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山形県の環境と観光産業を守る会

山形県上山市川口地区に建設予定の清掃工場(エネルギー回収施設)に関する詳細、および諸問題について

先月12月27日の裁判について:山形広域環境事務組合提出の準備書面の公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

10-2.裁判: 平成27年(行ウ)第2号 忠川橋梁建設公金差止請求住民訴訟事件

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 先月の平成28年12月27日に、山形県に対する「上山市忠川河川占用許可取消請求事件」 裁判が行われ、結審したことは前回ご報告の通りです。
 同日、山形広域環境事務組合に対する「忠川橋梁建設公金差止請求住民訴訟事件」裁判が行われましたので、ご報告致します。

 この2つの裁判はどちらも、山形広域環境事務組合が上山市川口を公称エネルギー回収施設の建設地として決定した後、敷地に入るための一級河川・忠川(前川ダム放水路)に橋を架ける工事を巡っての訴訟です。山形県に対しては「県(本来は国)が管理する忠川に新橋を架けるための、安易な許可取り消しを求める」という主旨でした。

 組合に対する訴訟は、同じ忠川に対し、設置主体である組合が計画した架橋工事が不 適切であるため、これまで支出した公金の返還を求める訴訟です。「忠川への新架橋工 事は違法」とする点は、どちらの訴訟にも共通する事項であり、準備書面や証拠も類似 しておりますので、ご注意下さい。

 昨年12月27日、山形地裁で行われた口頭弁論において、組合側は第5準備書面と証拠資料を提出しましたが、守る会も追加で第6準備書面と証拠資料を提出致しましたので、公開致します。

 山形県に対する裁判同様、組合に対する裁判も同日結審し、判決は次回平成29年3月 21日に山形地裁で言い渡されることになりました。この結審に至るまで、守る会は昨年 8月、山形地裁に対し、現地視察及び証人尋問を申し出ましたが、いずれも却下されました。守る会としては、裁判官が現地視察をされることで、新橋周辺のコンクリート護岸に対する亀裂等の劣化状況を把握されること、証人尋問では被害を受けると想定される周辺住民の意見や、橋梁を設計した企業ご担当者の説明を求めるものでしたが、いずれも認められず、準備書面と証拠のやりとりのみで結審してしまったことを、非常に残念に思います。

 


山形広域環境事務組合提出 第5準備書面
※ブログ用に内容を一部編集しておりますので、予めご了承下さい。

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平成27年(行ウ)第2号 忠川橋梁建設公金差止請求住民訴訟事件
原告 ****
被告 山形広域環境事務組合

第5準備書面

平成28年12月27日
山形地方裁判所 民事部 合議係 御中

被告訴訟代理人
弁護士  内藤 和暁
同  古澤 茂堂
同(担当) 小野寺 弘行

 被告第4準備書面8頁において詳述したように,河川管理施設等構造令施行規則第15条第1号但書は,「堤防の全部若しくは主要な部分がコンクリート,鋼矢板又はこれらに準ずるものによる構造のものである場合」には,河川管理用道路の幅員を3m以上と定める河川管理施設等構造令第27条,同施行規則第15条第1号本文の規定は適用しないこととしているものである。

 この点について,原告ら準備書面(6)の7頁下段は,甲第51号証の「解説・河川管理施設等構造令」113頁,114頁の, 「『その全部若しくは主要な部分がコンクリート,鋼矢板若しくはこれに準ずるものによる構造のもの』とは,いわゆる自立式構造(盛士《押え盛土を除く》の部分がなくても自立する構造)の特殊堤をいうものである・・・。コンクリートの自立式擁壁・・又は矢板等による自立式構造・・の堤防がこれに該当し,三面張構造の特殊堤はこれに該当しない。」 との記載を基に,忠川のコンクリート護岸は三面張り構造であり,自立式構造ではないことから,忠川については河川管理施設等構造令施行規則第15条第1号但書の適用はない旨を主張している。

 しかしながら,上記の「解説・河川管理施設等構造令」113頁,114頁にいう「自立式構造」の特殊堤とは,盛土の部分がなくても自立する構造の特殊堤をいうものであるところ,忠川のコンクリート護岸は,甲第27号証の前川治水ダム図集88頁,89頁の配筋図からも明らかなように,鉄筋コンクリート造の構造で,護岸部分も鉛直方向に自立した構造となっているものである(却って,乙第10号証の報告書15頁乃至17頁で応力度の計算を行っているように,自立しているのみならず,周辺地盤の盛土の土圧をも支えているものである。)。

 従って,忠川のコンクリート護岸は,上記の「解説・河川管理施設等構造令」113頁,114頁にいう「自立式構造」の特殊堤に該当し,河川管理施設等構造令施行規則第15条第1号但書の「堤防の全部若しくは主要な部分がコンクリート,鋼矢板又はこれらに準ずるものによる構造のものである場合」であることから,忠川については,河川管理用道路の幅員を3m以上と定める河川管理施設等構造令第27条,同施行規則第15条第1号本文の規定は適用されないものである。

 なお,原告は忠川のコンクリート護岸は三面張り構造であるとしているが,上記の「解説・河川管理施設等構造令」113頁,114頁にいう「三面張構造の特殊堤」とは,法面及び天端の三面をコンクリートで被覆した特殊堤をいうものであり (乙第17号証 建設省河川砂防技術技術基準(案)同解説8頁,乙第18号証 河川構造物の耐震性能照査の取り組み4枚目を参照),本件における忠川のコンクリート護岸はこれに該当するものではない。

 よって,上記原告ら主張には理由がないものである。

以上


平成28年8月提出 原告・市民側提出の検証申立書

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平成27年(行ウ)第2号 忠川橋梁建設公金支出差止請求住民訴訟事件

検証申立書

原  告   ****
被  告   山形広域環境事務組合
監理者 佐藤 孝弘


平成28年8月  日


上記原告ら訴訟代理人
弁護士 坂本 博之
弁護士 松村  孝

山形地方裁判所民事部合議係 御中

第1 証すべき事実
忠川の護岸コンクリートは、本件橋梁付近においてクラックが顕著に存在すること、クラックや水抜き穴から鉄分が滲出していること、本件橋梁の建設の結果忠川の管理用道路の幅が3mに満たなくなっていること、本件橋梁の直下の旧橋梁が通行困難であること。

第2 検証の目的物
① 忠川の護岸コンクリートのようす。
② 本件橋梁付近の管理用道路のようす。
③ 本件橋梁直下の旧橋梁のようす。

第3 検証によって明らかにしようとする事項
① 忠川の護岸コンクリートは、本件橋梁付近においてクラックが顕著に存在するのであり、且つ、水抜き穴やクラックから赤褐色の鉄分が滲出しているが、水抜き穴から鉄分が出ているのは本件橋梁付近だけであり、それはその部分の鉄筋に錆が生じていることを示している。
② 本件橋梁の建設により、忠川左岸側の管理用道路の道幅が3m以下になってしまっている。
③ 本件橋梁の建設により、忠川の左岸側にあった道路にスロープが設けられたため、その直下にある旧橋梁は通行が困難となってしまっている。


※以下スキャンデータ

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[随時更新]進行中の裁判とこれまでの裁判結果 | 山形県上山市川口清掃工場問題

03. [随時更新] 進行中の裁判とこれまでの裁判結果

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 ※この記事では、現在守る会がおこなっている裁判と、これまでの裁判結果を随時お知らせしています。

最終的更新日:平成29年(2017年)1月21日

現在進行中の裁判:

1.清掃工場本体訴訟
(事件名称:平成28年(ワ)第236号 ※名称未定)
 

平成28年12月06日~ 第一審、山形地方裁判所(松下貴彦裁判長)

原告:地域住民 
被告:山形広域環境事務組合
原告ら訴訟代理人:梶山正三弁護士(理学博士、ごみ弁連*会長)、坂本博之弁護士(ごみ弁連事務局長)
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士)

概要:
平成24年5月に突如山形県上山市川口地区に建設が決定した清掃工場(公称エネルギー回収施設:山形広域環境事務組合は清掃工場とよばずに「エネルギー回収施設」と呼んでいます)本体の建設中止、かつ建設後の操業禁止を求める訴訟です。川口地区決定に至るまで、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があり、5度目の今回では、あまりにも強引に決定されたため、この経過・結果に納得できない市民が住民訴訟を提起しました。

裁判日程:
平成29年03月07日 第1回 口頭弁論
平成28年12月06日 起訴

関係書類:
訴状(リンク)

*ごみ弁連とは「たたかう住民とともにごみ問題の解決をめざす弁護士連絡会」の略称です。


2.上山市長 横戸長兵衛氏に対する上山市道改良工事の公費返還を求める住民訴訟
(事件名称:平成28年(行コ)第19号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件)

