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山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(エネルギー回収施設)に関する詳細、および諸問題について

澄んだ空気と水 第8号 2014.3.28 (金) 発行

 松葉や土壌で測る身近な環境汚染 研修会報告

 ゴミを焼却した際に発生するダイオキシンやその他有害物質の汚染度調査を市民の目で検討する講演会が山形市で行われました。主催は山形県の環境と観光産業を守る会。タイトルは「市民参加による環境監視活動その実績と方法~松葉や土壌で測る身近な環境汚染~」。この第8号通信はその報告書です。

 平成26年3月9日(日)13:30より株式会社環境総合研究所顧問の池田こみち氏をお招きし、松葉によるダイオキシン調査についてお話を頂きました。環境総合研究所は世界でも稀に見る「株式会社でNGO」を行っている組織です。独自の技術や経験、ノウハウを駆使し財政的基盤を作ったうえで、化学分析やアセスメントといった第三者的なNGO活動を強力に推進しています。池田氏は環境総合研究所の設立者の一人であり、環境行政改革フォーラム副代表、市民参加による全国松葉ダイオキシン調査実行事務局長も務めていらっしゃいます。また、国際ダイオキシン会議、環境ホルモン学会、国際市民参加学会等々にも参加されています。

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講演を行う池田氏と参加者

 池田氏は冒頭にゴミ処理施設の是非を判断するためには、必要性・妥当性・正当性の3つの観点から判断することが必要だとおっしゃっていました。必要性とはゴミ処理場建設が本当に必要とされるのかという点から判断する基準です。また、妥当性とはゴミ処理場の運用コストがゴミ処理に見合ったものなのかという経済性の面、ゴミ処理場の立地や環境へ及ぼす影響はどうかという環境面から妥当性を判断する基準です。更に、正当性とはゴミ処理場建設の手順や手続きが適当なものであるか、ゴミ処理場を建設する以外の代替案はあるか、市民へ情報提供がされ、市民の意見を採用しているかという点から正当性を判断する基準です。池田氏はこれら3つの観点の内、必要性と妥当性に焦点を当て講演してくださいました。約200分の講演の中で、まず日本のゴミ焼却炉の多さについて述べられていました。

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 図を見ると、90年代の日本の焼却炉数は1900と世界でも飛びぬけて多いことが分かります。現在は1300に減少しているものの、依然として非常に多い状態です。そのため、我が国の大気中へのダイオキシン排出の60%が焼却炉からの排出によるものとなっています。また、ゴミの中に含まれる重金属は焼却することによってガス化し、フィルターを通り抜けて排ガスとして放出されてしまいます。ゴミ政策においてこれほど多くの焼却炉が果たして日本に必要なのでしょうか。

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 また日本のモニタリングの問題について指摘されていました。東京23区の例ですが、清掃工場から出る排ガス中のダイオキシン濃度とその周辺地域の大気中のダイオキシン濃度を比べると、排ガスの濃度が周辺地域の濃度よりも極端に低くなっています。ダイオキシン濃度は季節や天候により変化しますが、日本のモニタリング事業者による測定なので、第三者性が乏しく、このような結果が出ているのです。この数値を年間平均濃度とするのは妥当とはいえないのではないでしょうか。

 オーストリアのウィーン市では、焼却炉の排ガスは2週間ごとに連続してモニタリングしています。正確なダイオキシン濃度を測定するには日本でも年に1回や2回ではなく、連続的な排ガスの測定が必要だと考えられます。

一方、排ガスが煙突から出た後の大気中のダイオキシン類のモニタリングの方法として松葉を用いた測定方法が紹介されました。松葉は半年ほど汚染を吸収します。年1回のサンプル分析によって長期平均濃度を測ることができ、また、測定日の気象条件に影響されない値が得られます。測定方法は最低6か月以上の古い葉を対象地域ごとに採取し、サンプルを分析するというもので、簡易なものであることから費用対効果に優れ、市民が参加しやすいというメリットがあります。

 最後に、廃棄物政策の世界的方向性はゴミ処理ではなく、ゴミそのものを減らすゼロ・ウェイストであると述べられました。日本のゴミ行政は処理技術・方策のみであって、入り口対策や市民の関与には力を入れていません。今後のゴミ行政においては、民主主義をいかして、ゴミの量・処理の方法といった現状を理解し、住民アイデアを生かした廃棄物プランを練ることが必要だとおっしゃっていました。

会員の意見コーナー

■ 新清掃工場は「流動床式ガス化溶融炉」という方式になるという。この方式が広域事務組合が言うように仮に安全だとしても、建設費とその後の稼働に要する諸経費が莫大になることが容易に推察できる。2か所に建設されるが、公害とゴミの問題に詳しい理学博士の過去資料分析によれば、住民と事業所が少しでもゴミの減量化に努めれば、1工場だけで充分だという。それならば、既に建設が決定している立谷川地区の他に、用地のみが内定している川口地区にも建設することは膨大な公費の無駄遣いということになる。納税者として2工場方式は、とても看過できるものではない。(山形市 60代男性)

