山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(2018年12月から「エネルギー回収施設(川口)」として稼働開始)に関する詳細、および諸問題について

清掃工場本体契約に関する書類の情報公開について(2017.09.01) | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 上山市川口清掃工場建設について、守る会は8月29日に情報公開請求を行いました。

 今回の請求内容は、清掃工場本体工事に関し、・これまで支払った金額とその内容がわかる書類のすべて、・山形広域環境事務組合ともう一つの清掃工場が建設されている山形市立谷川地区との間に交わされた協定書のすべてです。9月1日に書類が公開されましたので、ご紹介いたします。

 守る会では、清掃工場の計画には、金銭の流れも含めて不可解な点がおおいため、私達の税金がどのように使われているのかについてもあわせて調べています。

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山広環第2 9 9号
平成29年8月31日

行政文書部分公開決定通知書

山形県の環境と観光産業を守る会
****

山形広域環境事務組合
管理者 山形市長 佐藤孝弘

平成29年8月29日付けで請求があった行政文書の公開については、次の通りその一部を公開することに決定したので、山形広域環境事務組合情報公開条例第11条第1項の規定により通知します。

請求があった行政文書の内容
1 エネルギー回収施設(川口)の本体工事に関し、これまでに支払った金額、内容を示す書類のすべて
2 組合と立谷川地区との協定書のすべて

公開の日時:
平成29年9月1日 午前11時00分 公開の場所:
山形広域環境事務組合管理課(山形市役所10階)

公開することができない部分及びその理由:
エネルギー回収施設(川口)の本体工事に関し、これまでに支払った金額、内容を示す書類のすべて
○ 請求書(支出調書) 兼支出命令票(歳出簿) に押印された法人の代表者の印影及び口座情報
・山形広域環境事務組合情報公開条例第8条第3号に該当
(理由)法人の内部管理情報で、公開することにより、営業活動等事業活動上の正当な利益を害するおそれがあることが明らかであるため。
組合と立谷川地区との協定書のすべて
○「環境保全協定書」のうち、楯山地区振興会、出羽地区町内会連合会及び山形エコクリエイション株式会社の代表者の印影
・山形広域環境事務組合情報公開条例第8条第3号に該当
(理由)法人の内部管理情報で、公開することにより、営業活動等事業活動上の正当な利益を害するおそれがあることが明らかであるため。

所管課:
山形広域環境事務組合管理課
電話番号023-641-1844

備考:

1 公開の日時に都合が悪い場合には、あらかじめ所管課へご連絡ください。
2 行政文書の公開を受ける際には、この通知書を係員に提示してください。


公開された文書

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請求書(支出調書)兼支出命令票(歳出簿)
請求書 右の金額請求します。 
平成29年4月20日
管理者 山形市長 佐藤孝弘様
住所 神鋼・山形建設特定建設工事共同企業体
代表者
神戸市中央区脇浜町一丁目4番78号
株式会社神鋼環境ソリューション
氏名 取締役社長 粕谷 強

金額 ¥253127000
納期限29.4.28

工事及び営繕用
区分:原請負金額
9.851.271.840円
(H28 253.127.000)
計:
9.851.271.840円
(H28 253.127.000)
平成29年3月31日

職氏名 次長 佐藤 豊 山形広域環境事務組合 管理課
*これ以外の項目について黒塗りあるいは判読不明

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環境保全協定書

山形広域環境事務組合(以下「甲」という。)、楯山地区振興会(以下「乙」という。)、 出羽地区町内会連合会(以下「丙」という。)、山形エコクリエイション株式会社(以下「丁」 という。)及び、山形市(以下「戊」という。)は、エネルギー回収施設(立谷川)(以下「施 設」という。)の管理運営に伴う環境の保全に関し、次のとおり協定を締結する。

(目的)
第1条 この協定は、甲及び甲が施設の管理運営を委託する事業者である丁が施設を管理運営するにあたり、信頼できる施設、安心できる施設及び親近感のある施設を目指して、 環境保全の措置を講ずるとともに、戊との連携を図り公害の発生を防止することにより、 地域住民の健康と快適な生活環境の保全に資することを目的とする。

(所在地等)
第2条 甲及び丁が運転する施設の所在地等は、次のとおりとする。
(1) 所在地 山形市大字漆山地内
(2) 敷地面積 17,648.6㎡ (2期工事完了後 運営事業範囲)
(3) 施設規模 150 t /日(75t/ 日×2炉)
(4) 処理方式 流動床式ガス化溶融方式

環境保全基準)
第3条 甲及び丁は、関係法令及び戊が定める要綱の基準を満たすとともに、施設の管理 運営に当たり、次に掲げる項目の基準値を遵守するものとする。
(1) 大気汚染防止 施設から発生する排出ガスは、別表第1(1) に定める基準値以下とする。
(2) ダイオキシン類 施設から発生するダイオキシン類は、別表第1 (2) に定める 基準値以下とする。
(3) 騒音防止 施設から発生する騒音は、別表第2に定める基準値以下とする。
(4) 振動防止 施設から発生する振動は、別表第3に定める基準値以下とする。
(5) 悪臭防止 施設から発生する臭気は、別表第4に定める基準値以下とする。

(基準値を超えた場合の措置)
第4条 甲及び丁は、施設の運転に伴い発生する排出ガスが第3条に規定する基準値を超 えた場合、又は騒音、振動及び臭気が当該基準値を超えて環境を悪化させるおそれが生 じた場合は、所定の手順に従い施設の運転を停止させる等、速やかに必要な措置を講ずるとともに、その旨を乙、丙、戊その他関係機関に対し、口頭若しくは書面又はエネル ギー回収施設(立谷川)運営協議会の開催などにより報告するものとする。

