山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

2017年5月22日提出の被告・第1準備書面の公開(2) | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 前回に続き、今年の5月23日におこなわれた「平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件」の第二回・口頭弁論で、被告(山形広域環境事務組合)より提出された第1準備書面を公開いたします。

 この訴訟の経緯は以下の記事をご覧下さい。

[随時更新]進行中の裁判とこれまでの裁判結果 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会

 この書面に対する、原告(市民)の反論書(原告ら第1書面、平成29年9月5日(火)・第三回・口頭弁論)は以下のリンクからご覧下さい。

(リンク)平成29年9月5日・原告提出第1準備書面 ※「禁無断転載」
(リンク)平成29年9月5日・原告提出の証拠説明甲 9~18 ※「禁無断転載」

 被告第1準備書面について、守る会の弁護士によれば、具体的根拠等が一切述べられておらず、数十年前にも廃止された法律を持ち出したりと法令や環境問題の知識が陳腐で、饒舌なわりに中身のない”欠陥だらけ”の書面だとのことです。(詳しい説明は、長文になりますが原告提出の第1準備書面をご覧下さい。)
 * この裁判を担当されている「たたかう市民とともにゴミ問題の解決をめざす弁護士連絡会(ゴミ弁連)」の梶山弁護士・坂本弁護士は、ごみ問題を中心とした環境問題に長年取り組んでおられるエキスパートの先生方です。


平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件
平成28年12月06日~第一審、山形地方裁判所(松下貴彦裁判長)
原告:地域住民
被告:山形広域環境事務組合
原告ら訴訟代理人梶山正三弁護士(理学博士、ごみ弁連会長)、坂本博之弁護士(ごみ弁連事務局長)
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士


※ Web公開用に一部編集を行っています。

第2 排ガスによる人格権侵害との原告ら主張の不相当性

1 排ガス中の有害物質による差止請求の要件

 原告らは,訴状第3の1,2(13頁乃至65頁)において,本件エネルギー 回収施設の操業により,排ガス中に含まれるダイオキシン類等の有害物質が排出 され,その結果,原告らに健康被害を生じ,原告らの生命,身体,財産等が侵害 されるなどとして,人格権(身体権,平穏生活権)に基づき,本件エネルギー回 収施設の建設と操業の差止を請求している。

 上記原告らの請求のように,人格権に基づき本件エネルギー回収施設のような 公共施設の操業差止が請求された場合、かかる請求が認められるためには当該公 共施設の操業に違法性が認められることが必要であるところ,「差止請求を認容す べき違法性があるというためには,侵害行為の態様と侵害の程度,被侵害利益の 性質と内容,侵害行為の持つ公共性ないし公益上の必要性の内容と程度等を比較 検討するほか,侵害行為の開始とその後の継続の経過及び状況,その間に採られ た被害の防止に関する措置の有無及びその内容,効果等の事情をも考慮し,これ らを公共施設の差止めという請求との関連において総合的に考察して,当該公共 施設の建設及び操業により個人が被る被害が,社会生活上一般に受忍するのが相 当な限度を超えているといえることを要する」(東京地裁平成19年3月28日判 決)ものである(最高裁平成7年7月7日第二小法廷判決参照)。

 また,本件エネルギー回収施設のような一般廃棄物焼却施設からの排ガス中の 有害物質については,人の生命及び重大な影響を与えるおそれがあるダイオキシ ン類による環境汚染を防止し,国民の健康を図ることを目的とするダイオキシン類対策特別措置法,工場等の事業活動に伴うばい煙等の排出等を規制し,大気の汚染に関して国民の健康を保護すると共に生活環境を保全することを目的とする 大気汚染防止法,廃棄物の適正な処分等により生活環境の保全と公衆衛生の向上 を図ることを目的とする廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下,「廃棄物処理 法」という。)が置かれ,さらに,平成9年1月28日には旧厚生省の「ごみ処理に係るダイオキシン削減対策検討会」により,ダイオキシン対策を一層推進す るための「ごみ処理に係るダイオキシン類発生防止等ガイドライン」(新ガイドライン)が策定され,法令及びガイドラインにより,排ガス中の有害物質による健康被害の発生を防止するための基準が定められているところである。このため, 一般廃棄物焼却施設の操業による排ガス中の有害物質について,上記のような受 忍限度を超えるか否かを検討する際には当該一般廃棄物焼却施設が上記のよう な法令及びガイドラインの定める基準を遵守しているか否かが重要な判断要素と なるものである。

 地方公共団体の一般廃棄物焼却施設への操業差止請求について判断がなされた 近時の裁判例を見ても,上記の東京地裁平成19年3月28日判決のみならず, 水戸地裁土浦支部平成23年3月28日判決,岡山地裁平成24年12月18日 判決,名古屋地裁平成21年10月9日判決等においても,当該一般廃棄物焼却 施設が上記のような法令及びガイドラインの定める基準を遵守しているか否かを 踏まえ,焼却施設からの排ガスが受忍限度を超えているか否かが判断されている ものである。

 この点,原告らは,訴状第3の2(1)iv(48頁乃至52頁)において,排出規 制基準には反していない等の「『行政上の基準』を持ち出して,周辺住民の人格権 や財産権被害の発生又はその蓋然性を否定するのは,ほとんどの事業者の通有性 であり,行政庁や裁判所も,しばしば同様の誤りを犯している。」(訴状49頁),「要は,行政基準の遵守の有無ではなくて,被害の発生に関する予見可能性及び 結果回避可能性の問題であって・・・」(訴状51頁)などとして,あたかも法令及びガイドラインの定める基準を遵守しているか否かを踏まえた判断を行うこと が誤りであるかのような主張をしているが,独自の見解に過ぎないものである。 従って,本件訴訟においても,原告らが行っている本件エネルギー回収施設の 建設及び操業の差止請求の当否については,本件エネルギー回収施設の法令及び ガイドラインの基準への適合性を踏まえ,本件エネルギー回収施設のごみ処理工程の態様と排ガス中の有害物質の程度,原告らが主張する被侵害利益と本件エネ ルギー回収施設のごみ処理の公共性,公益上の必要性の比較検討のほか,被害の 防止に関する措置の有無とその内容,効果等の事情をも考慮して,本件エネルギ ー回収施設からの排ガス中の有害物質による原告らの被害が社会生活上一般に受 忍するのが相当な限度を超えているか否かが問題となるものである。

2 本件エネルギー回収施設の排ガスに対する法規制の状況

 本件エネルギー回収施設の排ガスについて適用される法令及びガイドラインに よる規制の状況は以下のとおりである。

(1) ダイオキシン

 ダイオキシン類対策特別措置法は,ダイオキシン類による環境の汚染の防止 を図るための基準を設けており,廃棄物焼却炉からの排出ガスに含まれるダイ オキシン類の排出甚準については,ダイオキシン類対策特別措置法施行規則第 1条の2,別表第1が,廃棄物焼却炉の焼却能力に応じて,基準を定めている (乙第18号証の1ダイオキシン類対策特別措置法第1条,第2条,第8条, 乙第18号証の2ダイオキシン類対策特別措置法施行令第1条,別表第一の 五《本件エネルギー回収施設の焼却炉は火床面槙が0.5平方メートル以上で あるため,これに該当》,ダイオキシン類対策特別措置法施行規則第1条の2, 別表第1)。

 本件エネルギー回収施設の焼却炉は,焼却能力が75t/日=1時間当たり 3125kgであることから,ダイオキシン類対策特別措置法施行規則第1条 の2,別表第1の定めるダイオキシン類の排出基準は1ng-TEQ/N㎥ (1立方メートルにつき1ナノグラム)となっているものである。

 また,ダイオキシン類等に対する法規制の状況は上記のとおりであるが,113 厚生省のごみ処理に係るダイオキシン削減対策検討会が作成した「ごみ処理に 係るダイオキシン類発生防止等ガイドラインダイオキシン類削減プログラ ム−」(乙第7号証の3廃棄物処理法の解説平成24年度版1759頁乃至1786頁)(以下,「新ガイドライン」という。)は,ダイオキシン類の更なる排出抑制を進めるため,ダイオキシン類について上記のような法規制の基準を上回る厳しい基準を設けると共に,その他の有害物質の排出抑制の観点も併せて,廃棄物焼却炉の構成例などを示しており,廃棄物焼却炉の建設及び運営管理の実務において,ダイオキシン類を主とした有害物質の排出を抑制するための指針として使用されているところである。

 この「新ガイドライン」は,恒久対策の基準として,「新設の全連続炉にあっては,最新の技術を用いることにより,ダイオキシン類の排出濃度を0.1ng-TEQ/N㎥以下とすることが考えられ,現にこの値を達成している焼却炉も存在する。このため,今後建設される全連続炉については,ダイオキシン類の排出濃度を0.1ng-TEQ/N㎥以下とする」としているところである(乙第7号証の3廃棄物処理法の解説平成24年度版1764頁)。

(2) ばい煙(硫黄酸化物,ばいじん,塩化水素,窒素酸化物)
 大気汚染防止法は,工場における事業活動等に伴うばい煙の排出等を規制し,国民の健康を保護するとともに生活環境を保全するため,物の燃焼に伴い発生する硫黄酸化物,ばいじん,塩化水素,窒素酸化物について,以下のような排出基準を定めている(乙第19号証の1大気汚染防止法1条,2条)。

ア.硫黄酸化物

 大気汚染防止法施行規則3条1項は,硫黄酸化物の排出基準は以下の計算 式により算出した硫黄酸化物の量としている(乙第19号証の2大気汚染 防止法施行規則3条1項)。

 q=K×10−3He2

 q:硫黄酸化物の量(単位温度零度,圧力一気圧の状態に換算 した立法メートル毎時)