平成28年12月27日~ 控訴審仙台高等裁判所

原告:地域住民 
被告:上山市長 横戸長兵衛 外1名
原告ら訴訟代理人:坂本博之弁護士、松村孝弁護士
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士

概要:
国道13号線から清掃工場(公称エネルギー回収施設)までの、上山市道について、その工事内容、決定の経緯、入札内容等に不審な点が多々見られるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求を行ったものの、棄却されたため住民訴訟を提起し、被告である上山市長・横戸長兵衛氏の責任を追及しています。 第一審で棄却されたため、現在控訴中。

裁判日程:
平成29年02月23日 第1回・口頭弁論
平成28年12月27日 控訴理由提出

関係書類:
控訴理由書(リンク)


3.山形広域環境事務組合に対する敷地造成工事の公費返還を求める住民訴訟
(事件名称:平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金差止請求住民訴訟事件)

平成28年1月21日~ 第一審、山形地方裁判所(松下貴彦裁判長)

原告:地域住民 
被告:山形広域環境事務組合 管理者 佐藤孝弘
原告ら訴訟代理人:坂本博之弁護士、松村孝弁護士
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士

概要:
清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日 工事終了)の建設計画や安全性などに多くの問題みられるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求をおこないましたが、棄却されたため住民訴訟を提起しました。

裁判日程:
平成29年02月14日 第6回・口頭弁論
平成28年12月06日 第5回・口頭弁論
平成28年10月17日 第4回・口頭弁論
平成28年08月16日 第3回
平成28年05月31日 第2回
平成28年03月29日 第1回
平成28年01月21日 訴状

関係書類:
第3準備書面(被告側提出:平成28年12月2日)(リンク)
第2準備書面(被告側提出:平成28年8月10日)(リンク)
答弁書(リンク)
訴状(リンク)


4.山形県に対する一級河川忠川の河川占用許可取消を求める行政訴訟
(事件名称:平成27年(行ウ)第1号 上山市忠川河川占用許可取消請求事件)

平成27年2月17日~ 第一審、山形地方裁判所(松下貴彦裁判長)

原告:地域住民 
被告:山形県
原告ら訴訟代理人:坂本博之弁護士、松村孝弁護士
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士

概要:
山形広域環境事務組合が清掃工場に向かうときに渡る川に架けた新橋(新ちゅうかわ橋)が、一級河川忠川を占用していることが不当として、許可取り消しを求める行政訴訟です。

裁判日程:
平成29年03月21日 判決
平成28年12月27日 第10回・口頭弁論 <結審>
平成28年11月01日 第9回・口頭弁論
平成28年09月13日 第8回・口頭弁論
平成28年07月04日 第7回・口頭弁論
平成28年04月26日 第6回
平成28年02月26日 第5回
平成27年12月04日 第4回・弁論準備
平成27年10月07日 第3回
平成27年07月28日 第2回
平成27年04月14日 第1回
平成27年02月17日 訴状

関係書類:
第8準備書面(原告側提出:平成28年12月26日)(リンク)
第6準備書面(被告側提出:平成28年12月27日)(リンク)
(以下、公開準備中)


5.山形広域環境事務組合に対する新ちゅうかわ橋架橋工事公費返還を求める住民訴訟
(事件名称:平成27年(行ウ)第2号 忠川橋梁建設公金差止請求住民訴訟事件)

平成27年4月14日~ 第一審、山形地方裁判所(松下貴彦裁判長)

原告:地域住民 
被告:山形広域環境事務組合 原告ら訴訟代理人:坂本博之弁護士、松村孝弁護士
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士

概要:
山形広域環境事務組合が清掃工場に向かうときに渡る川に架けた新橋(新ちゅうかわ橋)の設置工事に掛かった公金支出の差し止めを求める住民訴訟です。

裁判日程:
平成29年03月21日 判決
平成28年12月27日 第10回・口頭弁論 <結審>
平成28年11月01日 第9回
平成28年09月13日 第8回
平成28年07月04日 第7回
平成28年04月26日 第6回
平成28年02月26日 第5回
平成27年12月04日 第4回・弁論準備
平成27年09月14日 第3回
平成27年07月28日 第2回
平成27年06月12日 第1回
平成27年04月14日 訴状

関係書類:

第5準備書面(被告側提出:平成28年12月27日)(リンク))
検証申立書(原告側提出:平成28年8月(リンク))
(以下、公開準備中)


終了した裁判:

1.平成27年(ヨ)第5号 橋梁建設等禁止の仮処分命令申立事件

期間:平成27年2月17日~平成28年10月22日
山形地方裁判所(竹田奈未裁判官)

債権者:地域住民 
債務者:山形広域環境事務組合
債権者代理人:坂本博之弁護士、松村孝弁護士 
債務者代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士

概要:
山形広域環境事務組合が清掃工場に向かうときに渡る川に架ける新橋(新ちゅうかわ橋)の即時建設差し止めを求める訴訟でした。

裁判日程:
平成28年10月22日 棄却
平成27年10月07日 第4回・審尋
平成27年07月30日 第3回・審尋
平成27年06月03日 第2回・審尋
平成27年03月23日 第1回・審尋
平成27年02月17日 仮処分命令申立書

関係書類:
(公開準備中)


2.平成27年(ヨ)第16号 造成工事禁止の仮処分命令申立事件

期間:平成27年2月17日~5月12日
山形地方裁判所(竹田奈未裁判官)

債権者:地域住民 
債務者:山形広域環境事務組合
債権者代理人:坂本博之弁護士、松村孝弁護士
債務者代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士

概要:
当時行われていた清掃工場(公称エネルギー回収施設(川口))の敷地造成工事の即時差し止めを求める訴訟でした。

裁判日程:
平成27年05月12日 棄却
平成28年04月26日 第3回・審尋
平成28年02月26日 第2回・審尋
平成27年12月04日 第1回・審尋
平成27年02月17日 仮処分命令申立書

関係書類:
答弁書リンク1リンク2
書証・甲24号証(リンク)


3.平成28年(行ウ)第2号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟事件

期間:平成28年1月25日~10月18日
山形地方裁判所(松下貴彦裁判長、曽我学裁判官、菅原光祥裁判官)

原告:地域住民 
被告:上山市長 横戸長兵衛
原告ら訴訟代理人:坂本博之弁護士、松村孝弁護士 
被告訴訟代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士

概要:
上山市長 横戸長兵衛氏に対し、現在進められている清掃工場に至る「前川ダム東線道路改良工事」に使用した公金の返還を求める訴訟です。工事自体は既に完了していますが、この計画自体があまりにも杜撰で、工事を行ったにもかかわらず既存の問題がまったく解決しておらず、計画内容にも多々問題があるため、裁判において被告(横戸長兵衛氏)の責任を追及しています。請求が棄却されたため、控訴しています。→(平成28年(行コ)第19号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件)

日程:
平成28年10月18日 判決・請求棄却
平成28年08月16日 第3回
平成28年05月31日 第2回
平成28年03月29日 第1回
平成28年01月25日 訴状

関係書類:
(公開準備中)

 


4.平成28年(ラ)第91号 造成工事禁止仮処分命令申立即時抗告事件

期間:平成27年2月17日~5月12日
即時抗告、仙台高等裁判所(小野洋一裁判長、潮見直之裁判官、綱島公彦裁判官)

抗告人:地域住民 
相手方:山形広域環境事務組合
抗告人ら代理人:坂本博之弁護士、松村孝弁護士
相手方代理人:内藤和暁弁護士、古澤茂堂弁護士、小野寺弘行弁護士

概要:
平成28年5月12日の平成27年(ヨ)第16号仮処分命令申立事件が棄却されたため、この決定の取消を求めて即日抗告しました。

裁判日程:
平成28年09月20日 決定・棄却
平成28年07月19日 準備書面提出
平成28年06月30日 答弁書 受領
平成28年05月23日 即時抗告状

関係書類:
決定分(リンク)
抗告人側提出・第1準備書面(リンク)
答弁書(リンク)
即時抗告状(リンク)

先月12月27日の裁判について: 経過報告と山形県提出準備書面の公開 | 山形県上山市川口清掃工場問題

10-1. 裁判: 平成27年(行ウ)第1号 上山市忠川河川占用許可取消請求事件

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 山形広域環境事務組合は、公称エネルギー回収施設建設のため、平成24年12月、上山市川口を半ば強引に候補地として決定しました。しかし、建設予定地に入るためには、敷地東側に接して流れる一級河川忠川(前川ダム放水路)に、しかるべき橋を架ける必要がありました。建設用地は元々田畑 だったため、農作業用の小さな橋が架けられていましたが、工事車両を含む大型車は、この橋を渡ることができないため、新たな架橋工事が必要でした。