(測定及び結果公開)
第5条 甲及び丁は、第3条に定める項目について、定期的に測定された測定値を、施設 の敷地内に設置する排ガスデータ表示板、組合ホームページにより常時公開するものとする。

(敷地内の緑化)
第6条 甲及び丁は、施設敷地内の全ての工事完了後には、緑化率30%を超えることとな るように植栽を施し、親近感のある施設として、周辺環境との調和を図るものとする。

(生活環境影響調査書の事後調査)
第7条 甲及び丁は、生活環境影響調査書における予測結果の検証のために事後調査を実施するものとする。
2 甲及び丁は、事後調査終了後も周辺環境の把握に努めるものとする。

(施設への搬入車両への指導)
第8条 甲及び丁は、甲を構成する戊、上山市山辺町及び中山町(以下「構成市町」と いう。)がそれぞれ委託する廃棄物の収集又は運搬の用に供する車両(以下「委託車両」 という。)について、次に掲げる事項を遵守するよう構成市町に指導・監督を依頼するも のとする。
(1) 委託車両は、随時洗浄し、清潔を保つよう努めるとともに、走行時に廃棄物が飛散 しないよう十分な対策を実施する。
(2) 委託車両の運行管理については、交通法令等を遵守し、事故の防止に努める。
(3) 委託車両は、常に点検及び整備をし、排ガス対策等を十分に行う。
2 甲及び丁は、委託車両以外の車両で施設を利用する者に対し、前項各号に掲げる事項 について、周知に努めるものとする。

(施設への立入調査等)
第9条 乙及び丙は、必要に応じ、施設に立ち入り調査をすること及び施設の運営状況について報告を求めることができるものとする。この場合、甲及び丁は、施設の管理運営に支障がない範囲で応ずるものとする。

(苦情対応)
第10条 甲及び丁は、施設の運転に伴い、乙又は丙から苦情の申出があった場合には、誠意をもって迅速に対応するものとする。

(災害時の施設活用)
第11条 甲及び丁は、災害時には戊と連携して、当該施設を防災拠点として活用できるよう防災備品等を備えるなど、対応を行なうものとする。

(協議)
第12条 この協定を変更するとき、この協定に定めのない事項について定める必要が生じたとき、又はこの協定に疑義が生じたときは、甲、乙、丙、丁及び戊が、その都度協議して定めるものとする。

 この協定締結の証として、本書5通を作成し、甲、乙、丙、丁、戊記名押印の上、それ ぞれ1通を保有する。

平成29年2 月22日

甲 山形市旅篭町二丁目3番25号 山形広域環境事務組合 管理者 山形市長 佐藤 孝弘

乙 山形市大字十文字80番*** 楯山地区振興会 会長 蜂谷 久

丙 山形市大字漆山79番地3 出羽地区町内会連合会 会長 森谷 雅幸

丁 山形市松見町11番19号 山形エコクリエイション株式会社 代表取締役 小松 康*

戊 山形市旅篭町二丁目3番25号 山形市 山形市長 佐藤 孝弘

*一部判読不明

別表第1 (1)排出ガス基準値(第3条関係)
項目 基準値 摘要 ばいじん 0. 01 g/N nf 基準値は煙突出口における測定値
塩化水素 50 ppm 基準値は煙突出口における測定値
硫黄酸化物 20 ppm 基準値は煙突出口における測定値
窒素酸化物 50 ppm 基準値は煙突出口における測定値
一酸化炭素 30 ppm  4時間平均として
(2) ダイオキシン類基準値 項目 基準値 摘要
ダイオキシン類 0.05ng-TEQ/N㎥

別表第2 騒音基準値(第3条関係) 騒音基準 基準値 摘要
昼間(8~19時) 70 dB 基準値は、敷地境界線における測定値
朝・タ(6~8時、19時~21時) 65 dB  基準値は、敷地境界線における測定値
夜間(21~6時) 55 dB 基準値は、敷地境界線における測定値

別表第3 振動基準値(第3条関係) 振動基準 基準値 摘要
昼間(8~19時) 65 dB 基準値は、敷地境界線における測定値
夜間(19~8時) 60 dB 基準値は、敷地境界線における測定値

別表第4  臭基準値(第3条関係)
悪臭基準 基準値 摘要
臭気濃度 20基準値は、敷地境界線における測定値
アンモニア 2 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
メチルメルカプタン  0.0 04 ppm
硫化水素 0.06 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
硫化メチル 0.0 5 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
二硫化メチル 0.03 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
トリメチルアミン 0. 02 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
アセトアルデヒド 0. 1 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
スチレン 0.8 ppm 基準値は、敷地境界線における測定値
臭気濃度 1,000 基準値は、煙突その他気体排出口における測定値


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

讀賣新聞 2017年9月6日 公文書開示訴訟 知事側争う姿勢

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 県が助成する学校法人の貸借対照表などの公文書が一部非開示とされたのは不当だとして、市民オンブズマン県会議の会員の男性(64)が非開示決定を取り消すよう吉村知事に求めた訴訟の第1回口頭弁論が5日、山形地裁(松下貴彦裁判長)であった。被告側は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う姿勢を示した。

 訴状によると、男性は4月、県の公金支出の適正性を調べるため、学校法人(山形市、吉村和文理事長)の2012〜16年度の貸借対照表や資金収支計画書などを県の情報公開条例に基づいて開示請求をしたが、県は5月、「法人の正当な利益を害する恐れがある」などとして一部を非開示とした。

山形新聞 2017年9月6日 助成金差し止め請求 事務組合側争う構え 山形地裁 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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山形新聞 2017年9月6日 助成金差し止め請求 事務組合側争う構え 山形地裁