 K:大気汚染防止法3条2項1号の政令で定める地域ごとに別表 第一の下欄に掲げる値

 He:大気汚染防止法施行規則3条2項に規定する方法により補正された排出口の高さ

 大気汚染防止法3条2項1号の政令で定める地域の区分については大気汚 染防止法施行令5条,別表3が定めており,本件エネルギー回収施設がある 山形県上山市は同別表3の第100項(前各号に掲げる区域以外の地域)に 該当する。このため,大気汚染防止法施行規則3条1項,別表第一の定める Kの値は17.5であり(別表第一の16)(乙第19号証の1大気汚染防 止法,乙第19号証の2大気汚染防止法施行規則),これを基に計算を行う と,大気汚染防止法施行規則の定める上記の硫黄酸化物の排出基準は3469ppmとなる。

イ.ばいじん

 大気汚染防止法施行規則4条,別表第二は,温度が零度であって,圧力が 一気圧の状態に換算した排出ガス1立方メートル当たりのばいじんの排出基 準を定めている(乙第19号証の1大気汚染防止法3条,乙第19号証の 2大気汚染防止法施行規則4条,別表第二)。この別表第二の36は,大気 汚染防止法施行令別表第一の13項の廃棄物焼却炉(乙第19号証の3大 気汚染防止法施行令別表第一の13項,火格子面積が2平方メートル以上で あるか,又は焼却能力が1時間当たり200キログラム以上である廃棄物焼 却炉)について,焼却能力に応じてばいじんの排出基準を定めている。上記 のように本件エネルギー回収施設の焼却炉の焼却能力は1時間当たり31 25kgであることから,ばいじんの排出基準は0.08g/N㎥(1立方 メートルにつき0.08グラム)となっているものである。

ウ.塩化水素

 大気汚染防止法施行規則5条1号,別表第三は,温度が零度であって,圧 力が一気圧の状態に換算した排出ガス1立方メートル当たりの塩化水素の排 出基準を定めている(乙第19号証の1大気汚染防止法3条,乙第19号証の2大気汚染防止法施行規則5条1号,別表第三)。この別表第三の3項 は,大気汚染防止法施行令別表第一の13項の廃棄物焼却炉(乙第19号証 の3大気汚染防止法施行令別表第一の13項,火格子面積が2平方メート ル以上であるか,又は焼却能力が1時間当たり200キログラム以上である 廃棄物焼却炉)について,塩化水素の排出基準を700mg/N㎥と定めて いる。

 本件エネルギー同収施設の焼却炉の焼却能力は1時間当たり3125kg であることから,塩化水素の排出基準は700mg/N㎥(1立方メートル につき700ミリグラム)となっているものである。

 日本工業標準調査会のJIS(日本工業規格)においては,塩化水素の濃度の単位については,mg/N㎥ではなくppmが使用されていることから, 上記の塩化水素の排出基準700mg/N㎥をppmに換算する必要がある。 この点,昭和52年6月16日の環境庁大気保全局長から各都道府県宛の通 知である「大気汚染防止法に基づく窒索酸化物の排出基準の改定等について」 は,塩化水素の単位の換算式を以下のように定めている(乙第20号証大 気汚染防止法に基づく窒素酸化物の排出基準の改定等について)。

 Cs=(36.5/22.4)×Cp

 Cs:排出ガス中における塩化水素重量(mg/N㎥)

 Cp:JISK0107により算定される塩化水素濃度 (ppm)

 上記換算式によって換算すると,本件エネルギー回収施設の塩化水素の排 出基準は430ppm以下となっているものである。

エ.窒素酸化物

 大気汚染防止法施行規則5条2号,別表第三の二は,温度が零度であって, 圧力が一気圧の状態に換算した排出ガス1立方メートル当たりの窒素酸化物 の排出基準を定めている(乙第19号証の1大気汚染防止法3条,乙第19号証の2大気汚染防止法施行規則5条2号,別表第三の二)。この別表第 三の二の27項は,大気汚染防止法施行令別表第一の13項の廃棄物焼却炉 (乙第19号証の3大気汚染防止法施行令別表第一の13項,火格子面積 が2平方メートル以上であるか,又は焼却能力が1時間当たり200キログ ラム以上である廃棄物焼却炉)で,25項(浮遊回転燃焼方式により焼却を 行うもの《連続炉に限る。》)及び26項(ニトロ化合物,アミノ化合物若し くはシアン化合物若しくはこれらの誘導体を製造し,若しくは使用する工程 又はアンモニアを用いて排水を処理する工程から廃棄物を焼却するもの《排 出ガス量が4万立方メートル未満の連続炉に限る。》以外のものについて,窒素酸化物の排出基準を250立方センチメートル/N㎥(250ppm)と 定めている。

 本件エネルギー回収施設の焼却炉の焼却能力は1時間当たり3125kg で(甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添8-4),上記の25項, 26項のいずれにも該当しないことから,本件エネルギー回収施設の窒素酸 化物の排出甚準は250ppmとなっているものである。

(3) 一酸化炭素

 廃棄物の処理及び清掃に関する法律廃棄物処理法)は,生活環境の保全及 び公衆衛生の向上を図ることを目的に廃棄物の適正な処理方法等について定 めている。

 廃棄物処理法8条の3項を受けて,一般廃棄物処理施設の維持管理について 従うべき技術上の基準を定める廃棄物処理規則4条の5第2号のルは,焼却施 設におけるごみの焼却方法について,「煙突から排出される排ガス中の一酸化 炭素の濃度が百万分の百以下となるようにごみを焼却すること。」と定めてい る(乙第21号証の1廃棄物処理法,乙第21号証の2廃棄物処埋規則)。

3 本件エネルギー回収施設の法令及びガイドラインの基準への適合性

(1) ダイオキシン類の排出抑制対策

 本件エネルギー回収施設の焼却炉は公害防止対策について万全を期してお り,廃棄物処理法に関連して定められている一般廃棄物処理施設の技術上の基 準,一般廃棄物処理施設の維持管理の技術上の基準と共に,かかる法令の基準よりも厳格な,平成9年1月に策定された新ガイドライン(乙第7号証廃棄 物処理法の解説平成24年度版1759頁乃至1786頁)中の新設ごみ焼 却炉に関する基準を全て満たしているものである。

 まず,ダイオキシン類の排出抑制対策については,以下のとおりである。

ア.ダイオキシン類の排出対策の考え方

 ダイオキシン類は,ごみの不完全燃焼に伴って生成するほか,排ガス処理 設備入口の排ガス温度が300℃程度と高い場合には,排ガス処理設備内で 生成することが知られている。

 このため,新ガイドラインにおいては,焼却施設における排出ガス対策と しては,ダイオキシン類の排出の少ない適切な焼却を行うことが最も重要で あり,これにより,大気へのダイオキシン類の排出が削滅されるばかりでな く,焼却灰や排ガス処理施設において補足される飛灰に含まれるダイオキシ ン類の低滅まで行うことができるとされている(乙第7号証廃棄物処理法 の解説平成24年度版1765頁,1766頁,新ガイドライン第3章, 3-2-2)。

イ.施設運営における対策

 新ガイドラインは,ダイオキシン類の発生抑制の基本となる焼却炉の安定運転のため,焼却炉の運営について,

・ごみ質が均ーになるように努めるとともに,焼却炉の負荷を適正な範囲 に保ち,安定した燃焼を継続すること

・連続運転を可能な限り長期化できるような運営を行うこと

・排ガス中のダイオキシン類濃度を定期的に測定し,その結果を記録に残 すこと。測定頻度は年一回を原則とする。

としている(乙第7号証廃棄物処理法の解説平成24年度版1776頁, 新ガイドライン5-1-1)。

 この点,本件エネルギー同収施設の焼却炉の運営については,要求水準書 において,かかる新ガイドラインの定めに従った運営方法を定めている。 すなわち,ごみの受付·計量業務において,ごみ質が均一になるように, 正しくごみが分別されていることを確認すること,基準を満たしていないご みは受け入れないこと,ごみの種類ごとに個別に計量を行うこと等を定めて いる(乙第3号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水 準書運営・維持管理業務編15頁)。

 また,本件エネルギー回収施設は24時間連続しで焼却処理を行う全連続 式の流動床式ガス化溶融炉であり,連続運転を可能な限り長期化できるよう, 年度別の計画処理量に基づく年間運転計画と年間運転計画に基づく月間運転 計画を作成し,被告の承諾を得ることとされている(乙第3号証エネルギ 一回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書運営・維持管理業務編 17頁)。

 さらに,排ガス中のダイオキシン類濃度の測定についても,運営事業者に て測定管理マニュアルを作成したうえで,最低で年に2回の頻度で計測する こととされている(乙第3号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営 事業要求水準書運営・維持管理業務編25頁)。

ウ.ごみの受入れ供給設備における対策

 新ガイドラインは投入するごみの量及び質を平準化し,焼却炉の安定運 転を行ってダイオキシン類の発生を抑制するため、

・安定した燃焼の継続のために,十分なごみピット容量を確保するととも に,自動ごみクレーンによる効率的な撹拌と定量的な供給を可能とすること。

・解砕装置,破袋装置の設置により,ごみ質の均一化を行うことも有効で ある。また,定量性・制御性の良い供給装置の採用が必要である。

としている(乙第7号証廃棄物処理法の解説平成24年度版1776頁, 新ガイドライン5-1-2)。

 被告は,本件エネルギー回収施設のごみの受入供給設備についても,要求 水準書により,かかる新ガイドラインの定めに従った内容のものとしている ものである。

 すなわち,十分なごみピット容量を確保するため,受入ごみピットと破砕 ごみピットの容最が合計で4076㎥(設計基準ごみで処理能力の5日分以上)となることとし(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運 営事業要求水準書設計・建設業務編53頁),ごみピット内のごみを効率的 に攪拌すると共に,定量的にごみを投入するため,遠隔手動,半自動及び全 自動のごみクレーン2基を設置することとしている(乙第2号証エネルギ ー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書設計·建設業務編54頁, 55頁,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3,2-6, 2-12乃至15,2-37《処理フロー図》)。

