実です。私たちはこれらの裏付け資料を県や、国(環境省)に提出して参りました。これらを考慮すると、ゴミ処理は一日も早く「脱焼却」を計ることが大切であると考えます。このような必要性、安全性の確認もせず、強行導入しようとする行政の考え方は、全く理解できません。(山形市 60代女性)
■ 半郷清掃工場500m以内居住歴26年。毎日風向きと臭いを確認し通勤や散歩、洗濯物は常に室内干しの日常です。最近は孫さんの将来を考え、焼却炉早期停止、解体撤去、汚染土入れ替えを願う声も出ている半郷です。
平成15年1月の山形広域環境事務組合の建設事業広報で回覧された記事に、「山形市半郷清掃工場周辺環境測定の再調査結果」とあり、「調査地点/蔵王第二小グラウンド(南東側)前回調査結果74今回調査結果1.5(単位pg_TEQ/g)」に疑問を持ち、他県民間NPOを通じ調査。結果は、当時日本の環境基準は1000でもドイツは100で子供は立ち入り禁止となる値であり、同地点再調査でこれほど数値が下がることは通常ありえず、毎年調査してもほとんど下がらないのがダイオキシン土壌の特長と知り怖くなりました。二市ニ町の市民の皆さん、生ごみは長井のようにエコ堆肥にしなければ、もったいないですよ。また食品が付いたプラスチックは水洗いし、燃やさないでくださいね。(山形市 40代女性)
山形市のゴミ処理計画について
現在山形広域環境事務組合が管理している二市二町(山形市・上山市・山辺町・中山町)の家庭系一般ゴミは、山形市半郷と山形市立谷川の2カ所で焼却処理されています。しかし特に半郷焼却場は老朽化が著しく、どちらも建て替えが計画されています。半郷焼却場は廃止され、代わりに上山市川口に計画が進んでいますが、この計画は1999年に基本が策定されたもので、少子高齢化が加速している現代社会に即した計画とは言えません。二市二町の約8割を排出している山形市のゴミ処理計画について、お話を伺います。
日時:平成26年5月11日(日)13:30~15:30
場所:山形まなび館(第一小学校旧校舎)地下1階 交流ルーム7
議題:山形市のゴミ処理計画~ゴミ減量はどのように進められているのか~
講師:山形市ごみ減量推進課ご担当者
参加費:無料
主催:山形県の環境と観光産業を守る会 代表 結城玲子
私たちはこの二年間、ゴミ処理、リサイクル、ガス化溶融炉、環境、景観、健康等の専門家を全国からお招きし、学習を続けて参りました。これらの政策提言を活動指針にしております。これらの活動にご賛同戴ける方は、下記講座に寄付をお願い申し上げます。主に講師謝礼や交通費、分析費用として使われます。また会員も、全国から随時募集しております。
<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>
生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。