 2016,17年に山形広域環境事務組合(管理者・佐藤孝弘山形市長)が上山市川口地区に交付した助成金は違法・不当な支出だとして、「山形県の環境と観光産業を守る会」のメンバーが公金差し止めなどを求めた第1回口頭弁論が5日、山形地裁であった。組合側は請求棄却を求める答弁書を提出し、争う構えを見せた。

 組合側は答弁書で具体的な説明はせず、次回期日までに認否と反論を行う。訴状によると、同組合は同地区会に地区活動助成金(年間300万円)に加え各種土木建設事業の補助金を交付しているが、正当な理由がないとしている。

 守る会は川口地区で進む新清掃工場(エネルギー回収施設)の建設に反対している。

関連記事:

清掃工場建設予定地の上山市川口地区会に対する助成金(25年×300万円)の謎 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会

清掃工場建設予定地の上山市川口地区会に対する助成金(25年×300万円)の謎 その2 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会

今月(平成29年9月5日)の二件の裁判について2 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

 平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

 清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

ごみ焼却場(清掃工場)本体の建設と操業差し止めを求める行政訴訟 山形環境事務組合からの答弁書の公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 前回のブログでは今月(平成29年9月5日(火))おこなわれた「ごみ焼却場本体の建設と操業差し止めを求める行政訴訟」の第3回・口頭弁論についてお伝えしましたが、このブログでは随時、この裁判に関するさまざまな資料を公開予定です。

 今回は、平成29年3月7日に被告である山形環境事務組合から提出された答弁書を公開します。これは、原告である守る会が平成28年12月6日に提出した訴状に対する内容です。

 なお、裁判全体の流れをご覧になりたい方は以下の記事を参照して下さい。

[随時更新]進行中の裁判とこれまでの裁判結果 | 山形県上山市川口清掃工場問題 - 山形県の環境と観光産業を守る会

平成29年3月7日 被告:山形環境事務組合提出 答弁書 ※「禁無断転載」


※ Web公開用に一部編集を行っています。

平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件
原告 ****
被告 山形広域環境事務組合

答弁書

平成29年3月6日
山形地方裁判所 民事部 合議係 御中

(送達場所)
〒990-0055 山形県山形市相生町6番56号
古澤・内藤法律事務所
電話023-631-7507
FAX 023-631-7174
被告訴訟代理人
弁護士 内藤 和暁
同 古澤 茂堂
同( 担当) 小野寺 弘行

第1 請求の趣旨に対する答弁
1 原告らの諸求を棄却する
2 訴訟費用は原告らの負担とする
との判決を求める。


第2 訴状請求原因に対する認否
1  第1について
(1) (1)について
 原告らが****であること.被告が一般 廃棄物処理施設を建設していること,原告****が建設地の近くで事業を行っていることは認め,その余は 否認乃至不知。被告が建設している施設は,単なる焼却施設ではなく,ごみを 安全かつ衛生的に焼却して処理すると共に,発生する熱エネルギーを回収して電気や温水等として有効に活用することを目的とするエネルギー回収施設で ある(以下、「本件エネルギー回収施設」という。)。
(2) (2)について
 「地方自治法1条の3に基づき」との点は否認し、その余は認める。