 さらに、ごみを破砕してごみ質を均質化するため,最大寸法1辺1m以下 のプラスチック類も円滑に破砕することができ,1基で全量破砕することが できる能力を有するごみ破砕機を設置することとしている(乙第2号証エ ネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編 57頁)。

エ.燃焼設備における対策

 新ガイドラインは,ダイオキシン類の発生抑制の基本となる焼却炉の安定 運転のため,焼却炉の設計に際しては,炉形式構造,炉規模,燃焼方法, ごみ質等を考慮するとともに,安定した燃焼の継続に配慮しつつ,下記条件を指標に維持管理することとしている(乙第7号証廃棄物処理法の解説 平成24年度版1777頁,新ガイドライン5-1-2)。

• 燃焼温度:850℃以上 (900℃以上が望ましい)

• 上記燃焼温度でのガス滞留時間:2秒以上

• 煙突出口の一酸化炭素(CO)濃度:30ppm以下、 (O212%換算値の4時間平均値)

• 安定燃焼:100ppmを越えるCO濃度瞬時値のピークを極力発生させないように留意

 新ガイドラインは,さらに,上記条件について,温度計に加えてCO連続 分析計及びO2連続分析計を設置し監視するものとしている(乙第7号証 廃棄物処理法の解説平成24年度版1777頁,新ガイドライン5-1- 3)。

 この点,本件エネルギー回収施設の溶融炉も,かかる新ガイドラインの定 めに従った設計及び運用となっているものである。

 すなわち,まず,上記新ガイドラインの燃焼温度850℃以上(900℃ 以上が望ましい),燃焼温度でのガス滞留時間2秒以上との上記基準は,ダイオキシン類の発生は一般的に燃焼状態の善し悪しと密接な関係があり,燃焼 ガスの完全燃焼を継続して達成することによりダイオキシン類の発生を抑制 でき,燃焼温度が高く滞留時間が長いほどダイオキシン類及び前駆体の熱分解には有利であることから設けられた基準である(乙第7号証廃棄物処理 法の解説平成24年度版1777頁3段目,新ガイドライン5-1-3)。 この点,本件エネルギー回収施設の溶融炉の焼却条件は,燃焼温度900℃ 以上,ガス滞留時間2秒以上となっているものである(乙第2号証エネル ギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編14 頁,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》,別添2-37《処理フロー図》,別添8-8《(7)焼却条件》)。

 次に,上記新ガイドラインの煙突出口の一酸化炭素濃度30ppm以下と の上記基準は,燃焼状態を示す重要な指標は一酸化炭素(CO)濃度であり, CO濃度が低いほど完全燃焼に近いといえること,比較的連続測定が容易で あり,中高濃度領域でダイオキシン類濃度と正の相関関係があることからC O濃度を管理値として採用し,30ppm以下(12%O2換算値の4時間 平均値)とすることにより,より完全な燃焼を期すこととしたものである(乙 第7号証廃棄物処理法の解説平成24年度版1777頁3段目,新ガイ ドライン5-1-3)。この点,本件エネルギー回収施設の溶融炉においても, 煙突出口の排ガスの一酸化炭素濃度は30ppm以下(12%02換算値の 4時間平均値)との焼却条件となっているものである(乙第2号証エネル ギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編14 頁,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設 概要》,別添2-37《処理フロー図》,別添8-8《(7)焼却条件》)。

 さらに,上記新ガイドラインの100ppmを越えるCO濃度瞬時値のピークを極力発生させないとの基準は,炉内の熱負荷(単位ごみ当たり発熱量 と燃焼ごみ量の積)を一定に保つことにより,安定した燃焼を継続すること ができることから,安定燃焼の尺度としてCO濃度瞬時値を用い,これが1 00ppmを越える燃焼の急変動(温度の急降下や急上昇)を避けるように 運転することとしているものである(乙第7号証廃棄物処理法の解説平 成24年度版1777頁4段目,新ガイドライン5-1-3)。この点,本件 エネルギー回収施設の溶融炉においても,100ppmを超える一酸化炭素 濃度瞬時値のピークを極力発生させないこととの焼却条件としているもので ある(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業要求水準 書設計・建設業務編14頁,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書 別添2-3《2-1施設概要》,別添2-37《処埋フロー図》,別添8- 8《(7)焼却条件》)。

*** 次回に続きます。 ***


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判(判決)|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

2017年5月22日提出の被告・第1準備書面の公開(1) | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 今回は、今年の5月23日におこなわれた「平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件」の第二回・口頭弁論で、被告の山形広域環境事務組合より提出された第1準備書面を公開いたします。この事件は、特に書面の量が多いため数回に分けて公開します。(全文一括でPDFでも公開します。)

 この書面に対して、平成29年9月5日(火)におこなわれた第三回・口頭弁論では原告が「第1準備書面」で反論しました。

(リンク)平成29年9月5日・原告提出第1準備書面 ※「禁無断転載」
(リンク)平成29年9月5日・原告提出の証拠説明甲 9~18 ※「禁無断転載」

 守る会の弁護士によれば、具体的根拠等が一切述べられておらず、数十年前にも廃止された法律を持ち出したりと法令や環境問題の知識が陳腐で、饒舌なわりに中身のない”欠陥だらけ”の書面だとのことです。(詳しい説明は、長文になりますが原告提出の第1準備書面をご覧下さい。)
 この裁判を担当されている「たたかう市民とともにゴミ問題の解決をめざす弁護士連絡会(ゴミ弁連)」の梶山弁護士・坂本弁護士は、ごみ問題を中心とした環境問題に長年取り組んでおられるエキスパートの先生方です。

*この記事の続きはこちら:(2)(3)


平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件
平成28年12月06日~第一審、山形地方裁判所(松下貴彦裁判長)
原告:地域住民
被告:山形広域環境事務組合
原告ら訴訟代理人梶山正三弁護士(理学博士、ごみ弁連会長)、坂本博之弁護士(ごみ弁連事務局長)
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士


※ Web公開用に一部編集を行っています。

平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件
原告 ****
被告 山形広域環境事務組合

第1準備書面

平成29年5月22日

 

山形地方裁判所 民事部 合議係 御中


被告訴訟代理人
弁護士 内藤 和暁
同 古澤 茂堂
同  小野寺 弘行

[目次]

第1 本件エネルギー回収施設の概要···6頁
1 本件エネルギー回収施設の建設に至った経緯(施設の必要性)···6頁
2 本件エネルギー回収施設の位置と周辺の状況···8頁
3 本件エネルギー回収施設の施設概要建・建築規模,工事工程···l0頁
(1) 施設概要···10頁
(2) 建築規模···10頁
ア.エネルギー回収施設処理棟・管理棟···10頁
イ,付属棟···10頁
ウ,付帯施設···10頁
(3) 工事工程···11頁
4 本件エネルギー回収施設のごみ処理方式(流動床式ガス化溶融炉とは)···11頁
5 本件エネルギー回収施設におけるごみ処理の工程···13頁
(1) ごみの受入からガス化炉への投入まで···14頁
(2) ガス化炉及び溶融炉におけるガス化,燃焼···15頁
ア.ガス化炉におけるガス化···15頁
イ,溶融炉における燃焼···16頁
(3) 廃熱ボイラ,エコノマイザ及び減温塔における燃焼ガスの冷却···18頁
(4) 排ガス処理設備における燃焼ガスの処理···19頁
ア.ろ過集じん器による塩化水素,硫黄酸化物ダイオキシン類及びばいじん の除去···19頁
イ,触媒反応塔による窒素酸化物の還元除去···19頁
6 本件エネルギー回収施設の運転・維持管理の体制···20頁
第2 排ガスによる人格権侵害との原告ら主張の不相当性···22頁
1 排ガス中の有害物質による差止請求の要件···22頁
2 本件エネルギー回収施設の排ガスに対する法規制の状況···24頁
(1) ダイオキシン類···24頁
(2) ばい煙(硫黄酸化物,ばいじん,塩化水素,窒素酸化物)···25頁
ア.硫黄酸化物···25頁
イ.ばいじん···26頁
エ.窒素酸化物···27頁
(3) 一酸化炭素···28頁
3 本件エネルギー回収施設の法令及びガイドラインの基準への適合性···29頁
(1) ダイオキシン類の排出抑制対策···29頁
ア.ダイオキシン類の排出対策の考え方···29頁
イ.施設運営における対策···29頁
ウ.ごみの受入れ供給設備における対策···30頁
エ.燃焼設備における対策···31頁
オ.排ガス冷却設備における対策···34頁
カ.排ガス処理設備における対策···34頁
(2) ばい煙(硫黄酸化物,ばいじん,塩化水素,窒素酸化物)の排出抑制対策···36頁
(3) 排ガス中の有害物質等の停止基準···38頁
(4) 結諭(本件エネルギー回収施設の法令及びガイドラインの基準への適合性)···40頁
4 排ガスに関するその他の原告ら主張の不相当性···41頁
(1) 重金属について···41頁
(2) 塩素化芳香族炭化水素,多環芳香族水素,全有機ハロゲン化合物等について···43頁
(3) フライアッシュ,ボトムアッシュについて···44頁
(4) ダウンウォッシュ,ダウンドラフトについて···45頁
(5) 結論(排ガスに関するその他の原告ら主張の不相当性)···46頁
5 排ガスに関する生活環境影響調査···46頁
6 結論(排ガスによる人格権侵害との原告ら主張の不相当性)···47頁
第3 騒音・振動による人格権侵害との原告ら主張の不相当性···49頁
1 騒音・振動による差止請求の要件···49頁
2 建設工事に伴う騒音について···50頁
(1) 法令の定める基準···50頁
(2) 建設工事における騒音対策···51頁
(3) 建設工事における騒音レベルの予測···52頁
ア.建設機械の稼働による騒音···53頁
イ.工事用車両の走行による騒音···53頁
3 建設工事に伴う振動について···54頁
(1) 法令の定める基準···54頁
(2) 建設工事における振動対策···55頁
(3) 建設工事における振動レベルの予測···55頁
ア.建設機械の稼働による振動···55頁
イ.工事用車両の走行による振動···56頁
4 施設稼働に伴う騒音について···57頁
(1) 法令の定める基準···57頁
(2) 施設稼働における騒音対策···58頁
(3) 施設稼働における騒音レベルの予測···58頁
ア.施設稼働による騒音···59頁
イ.廃棄物運搬車両の走行による騒音···59頁
5 施設稼慟に伴う振動について···60頁
(1)  法令の定める基準···60頁
(2) 本件エネルギー回収施設における振動対策···61頁
(3) 施設稼働における振動レベルの予測···61頁
ア.本件エネルギー回収施設の稼働による振動···61頁
ィ.廃棄物運搬車両の走行による振動···62頁
6 結論(騒音・振動による人格権侵害との原告ら主張の不相当性)···63頁
第4 景観利益の侵害との原告ら主張の不相当性···64頁
第5 その他の原告ら主張の不相当性···69頁
1 道路の交通障害との原告ら主張の不相当性···69頁
2 忠川護岸の崩壊,市道の水没との原告ら主張の不相当性···70頁
第6 結論···70頁