 組合は、この新橋架橋工事を行うにあたり、平成26年9月10日、忠川を管理する山形県に対し、工作物新設のための河川占用許可を申請しました。 この忠川の護岸は、ダム放水路としてコンクリート三面張りとなっており、 前川ダム建設に伴い完成していますが、すでに護岸壁の構造計算書は廃棄 されており、詳細な構造を確認することは不可能です。

 しかし、架橋工事の進捗に伴い、建設用地に接する左岸の護岸壁には多くのクラック(亀裂)が目視できるようになりました。元々この護岸は、田畑を支持する構造計算になっていたはずです。架橋工事の際に加わった新 たな盛り土の土圧や、パイル打ち込み時、作業車両の振動等により亀裂が深まり、護岸崩壊の危険性が増すとして、守る会は平成27年2月17日、河川占用許可を出した山形県を提訴し、許可の取り消しを求めました。

 以降、山形地方裁判所において裁判が続けられましたが、去る平成28年12月27日の口頭弁論において、山形県側は第6準備書面を提出しましたので公開致します。 これに伴い、守る会は第8準備書面提出致しましたので、こちらも公開致します。この準備書面の中で守る会は、今後も争う姿勢を示しましたが、口頭弁論終了後に松下貴彦裁判長により「結審」が告げられました。

  また、守る会は平成28年8月、山形地方裁判所に対し現地の様子を裁判官に確認して戴くため、「検証申立書」を提出致しましたが、この申し立ても却下となり、裁判官が現地検証を行うことなく結審し、平成29年3月21日に判決の予定となりました。

 結審しましたので、当ブログでは今後この裁判の総括を行っていく予定です。

 ※内容はブログ用に一部編集しておりますので予めご了承ください。


山形県が12月27日に提出しした「第6準備書面」

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平成27年(行ウ)第1号 上山市忠川河川占用許可取消請求事件 

原告 ****
被告 山形県

第6準備書面

平成28年12月27日

山形地方裁判所 民事部 合議係 御中

被告訴訟代理人
弁護士  内藤和暁
同  古澤茂堂
同(担当) 小野寺弘行

 被告第5準備書面第1において詳述したように,河川管理施設等構造令施行規則第15条第1号但書は,「堤防の全部若しくは主要な部分がコンクリート,鋼矢板又はこれらに準ずるものによる構造のものである場合」には,河川管理用道路の幅員を3m以上と定める河川管理施設等構造令第27条,同施行規則第15条第1号本文の規定は適用しないこととしているものである。

 この点について,原告ら準備書面(6)の7頁下段は,甲第51号証の「解説・河川管理施設等構造令」113頁,114頁の, 「『その全部若しくは主要な部分がコンクリート,鋼矢板若しくはこれに準ずるものによる構造のもの』とは,いわゆる自立式構造(盛士《押え盛土を除く》の部分がなくても自立する構造)の特殊堤をいうものである・・・。コンクリートの自立式擁壁・・又は矢板等による自立式構造・・の堤防がこれに該当し,三面張構造の特殊堤はこれに該当しない。」 との記載を基に,忠川のコンクリート護岸は三面張り構造であり,自立式構造ではないことから,忠川については河川管理施設等構造令施行規則第15条第1号但書の適用はない旨を主張している。

 しかしながら,上記の「解説・河川管理施設等構造令」113頁,114頁にいう「自立式構造」の特殊堤とは,盛土の部分がなくても自立する構造の特殊堤をいうものであるところ,忠川のコンクリート護岸は,甲第 27号証の前川治水ダム図集88頁,89頁の配筋図からも明らかなように,鉄筋コンクリート造の構造で,護岸部分も鉛直方向に自立した構造となっているものである(却って,乙第8号証の報告書15頁乃至17頁で応力度の計算を行っているように,自立しているのみならず,周辺地盤の盛土の土圧をも支えているものである。)。

 従って,忠川のコンクリート護岸は,上記の「解説・河川管理施設等構造令」113頁,114頁にいう「自立式構造」の特殊堤に該当し,河川管理施設等構造令施行規則第15条第1号但書の「堤防の全部若しくは主要な部分がコンクリート,鋼矢板又はこれらに準ずるものによる構造のものである場合」であることから,忠川については,河川管理用道路の幅員を3m以上と定める河川管理施設等構造令第27条,同施行規則第15条第1号本文の規定は適用されないものである。

 なお,原告は忠川のコンクリート護岸は三面張り構造であるとしているが,上記の「解説・河川管理施設等構造令」113頁,114頁にいう「三面張構造の特殊堤」とは,法面及び天端の三面をコンクリートで被覆した特殊堤をいうものであり (乙第13号証 建設省河川砂防技術技術基準(案)同解説8頁,乙第14号証 河川構造物の耐震性能照査の取り組み4枚目を参照),本件における忠川のコンクリート護岸はこれに該当するものではない。 よって,上記原告ら主張には理由がないものである。

以上

平成27年(行ウ)第1号  上山市忠川河川占用許可取消請求事件

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*原告による12月16日提出の第8準備書面

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平成27年(行ウ)第1号  上山市忠川河川占用許可取消請求事件

準備書面(8)

原  告   ****
被  告   山形県

平成28年12月26日

上記原告ら訴訟代理人
弁護士 坂本 博之

山形地方裁判所民事部合議係 御中

第1 はじめに
 本書面は、被告の平成28年10月28日付第5準備書面に対して、認否・反論を行うものである。

第2 被告の第5準備書面に対して

一 同第1に対して

  第1段落は認める。
  第2段落は争う。
  第3段落は争う。
  第4段落は争う。
  第5段落は否認する。

 第一に、被告の主張は、これまでの被告の主張と矛盾する。即ち、これまで被告は、本件訴訟に至る以前の原告らに対する説明や、本件訴訟における準備書面において、管理用道路の道幅の問題について、本件橋梁の建設によって3m幅を維持することができるという主張を行ってきたものであるし、実際に行われている工事は、管理用道路について、3mの道幅を維持しようと努力しているもののようである。しかし、この度の被告の主張は、そもそも管理用道路の道幅は3mなど必要がないというものであり、これまでの主張や態度を反故にするようなおかしな内容である。

 第二に、堤防とは、河川の「流水が河川外に流出することを防止するために設ける」ものである(河川管理施設等構造令17条)。被告が述べている忠川のコンクリート護岸は、忠川の流水によってその両岸が洗掘されることを防止するために設けられているものであって、堤防の一部ではない。護岸コンクリートが流水の堤防外への流出防止の役割を担っている部分がないわけではないが、それは全体ではなく、一部である。そして、忠川では、護岸コンクリートの外側に、管理用道路が作られている土盛部分があるのであって、その土盛部分が堤防である(甲32の写真等)。この土盛部分は、コンクリート護岸が施されていない。

 第三に、被告が指摘する河川管理施設等構造令施行規則第15条1号「堤防の全部若しくは主要な部分がコンクリート…又はこれらに準ずるものによる構造のものである場合」というのは、河川管理施設等構造令第19条の「堤防は、盛土により築造するものとする。ただし、高規格堤防以外の堤防にあつては、土地利用の状況その他の特別の事情によりやむを得ないと認められる場合においては、その全部若しくは主要な部分がコンクリート、鋼矢板若しくはこれらに準ずるものによる構造のものとし、又はコンクリート構造若しくはこれに準ずる構造の胸壁を有するものとすることができる。」という規定を踏まえたものである(甲51・155p)。ここで、「その全部若しくは主要な部分がコンクリート、鋼矢板若しくはこれらに準ずるものによる構造のもの」というのは、所謂自立式構造(盛土の部分がなくても自立する構造)の特殊堤をいうものであり、コンクリートの自立式擁壁はこれに該当するが、三面張構造の特殊堤はこれに該当しない、とされている(甲51・113~114p)。忠川の護岸コンクリートは、三面張り構造であり、所謂自立式構造ではない。従って、忠川の護岸コンクリートに関しては、河川管理施設等構造令施行規則第15条1号は適用がない。

 第四に、仮に忠川の護岸コンクリートについて、河川管理施設等構造令施行規則15条1号の適用があると考えられるとしても、本件忠川の護岸コンクリートは、河川管理施設等構造令施行規則15条1号に定める「主要な部分がコンクリート…又はこれらに準ずるものによる構造のものである場合」に該当しない。何故なら、コンクリート等の構造を有する堤防は、流水による洗掘や流水の浸透による地滑り等の被害を防止することができると考えられるから土盛の堤防のような幅は不要である、とされたものと考えられる。しかし、本件忠川の護岸コンクリートが劣化しており、強度が不足であると考えられることは、これまで原告らが繰り返し主張してきたところである。従って、本件忠川の護岸コンクリートは、河川管理施設等構造令施行規則15条1号の規定に該当しないものと言うべきである。
 従って、被告の主張は失当である。