2 第2(2頁)について
(1) 1について
ア. (1)について
 被告構成団体の2市2町のもやせるごみが半郷清掃工場(1978年稼働 開始),立谷川清掃工場(1982年稼働開始)で処理されてきたこと,上記 2清掃工場の将来的な老朽化による廃止に備えて被告が平成10年度以降、 新清掃工場建設の候補地選定の検討を行ったこと,平成11年に山形市志戸田地区,平成13年に山形市蔵王半郷地区.平成18年に上山市柏木地区, 平成22年に上山市大石陰地区を検討したこと,平成22年に処理能力約1 5 0 tずつの2工場方式としたこと,平成23年11月に立谷川における新清掃工場建設を決定したこと,大石陰地区を平成24年2月に断念したことと⑤は認め,その余は否認乃至不知。
イ. (2) (3頁)について
 訴状4頁の図が本件エネルギー回収施設のフローシートであること,処理方式:流動床式ガス化溶融方式処理規模:150t (75t/日×2炉2 4時間連続稼働)との点は認め,その余は否認乃至不知。被告は,平成27年3月より.ウェプサイト上で本件エネルギー回収施設の概要,処理能力, 計画ごみ質設備方式,焼却条件,公害防止基準等を定める「要求水準書」 を公開している(乙第1号証 ウェブサイト,乙第2号証 エネルギー回収施設《川口》建設及び遥営事業 要求水準書 設計・建設業務輻,乙第3号証 エネルギー回収施設《川口》建設及び運営事業 要求水準書 運営・維持管理業務編)。
ウ. (3) (4頁)について
 被告が本件エネルギー回収施設に一般廃棄物焼却施設である小動物焼却施設を設けること,甲第2号証の一般廃棄物処理施設設置届出書に小動物の種類,種類別の数量の記載がないこと,設計計算書に計算がないこと, 5頁の図が小動物焼却施設のフローであることは認め,その余は否認する。
(2) 2 (6頁)について
 6頁の図が本件エネルギー回収施設の建設地周辺の地図であること,南北に山地があること,北側に山形新幹線奥羽本線の土堰堤が東西に伸びていることは認め,その余は否認する。
(3) 3 (7頁)について
 ア.第1文乃至第4文のうち,被告が平成28年7月12日に山形県知事に一般廃棄物処理施設設置届出書を提出したこと,甲第2号証の一般廃棄物処理施設設置届出営に一部ハッチングがなされていることは認め,その余は否認 乃至不知。上記のとおり,被告は本件エネルギー回収施設の「要求水準書」 を公開している。
 イ. (1) (7頁)について
 第1文,第2文は一般論としては概ね認める。
 ①のうち,第4文は不知,「建前」との点は否認し,その余は一般論としては概ね認める。
 ②の第3文は認め,その余は否認する。
 ③の第1文乃至第4文のうち「全ての廃棄物焼却炉にほぽ共通のシステムとして」との点及び第2文の「アンモニア」との点は否認し,その余は湿式 の排ガス処理方式に関する一般論としては概ね認める。但し,本件エネルギ ー回収施設は,これとは異なる乾式の排ガス処理方式を採用している, ③の第5文(ア乃至ウを含む)のうち,排ガス中の有害物質の除去が吸収, 吸着,濾過,分解,化合等の物理的あるいは化学反応を利用して行われること,排ガスから有害物質を完全に除去できるものではないことは一般論とし ては認め,その余は否認乃至不知。一般的には,有容物質を十分に(排出基準の範囲内に)除去するための滞留時間を確保しているものである。
 ウ. (2) (9頁)について
 第1文は認める。
 第2文乃奎第7文のうち,焼却残さのスラグ化,高温処理によるダイオキ シン類の分解除去がガス化溶融炉の利点であることは認め,その余は否認乃 至不知,
 エ. (3) (10頁)について
 (ア) iのうち,第1文は認め,第2文は否認する,
 (イ) iiのうち,訴状11頁の図が本件エネルギー回収施設のフローシートで あること,ガス化炉の温度設定が記載されていないこと,廃棄物の一部を燃焼してその熱によりガス化に必要な温度を維持すること,必要空気量に一定係数(空気比)を乗じた空気を吹き込むこと,投入廃棄物の熱量の変動に追随して空気量をコントロールするシステムが必要であること,甲第2号証の一般廃棄物処理施設設置屈出書に低質ごみ,基準ごみ,高質ごみの別に3成分と低位発熱量が記載されていること,設計計算書においてハ ッチングがなされていること,燃焼計算式が記載されていることは認め, その余は否認乃至不知。
 (ウ)iii(12頁)のうち,エコノマイザーが熱交換器であること,減温塔が排ガス温度をバグフィルター入口の適温まで降下させること,ダイオキシン類の再生成(デノボ合成)があることは認め,その余は否認乃至不知。
 (エ) iv (12頁)のうち,本件エネルギー回収施設の主たる除害設備がバグフィルターと触媒反応塔であることは認め,パグフィルターが使用経過と共に圧力損失が大きくなり濾過能力が変動すること,触媒反応塔には窒素酸化物の分解除去の効果と主目的ではないがダイオキシン類の分解除去の効果があること,いずれも触媒を用いた化学的分解反応であるため窒素酸化物と触媒の接触時間が除去率の決め手となること,触媒毒による触媒の機能低下があることは一般論としては認め,その余は否認乃至不知。

3 第3(13頁)について
(1) 1について
 否認乃至不知。
(2) 2について
 ア. (1) (14頁)について
 訴状第3の2(1) (14頁乃至52頁)は前段の第3の1に「以上は,原理的な一般論であって,現実的,具体的な話ではない。実際はどうか?という点については・・・具体的な評価はできない。」(11頁20行目),「本訴状においては,上記“排ガスによる被害"に重点をおいて述べるが,・・・予想される被害に関しても十分に具体化できない点も多々あるので,その点も 含めておって補足する。」(14頁17行目)とあるように,本件エネルギー回収施設の排ガスに関する具体的事実ではなく,廃棄物焼却炉の排ガス中の 有害物質に関する一般論・抽象論(法規制の状況等)となっている。
 しかしながら,本件訴訟の争点は本件エネルギー回収施設による具体的な人格権侵害の事実の有無(排ガスによる被害の有無)であり,かかる具体的 事実を離れた一般論・抽象論の当否が問題となるものではないことから,訴 状第3の2(1) (14頁乃至52頁)に対する認否は不要である。
 イ. (2) (52頁)について
 (ア)第1文,第2文は否認乃至不知。
 (イ) iのうち,訴状53頁の図が本件エネルギー回収施設の敷地内の配置と建屋南側立面図であること,煙突の位置が排ガス排出口と示されている建屋東南角であること,煙突の商さが59mであること,立面図において寸 法がハッチングされていること,訴状54頁の図が風向・風速調査の結果 であること,西の風が多いこと,本件エネルギー回収施設の排ガスの影響につき生活環境影響調査(甲第3号証)が行われたことは認め,その余は否認乃至不知。
 (ウ) iiのア乃至ウ(56頁乃至65頁)は否認乃至不知。
(3)3(65頁)について
 ア.第1文乃至第6文のうち、本件エネルギー回収施設と原告****の事業所が市道と忠川を間に挟んで近接していること,被告が行った生活環境調査の結果風向・風向調査において年間を通じて西の風が多い傾向となってい たことは認め,その余は否認する。
 イ. (1) (65頁)のうち,本件エネルギー回収施設の造成工事等が始まって大型トラック,ダンプカー,重機運搬車の通行が増えていること,国道13号 線から上山市道前川ダム東線を通って建設地に至ること同市道が片側ー車線で,本件エネルギー回収施設の建設に備えて一部拡幅消雪道路工事が行わ れたこと,前川ダムの奥で行われているNEXCOの高速道路工事現場を往復する大型車も走行していることは認め,その余は否認乃至不知。
 ウ (2)(69頁)のうち,原告らの一部が関連訴訟において水害時の忠川の護岸崩壊,前川橋冠水による避難路喪失等の主張を行ったことは認め(但し,いずれも認められていない),平成25年7月に本件エネルギ一回収施設の建設予定地から忠川への雨水の流出があったこと,平成26年7月に上山市道前川ダム東線の上方での斜面崩落に伴い忠川に少量の土砂が流入たことは 訴状69頁記載の写真の限度で認め,その余は否認乃至不知。
 エ. (3)乃至(5) (70頁乃至72頁)は否認乃至不知。
 オ.(6) (72真)について
 (ア)第1文乃至第5文は否認する。
 (イ)i (73頁)について
 訴状第3の3(6)のi(73頁乃至78頁)は本件エネルギー回収施設の騒音に関する具体的事実ではなく,騒音被害に関する一般論・抽象論と なっている。しかしながら,本件訴訟の争点は本件エネルギー回収施設の 騒音による具体的な人格権侵害の事実の有無であり,かかる具体的事実を 離れた一般論・抽象論の当否が問題となるものではないことから,訴状第 3の3(6)のi(73頁乃至78頁)に対する認否は不要である。
 (ウ)ii (78頁)のうち.被告が行った生活環境調査における騒音調査地点が調査書(甲第3号証 エネルギー回収施設《川口》建設事業 生活環境影響調査書《要約版〉〉) 4頁記載のとおりであることは認め,その余は否認 する。
 (エ) ii (79頁)は否認乃至不知,
 (オ) iv (79頁)は否認乃至争う。
 ク.(7)(80頁)のうち,本件エネルギー回収施設の煙突の高さが59mであ ることは認め,その余は否認乃至不知。