[本文]

第1 本件エネルギー回収施設の概要
 原告らは,訴状において,本件エネルギー回収施設からの排ガス,騒音・振動等 によって原告らの人格権が侵害される旨を主張し,本件エネルギー同収施設の建設 及び操業差止めを請求している。

 原告らが主張する排ガス,騒音・振動等の個々の争点に対する反論を行う大前提として,まず,本件エネルギー回収施設の概要すなわち,建設に至った経緯(施 設の必要性),位置と周囲の状況,施設概要・建築規模,主事工程,ごみ処理方式(流 動床式ガス化溶融炉)の仕組み,ごみ処理の具体的な工程等について,概説する。

1 本件エネルギー回収施設の建設に至った経緯(施設の必要性)

 被告は,山形市上山市山辺町及び中山町における,ごみを処理するための 中間処理施設の設置,管理及び運営に関する事務等を共同処理するために設立さ れた一部事務組合(地方自治法第284条2項)であり,被告構成団体の2市2 町のもやせるごみを山形市大宇蔵王半郷字八小路1738番乙所在の半郷清掃工 場(処理規模:180t/日,昭和53年稼働開始)及び山形市大字漆山字中川 原4019番7号所在の立谷川清掃工場(処理規模:180t/日,昭和57年 稼働開始)で処理してきた。

 被告は,一般廃棄物処理施設の一般的な耐用年数が20年乃至25年程度とさ れていることから,将来的な半郷清掃工場及び立谷川清掃工場の老朽化による廃 止に備えて,平成10年以降、新清掃工場の候補地選定に着手した。 被告は,平成23年11月25日に,山形市大字漆山字中川原4019番7号 所在の立谷川清掃工場の隣接地に新清掃工場であるエネルギー回収施設(処理規 模:150t/日)を建設することを決定し,平成24年12月6日に,上山市 川口地区に本件エネルギー回収施設(処理規模:150t/日)を建設すること を決定した(乙第1号証の2被告ウェブサイト)。

 被告は,本件エネルギー回収施設の建設工事について,株式会社神鋼環境ソリューション(以下,「神鋼環境ソリューション」という。)及び山形建設株式会社 により構成される工事施工者である神鋼・山形建設特定建設工事共同企業体との間で,平成28年1月27日,エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業建設工事請負仮契約を締結した(乙第14号証エネルギー回収施設《川口》建設 及び運営事業建設工事請負契約書)。この仮契約は,平成28年2月17日に山形 広域環境事務組合議会において契約を締結することについて議決されたことから, 特約条項により仮契約を本契約とみなすこととなった。当該契約上,本件エネル ギー回収施設の建設における詳細については,要求水準書の記載に従うこととし ており(乙第14号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業建設工事 請負契約書第15条),本件エネルギー回収施設の公害防止基準は,エネルギー 回収施設(川口)建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編第II編第1章第 3節1(乙第2号証)16頁乃至19頁によることとしている。

 被告構成団体の2市2町のごみ処理基本計画においては,本件エネルギー回収 施設の計画目標年度とされる平成31年度には年間8万132tのもやせるごみ の排出が見込まれ,これを処埋するためには,一般廃棄物処理施設の稼働率を踏 まえると,300t/日の処理能力が必要な状況である(乙第15号証エネル ギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書1-6)。そうした中,被告 の半郷清掃工場及び立谷川清掃工場は一般廃棄物処理施設の一般的な耐用年数と される20年乃至25年を大幅に超えて稼働している(平成29年4月現在で3 8年,34年)ために老朽化による廃止が必須であること,平成29年10月稼 働予定の立谷川エネルギー回収施設の処理規模は150t/日であり,上記の300t/日の処埋能力を確保するためにはさらに150t/日の処理規模を確保 する必要があることから,本件エネルギー同収施設は,被告の構成団体である2市2町から排出されるもやせるごみを適正に処理するために必要不可欠の施設と なっているものである(乙第2号証エネルギー回収施設《川口》建設及び運営 事業要求水準書設計・建設業務編第I編第1章1-1)。

2 本件エネルギー回収施設の位置と、周辺の状況

 本件エネルギー回収施設の建設地は,下図のとおり,上山市川口地内,前川ダムの北部に位置し(山形市の中心部から約16km,上山市の中心部から約4km),国道13号線,JR奥羽本線山形新幹線)の南に隣接している(乙第15 号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書2-1,甲第 2号証一般廃棄物処理設置届書別添1−2、1−3、別添2−3)。

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(乙15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査4.2−2より)

 本件エネルギー回収施設の建設地は,都市計画区域外となっており,下図のように,直近民家から建設地敷地境界までの距離は約150mとなっている(乙第 15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査書4.2- 1,4.2-9)

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(乙15号証エネルギー回収施設《川口》建設事業生活環境影響調査4.2−9より)

3 本件エネルギー回収施設の施設概要·建築規模,工事工程
 本件エネルギー回収施設の施設概要・建築規模は以下のとおりである。詳細や 完成イメージ図等は,別紙1「エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業工 事概要」記載のとおりである(乙第16号証エネルギー回収施設(川口)建設 及び運営事業工事概要,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2- 3,2-4)。
(1) 施設概要
施設規模:150t/日(75t/日×2炉1日あたり24時間)
処理方式:流動床式ガス化溶融方式
燃焼溶融設備:神鋼環境ソリューション製
円筒形流動床式ガス化炉+旋回流式溶融炉
ボイラ蒸気条件:4MPa×400℃
余熱利用:蒸気タービンによる発電(3,220kW)
ロードヒーティング(構内道路・駐車場及び周辺道路)
(2) 建築規模
ァ.エネルギー回収施設処理棟・管理棟
主要構造:鉄骨鉄筋コンクリート造,鉄筋コンクリート造,鉄骨造
階数:地下2階,地上6階建
建築面積:4,885.67㎡
延床面積:8.409.75㎡
軒の高さ:28.2m(煙突59m)
イ.付属棟
計量棟,スラグストックヤード棟
ゥ.付帯施設
こどもふれあい広場(大型遊具、幼児用遊具、トイレ,四阿),足湯
電気自動車急速充電設備

(3)工事工程
平成28年2月契約・着工
平成28年9月土木建築工事着工
平成29年7月プラント工事着工
平成30年6月受電
平成30年6月土木建築工事の建築工事完了
(外構・付帯施設工事除く)
プラント工事の機器据付工事,配管工事,
電気計装工事完了
平成30年6月乃至8月機器単体調整
平成30年8月ごみ受入
平成30年8月乃至11月実負荷試運転
平成30年11月竣工
平成30年12月供用開始

4 本件エネルギー回収施設のごみ処理方式(流動床式ガス化溶融炉とは)
 全国の一般廃棄物処理施設(廃棄物焼却施設)では,各施設において,様々な ごみ処理方式が採用されているところであるが,本件エネルギー回収施設においてはごみ処理方式として,流動床式ガス化溶融炉の方式を採用しているもので ある。
ガス化溶融とは,ごみを熱分解(低酸素雰囲気で加熱することでごみ中の可燃 物を炭化水素,CO,H2などの可燃性ガス,未燃分に化学的に分解すること) して可燃性ガスと未燃分を生成し,高混で燃焼してごみ中の灰分を溶融するごみ 処理システムをいう。流動床式とは,ごみの熱分解を行うガス化炉が流動砂(空気が送り込まれて流動状態となっている砂層)状態となっている方式をいう。こ のような流動床式ガス化溶融炉は,高温燃焼によりダイオキシン類等の発生を抑制できる,低空気比のため排ガス量が少ない,溶融スラグ及び金属類の有効利用 により最終処分場負荷を軽減できる,ごみの保有するエネルギーを使って焼却, 溶融までを行うことから,エネルギー回収効率が高いなどといった特徴を有する方式である(乙第17号証株式会社神鋼環境ソリューションホームページ)。

 現在の主なごみ処理方法には,ごみを最終処分場で直接埋立処分を行う方法と, 熱処理(焼却処理)を行う方法ガス化溶融を行う方法とがある。ごみの最終処分量は,直接埋立処分を行う方法と比して,熱処理(焼却処理)を行う方法によ ると10%程度まで,熱処理(焼却処理)に加えて灰溶融を行う場合,あるいは ガス化溶融を行う方法によると2-3%まで減量化される。焼却した後に焼却灰 の溶融を行う場合は,焼却炉に灰溶融炉を付帯することとなるが,灰を溶かすためには約1200℃以上の高温が必要なため,灰溶融炉では電気,燃料等のエネ ルギーが必要となる。他方,ガス化溶融炉は,ごみの保有するエネルギーを利用 するため,少ない投入エネルギーで灰溶融を行うことができる。現在日本では, もやせるごみを処理するごみ処理方式として主流となっているのは,ストーカ炉 (+灰溶融炉),流動床式ガス化溶融炉,シャフト炉式ガス化溶融炉の3方式となっている(乙第17号証株式会社神鋼環境ソリューションホームページ)。