■ 3月9日(日)の池田こみちさんの講演を聞き、特に3つのことが印象に残りました。1つ目は、日本の現状を国際的に見なければならないということです。例えばダイオキシン濃度が、イギリスの大都会より山形県の方が高いことには驚きました。2つ目は、仕組み・制度づくりで、いくらでもゴミを減らせる・無くせるということです。カナダの分別やデポジットの事例は、山形でも参考になるのではないかと思いました。3つ目は、時間と手間がかかっても、賛成側、反対側みんなで意見を出していくことが、物事の正当性のためのプロセスだということです。この焼却場問題でも、まずはそういった意見を述べ合える場があればいいなと思いました。(山形市 20代女性)

■ ゴミ処理について“何でも燃やせる”という「流動床式ガス化溶融炉」は、ゴミそのものを減らすことができないことに加え、ゴミを減らす努力も損ねてしまいます。亡くなった母に知られたら、“このバチあたり!”と叱られます。こんな施設のために、税金を使って良いのでしょうか?もっと他にやるべきことを考える必要があると思います。(山形市 40代男性)

■ この国に科学はない。権力を持つものが「科学的に」と言ったら、人々を騙すために意図的にウソをついているか、無知な人が上から言われるままに虚偽の情報を垂れ流す、そう思った方がいい。この国では組織の都合が科学的真実に優先する。(科学者としての筋を通した小出裕章氏が生涯助教のまま、という事実がそれを示している。)優先順位が何かの次である科学など、出鱈目と同義語に成り果てる。日本の環境アセス業者は、次の仕事を得るために、開発が滞るようなデータは出せない。それがこの国の実態である。だから池田こみちさんはデータの分析を、しがらみのないカナダに出す。この国で科学は富国強兵の手段として導入され、真理への畏敬や科学哲学を切り捨てたまま今日に至っていると感じるのだ。 (山形市 60代女性)

■ 山形環境事務組合はごみ焼却場建設に当たり、地元の説明会で「煙も毒も出ない」という表現に終始し、まったく無害であることを強調している。しかし、化学的にはそうでないことが、実証されている。少しごみ焼却場の事実を知っている人ならば、ここまで言い切ることは、とても恥ずかしくて出来ないはずである。そもそもごみ焼却場は、火葬場・下水処理場と共に三大迷惑施設と呼ばれているものである。市民生活には欠かせないが、自分のそばにはあってほしくないという意味である。であればこそ計画の際には、より丁寧な手続きが必要なものである。にもかかわらず今回の進め方は、市民の声を反映させたとは言えず、利権優先であったと言っても過言ではないだろう。(上山市 50代男性) 

生ゴミコンポスト処理・リサイクルの可能性を探る

 私たちは「脱焼却」を目指す市民活動団体です。ゴミ焼却場がもたらす環境、人体への悪影響や景観破壊を危惧し、少なくとも山形県ではこれ以上ゴミ焼却場の新設は避けたいと考えております。そのためには、排出ゴミを減らすことと、ゴミの徹底分別による素材別リサイクルを推進することが必要です。特に生ゴミは水分が多く、焼却に適していないことは周知の事実です。消費大国アメリカのニューヨーク市でも生ゴミの資源化が始まりました。私たちの身近で生ゴミを肥料化し、作物への還元を進めていらっしゃる山形県長井市さんの取り組みについて伺い、その活動拡大の可能性について論じたいと思います。

日時:平成26年4月13日(日)13:30~17:00

場所:山形まなび館(第一小学校旧校舎)地下1階 交流ルーム7

議題:生ゴミコンポスト処理の現在と未来(仮題) ~レインボープランの全県拡大は可能か ? ~

講師:江口 忠博(えぐち・ただひろ)氏

昭和32年 山形県長井市生まれ。レインボープラン推進協議会3代会長。

「江口漆器工芸」 塗師 五代目。漆器制作・獅子頭漆器の修理・建物漆塗装等
現在 長井市市議会議員  長井市レインボープラン推進協議会役員
NPO法人レインボープラン市民市場 虹の駅」副理事長

参加費:200円

主催:山形県の環境と観光産業を守る会 代表 結城玲子

<紙名〈澄んだ空気と水〉の命名意図>

生物は太陽の光と熱により生息し、空気と水の環境度合いによって生命の維持が左右されています。この会は、わが故郷・緑多き山形が、でき得る限り澄んだ空気と水を維持し、地球汚染の要因とならぬよう努力して行きたいという理念に由来しています。

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