4 第4 (82頁)について
 (1) 1について
山形市内に日焼却能力(公称)が180トン(90トン炉×2基)の2つの清掃工場(半郷,立谷川)があることは認め.その余は否認乃至不知。
 (2) 2(83頁)について
否認乃至争う。

5 第5(85頁)について
 引用されている裁判例については判決文記載の限度で認め,人格権,差止請求権等の法的主張については争い,その余は否認乃至不知。

6 第6(97頁)について
 争う。

第3 被告の主張
 次回期日までに,本件エネルギー回収施設の排ガス等が法令の基準内であり違法性がないこと,差止の判断基準等の被告主張を準備書面にて提出する。

以上


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

今月(平成29年9月5日)の二件の裁判について2 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 平成29年9月5日(火)13:15より 、山形地方裁判所第3号法廷においてもう一件「平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件」の裁判がおこなわれました。これは、清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

 今回は、7月18日に守る会が提訴した訴状の内容に対し、被告である山形環境事務組合側より答弁書が提出されましたので公開いたします。訴状提出から7週間経過していますが、時間不足を理由に2ページの内容となりました。

 

平成29年9月1日山形環境事務組合側提出 答弁書


平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件
原告 ****
被告 山形広域環境事務組合管理者 佐藤孝弘

答弁書

平成29年9月1日
山形地方裁判所 民事部 合艤係 御中

(送達場所)
〒990-0055 山形県山形市相生町6 番5 6 号
古澤・内藤法律事務所
電話 023-631-7507
FAX 023-631-7174
被告訴訟代理人
弁護士 内藤 和暁
 同  古澤 茂堂
同 小野寺 弘行

第1 請求の趣旨に対する答弁
 1 原告らの請求をいずれも棄却する
 2 訴訟費用は原告らの負担とする
との判決を求める。

第2 請求原因に対する認否
 本件については受任後間もないため,次回期日までに訴状の請求原因に対する認否と反論を行う。

以上


(参考)平成29年7月18日守る会側提出 訴状(公開用に一部を編集しています)

 

もしくは同訴状を取り扱った以下のブログ記事を参照してください。


今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

今月(平成29年9月5日)の二件の裁判について | 山形県上山市川口清掃工場問題

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 平成29年9月5日(火) 13:30より、山形地方裁判所第3号法廷において 「ごみ焼却場本体の建設と操業差し止めを求める行政訴訟」第3回・口頭弁論が行われましたので、今回守る会が提出した第一準備書面と証拠説明甲 9~18を公開いたします。

 今回は、被告である山形広域環境事務組合より5月22日に提出された第一準備書面への反論としての第一準備書面を提出しました。この書面では、被告の第一準備書面の内容に欠陥が多く見られることを指摘し、施設の性能等の具体的な説明を求めました。

 これまで、守る会は組合や山形県に対し基本的情報としての「清掃工場に関する本体図面の公開」を何度も求めてきました。これに対し公開された資料は「企業秘密」を理由に白塗りまたは黒塗りされており、本体の概要すら知ることができない状態が続いています。こうした隠蔽体質についても厳しく指摘しました。守る会の弁護士によれば、こうした内容は一般的には非公開である必要のないデータであるとのことです。

 

原告提出の第一準備書面 ※「禁無断転載」

原告提出の証拠説明甲 9~18 ※「禁無断転載」

今後予定されている裁判:

平成29年11月 6日(月) 13:15- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:00- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成28年(ワ)第236号 一般廃棄物焼却施設建設禁止等請求事件

平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため(地域住民にはほとんど清掃工場についての説明がないまま、きわめて短期間のうちに決まった)、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

平成29年11月28日(火) 15:30- 
山形県上山市川口清掃工場建設に関する裁判|平成29年(行ウ)第8号 川口地区助成金公金差止等請求住民訴訟事件

清掃工場建設予定地である山形県上山市川口地区の地区会に対する不正な助成金の受け渡しについてを問う裁判で、川口地区会に支払われた助成金の返還と今後支払われる予定の助成金の支払停止等を求めています。

平成28年(行コ)第19号前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件判決文の公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