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(株式会社神鋼環境ソリューションホームページより


 日本においてガス化溶融炉が開発され,普及してきた経緯としては,1990 年代初めにごみ焼却施設から排出されるダイオキシン類が問題となり,また,焼 却灰からの重金属類の溶出対策,最終処分場の逼迫の問題があり,国の施策とし て,焼却残渣中のダイオキシン類を低滅し,重金属類の溶出を抑制,滅容化,有 効利用が達成できる技術として,焼却灰の溶融が求められるようになった。そう した中,1990年代後半,高温処理でダイオキシン類を分解できごみの保有 するエネルギーを利用して溶融が行えるガス化溶融が注目され,メーカー各社が 実証施設を建設・開発し,2000年代に入って相当数の施設が稼働を開始し, 現在では,ストーカ式焼却炉と並んで主流のごみ処理方式として認知されている ものである(乙第17号証株式会社神鋼環境ソリューションホームページ)。

5 本件エネルギー回収施設におけるごみ処理の工程
 本件エネルギー回収施設に搬入されたもやせるごみに対する具体的なごみ処理 の工程は,以下のとおりである(乙第17号証株式会社神鋼環境ソリューショ ンホームページ,乙第16号証エネルギー回収施設(JII口)建設及び運営事業 工事概要)。

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(株式会社神鋼環境ソリューションホームページより)

(1) ごみの受入からガス化炉への投入まで
 本件エネルギー回収施設に搬入されたもやせるごみは,まず,エネルギー回 収施設処理棟・管理棟内にあるごみピット(もやせるごみの保管場所)に投入 され,保管される。ごみピットにおいては,ごみ質を均ーにすることによって ガス化炉におけるガス化を安定して行えるようにするため,破砕されて細分化 される。
 具体的には,まず,ごみ収集車によって搬入されたもやせるごみは,プラッ トホームのごみ投入扉から受入ごみピット(搬入されたごみをまず最初に保管 する場所)に投入され,受入ごみピットにおいて,ごみクレーンにより,ごみ 質を均ーにするために撹拌混合される。その後撹拌混合されたもやせるごみ は,ごみクレーンによりごみ破砕機の受入ごみ投入ホッパ(受入ごみの投入口) に投入され,ごみ破砕機で破砕される。
 ごみ破砕機で破砕されたごみは,破砕ごみピット(破砕されたごみを保管す る場所)に貯留される。
 破砕ごみピットに貯留された破砕ごみは,ごみクレーンにより破砕ごみ投入 ホッパ(破砕ごみの投入口)に投入され,給じん装置(破砕ごみをガス化炉に 供給するための装置)により,ガス化炉の燃焼状況に合わせて,ガス化炉内に 連続して投入される。
 受入ごみピット,破砕ごみピットのごみ貯留状況やごみクレーンの運転状況 は,中央制御室において,モニター画面を通じて監視されている。また,必要 な場合にはごみクレーンを手動で操作して,受入ごみピットにおけるごみの撹 拌混合や受入ごみ投入ホッパヘのごみの投入,ごみ投入ホッパヘのごみの投入 を行うこととなっている(乙第2号証エネルギー回収施設(川口)建設及び 運営事業要求水準書設計・建設業務編第1I編第2章第2節6乃至9《53頁乃 至57頁甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3,2-6, 2-12乃至15,2-37《処理フロー図》)。

(2) ガス化炉及び溶融炉におけるガス化,燃焼
 ごみピットにおいて破砕されて細分化されたごみは,以下のように,ガス化 炉内でガス化された後,溶融炉において燃焼される(乙第17号証株式会社 神鋼環境ソリューションホームページ,乙第16号証エネルギー回収施設 (川口)建設及び運営事業工事概要,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置 届出書別添2-3,2-37《処理フロー図》)。

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(株式会社神鋼環境ソリューションホームページより)

ア.ガス化炉におけるガス化
 破砕ごみピットからごみクレーンで破砕ごみ投入ホッパに投入された破砕 ごみは,給じん装置を経てガス化炉に供給される。  本件エネルギー回収施設のガス化炉は流動床式であり,ガス化炉の底部は 流動砂(空気が送り込まれて流動状態となっている砂層)状態となっている。 給じん装置からガス化炉に供給されたごみは,流動する砂によって分散され る(乙第17号証株式会社神鋼環境ソリューションホームページ,甲第2 号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3,2-20,2-25《ガ ス化炉構造図》,2-37《処理フロー図》)。

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(株式会社神鋼環境ソリューションホームページより)

 分散したごみの中の可燃物は,ガス化炉で部分燃焼させることで未燃ガス (CO,H2,CH4等),未燃炭素(C《固体の煤》)と灰分(Cao,SI O2等)になり,ガス化炉上部から溶融炉に送られる。他方,ごみの中の不 燃物(ガラス,陶器等)と金属類は,砂よりも比重が重いことから,流動す る砂の中でガス化炉下部に移動し,流動砂と共に抜き出された後分離され, 鉄分とアルミは回収·再資源化され,不燃物の一部は粉砕処理後に溶融炉に 投入され,残った処理不遮物は埋め立て処分される(乙第17号証株式会 社神鋼環境ソリューションホームページ,乙第2号証エネルギー回収施設 (川口)建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編第II編第2章第3節 1乃至3《60頁乃至62頁》,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書 別添2-37《処理フロー図》,別添8-9《8-3物質収支図〔排ガス〕》)。

イ.溶融炉における燃焼
 溶融炉には燃焼用の空気(二次空気)が供給されており,ガス化炉から溶 融炉に送り込まれた未燃ガス(CO,H2,CH4等),未燃炭素と灰分(CaO,SIO2等)のうち,未燃ガス(CO,H2,CH4等),未燃炭素は1 200℃以上の高温で燃焼する。灰分(CaO,SIO2等)はこの120 0℃以上の高温で溶融されて溶融スラグとなり,溶融炉下部から連続して安 定的に排出される(甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3 《2-1施設概要》,2-21,2-26,別添2-37《処理フロー図》, 別添8-9《8-3物質収支図〔排ガス〕》。

 溶融炉の二次燃焼室では,上記の工程で燃焼しきれなかった未燃ガス(C O,H2,CH4等),未燃炭素(C《固体の煤》)を完全燃焼させる。

 このような溶融炉においては,二次燃焼室を含めて,燃焼によって発生した燃焼ガスが900℃以上の燃焼域に2秒以上滞留するよう調整されており, その後、燃焼ガスは廃熱ボイラに送られる(乙第17号証株式会社神鋼環 境ソリューションホームページ,乙第2号証エネルギー回収施設(川口) 建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編第II編第2章第3節4《62 頁,63頁》,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添8-8《(7) 焼却条件》)。

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(株式会社神鋼環境ソリューションホームページより)

` ガス化炉におけるガス化と溶融炉における燃焼の状況は,給じん装置から ガス化炉に供給されたごみの量(給じん量)と溶融炉に供給される二次空気 の量によって異なるものであり,自動制御機能により,自動で制御されてい る。中央制御室では,ガス化炉,溶融炉内の様子や燃焼温度,空気流量,燃 焼室酸素濃度,一酸化炭素濃度等を中央制御装置で監視及び制御し,燃焼室 酸素濃度が適正範囲になるよう空気量調整等を行い,安定燃焼を図ることと している(乙第2号証エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業要求 水準書設計・建設業務編第II編第2章13節1,2,5<134頁,135 頁139頁》)。

(3) 廃熱ボイラ,エコノマイザ及び減温塔における燃焼ガスの冷却

 溶融炉での燃焼によって発生した燃焼ガスは廃熱ボイラに送られ,廃熱ボ イラにおいて熱を利用して水から水蒸気を生成し,冷却される。その後,エコ ノマイザ(煙道に水管を設け,排気の余熱で給水を加熱するもの)に送られ, 熱を回収され,さらに冷却される。

 その後,燃焼ガスは,減温塔において水噴霧により約175度に冷却された 後排ガス処理設備に送られる(乙第17号証株式会社神鋼環境ソリューシ ョンホームページ,乙第16号証エネルギー回収施設(川口)建設及び運営 事業工事概要,乙第2号証エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業 要求水準書設計・建設業務編第II編第2章第4節《74頁乃至85頁》,甲第 2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》,2 -7《3.1廃熱ボイラ》,2-15乃至19,2-26《燃焼溶融炉・ボ イラ構造図》,2-27《滅温塔構造図》,2-37《処理フロー図》)。

 廃熱ボイラ,エコノマイザ及び減温塔によるこのような燃焼ガスの冷却につ いても,中央制御室において,ボイラ水位や減温塔の噴霧水量,ろ過集じん器 (バグフィルタ)入口温度等を中央制御装置で監視及び制御がなされている (乙第2号証エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業要求水準書設計・建設業務編第II編第2章第13節134頁乃至141頁)。

(4) 排ガス処理設備における燃焼ガスの処理

ア.ろ過集じん器による塩化水素,硫黄酸化物ダイオキシン類及びばいじんの除去

 廃熱ボイラ,エコノマイザ及び減温塔において冷却された排ガスは,煙道 で消石灰及び粉末活性炭を吹き込まれたうえ,ろ過集じん器(バグフィルタ) に送り込まれる。燃焼ガス中の塩化水素と硫黄酸化物消石灰との化学反応 により反応生成物(固体)を形成する。燃焼ガス中のダイオキシン類等の有害物質は粉末活性炭に吸着される。ろ過集じん器においては,排ガス中のば いじん,塩化水素及び硫黄酸化物消石灰の反応生成物,並びにダイオキシ ン類等の有害物質を吸着した活性炭を,フィルターによりろ過集じんして除 去する(乙第2号証エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業要求水 準書設計・建設業務編第II編第2章第5節《86頁乃至89頁》,甲第2号証 一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設概要》,2-4《表 -1エネルギー回収施設〔川口〕の仕様概要》,2-5《⑧環境保全設備の 概要》,2-15乃至17,2-19,2-27《滅温塔構造図》,2-28 《バグフィルタ構造図》,2-37《処理フロー図》,別添8-9《8-3物 質収支図《排ガス》)。