 

二 同第2に対して
 1 同1に対して
   第1段落は認める。
   第2段落は争う。
   第3段落は争う。
   第4段落は争う。

 被告の主張は誤っている。即ち、第一に、地震時に、基礎杭の上部(杭頭)が変位することは、被告作成の「下部工計算書」の記載から明らかである。従って、基礎杭上部に乗っている橋台もまた変位することになることは明らかである。そして、橋台の変異量は、基礎杭上部の変位量よりも大きくなることも明らかである。支点部より離れれば離れるほど変位が大きくなることは、構造力学の一般的な考え方である。

 第二に、被告は、「地震時の揺れによる慣性力」と、「地震時における水平方向の応力」とが異なったものだと主張しているが、原告の「地震時の基礎杭と橋台とが変位し、その変位がコンクリート護岸に伝わる」という主張に対して、被告は、橋台とコンクリート護岸との間の土砂がクッションの役割を果し、護岸には伝わらない、という主張をしてきた。即ち、地震時に橋台と基礎杭とにかかる力(被告の主張する地震の揺れに係る慣性力)が水平方向の応力として土砂に係ることを認めたうえで、土砂がクッションとなってコンクリート護岸には伝わらないという主張を行っていたのである。即ち、「地震時の揺れによる慣性力」と、「地震時における水平方向の応力」とは用語は異なっているが、同じ内容を表しているものであって、被告もこれを認めていたものである。被告の第5準備書面での主張は、破綻している。

 第三に、原告らは、被告の「地震の揺れによる慣性力」を前提として、地震時の「地震時の揺れによる慣性力」と、「地震時における水平方向の応力」と「水平方向の応力」を算出したものであるが、本来は、被告がコンクリート護岸への悪影響として「水平方向の応力」を、橋梁の設計時に考慮しておくべきであったのである。コンクリート護岸の存在を認識していれば、この度の橋梁の構造や形式について適切な検討を行ったうえで、現に採用された構造・形式を変更する必要があったり、老朽化した護岸コンクリートの補強等を行う必要があったりすることに気付いたはずであったにも拘わらず、被告には、それを怠ったという決定的なミスがある。そもそも、本件のような橋梁の設計時において、既存の河川構造物への影響を考慮して設計を行うのが本来の手法であるが、被告は、既存のコンクリート護岸の存在を全く無視し、橋梁単体の安全性だけを求めてしまったのであり、設計開始時からの重大なミスであると強く指摘せざるを得ない。その結果、コンクリート護岸に多数の亀裂を生じさせ、護岸の崩壊をも危惧しなければならない事態を招いているのである。このことは、河川管理施設等構造令第60条の第2項の「河川区域内に設ける橋台及び橋脚は、…付近の河岸及び河川管理施設の構造に著しい支障を及ぼさず…構造とするものとする」という条項にも違反するのである。ここで、「河川区域」とは、堤防の川裏(堤防の河川に面していない側)の法尻から、対岸の堤防の川裏の法尻までの間の河川としての役割を持つ土地のことをいう(甲52)。忠川に関していえば、左岸側の管理用道路の川裏側の法尻から、右岸側の市道に至るまでの区間をいうものと考えられる。本件橋梁の橋脚は、この河川区域に存在するものである。

 なお、被告が指摘する甲41の「護岸底辺部にかかる曲げモーメント」と甲47・17pの「護岸天端部にかかる曲げモーメント」というのは、「護岸天端部にかかる曲げモーメントに対して、護岸底辺部の鉄筋が耐えられない」、という意味である。

2 同2に対して
  第1段落は争う。
  第2段落は認める。
  第3段落は争う。
  第4段落は争う。
  第5段落は争う。
  第6段落は争う。
  第7段落は争う。
  第8段落は争う。

 被告は、「空気間隙が0に近くなる」ということと、「体積の10%程度の空気間隙がある」ということの違いを強調している。「0に近い」と「10%程度」とが違うということであるが、例えば、30%程度よりも、10%程度というものの方が「0に近い」ということができるのであり、これは相対的な問題にしか過ぎない。

 締固めは、土に含まれる空気を追い出して密度の高い地盤を造る作業である。これは、乙11の2・40pにも記載されていることである。その締固めの管理項目の一つが、空気間隙に関わる締固め度であり、もう一つの項目が表面沈下である。被告は、空気間隙の「0に近い」と「10%程度」という数値の違いに拘る一方で、表面沈下量については認識していないようであるが、「国土交通省の基準で定められた締固め方法で施工された土壌は、締固め度が90%以上であり、表面沈下が収束した状態であることから、重い建設機械が乗っても、これ以上沈下することなく…」(甲47・3~4p)とあるように、締め固められた土壌にクッション性があるというのは誤りである。

 また、被告は、この土砂の「クッション性」について、何の根拠も示さずにただ述べているだけにしか過ぎない。被告が提出した乙11の2及び乙12のどこにも、土砂のクッション性についての記載はない。寧ろ、上記のように、十分に締固めがなされた地盤は、重い建設機械が乗っても、表面沈下しない状態に至っているのであるから、クッション性があるとはいえない、と判断するのが相当である。

 さらに、甲47添付の別紙2の「土壌の凍結・融解」に、「土は凍結すると大変硬くなり、圧縮強さなどは数十倍にもなる。コンクリートにも優るとも劣らないこの強さは、元来の土はもとより、純粋な氷よりもはるかに大きい」とあるように(同3丁目)、本件の基礎杭や橋台周辺の土壌が凍結した場合には、このように硬くなり、クッション性などは到底なくなってしまうことは明らかである。そして、本件土地は、山形県上山市川口地区に所在するが、この場所は、冬期には氷点下15℃にまで下がることがあり、土壌が凍結してコンクリート並みの強度になることが往々にしてあることが容易に予想される。 因みに、固まったコンクリートにも、空気間隙が数%あるが、固まったコンクリートにクッション性がないことは常識的にみて明らかである。このように、空気間隙があることとクッション性があることとは別問題であるということも言える。

 

3 同3に対して
  第2段落のうち、被告が指摘する原告の主張については認め、その余は否認する。
  第3段落のうち、第1文は認める。第2文は争う。
  第4段落は争う。
  第5段落は争う。
 第一に、本件工事によってコンクリート護岸の側壁部分が破壊されるような荷重及び振動が発生・伝達されたことは、既に述べた通りである。

 第二に、被告の、忠川コンクリート護岸内部の鉄筋が腐食したとすることはできないとの主張は、原告らの主張に対して、何らの反論にもなっていない。原告らは、護岸コンクリートのクラックから滲出している鉄分が、鉄筋の錆によるものか、盛土に含まれる地下水の鉄分によるものか断定できないとした場合であっても、仮にそれが地下水由来の鉄分であったとしても、それは護岸内部の鉄筋が地下水に曝されているということを意味するのであり、地下水に曝された鉄筋は早晩錆を生じて膨張し、護岸コンクリートの崩壊を招くことになる、と主張しているのである。被告の主張は、この原告らの主張に対して、何らの反論にもなっていない。

 因みに、被告は、「水分の滲出はコンクリート内部を透過した水分が滲出したと思われるのであり…」と、コンクリート内部を水が透過していることを認めているが、水に触れたコンクリートが錆びることにまで、思いが及んでいない。しかし、鉄が水に触れれば錆びることは、常識に属することである。

 鉄筋コンクリートは、圧縮強度の強いコンクリートと曲げ・引張強度の強い鉄筋とを組み合わせた複合材である。そして、錆びる鉄筋を、アルカリ性のコンクリートで被覆し、その強度を保持している材料である。近年、鉄筋コンクリート製の橋脚や高速道路の橋脚の痛みが問題になっているが、その原因の殆どは、コンクリートのクラック(亀裂、ひび割れ)やコンクリートの中性化によるものが多い。即ち、クラックから水が侵入し、内部の鉄筋を錆びさせ、膨張させ、コンクリート崩壊に至るという順序である。土木、建築にかかわらず、建設業界では、鉄筋コンクリート構造物を造る際には、図面通りの鉄筋本数・鉄筋径は勿論のこと、鉄筋カブリ(コンクリート表面から鉄筋までの隙間)にも十分に注意を払い、且つクラックが生じないように、コンクリートの配合、施工、養生を行うものである。このように、鉄筋コンクリートのコンクリートにクラックが生ずれば、鉄筋に錆が生じて鉄筋を膨張させ、クラックは更に拡大するので、遂にはコンクリートの破断に至り、コンクリート構造物に被害を与えてしまう。そのため、建設業界では鉄筋に錆が生じてコンクリート構造物に被害を与えないようにすることは、常に細心の注意を払うものである。被告のように、クラックが生じて、そこを水が透過していても何らの問題も感じないということでは、公共事業を行う主体としての能力に大いに問題があるということになる。 