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平成29年4月27日、仙台高等裁判所において標記「平成28年(行コ)第19号前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件(原審・山形地方裁判所平成28年(行ウ)第2号)控訴審の判決が言い渡されましたので、判決文を公開致します。

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平成29年4月27日判決言渡 同日原本領収 裁判所書記官
平成28年(行コ)第19号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件(原審・山形地方裁判所平成28年(行ウ)第2号)
平成29年2月23日口頭弁論終結

判決
当事者の表示 別紙当事者目録のとおり

主文
1.本件控訴を棄却する。
2.控訴費用(補助参加費用を含む。)は控訴人らの負担とする。

事実及び理由

第1 控訴の趣旨
1 原判決を取り消す。
2 被控訴人は,市道前川ダム東線道路改良工事に関してH土建株式会社との間で締結した請負契約に基づく請負代金に係る公金を支出してはならない。
3 被控訴人は,被控訴人補助参加人に対し,5032万8000円及びこれに対する平成27年6月25日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払をするよう請求せよ。
4 被控訴人は,H土建株式会社に対し,5032万8000円及びこれに対する平成27年6月25日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払をするよう請求せよ。

第2 事案の概要
1 本件は,山形県上山市の住民及び上山市に事業所等を有する会社である控訴人(原告)らが,上山市がH土建株式会社(H土建)との間で市道前川ダム東線の一部の改良工事(本件工事)を目的とする請負契約(本件請負契約)は公序良俗に違反して無効であるから,本件請負契約に基づく代金の支払は違法である旨主張して,上山市の執行機関である被控訴人(被告)に対し,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,本件請負契約の未払代金の支出の差止めを求める(以下「本件1号請求」という。)と共に,同項4号に基づき,本件請負契約の代金の一部である5032万8000円を支出したこと(本件支出)について,本件支出当時の上山市の市長であった被控訴人補助参加人(以下「補助参加人」若しくは「横戸」という。)に対して損害賠償請求をすること及び堀川土建に対して不当利得返還請求をすることをそれぞれ求める(両請求 を併せて以下「本件4号請求」という。)住民訴訟である。
 原審は,本件請負契約を私法上無効と解すべき事情は認められないし,既にした代金の支払が違法とはいえない旨判示して,本件1号請求及び本件4号請求をいずれも棄却した。
 控訴人らは,原判決を不服として,本件控訴を提起した。

2 前提事実
 原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」2 (原判決3頁11行目から5頁9行目まで)記載のとおりであるから,これを引用する(原判決中,「原告」とあるのは「控訴人」と,「被告」とあるのは「被控訴人」とそれぞれ読み替えられることになる。以下同じ。)。

3 争点
 本件1号請求は,本件請負契約の未払代金の支出の差止めを求めるものであるところ,契約に基づく債務の履行として行われる公金の支出について,地方自治法242条の2第1項1号に基づく差止めを請求することができるのは,当該契約が私法上無効な場合に限られるというべきである(最高裁昭和56年(行ツ)第144号同62年5月19日第三小法廷判決・民集41巻468 7頁参照)。
 また,本件4号請求は,本件支出について,補助参加人に対して損害賠償請求をすること及びH土建に対して不当利得返還請求をすることを求めるものであるところ,本件支出は,支出負担行為である本件請負契約の債務の履行の一部としてされているのであるから,本件請負契約が私法上無効というべき場合には,補助参加人が,本件請負契約に基づく本件支出を行ってはならないという財務会計法規上の義務を負い,また本件支出が不当利得となるというべきである。
 したがって,本件の争点は,本件請負契約が私法上無効というべきか否かである。

4 争点に関する当事者の主張
控訴人らの主張)
 本件工事を目的とした本件請負契約は,次のとおり,公序良俗に違反し,無効である。
(1) 通行権等侵害等
ア 通行権等侵害
(ア) 本件市道前川ダム東線道路のうち,①国道13号から本件市道前川ダム東線道路に進入して間もない場所にあるカーブ箇所,②前川に架かる五反田橋を渡る直前のカーブ箇所,③五反田橋を渡り切った後のカーブ箇所,④奥羽本線の下をくぐる前のカープ箇所及び⑤新橋梁と交差するカーブ箇所において,大型車両同土の対面通行及び緊急車両の通行が困難であるところ(以下,これらのカーブ箇所をそれぞれ「本件カーブ箇所①」などといい,これらを併せて「本件各カーブ箇所」という。),本件工事後も,本件カーブ箇所①及び本件カーブ箇所②における大型車両同士のすれ違いが不可能なままであり,本件カーブ箇所③,本件カーブ箇所④及び本件カーブ箇所⑤における大型車両同士の対面通行は不可能である(控訴人らが,福2.39 mから2.49m, 全長11.26 mから11.95mのトラックを用いてすれ違い実験を行ったところ,本件カープ箇所③については,著しい徐行を行い,極めて慎重に運転を行えば辛うじてすれ違うことは可能であったが,橋の間際を通過しなければならないのであるから,社会通念上はすれ違いが困難であると判断されるものであったし,本件カーブ箇所④については,カーブを曲がるた めにはセンターラインを越えなければならないため,すれ違いは不可能であった。)。そして,本件工事及び本件工事の目的である本件エネルギー回収施設の建設によって,従前は道路幅の問題で物理的に通行できなかった大型車両の通行が増加すると共に,道路の改良により利便性が向上することで,交通量が多くなる。
(イ) 山形広域環境事務組合作成の平成29年2月1日付け「エネルギー回収施設(川口)建設だより」に本件市道前川ダム東線道路において工事車両の増加が予定されている旨記載されているとおり,本件工事により,工事車両の交通量が増加する。
(ウ) 本件エネルギー回収施設には防災拠点機能が付加されることとなっており,災害が発生した場合,本件市道前川ダム東線道路に大型の緊急車両や避難用のバス等が出入りすることとなり,十分なすれ違いもできない本件市道前川ダム東線道路は,渋滞を来たし,元来本件市道前川ダム東線道路を利用してきた控訴人Aの車両の通行の妨げとなるし,控訴人Aの従業員らが本件市道前川ダム東線道路を利用して避難することが困難になる。
(エ) 本件工事は本件エネルギー回収施設の利便性の向上を目的として行われるものである。すなわち,本件エネルギー回収施設の建設がなければ本件工事もなかったはずのものであり,両者は表裏一体のものである。したがって,本件エネルギー回収施設の建設によって交適量が増加することも,本件工事を原因とするものというべきである。
(オ) このように,本件市道前川ダム東線道路は,化学消防車などの緊急車両を含む大型車両の相互通行が不可能なままであるにもかかわらず,逆に本件工事によって本件エネルギー回収施設へ出入りする大型車両の通行が増加することで,円滑な通行は困難になり,日常的に本件市道前川ダム東線道路を大型車両の通行のために利用してきた控訴人Aを含む多くの通行者の通行権が侵害されると共に,現在にもまして緊急車両の通行が困難な事態が生じ,控訴人Aやその従業員らの平穏生活権が侵害される。
 また,本件工事対象道路には歩道が設置されていないことから,歩行者や軽車両の道路通行の安全が妨害され,歩行者らの通行権が侵害される。
 本件工事が無駄な公共事業であること
上記のとおり,本件工事によっても,本件市道前川ダム東線道路の大型車両同士のすれ違い困難箇所は,いずれの地点においてもその困難さが全く解消されていない。
また,本件市道前川ダム東線道路は,冬季においては積雪により有効道幅が他の季節より狭くなり,とりわけ五反田橋や奥羽本線ガード下の地点では交通が困難となるが,本件工事は五反田橋や奥羽本線ガード下を対象としていないから,本件工事は中途半端なものとなっている。
このように,本件工事には何の意味もなかったのであって,全く無駄な公共事業であったということである。このような無駄なことに公金を支出すること自体が公序良俗に反する。