イ.触媒反応塔による窒素酸化物の還元除去

 ろ過集じん器から送り出された排ガスは,煙道においてアンモニア水を噴霧して触媒反応塔を通過させることにより,窒素酸化物を還元除去する(脱 硝装置)。この触媒反応塔には,主目的ではないものの,ダイオキシン類等の 分解除去の効果もある(乙第2号証エネルギー回収施設(川口)建設及び 運営事業要求水準書設計・建設業務編第II編第2章第5節4《88頁,89 頁》,甲第2号証一般廃棄物処理施設設置届出書別添2-3《2-1施設 概要》,2-4《表ー1エネルギー回収施設(川口)の仕様概要》,2-5 《⑧環境保全設備の概要》,2-15,2-16,2-20,2-29《触媒 反応塔構造図》,2-32《アンモニア水貯槽構造図》,2-37《処理フロ ー図》,2-42《計装フロー図》,別添3-2《処理に伴い生ずる排ガス及 び排水〔1炉運転時〕,別添8-8《(6)設備方式》,別添8-9《8-3物質収支図《排ガス》)。

 ア(前頁)で上述したろ過集じん器の前の消石灰及び活性炭の供給装置と 上記の触媒反応塔の前のアンモニア水の供給装置はいずれも自動制御されて おり,排ガス中の有害物質の濃度に応じて各薬剤の供給量の調整を行うこと となっている。本件エネルギー回収施設の中央制御室では,排ガス中のばいじん濃度,塩化水素濃度,硫黄酸化物濃度,一酸化炭素濃度,窒素酸化物濃 度を中央制御装置で常時監視及び制御することとなっている(乙第2号証 エネルギー回収施設(川口)建設及び運営事業要求水準書設計·建設業務編 第II編第2章13節2《135頁》)。

6 本件エネルギー回収施設の運転·維持管理の体制

 本件エネルギー回収施設の運転,保守管理等は,被告から業務委託を受けた株 式会社かみのやま環境サービス(以下,「かみのやま環境サービス」という。)が 実施することとなっている。かみのやま環境サービスは神鋼環境ソリューショ ンが9割,同社の子会社である神銅環境メンテナンス株式会社が1割を出資して設立した,本件エネルギー回収施設の運営・維持管理等を事業目的とする特別目 的会社である。神鋼環境メンテナンス株式会社は,神鋼環境ソリューショングル ープにおいて,神鋼環境ソリューションからの技術的バックアップを受けて廃棄 物焼却施設の焼却炉,溶礁炉の運転,維持管理等を専門的に行っている関連会社 であり,神鋼環境ソリューションが建築した廃棄物焼却施設の焼却炉,溶紬炉の 運転,維持管理は同社が行うこととしているものである。 本件エネルギー回収施設の運転,保守管理等に当たるかみのやま環境サービス には,上記のように廃棄物焼却施設の焼却炉,溶融炉の運転,維持管理のノウハウを有する神鋼環境メンテナンス株式会社より,十分な専門知識と経験を有する 人材が派遣されることとなっており,本件エネルギー回収施設の運転,保守管理 等は,神鋼環境ソリューションからの技術的バックアップの下,神鋼環境ソリュ ーショングループの有する高度の専門知識,技術力と経験をもって行われる予定 となっているものである。 本件エネルギー回収施設のガス化炉等は,中央制御装置により自動運転される ため,運転員は,中央制御室で,監視用ITVのモニター画面に表示される各施 設の稼働状況や,中央制御装置に表示される燃焼温度,空気流量,排ガス中のば いじん濃度,窒素酸化物濃度,硫黄酸化物濃度,塩化水素濃度,一酸化炭素狼度, 酸素濃度等の連続測定データを集中監視し,異常が生じた場合には,改善作業や 設備の停止等必要な対応を行う態勢をとることとしている。


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

清掃工場本体契約に関する書類の情報公開について(2017.09.01) | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 上山市川口清掃工場建設について、守る会は8月29日に情報公開請求を行いました。

 今回の請求内容は、清掃工場本体工事に関し、・これまで支払った金額とその内容がわかる書類のすべて、・山形広域環境事務組合ともう一つの清掃工場が建設されている山形市立谷川地区との間に交わされた協定書のすべてです。9月1日に書類が公開されましたので、ご紹介いたします。

 守る会では、清掃工場の計画には、金銭の流れも含めて不可解な点がおおいため、私達の税金がどのように使われているのかについてもあわせて調べています。

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山広環第2 9 9号
平成29年8月31日

行政文書部分公開決定通知書

山形県の環境と観光産業を守る会
****

山形広域環境事務組合
管理者 山形市長 佐藤孝弘

平成29年8月29日付けで請求があった行政文書の公開については、次の通りその一部を公開することに決定したので、山形広域環境事務組合情報公開条例第11条第1項の規定により通知します。

請求があった行政文書の内容
1 エネルギー回収施設(川口)の本体工事に関し、これまでに支払った金額、内容を示す書類のすべて
2 組合と立谷川地区との協定書のすべて

公開の日時:
平成29年9月1日 午前11時00分 公開の場所:
山形広域環境事務組合管理課(山形市役所10階)

公開することができない部分及びその理由:
エネルギー回収施設(川口)の本体工事に関し、これまでに支払った金額、内容を示す書類のすべて
○ 請求書(支出調書) 兼支出命令票(歳出簿) に押印された法人の代表者の印影及び口座情報
・山形広域環境事務組合情報公開条例第8条第3号に該当
(理由)法人の内部管理情報で、公開することにより、営業活動等事業活動上の正当な利益を害するおそれがあることが明らかであるため。
組合と立谷川地区との協定書のすべて
○「環境保全協定書」のうち、楯山地区振興会、出羽地区町内会連合会及び山形エコクリエイション株式会社の代表者の印影
・山形広域環境事務組合情報公開条例第8条第3号に該当
(理由)法人の内部管理情報で、公開することにより、営業活動等事業活動上の正当な利益を害するおそれがあることが明らかであるため。

所管課:
山形広域環境事務組合管理課
電話番号023-641-1844

備考:

1 公開の日時に都合が悪い場合には、あらかじめ所管課へご連絡ください。
2 行政文書の公開を受ける際には、この通知書を係員に提示してください。


公開された文書

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請求書(支出調書)兼支出命令票(歳出簿)
請求書 右の金額請求します。 
平成29年4月20日
管理者 山形市長 佐藤孝弘様
住所 神鋼・山形建設特定建設工事共同企業体
代表者
神戸市中央区脇浜町一丁目4番78号
株式会社神鋼環境ソリューション
氏名 取締役社長 粕谷 強

金額 ¥253127000
納期限29.4.28

工事及び営繕用
区分:原請負金額
9.851.271.840円
(H28 253.127.000)
計:
9.851.271.840円
(H28 253.127.000)
平成29年3月31日

職氏名 次長 佐藤 豊 山形広域環境事務組合 管理課
*これ以外の項目について黒塗りあるいは判読不明

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環境保全協定書

山形広域環境事務組合(以下「甲」という。)、楯山地区振興会(以下「乙」という。)、 出羽地区町内会連合会(以下「丙」という。)、山形エコクリエイション株式会社(以下「丁」 という。)及び、山形市(以下「戊」という。)は、エネルギー回収施設(立谷川)(以下「施 設」という。)の管理運営に伴う環境の保全に関し、次のとおり協定を締結する。

(目的)
第1条 この協定は、甲及び甲が施設の管理運営を委託する事業者である丁が施設を管理運営するにあたり、信頼できる施設、安心できる施設及び親近感のある施設を目指して、 環境保全の措置を講ずるとともに、戊との連携を図り公害の発生を防止することにより、 地域住民の健康と快適な生活環境の保全に資することを目的とする。

(所在地等)
第2条 甲及び丁が運転する施設の所在地等は、次のとおりとする。
(1) 所在地 山形市大字漆山地内
(2) 敷地面積 17,648.6㎡ (2期工事完了後 運営事業範囲)
(3) 施設規模 150 t /日(75t/ 日×2炉)
(4) 処理方式 流動床式ガス化溶融方式

環境保全基準)
第3条 甲及び丁は、関係法令及び戊が定める要綱の基準を満たすとともに、施設の管理 運営に当たり、次に掲げる項目の基準値を遵守するものとする。
(1) 大気汚染防止 施設から発生する排出ガスは、別表第1(1) に定める基準値以下とする。
(2) ダイオキシン類 施設から発生するダイオキシン類は、別表第1 (2) に定める 基準値以下とする。
(3) 騒音防止 施設から発生する騒音は、別表第2に定める基準値以下とする。
(4) 振動防止 施設から発生する振動は、別表第3に定める基準値以下とする。
(5) 悪臭防止 施設から発生する臭気は、別表第4に定める基準値以下とする。

(基準値を超えた場合の措置)
第4条 甲及び丁は、施設の運転に伴い発生する排出ガスが第3条に規定する基準値を超 えた場合、又は騒音、振動及び臭気が当該基準値を超えて環境を悪化させるおそれが生 じた場合は、所定の手順に従い施設の運転を停止させる等、速やかに必要な措置を講ずるとともに、その旨を乙、丙、戊その他関係機関に対し、口頭若しくは書面又はエネル ギー回収施設(立谷川)運営協議会の開催などにより報告するものとする。

(測定及び結果公開)
第5条 甲及び丁は、第3条に定める項目について、定期的に測定された測定値を、施設 の敷地内に設置する排ガスデータ表示板、組合ホームページにより常時公開するものとする。