 もし被告が、鉄筋コンクリート護岸にクラックが生じ、そのクラック中を水が透過していることを認識し、しかもそのことについて何らの問題もないと考えるのであれば、コンクリートにクラックが生じても鉄筋には水が触れないと考えているのか、あるいは鉄筋に水が触れても鉄筋は錆びないと考えているのか、何れかであろうと思われるが、その何れであるのか、また、どうしてそのようなことが可能なのか、そのメカニズムを説明すべきであろう。

以上


※申立が却下された「検証申立書」

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控訴しました! 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟(被告:上山市長 横戸長兵衛氏) [後編] | 山形県上山市川口清掃工場問題

10-4.裁判: 平成28年(行ウ)第2号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟事件

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* 2016-12-30の記事「控訴しました! 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟 [前編] | 山形県上山市川口清掃工場問題」の続きです。

後編となる当記事では、今週の12月27日に仙台高裁に対し提出した「控訴理由書」を公開いたします。

この裁判(平成28年(行ウ)第2号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟事件)の概要:
上山市長 横戸長兵衛氏に対し、現在進められている清掃工場に至る「前川ダム東線道路改良工事」に使用した公金の返還を求める訴訟です。工事自体は既に完了していますが、この計画自体があまりにも杜撰で、工事を行ったにもかかわらず既存の問題がまったく解決しておらず、計画内容にも多々問題があるため、裁判において被告(横戸長兵衛氏、(控訴審では被控訴人として))の責任を追及しています。

 


※内容はブログ用に一部編集しておりますので予めご了承ください。

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平成28年(行コ)第19号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟控訴事件

控訴理由書

控訴人  上山市民 
控訴人 上山市長 横戸長兵衛 外1名

平成28年12月27日

上記控訴人ら訴訟代理人
弁護士  坂本 博之

仙台高等裁判所第2民事部 御中

第1 はじめに
 原判決は、控訴人らの請求を何れも棄却したものであるが、本書面は、原判決が誤りであり、取り消されるべきことを述べるものである。

 本件における控訴人らの請求は、上山市とA土建株式会社との間で締結された上山市道前川ダム東線の一部に係る道路改良工事を目的とする請負契約が公序良俗に違反して無効であるから、被控訴人は、上山市長である横戸長兵衛及び同契約の相手方である同会社に対して損害賠償請求ないし不当利得返還請求を行うべきである、というものである。

 控訴人らが、上記契約が公序良俗に違反すると主張する根拠は、①本件工事によって前川ダム東線(以下「本件市道」という)について、控訴人らの通行権等が侵害される、②本件工事に至る経緯に問題がある、③談合が行われた、という3点である。

 原判決は、上記の3つの論点の何れについても、控訴人らの主張を退けたものであるが、その何れに関しても、原判決は誤っている。

 以下、順に原判決の誤りを述べる。

 

第2 控訴人らの通行権等の侵害について

1 原判決の内容
 控訴人らの主張は、本件市道には大型車両同士の対面通行が困難な箇所が5カ所あるところ、本件工事後もそれらの箇所において大型車同士のすれ違い、対面交通は不可能なままであり、しかも、本件工事及び清掃工場建設によって本件市道を通行する大型車両が増加することになるから、円滑な交通は困難となり、日常的に本件市道を利用してきた控訴人を含む多くの通行車の通行権が侵害されるとともに、現在にもまして緊急車両等の通行が困難となるから控訴人らの平穏生活権が侵害される上、本件工事の対象区間には歩道が設置されていないため、歩行者や軽車両の通行の安全が妨害されることになる、というものである。

 これに対する原判決の判断は、①今後見込まれる大型車両の通行量の増加は、本件工事による本件道路の利便性の改良に伴うものではなく、あくまでも清掃工場(原判決は、被控訴人の用いた用語に従って「エネルギー回収施設」などと言っているが、この施設は一般廃棄物の焼却処理が主目的であり、そこで発生するエネルギーの一部を回収することを副次的な目的としているに過ぎないから、施設の実態を正しく表現するため、「清掃工場」という用語を用いることにする)の建設に伴うものである(原判決11p)、②本件工事後の本件市道のカーブ箇所のうち、2箇所は車両全体幅3.1m、車両全体の長さ8.16mの大型車同士が容易にすれ違うことができることが認められるから、本件請負契約は大型車同士のすれ違いについて、従前以上の対策を講じたものと言える(同11p)、③控訴人らは本件工事が本件清掃工場の建設と直結した工事であるから、本件清掃工場の建設による通行量の増加を一体的に捉えるべきだと主張しているが、その主張を前提としても、このような控訴人らの主張を前提としても、控訴人の大型車両の通行及び緊急車両の通行が困難となったりする等と認めるに足りる証拠はない(同12p)、④控訴人らは、本件工事によって本件市道の全ての箇所において大型車両のすれ違いが可能とならなければ、本件市道における大型車両のすれ違いの問題は解消されない等と主張するが、本件市道の全ての箇所において大型車両がすれ違うことができなければ控訴人の大型車両等の通行が不可能ないし困難となるほどの通行量の増加があると認めるに足りる証拠はないし、控訴人に本件市道の各カーブ箇所において大型車両がすれ違うことに関する権利があるとまで認めることはできない(同12p)、などというものであった。
 なお、原判決は、上記①と②の点を判断の骨子としており、③と④は付け足しのような位置づけをしている。
 しかし、上記①~④の何れの点についても、原判決の判断は誤りである。
 以下、順に述べることとする。 

2 原判決の誤り

(1) 大型車両の通行量の増加はあくまでも清掃工場の建設に伴うものであるとの点について

 原判決は、上記のように、本件工事と、清掃工場の建設とを切り離して、本件市道において大型車両の通行量が増加するのは、本件工事のためではなく、清掃工場の建設に伴うものである、などという判断を行った。これは、被控訴人の主張をそのまま鵜呑みにしたものである(被控訴人の原審における答弁書5p参照)。

 被控訴人の答弁書では、本件工事と清掃工場の建設工事とが関連性を有することについて、敢えて言及を避けている。しかし、本件工事の工事区間は、原判決4pにおいても認定されているとおり、本件市道の五反田橋南側から新橋梁(本件市道から清掃工場用地に入るために、新たに忠川という川に掛けられた橋)までであり、工期も清掃工場の建設が始まる前に終了するというものであり、大型車両が国道13号線から清掃工場用地に出入りするための利便性を向上させるための工事であることが明らかである。

 従って、本件工事は、清掃工場建設がなかったならば、発注はおろか、計画されることもなかった工事であると言わねばならず、清掃工場の建設と表裏一体のものとして理解しなければならないものである。

 そして、原判決4pにおいて認定されているように、本件工事が行われる前は、国道13号線から上記新橋梁に至るまでの間に、大型車両同士のすれ違いが困難なカーブ箇所が4カ所あった(本件市道から新橋梁を渡るための箇所を含めると5カ所になる)。これも原判決11pが認定しているところであるが(しかし、この認定が誤っていることは後述する通りである)、この4カ所のカーブ箇所のうち、2箇所は本件工事のために大型車同士のすれ違いが可能となるとのことである。従って、本件工事は、清掃工場に出入りする大型車の通行の利便性を向上させることが目的であったことが明らかである。もし本件工事を行うことを前提としなかったならば、清掃工場への大型車の出入は極めて不便であるから、その建設はあり得なかったものと思われる。

 以上から、本件工事と清掃工場建設工事とを分けるという原判決の考えが事実を無視し、歪曲した判断であることが明らかであり、本件工事によって清掃工場に出入りする大型車の通行量が増えるものと考えなければならない。

 逆に、原判決が述べるように、本件工事が清掃工場の建設とは別物であるという理解をするのであれば、本件工事は全く行う意味のない工事であり、本件工事に関する公金の支出を行うことがそれ自体において、全く無駄な出費をしたということになる。

(2) 本件工事によって大型車両同士のすれ違いが向上したとの点について

 原判決は、本件工事によって、本件市道の2箇所において、大型車同士のすれ違いが困難であったカーブ箇所において、それが可能となったのであり、本件工事は、大型車同士のすれ違いについて、従前以上の対策を講じたものと言える、などという判断を行った。