(2) 本件工事の経緯の不当性及び談合
次のとおり補正するほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」4 (原告らの主張) (2)及び(3) (原判決6頁13行目から8頁17行目まで)のとおりであるから,これを引用する。
 原判決7頁5行目の「すり替えた」の次に「(被控訴人は,本件市道前川ダム東線道路では直線部分で大型車同土の対面通行が可能であるから本件大型車両対面通行可能条件は満たされていると主張するが,国道13号との交差点から本件エネルギー回収施設の入り口に架けられた新橋梁に至るまでのそれほど長くない距離の間に5か所もの大型車のすれ違い困難な箇所があるのであるから,単に直線部分では大型車同士の対面通行が可能であるというだけで本件大型車両対面通行可能条件が満たされていると評価することは一般常識と相容れないものである。したがって,道路とのアクセス条件は,本件大型車両対面通行可能条件とは別の条件として定められたものでなく,本件大型車両対面通行可能条件をすり替えるものとして設定されたものと認めるべきである。)」を加える。
 原判決7頁14行目の「選定したのである」の次に「し,前述のとおり,本件工事は本件大型車両対面通行可能条件を満たすための工事であって,本件エネルギー回収施設の建設と本件工事,ひいては本件請負契約とは強い関連性を有するものであり,また上山市は山形広域環境事務組合の構成団体の一つであり,全く別の団体というわけでもない」を加える。

(被控訴人及び補助参加人の主張)
 原判決8頁18行目の「被告の主張」を「被控訴人及び補助参加人の主張」に改め, 9頁1行目末尾の次に改行の上次のとおり加えるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第2 事案の概要」4 (被告の主張)(原判決8頁18行目から10頁11行目まで)のとおりであるから,これを引用する。
「また,本件工事は,本件市道前川ダム東線道路の道路改良,拡幅を行ってその利便性の改良を行うという工事であって,控訴人らが通行権等侵害の原因として挙げる大型車両の通行量増加は,本件エネルギ一回収施設の建設に伴うものであり,本件工事によって生じるものではないから,本件工事によって本件市道前川ダム東線道路における大型車のすれ違いの困難さが解消されたか否かという間題を論じるまでもなく,そもそも,本件工事について通行権等の侵害が問題となるものではない。」