(敷地内の緑化)
第6条 甲及び丁は、施設敷地内の全ての工事完了後には、緑化率30%を超えることとな るように植栽を施し、親近感のある施設として、周辺環境との調和を図るものとする。

(生活環境影響調査書の事後調査)
第7条 甲及び丁は、生活環境影響調査書における予測結果の検証のために事後調査を実施するものとする。
2 甲及び丁は、事後調査終了後も周辺環境の把握に努めるものとする。

(施設への搬入車両への指導)
第8条 甲及び丁は、甲を構成する戊、上山市山辺町及び中山町(以下「構成市町」と いう。)がそれぞれ委託する廃棄物の収集又は運搬の用に供する車両(以下「委託車両」 という。)について、次に掲げる事項を遵守するよう構成市町に指導・監督を依頼するも のとする。
(1) 委託車両は、随時洗浄し、清潔を保つよう努めるとともに、走行時に廃棄物が飛散 しないよう十分な対策を実施する。
(2) 委託車両の運行管理については、交通法令等を遵守し、事故の防止に努める。
(3) 委託車両は、常に点検及び整備をし、排ガス対策等を十分に行う。
2 甲及び丁は、委託車両以外の車両で施設を利用する者に対し、前項各号に掲げる事項 について、周知に努めるものとする。

(施設への立入調査等)
第9条 乙及び丙は、必要に応じ、施設に立ち入り調査をすること及び施設の運営状況について報告を求めることができるものとする。この場合、甲及び丁は、施設の管理運営に支障がない範囲で応ずるものとする。

(苦情対応)
第10条 甲及び丁は、施設の運転に伴い、乙又は丙から苦情の申出があった場合には、誠意をもって迅速に対応するものとする。

(災害時の施設活用)
第11条 甲及び丁は、災害時には戊と連携して、当該施設を防災拠点として活用できるよう防災備品等を備えるなど、対応を行なうものとする。

(協議)
第12条 この協定を変更するとき、この協定に定めのない事項について定める必要が生じたとき、又はこの協定に疑義が生じたときは、甲、乙、丙、丁及び戊が、その都度協議して定めるものとする。

 この協定締結の証として、本書5通を作成し、甲、乙、丙、丁、戊記名押印の上、それ ぞれ1通を保有する。

平成29年2 月22日

甲 山形市旅篭町二丁目3番25号 山形広域環境事務組合 管理者 山形市長 佐藤 孝弘

乙 山形市大字十文字80番*** 楯山地区振興会 会長 蜂谷 久

丙 山形市大字漆山79番地3 出羽地区町内会連合会 会長 森谷 雅幸

丁 山形市松見町11番19号 山形エコクリエイション株式会社 代表取締役 小松 康*

戊 山形市旅篭町二丁目3番25号 山形市 山形市長 佐藤 孝弘

*一部判読不明

別表第1 (1)排出ガス基準値(第3条関係)
項目 基準値 摘要 ばいじん 0. 01 g/N nf 基準値は煙突出口における測定値
塩化水素 50 ppm 基準値は煙突出口における測定値
硫黄酸化物 20 ppm 基準値は煙突出口における測定値
窒素酸化物 50 ppm 基準値は煙突出口における測定値
一酸化炭素 30 ppm  4時間平均として
(2) ダイオキシン類基準値 項目 基準値 摘要
ダイオキシン類 0.05ng-TEQ/N㎥

別表第2 騒音基準値(第3条関係) 騒音基準 基準値 摘要
昼間(8~19時) 70 dB 基準値は、敷地境界線における測定値
朝・タ(6~8時、19時~21時) 65 dB  基準値は、敷地境界線における測定値
夜間(21~6時) 55 dB 基準値は、敷地境界線における測定値

別表第3 振動基準値(第3条関係) 振動基準 基準値 摘要
昼間(8~19時) 65 dB 基準値は、敷地境界線における測定値
夜間(19~8時) 60 dB 基準値は、敷地境界線における測定値

別表第4  臭基準値(第3条関係)
悪臭基準 基準値 摘要
臭気濃度 20基準値は、敷地境界線における測定値
アンモニア 2 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
メチルメルカプタン  0.0 04 ppm
硫化水素 0.06 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
硫化メチル 0.0 5 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
二硫化メチル 0.03 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
トリメチルアミン 0. 02 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
アセトアルデヒド 0. 1 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
スチレン 0.8 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
臭気濃度 1,000 基準値は、煙突その他気体排出口における測定値


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

讀賣新聞 2017年9月6日 公文書開示訴訟 知事側争う姿勢

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 県が助成する学校法人の貸借対照表などの公文書が一部非開示とされたのは不当だとして、市民オンブズマン県会議の会員の男性(64)が非開示決定を取り消すよう吉村知事に求めた訴訟の第1回口頭弁論が5日、山形地裁(松下貴彦裁判長)であった。被告側は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を示した。

 訴状によると、男性は4月、県の公金支出の適正性を調べるため、学校法人(山形市、吉村和文理事長)の2012〜16年度の貸借対照表や資金収支計画書などを県の情報公開条例に基づいて開示請求をしたが、県は5月、「法人の正当な利益を害する恐れがある」などとして一部を非開示とした。

山形新聞 2017年9月6日 助成金差し止め請求 事務組合側争う構え 山形地裁 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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山形新聞 2017年9月6日 助成金差し止め請求 事務組合側争う構え 山形地裁

 2016,17年に山形広域環境事務組合(管理者・佐藤孝弘山形市長)が上山市川口地区に交付した助成金は違法・不当な支出だとして、「山形県の環境と観光産業を守る会」のメンバーが公金差し止めなどを求めた第1回口頭弁論が5日、山形地裁であった。組合側は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う構えを見せた。

 組合側は答弁書で具体的な説明はせず、次回期日までに認否と反論を行う。訴状によると、同組合は同地区会に地区活動助成金(年間300万円)に加え各種土木建設事業の補助金を交付しているが、正当な理由がないとしている。

 守る会は川口地区で進む新清掃工場(エネルギー回収施設)の建設に反対している。

関連記事:

清掃工場建設予定地の上山市川口地区会に対する助成金(25年×300万円)の謎 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会

清掃工場建設予定地の上山市川口地区会に対する助成金(25年×300万円)の謎 その2 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会

今月(平成29年9月5日)の二件の裁判について2 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

ごみ焼却場(清掃工場)本体の建設と操業差し止めを求める行政訴訟 山形環境事務組合からの答弁書の公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 前回のブログでは今月(平成29年9月5日(火))おこなわれた「ごみ焼却場本体の建設と操業差し止めを求める行政訴訟」の第3回・口頭弁論についてお伝えしましたが、このブログでは随時、この裁判に関するさまざまな資料を公開予定です。

 今回は、平成29年3月7日に被告である山形環境事務組合から提出された答弁書を公開します。これは、原告である守る会が平成28年12月6日に提出した訴状に対する内容です。

 なお、裁判全体の流れをご覧になりたい方は以下の記事を参照して下さい。

[随時更新]進行中の裁判とこれまでの裁判結果 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会

平成29年3月7日 被告:山形環境事務組合提出 答弁書 ※「禁無断転載」


※ Web公開用に一部編集を行っています。

平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件
原告 ****
被告 山形広域環境事務組合

答弁書

平成29年3月6日
山形地方裁判所 民事部 合議係 御中

(送達場所)
〒990-0055 山形県山形市相生町6番56号
古澤・内藤法律事務所
電話023-631-7507
FAX 023-631-7174
被告訴訟代理人
弁護士 内藤 和暁
同 古澤 茂堂
同( 担当) 小野寺 弘行

第1 請求の趣旨に対する答弁
1 原告らの諸求を棄却する
2 訴訟費用は原告らの負担とする
との判決を求める。


第2 訴状請求原因に対する認否
1  第1について
(1) (1)について
 原告らが****であること.被告が一般 廃棄物処理施設を建設していること,原告****が建設地の近くで事業を行っていることは認め,その余は 否認乃至不知。被告が建設している施設は,単なる焼却施設ではなく,ごみを 安全かつ衛生的に焼却して処理すると共に,発生する熱エネルギーを回収して電気や温水等として有効に活用することを目的とするエネルギー回収施設で ある(以下、「本件エネルギー回収施設」という。)。
(2) (2)について
 「地方自治法1条の3に基づき」との点は否認し、その余は認める。