  原判決が上記のような判断を行った根拠は、車両全体幅3.1m、車両全体の長さ8.16mの大型車同士がすれ違うことができることが認められる、ということにある。この「大型車」の大きさは、被控訴人が行った実験に用いられた車両の大きさである(乙5の1、2)。しかし、この「大型車」は、大型車としては小型の部類である。道路法上、車両の一般的な制限は、幅2.5m、長さ12.0mであるから(道路法47条1項、車両制限令3条)、この程度の大きさの大型車が道路を通行することが普通であると考えなければならない(甲29、30)。実際、この程度の大きさのトラックが本件市道を通行することが十分に予想される。また、清掃工場において使用が予定されている大型バスの大きさは、長さが12m程度である。その上、本件清掃工場において火災が発生した場合に出動が予想される消防車のうち、梯子車の長さは10.64m~11.24mであり、支援車の長さは10.95mである(甲31、32)。因みに、上山市には梯子車がないから、梯子車が出動する場合は、山形市消防本部から出動することになる。山形県下の市町村及び消防の一部事務組合は、消防相互応援に関して協定を締結し、火災その他の災害の発生に際して、それぞれ相互間の消防力を活用しあうこととなっている(甲33)。

 この点、控訴人は、幅2.39~2.49m、全長11.26~11.95mのトラックを用いて、被控訴人が行ったのと同様のすれ違い実験を行ってみた。すれ違い実験を行った場所は、原判決5pに指摘されている、カーブ箇所③(五反田橋を渡り切った後のカーブ箇所)と、カーブ箇所④(奥羽本線の下をくぐる前のカーブ箇所)の2カ所である。控訴人らの実験の結果、カーブ箇所③においては、著しい徐行を行い、極めて慎重に運転を行えば辛うじてすれ違うことが可能ではあったが、橋の間際を通過しなければならないものであり、社会通念上はすれ違いが困難であると判断されるものであった。カーブ箇所④においては、カーブを曲がるためには、センターラインを超えなければならず、すれ違いは不可能であった(甲31)。

 このように、原判決が大型車同士のすれ違いが可能であると判断した、上記カーブ箇所③④は、実際には、本来の意味での大型車同士のすれ違いが困難ないし不可能なものであると言わねばならない。

 それから、被控訴人が行った実験は、カーブ箇所③④において行ったものではない。原判決は、このように、実際は実験が行われていない場所での実験結果を捉えて、カーブ箇所③④において大型車がすれ違うことが可能であるという間抜けな判断を行ったものである。 原判決5pに掲げられているカーブ箇所①②において、大型車同士のすれ違いの困難さが本件工事によっても解消されていないことは、原判決も認めるところである(11p)。従って、控訴人が指摘した大型車同士のすれ違い困難箇所は、本件工事によって、何れも困難さが解消されないままとなっているものと言うことができる。従って、控訴人が使用している大型車が、清掃工場の工事のための車両や清掃工場に出入りするゴミ運搬車や大型バスのために本件市道が通行困難になることが予想されるし、清掃工場や控訴人で火災等の災害が発生した場合に、清掃工場や控訴人の避難車両と消防車等のすれ違いができないために、災害救助が困難となることも予想されるのである。

(3) 清掃工場の稼働と控訴人等の通行権について

 原判決は、清掃工場の建設によって本件市道の通行量が増加するという控訴人らの主張を前提としても、控訴人等の大型車両の通行及び緊急車両の通行が困難となったり、歩行者や軽車両の道路通行の安全性が妨害されるといった程度にまで、本件市道を通行する車両の通行量の増加があると認めるに足りる証拠がない、などと述べている(12p)。 しかし、清掃工場の建設により、これまで本件市道を通行していなかった多数のゴミ運搬車や大型バス等が本件市道を通行することは明らかである。そして、控訴人は、日常的に多数の大型車を利用している。しかも、本件市道の国道13号線から前記の新橋梁までの距離はそれほど長い距離ではない。この短い距離の間に大型車同士のすれ違いが困難な箇所が5カ所もあるのである。従って、清掃工場の稼働により、控訴人等の大型車両や緊急車両の通行が困難となる可能性が高いことは、定性的に明らかである。 また、このように多数の大型車が通行することになった場合、歩道が設けられていない本件市道においては、歩行者や軽車両の安全が十分に保たれないこともまた、社会通念上、優に認めることができる。

(4) 本件市道における大型車両同士のすれ違い問題の解消という点について

 原判決は、控訴人らは、本件工事によって本件市道の全ての箇所において大型車両のすれ違いが可能とならなければ、本件市道における大型車両のすれ違いの問題は解消されない等と主張するが、本件市道の全ての箇所において大型車両がすれ違うことができなければ控訴人の大型車両等の通行が不可能ないし困難となるほどの通行量の増加があると認めるに足りる証拠はないし、控訴人に本件市道の各カーブ箇所において大型車両がすれ違うことに関する権利があるとまで認めることはできない、などと言う判断も行っている(同12p)。 既に述べたように、本件工事によって、本件市道の大型車のすれ違いの困難さは全く解消されていない。そして、清掃工場の稼働によって、大型車両の通行量が増加し、控訴人等の大型車両の通行が困難となる可能性が高いこともまた、既に述べた通りである。 そして、原判決は、控訴人らに、各カーブ箇所において大型車両がすれ違うことに関する権利があるとまでは認められない、などという変なことを言っているが、大型車両同士のすれ違いが困難とされるということは、通行権の妨害となるものである。

(5) その他の問題

 以上のとおり、本件工事によっても、本件市道の大型車同士のすれ違い困難箇所は、何れの地点においても、その困難さは全く解消されていないことが明らかとなった。このことは、本件工事には何の意味もなかったということを物語るものである。そもそも、本件工事個所の中には、奥羽本線の下をくぐる箇所があるが、そこは、道路の拡幅をすることが困難な箇所である。いくらほかの箇所を拡幅したとしてもこの箇所で相互のすれ違いが困難となり、大型車の通行量が増えればこの箇所で詰まってしまい、本件市道は大渋滞を引き起こすことになってしまうのである。道路の途中にこのような箇所を含む道路の他の部分を拡幅したりするなどして利便性を高めようと思っても、結局このような箇所があるために、道路自体の利便性は高まらない。このような道路の拡幅工事を行うこと自体、全く無駄な公共事業であると言わねばならない。 このような無駄なことに公金を支出すること自体が、公序良俗に違反するものと言うべきである。

 

第3 本件工事の経緯の不当性について

1 原判決の内容

 控訴人らは、上山市の設置した清掃工場候補地検討委員会における本件清掃工場の建設予定地の選定行為と、同市の本件請負契約締結行為は、一連の行為であり、上記選定行為は不当な方法で行われているから、本件請負契約ないし本件清掃工場建設計画全体が公序良俗に違反する旨主張している。

 これに対して、原判決は、①清掃工場用地選定行為は山形広域環境事務組合が行ったものであり、本件請負契約とは、主体を異にするものであり、本件請負契約は清掃工場選定行為とは独立したものと認められる、②上山市が選定条件のすり替えを行ったと認めるに足りる証拠はなく、③本件市道が本件工事前後において大型車両対面通行可能条件を満たしていないとまでは認められない、④本件工事の内容が本件市道の全ての箇所において大型車両のすれ違いを可能にするものでなければ、本件工事が公序良俗に反するものとなるわけではない、などという判断を行った。

 しかし、上記①~④の何れの点についても、原判決の判断は誤っている。以下、順に述べる。

2 原判決の誤り

(1) 清掃工場用地選定行為と本件請負契約とは主体を異にするとの点について

 原判決は、前記のとおり、清掃工場用地選定行為は山形広域環境事務組合が行ったものであり、本件請負契約とは、主体を異にするものであり、本件請負契約は清掃工場選定行為とは独立したものと認められる、などという判断を行った。この判断は、前記の清掃工場の建設と本件請負契約とは別の物だという判断と同様に、物事の実態を無視して上辺だけを捉えて、形式的な判断というにとどまらず、物事を歪曲した判断を行ったものであり、これは、原判決を書いた裁判体の得意とするところのようである。

 しかし、前述したように、清掃工場の建設と本件請負契約とは強い関連性を有するものであり、前者がなかったならば後者もなかったものである。そして、清掃工場用地選定行為は、用地選定の条件の一つとして、「敷地が大型車両の対面通行が可能な公道に接しており、又は接することが容易な場所であること(進入道路が必要となる場合は、公道から敷地に容易に接続できる場所であること)」というという条件を満たす必要があり、本件工事は、この条件を満たすために行っているものというべきである。