第3 当裁判所の判断
 当裁判所も,本件請負契約が無効であるとはいえず,控訴人らの請求はいずれも理由がないものと判断する。その理由は,次のとおりである。

1  通行権等侵害等について
(1) 通行権等侵害について
 控訴人らの主張は,前記第2の4(控訴人らの主張)(1)のとおりであり,その要旨は,①本件工事は本件エネルギー回収施設の建設に伴う本件市道前川ダム東線道路の利便性の向上を目的とするものであるにもかかわらず,本件工事によっても本件各カーブ箇所のいずれにおいても大型車両のすれ違い通行は不可能のままである一方,本件エネルギー回収施設の建設によって大型車両の通行は増加する,②本件工事により,工事車両の交通量が増加する,③本件エネルギー回収施設には防災拠点機能が付加されるため,災害時には大型の緊急車両や避難用バス等が出入りすることにより,本件市道前川ダム東線道路は渋滞を来し,控訴人A等の車両の通行の妨げや災害時の避難等を困難にする,④このように,本件工事は,控訴人Aやその従業員らの平穏生活権を侵害するものであると共に,控訴人Aを含む多くの通行者の通行権を侵害するものである,というものである。
 しかしながら,まず,前記前提事実によれば,本件工事は,本件工事対象道路の掘削,盛土による道路改良,消雪施設設置及び直線部を中心とした拡幅等を内容とするものであるというのである。この事実によれば ,本件工事には本件市道前川ダム東線道路における大型車両の通行量を増加させ,同道路の渋滞を促進させる要素はない(控訴人らも,本件工事によっても本件各カーブ箇所においては依然として大型車両同士の対面通行が不可能であること等を主張するのみで,本件工事によって本件前川ダム東線道路の通行条件それ自体が悪化することを主張するものではない。)と認められるのであって,控訴人A等の平穏生活権や通行権に対する関係 で,本件工事が権利侵害行為と評価されるべき点は全くないというべきである。
 この点,控訴人らは,要旨,本件エネルギー回収施設の建設により本件市道前川ダム東線道路における大型車両の通行量が増加するところ,本件工事は本件エネルギー回収施設の利便性の向上を目的とするものであって,本件エネルギー回収施設の建設がなければ本件工事もないのであるから,本件市道前川ダム東線道路の交通事情の悪化は本件工事に起因するものと認めるべきである旨主張する。しかしながら,上記のとおり,本件工事の内容には本件市道前川ダム東線道路の交通事情を悪化させる要素は認められないのであるから,仮に,本件工事竣工後に本件市道前川ダム東線道路における大型車両の交通量が増加するとしても,そのことと本件工事との間には何らの事実的因果関係も認められない。したがって,本件エネルギー回収施設の建設と本件工事の間に,その目的において関連性があるとしても,上記大型車両の交通量の増加が本件工事に起因するものであると認めるべき根拠はないというべきである。
 なお,本件工事を施工するに当たり,本件市道前川ダム東線道路において工事車両の交通量が増加することは認められるが,それが控訴人A等の平穏生活権を侵害する態様又は程度のものであると認めるに足りる証拠はない。また,本件市道前川ダム東線道路は,上山市民各自が日常生活上欠くことのできない要具であるから,上山市民は,他の市民が本件市道前川ダム東線道路に対して有する利益ないし自由を侵害しない程度において,自己の生活上必須の行動を自由に行うという法律上の利益を有するというべきであるが(最高裁判所昭和35年(オ)第676号同39年1月16日第一小法廷判決・民集18巻1号1頁参照),この利益は,上山市長が市道として認定し,上山市が管理して一般交通の用に供している(道路法2条1項,8条1項,1 6条1項参照)ことの反射的利益というべきものであって,上山市による管理行為としての本件工事のための工事車両が本件市道前川ダム東線道路を通行することが上記利益の侵害行為に当たると解することはできない。
 したがって,本件工事が控訴人Aの平穏生活権又は通行権等の侵害行為であるために本件請負契約が公序良俗に違反する旨の控訴人らの主張は理由がない。

(2) 本件工事が無駄な公共工事であることについて
 控訴人らは,本件工事によっても,本件市道前川ダム東線道路の大型車両同士のすれ違い困難箇所は,いずれの地点においてもその困難さが解消されていないし,五反田橋や奥羽本線ガード下の地点では積雪期の通行が困難となるのに本件工事は上記地点を対象としていないなど,本件工事は何の意味もない無駄な工事である旨主張する。
 しかしながら,既に説示したとおり,本件工事は,本件工事対象道路の掘削,盛土による道路改良,消雪施設設置及び直線部を中心とした拡幅等を内容とするものであるから,本件市道前川ダム東線道路の車両通行条件の改善につながるものであることは明らかであって,上記アのような控訴人らの主張事実をもって無駄な工事であるとはいえないことは明らかである。この点に関する控訴人らの主張は理由がない。

2 本件工事の経緯の不当性について
 原判決13頁19行目から26行目までを次のとおり改めるほかは,原判決の「事実及び理由」欄の「第3 争点(本件請負契約に基づく支出の違法性の有無)に対する判断」1 (1)イ(原判決12頁26行目から14頁1行目まで)のとおりであるから,これを引用する。
「(ウ) また,控訴人らは,上山市が選定条件のすり替えをしたと主張するが,上山市が清掃工場候補地検討委員会に提示した条件が本件大型車両対面通行条件を満たすものであるか否かないしその程度,更には本件エネルギー回収施設の所在地を建設予定地に選出するか否かは最終的に上記検討委員会又は山形広域環境事務組合が検討し,判断する事項であり,その検討・判断の過程において上山市が違法又は不当な特為をしたと評価すべき事情が見当たらない以上,本件請負契約が公序良俗に反すると評価すべき理由はない。」

3 談合について
 原判決の「事実及び理由」欄の「第3 争点(本件請負契約に基づく支出の違法注の有無)に対する判断」1(1)ウ(原判決14頁3行目から20行目まで)のとおりであるから,これを引用する。

4 結論
 以上によれば,控訴人らの請求をいずれも棄却した原判決は正当であって,本件控訴は理由がないから棄却することとし,主文のとおり判決する。

仙台高等裁判所第2民事部

裁判長裁判官 古久保 正人
裁判官坂本浩志
裁判官 杉森洋平は転補のため署名押印できない。
裁判長裁判官 古久保 正人

別紙
当事者目録
(一部省略)
山形県上山市河崎1丁目1番10号
控訴人 上山市長 横戸長兵衛
同訴訟代理人弁護士 内藤和暁
同 古澤茂堂
同 小野寺弘行
同 指定代理人 鈴木英夫
同 鈴木亨
同 鏡順
同 木村昌光
同 近埜 伸二
同 須貝 信亮
山形県上山市河崎1丁目1番10号
控訴人補助参加人 横戸 長兵衛
以上

これは正本である。
平成29年4月27日
仙台高等裁判所第2民事部
裁判所書記官 直井克哲

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