2 第2(2頁)について
(1) 1について
ア. (1)について
 被告構成団体の2市2町のもやせるごみが半郷清掃工場(1978年稼働 開始),立谷川清掃工場(1982年稼働開始)で処理されてきたこと,上記 2清掃工場の将来的な老朽化による廃止に備えて被告が平成10年度以降、 新清掃工場建設の候補地選定の検討を行ったこと,平成11年に山形市志戸田地区,平成13年に山形市蔵王半郷地区.平成18年に上山市柏木地区, 平成22年に上山市大石陰地区を検討したこと,平成22年に処理能力約1 5 0 tずつの2工場方式としたこと,平成23年11月に立谷川における新清掃工場建設を決定したこと,大石陰地区を平成24年2月に断念したことと⑤は認め,その余は否認乃至不知。
イ. (2) (3頁)について
 訴状4頁の図が本件エネルギー回収施設のフローシートであること,処理方式:流動床式ガス化溶融方式処理規模:150t (75t/日×2炉2 4時間連続稼働)との点は認め,その余は否認乃至不知。被告は,平成27年3月より.ウェプサイト上で本件エネルギー回収施設の概要,処理能力, 計画ごみ質設備方式,焼却条件,公害防止基準等を定める「要求水準書」 を公開している(乙第1号証 ウェブサイト,乙第2号証 エネルギー回収施設《川口》建設及び遥営事業 要求水準書 設計・建設業務輻,乙第3号証 エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業 要求水準書 運営・維持管理業務編)。
ウ. (3) (4頁)について
 被告が本件エネルギー回収施設に一般廃棄物焼却施設である小動物焼却施設を設けること,甲第2号証の一般廃棄物処理施設設置届出書に小動物の種類,種類別の数量の記載がないこと,設計計算書に計算がないこと, 5頁の図が小動物焼却施設のフローであることは認め,その余は否認する。
(2) 2 (6頁)について
 6頁の図が本件エネルギー回収施設の建設地周辺の地図であること,南北に山地があること,北側に山形新幹線奥羽本線の土堰堤が東西に伸びていることは認め,その余は否認する。
(3) 3 (7頁)について
 ア.第1文乃至第4文のうち,被告が平成28年7月12日に山形県知事に一般廃棄物処理施設設置届出書を提出したこと,甲第2号証の一般廃棄物処理施設設置届出営に一部ハッチングがなされていることは認め,その余は否認 乃至不知。上記のとおり,被告は本件エネルギー回収施設の「要求水準書」 を公開している。
 イ. (1) (7頁)について
 第1文,第2文は一般論としては概ね認める。
 ①のうち,第4文は不知,「建前」との点は否認し,その余は一般論としては概ね認める。
 ②の第3文は認め,その余は否認する。
 ③の第1文乃至第4文のうち「全ての廃棄物焼却炉にほぽ共通のシステムとして」との点及び第2文の「アンモニア」との点は否認し,その余は湿式 の排ガス処理方式に関する一般論としては概ね認める。但し,本件エネルギ ー回収施設は,これとは異なる乾式の排ガス処理方式を採用している, ③の第5文(ア乃至ウを含む)のうち,排ガス中の有害物質の除去が吸収, 吸着,濾過,分解,化合等の物理的あるいは化学反応を利用して行われること,排ガスから有害物質を完全に除去できるものではないことは一般論とし ては認め,その余は否認乃至不知。一般的には,有容物質を十分に(排出基準の範囲内に)除去するための滞留時間を確保しているものである。
 ウ. (2) (9頁)について
 第1文は認める。
 第2文乃奎第7文のうち,焼却残さのスラグ化,高温処理によるダイオキ シン類の分解除去がガス化溶融炉の利点であることは認め,その余は否認乃 至不知,
 エ. (3) (10頁)について
 (ア) iのうち,第1文は認め,第2文は否認する,
 (イ) iiのうち,訴状11頁の図が本件エネルギー回収施設のフローシートで あること,ガス化炉の温度設定が記載されていないこと,廃棄物の一部を燃焼してその熱によりガス化に必要な温度を維持すること,必要空気量に一定係数(空気比)を乗じた空気を吹き込むこと,投入廃棄物の熱量の変動に追随して空気量をコントロールするシステムが必要であること,甲第2号証の一般廃棄物処理施設設置屈出書に低質ごみ,基準ごみ,高質ごみの別に3成分と低位発熱量が記載されていること,設計計算書においてハ ッチングがなされていること,燃焼計算式が記載されていることは認め, その余は否認乃至不知。
 (ウ)iii(12頁)のうち,エコノマイザーが熱交換器であること,減温塔が排ガス温度をバグフィルター入口の適温まで降下させること,ダイオキシン類の再生成(デノボ合成)があることは認め,その余は否認乃至不知。
 (エ) iv (12頁)のうち,本件エネルギー回収施設の主たる除害設備がバグフィルターと触媒反応塔であることは認め,パグフィルターが使用経過と共に圧力損失が大きくなり濾過能力が変動すること,触媒反応塔には窒素酸化物の分解除去の効果と主目的ではないがダイオキシン類の分解除去の効果があること,いずれも触媒を用いた化学的分解反応であるため窒素酸化物と触媒の接触時間が除去率の決め手となること,触媒毒による触媒の機能低下があることは一般論としては認め,その余は否認乃至不知。

3 第3(13頁)について
(1) 1について
 否認乃至不知。
(2) 2について
 ア. (1) (14頁)について
 訴状第3の2(1) (14頁乃至52頁)は前段の第3の1に「以上は,原理的な一般論であって,現実的,具体的な話ではない。実際はどうか?という点については・・・具体的な評価はできない。」(11頁20行目),「本訴状においては,上記“排ガスによる被害"に重点をおいて述べるが,・・・予想される被害に関しても十分に具体化できない点も多々あるので,その点も 含めておって補足する。」(14頁17行目)とあるように,本件エネルギー回収施設の排ガスに関する具体的事実ではなく,廃棄物焼却炉の排ガス中の 有害物質に関する一般論・抽象論(法規制の状況等)となっている。
 しかしながら,本件訴訟の争点は本件エネルギー回収施設による具体的な人格権侵害の事実の有無(排ガスによる被害の有無)であり,かかる具体的 事実を離れた一般論・抽象論の当否が問題となるものではないことから,訴 状第3の2(1) (14頁乃至52頁)に対する認否は不要である。
 イ. (2) (52頁)について
 (ア)第1文,第2文は否認乃至不知。
 (イ) iのうち,訴状53頁の図が本件エネルギー回収施設の敷地内の配置と建屋南側立面図であること,煙突の位置が排ガス排出口と示されている建屋東南角であること,煙突の商さが59mであること,立面図において寸 法がハッチングされていること,訴状54頁の図が風向・風速調査の結果 であること,西の風が多いこと,本件エネルギー回収施設の排ガスの影響につき生活環境影響調査(甲第3号証)が行われたことは認め,その余は否認乃至不知。
 (ウ) iiのア乃至ウ(56頁乃至65頁)は否認乃至不知。
(3)3(65頁)について
 ア.第1文乃至第6文のうち、本件エネルギー回収施設と原告****の事業所が市道と忠川を間に挟んで近接していること,被告が行った生活環境調査の結果風向・風向調査において年間を通じて西の風が多い傾向となってい たことは認め,その余は否認する。
 イ. (1) (65頁)のうち,本件エネルギー回収施設の造成工事等が始まって大型トラック,ダンプカー,重機運搬車の通行が増えていること,国道13号 線から上山市道前川ダム東線を通って建設地に至ること同市道が片側ー車線で,本件エネルギー回収施設の建設に備えて一部拡幅消雪道路工事が行わ れたこと,前川ダムの奥で行われているNEXCOの高速道路工事現場を往復する大型車も走行していることは認め,その余は否認乃至不知。
 ウ (2)(69頁)のうち,原告らの一部が関連訴訟において水害時の忠川の護岸崩壊,前川橋冠水による避難路喪失等の主張を行ったことは認め(但し,いずれも認められていない),平成25年7月に本件エネルギ一回収施設の建設予定地から忠川への雨水の流出があったこと,平成26年7月に上山市道前川ダム東線の上方での斜面崩落に伴い忠川に少量の土砂が流入たことは 訴状69頁記載の写真の限度で認め,その余は否認乃至不知。
 エ. (3)乃至(5) (70頁乃至72頁)は否認乃至不知。
 オ.(6) (72真)について
 (ア)第1文乃至第5文は否認する。
 (イ)i (73頁)について
 訴状第3の3(6)のi(73頁乃至78頁)は本件エネルギー回収施設の騒音に関する具体的事実ではなく,騒音被害に関する一般論・抽象論と なっている。しかしながら,本件訴訟の争点は本件エネルギー回収施設の 騒音による具体的な人格権侵害の事実の有無であり,かかる具体的事実を 離れた一般論・抽象論の当否が問題となるものではないことから,訴状第 3の3(6)のi(73頁乃至78頁)に対する認否は不要である。
 (ウ)ii (78頁)のうち.被告が行った生活環境調査における騒音調査地点が調査書(甲第3号証 エネルギー回収施設《川口》建設事業 生活環境影響調査書《要約版〉〉) 4頁記載のとおりであることは認め,その余は否認 する。
 (エ) ii (79頁)は否認乃至不知,
 (オ) iv (79頁)は否認乃至争う。
 ク.(7)(80頁)のうち,本件エネルギー回収施設の煙突の高さが59mであ ることは認め,その余は否認乃至不知。

4 第4 (82頁)について
 (1) 1について
山形市内に日焼却能力(公称)が180トン(90トン炉×2基)の2つの清掃工場(半郷,立谷川)があることは認め.その余は否認乃至不知。
 (2) 2(83頁)について
否認乃至争う。

5 第5(85頁)について
 引用されている裁判例については判決文記載の限度で認め,人格権,差止請求権等の法的主張については争い,その余は否認乃至不知。

6 第6(97頁)について
 争う。

第3 被告の主張
 次回期日までに,本件エネルギー回収施設の排ガス等が法令の基準内であり違法性がないこと,差止の判断基準等の被告主張を準備書面にて提出する。

以上


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

今月(平成29年9月5日)の二件の裁判について2 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 平成29年9月5日(火)13:15より 、山形地方裁判所第3号法廷においてもう一件「平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件」の裁判がおこなわれました。これは、清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

 今回は、7月18日に守る会が提訴した訴状の内容に対し、被告である山形環境事務組合側より答弁書が提出されましたので公開いたします。訴状提出から7週間経過していますが、時間不足を理由に2ページの内容となりました。

 

平成29年9月1日山形環境事務組合側提出 答弁書


平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件
原告 ****
被告 山形広域環境事務組合管理者 佐藤孝弘

答弁書

平成29年9月1日
山形地方裁判所 民事部 合艤係 御中

(送達場所)
〒990-0055 山形県山形市相生町6 番5 6 号
古澤・内藤法律事務所
電話 023-631-7507
FAX 023-631-7174
被告訴訟代理人
弁護士 内藤 和暁
 同  古澤 茂堂
同 小野寺 弘行

第1 請求の趣旨に対する答弁
 1 原告らの請求をいずれも棄却する
 2 訴訟費用は原告らの負担とする
との判決を求める。

第2 請求原因に対する認否
 本件については受任後間もないため,次回期日までに訴状の請求原因に対する認否と反論を行う。

以上


(参考)平成29年7月18日守る会側提出 訴状(公開用に一部を編集しています)

 

もしくは同訴状を取り扱った以下のブログ記事を参照してください。


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

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