 また、上山市は山形広域環境事務組合の構成団体の一つであり、全く別の団体というわけではない。

 従って、清掃工場用地選定行為と本件請負契約とは、形式的には主体は別であるが、独立したものではなく、相互に強い関連性を有する者と判断されなければならない。

(2) 上山市が選定条件のすり替えを行っているとの点について

 前記のとおり、山形広域環境事務組合が、清掃工場建設用地を選定するに当たって、提示した条件の一つが、「敷地が大型車両の対面通行が可能な公道に接しており、又は接することが容易な場所であること(進入道路が必要となる場合は、公道から敷地に容易に接続できる場所であること)」というものであった。このことは、訴状にも記したことであるが、同組合が作成した、清掃工場用地選定条件を示した資料に明記されている(甲6・資料3)。

 一方、上山市が清掃工場予定地の選定のために設置した前記検討委員会に対して、8つの選定条件を示したが、そこで示された条件のうち、前記組合が示した接道に関する条件については、単に「④道路とのアクセス」となっており、さらに同市がこの選定条件に関して調査ポイントとしたのは、「幹線道路との接続が容易であるか。また、周辺の交通事情を把握する」というものであった(甲7~9)。

 以上から、上山市が、清掃工場建設予定地の選定に当たり、山形広域環境事務組合から示された「敷地が大型車両の対面通行が可能な公道に接しており…」という条件が、「幹線道路との接続が容易であるか」という条件に変わってしまっていることは、書証から明確に裏付けることができる。

 原判決が述べるように、上山市が選定条件のすり替えを行ったと認めるに足りる証拠はない、などということは全くなく、上山市が上記のような条件のすり替えを行ったことは、明確な書証の裏付けのあることである。原判決が書証を無視したおかしな判断を行ったことは明々白々である。

 それから、原判決は、被控訴人の、本件市道では直線部分で大型車同士の対面通行が可能であるから上記条件を満たしているという主張を鵜呑みにして、そもそも本件市道は、山形広域環境事務組合が提示した接道に関する条件をクリアしており、その上で「幹線道路との接続が容易であるか」と言う別の要件を上山市は検討したものだ、などと言う捉え方をしたということなのかもしれない。しかし、本件市道は、既に述べたように、国道13号線との交差点から清掃工場入口に掛けられた新橋梁に至るまでのそれほど長くない距離の間に、5カ所もの大型車のすれ違い困難な箇所があるのである。従って、単に直線部分では大型車同士の対面通行が可能であるというだけで、本件市道が「対面通行が可能な公道」であると評価することは、一般常識とは相容れない判断であるというべきである。

(3) 本件市道が大型車両の対面通行条件を満たしていないとまでは認められないとの点について

 原判決は、本件市道が大型車両の対面通行条件を満たしていないとまでは認められない、などという判断を行っている。 しかし、この点については、前記第2、2、(2)において詳細に述べたように、本件市道が大型車両の対面通行条件を満たしていないことは明らかである。

(4) 本件工事の内容が、本件市道の全ての箇所において大型車両のすれ違いを可能にするものでなければ、本件工事が公序良俗に反するものとなるわけではない、との点について

 原判決は、本件工事の内容が、本件市道の全ての箇所において大型車両のすれ違いを可能にするものでなければ、本件工事が公序良俗に反するものとなるわけではない、などとも述べている。 しかし、本件工事の内容が、本件市道の全箇所において大型車両のすれ違いを可能なものにしないのであれば、その工事を行う意味が全くないことについても、前記第2、2、(5)において述べた通りである。

 

第4 談合について

1 原判決の内容

 控訴人らは、本件工事の入札結果を示し、10社が入札を行ったが、予定価格を下回って入札をしたのがA土建だけであり、しかも同社の入札価格は予定価格の99%であったことを踏まえ、本件工事の入札においては談合が行われたものと考えられる旨、主張した。

 原判決は、控訴人らが示したのはあくまで入札結果に過ぎず、談合の具体的内容について明らかにするものではなく、他に具体的な談合の事実を認めるに足りる証拠がない、などという判断を行った(14p)。

2 原判決の誤り

 一つの工事について、10社もの入札者があり、落札者以外の会社が予定価格を上回り、しかも落札者の入札価格が予定価格の99%となる、などということは、常識的にみて、入札者(及び上山市)が談合を行った結果であるとしか考えられない。何の作為もなしに、このような整然とした入札結果が出るなどということは通常はあり得ないからである。

 原判決の判断は、このような一般通常人の考えとは相容れないものであり、非常識かつ不合理な判決との誹りを免れない。

 

第5 結論

 よって、原判決の誤りは明らかであり、取り消されたうえ、控訴人らの請求は認容されるべきである。

 


 *以下スキャンデータ

 

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控訴しました! 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟(被告:上山市長 横戸長兵衛氏) [前編] | 山形県上山市川口清掃工場問題

10-4.裁判: 平成28年(行ウ)第2号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟事件 速報

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 国道13号線のかみのやま高架橋を越えて上山市道に入ると、突然道幅が狭くなり、カーブが続きます。市道は奥羽本線(山形新幹線)と一級河川前川に挟まれていますが、上山市は交通の利便性を図るため、ガス化溶融炉建設地までの一部区間の改良工事を行いました。すなわち一部道幅を広げ、ガス化溶融炉の排熱を利用して冬期融雪を行い、側溝の蓋を掛ける工事です。

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 しかしそれらの工事は、国道から敷地入口までの全区間で行われるわけではなく、前川に沿った直線部のみで行われる工事です。この工事を行っても、他のカーブでの拡幅は行われず、いわゆる工事用の大型車や、隣接企業の大型車、竣工後に利用が見込まれる大型の消防車、見学者用大型バス等の通行に支障をきたし、歩行者や軽車両の安全を阻害することが想定されます。このため守る会は、上山市長 横戸長兵衛氏に対し、現在進められている一般ごみ焼却場に至る「前川ダム 東線道路改良工事」に支出した公金の返還を求める訴訟を提起しました。
 
 この経緯として、守る会は上山市に住民監査請求を求めた後、平成28年1月27日付で上山市山形地方裁判所に提訴(平成28年 (行ウ)第2号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟事件(松下貴彦裁判長))しましたが、同年8月16日に口頭弁論において突然裁判長から結審が告げられ、その結果10月18日に「棄却」されました。

 守る会は準備書面を2度提出したのみ(他の裁判では、少なくともこれ以上の準備書面を提出し継続されています)で、被告からの守る会の主張に対する反論らしい反論もない中、何の説明もないままなぜ急に結審となったのか、不満と謎の残る裁判となりました。

 裁判に関する専門的知識を持たない一般市民とすれば、裁判のプロセスは全く不透明で、裁判所と市民との感覚の違いを実感せざるを得ません。

 守る会として到底納得できる内容ではなく、この判決に対し反論したい事項が多々あったため、10月24日仙台高等裁判所控訴を申し立てました。そして、平成28年12月27日には控訴理由書を提出致しました。

 当記事では、まず10月18日付山形地方裁判所の「判決文」を公開致します。明日は、引き続き12月27日に仙台高裁に対し提出した「控訴理由書」を公開する予定です。

 


※内容はブログ用に一部編集しておりますので予めご了承ください。

 

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平成28年10月18日判決言渡 同日原本交付 裁判所書記官
平成28年(行ウ)第2号 前川ダム東線道路改良工事公金支出差止請求住民訴訟事件
口頭弁論終結日 平成28年8月16日

判決

原告 上山市市民
被告 上山市長 横戸長兵衛

(中略)

主文

1 原告らの請求をいずれも棄却する。
2 訴訟費用(補助参加によって生じた費用を含む。)は原告らの負担とする。

 

事実及び理由

第1 請求の趣旨

  1.  被告は,市道前川ダム東線道路改良工事に関してA土建株式会社との間で 締結した請負契約に基づく請負代金に係る公金を支出してはならない。
  2.  被告は,横戸長兵衛に対し,5032万8000円及びこれに対する平成2 7年6月25日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払をするよう請求せよ。
  3.  被告は,A土建株式会社に対し,5032万8000円及びこれに対する 平成27年6月25日から支払済みまで年5分の割合による金員の支払をする よう請求せよ。

第2 事案の概要

1 本件は,山形県上山市(以下「上山市」という。)の原告らが,上山市がA土建株式会社(以下「A土建」という。)との間で市道前川ダム東線の一部の改良工事(以下「本件工事」 という。)を目的とする請負契約(以下「本件請負契約」という。)を締結したことについて,本件工事の内容が原告らの通行権や平穏生活権を侵害するも のであること,本件請負契約と一連の行為である上記道路に隣接する清掃工場の建設予定地選定行為が不当なものであること,及び本件請負契約の入札が違法な談合によるものであることから,公序良俗に違反し無効であり,本件請負契約に関する公金の支出等が違法である旨主張して,上山市の執行機関である 被告に対し,地方自治法242条の2第1項1号に基づき,本件請負契約の請負代金の未払分である7549万2000円の支出の差止めを求めるとともに, 同項4号に基づき,本件請負契約の請負代金の一部である5032万8000 円を支出したこと(以下「本件支出」という。)について,本件支出当時の上山市の市長であった横戸長兵衛(以下「横戸」という。)に対して損害賠償請求をすること及びA土建に対して不当利得返還請求をすることを,それぞれ求める住民訴訟である。

2 前提事実(証拠等の摘示のない事実は当事者間に争いがない。)

(1) 当事者

ア 原告B(*以下、個人情報のため非公開)。

イ 被告は,上山市の執行機関である(弁論の全趣旨)。

ウ A土建は,上山市との間で本件請負契約を締結し,本件工事を実施し た工事業者である(甲1,弁論の全趣旨)。

エ 横戸は,本件支出当時,上山市の市長の職に在った者である(弁論の全趣旨)。

(2) 市道前川ダム東線について

 国道13号から山形広域環境事務組合がエネルギー回収施設という名称の施設(以下「本件エネルギー回収施設」という。)の入口に架けた橋梁(以 下「新橋梁」という。)に至るまでの区間の市道前川ダム東線(以下「本件 市道前川ダム東線道路」という。)につき,本件工事完了前の全幅は,7. 4メートルから9.3メートルであり,直線部分は,おおむね大型車両同土のすれ違い及び対面通行が可能であったところ,4つのカーブ箇所においては,大型車両同士のすれ違いが困難であった(乙2の1ないし2の4,弁論 の全趣旨)。

(3) 本件工事について

 上山市は,市道前川ダム東線の五反田橋南側から新橋梁の先までの284. 4メートルの区間の道路(以下「本件工事対象道路」という。)について, 工期を平成27年6月1日から平成28年3月18日として,掘削や盛土による道路改良,消雪施設設置及び直線部を中心とした拡幅等を目的とした本 件工事を行うこととした(乙1)。

 上山市は,平成27年5月29日,入札(以下「本件入札」という。)を 実施し,A土建が1億1650万円(税抜)で落札したことから,同年6 月1日,A土建との間で,本件請負契約を1億2582万円(税込)で締結し,同月25日,A土建に対し,本件工事の請負代金額のうち5032 万8000円を前払金として支出した(甲1,13) 。  本件工事は,平成28年3月18日に完成し,請負代金額は最終的に1億 3113万360円となった(乙3)。

(4) 原告らによる監査請求及び本件訴訟の提起

 原告らは,上山市監査委員に対し,平成27年10月29日付けで,本件請負契約が公序良俗に違反し無効であることなどを理由に,本件請負契約に 基づく公金の支出等が違法であると主張して,被告に対して,横戸及びA土建に対する本件支出相当額の損害賠償請求権ないし不当利得返還請求権を行使する措置を求めるとともに,本件請負契約に基づいて予定されている支出を差し止める措置を求めて住民監査請求をした(甲15)。 上山市監査委員は,前記監査請求について,平成27年12月25日付け で,請求人のうち原告Bについて,住所要件に欠けるとして却下し, その余の請求人については,本件請負契約について違法不当な事由がないと して,棄却する旨の決定をし,同月28日,原告らはその旨の通知を受けた (甲16の1,16の2)。 原告らは,平成28年1月26日,本件訴訟を提起した(当裁判所に顕著 な事実)。

 

3 争点

本件請負契約に基づく公金支出の違法性の有無

 

4 争点に関する当事者の主張

(原告らの主張)

 本件工事を行うことを目的とした本件請負契約は,以下のとおり公序良俗に違反し無効であるから,本件請負契約に基づく公金支出は違法である。

(1) 通行権等侵害

 本件市道前川ダム東線道路のうち,①国道13号から市道前川ダム東線に進入して間もない場所にあるカーブ箇所,②前川に架かる五反田橋を渡る直前のカーブ箇所,③五反田橋を渡り切った後のカーブ箇所,④奥羽本線の下をくぐる前のカーブ箇所及び⑤新橋梁と交差する箇所において,大型車両同 士の対面通行及び緊急車両の通行が困難であるところ(以下,これらのカー ブ箇所をそれぞれ「本件カーブ箇所①」などといい,これらを併せて「本件 各カーブ箇所」という。),本件工事後も,本件カーブ箇所①及び本件カー ブ箇所②における大型車両同土のすれ違いが不可能なままであり,本件カー ブ箇所③,本件カーブ箇所④及び本件カーブ箇所⑤における大型車両同士の 対面交通は不可能である 。そして,本件工事及び本件工事の目的である本件エネルギー回収施設の建設によって,従前は道路幅の問題で物理的に通行できなかった大型車両の通行が増加するとともに,道路の改良により利便性が向上することで,交通量が多くなる。 したがって,本件市道前川ダム東線道路は,化学消防車などの緊急車両を含む大型車両の相互通行が不可能なままであるにもかかわらず,逆に本件工事によって本件エネルギー回収施設へ出入りする大型車両の通行が増加する ことで,円滑な通行は困難になり,日常的に本件市道前川ダム東線道路を大 型車両の通行のために利用してきた原告Bを含む多くの通行者の通行権が侵害されるとともに,現在にも増して緊急車両の通行が困難な事態が生 じ,原告Bらの平穏生活権が侵害される。 また,本件工事対象道路には歩道が設置されないことから,歩行者や軽車 両の道路通行の安全が妨害され,歩行者らの通行権が侵害される。

(2) 本件工事の経緯の不当性

 山形広域環境事務組合は,エネルギー回収施設の建設予定地を選定するために,「敷地が大型車両の対面通行可能な公道に接しており,又は接す ることが容易な場所であること。(進入道路が必要となる場合は,公道から敷地に容易に接続できる場所であること。)」という条件(以下「本件 大型車両対面通行可能条件」という。)を選定条件の一つとして抽出して いた。そのため,本来,拡幅工事を行わなくとも大型車両の対面交通が可能な道路に接した場所をエネルギー回収施設建設予定地に選定すべきであ った。

 そして,上山市が,本件エネルギー回収施設の建設予定地がある川口地区(以下「川口地区」という。)を含む5つの地区を上山市内における候補地として選定し,上山市が設置した清掃工場候補地検討委員会の委員が,8つの選定条件について点数をつけ,いずれの候補地が適当であるか検討した際,「道路とのアクセス」に関する選定条件(以下「道路とのアクセス条件」という。)は重要な選定条件とされた。

 しかし,上山市は,道路とのアクセス条件について,幹線道路との接続が容易であるか等の観点をもって調査することで,本件大型車両対面通行可能条件という本来の条件から,幹線道路との接続が容易であるという条件にすり替えた。その結果,川口地区は,原告らの主張(1)にあるとおり, 本件エネルギー回収施設の敷地進入口に架かる新橋梁の手前の公道でのすれ違いが不可能であり,本件大型車両対面通行可能条件を満たさず,エネルギー回収施設建設予定地に合致しない土地であったにもかかわらず,道路とのアクセス条件において,5地区中2番目の高得点を獲得し,総合得 点も5地区中2番目となり,最終的にエネルギー回収施設建設予定地に選 定された。

 また,上山市は,山形広域環境事務組合から,上山市内にエネルギー回収施設を建設したいので,その候補地を選定する作業をするよう要請され, 川口地区を候補地として選定したのであるから,実質的には,上山市が川口地区をエネルギー回収施設建設予定地として決定したといえる。

 したがって,上山市が,エネルギー回収施設建設予定地とするには不適当であった川口地区を,実質的に不当な方法で建設予定地として選定した のであり,上山市による上記不当な選定行為と本件譜負契約あるいは本件工事は,一連の行為であり,全体として公序良俗に反するものである。

 清掃工場候補地検討委員会は,その評価集計表の付帯意見において,アクセス道路を近隣会社と完全に共有しなければならないと考えると道福が狭く,新たなアクセス道路を通すことを提言したい旨述べるなど,本件大型車両対面通行可能条件を満たしているという認識を共有しておらず,山形広域環境事務組合や上山市は,川口地区の景観と環境を守る会の意見書により,川口地区が,大型車両同士の対面交通が因難であることを認識し ていた。そのため,本件工事は,本件エネルギー回収施設が,本件大型車両対面通行可能条件を充足させることを目的とするものであり,本件市道前川ダム東線道路の全域において大型車両同士の対面交通を可能にする必要があった。しかし,本件工事は,本件市道前川ダム東線道路のうち一部直線部のみを拡幅するだけで,本件工事対象道路ですら,そのカーブ箇所 の対面通行を確保せず,また,五反田橋から本件エネルギー回収施設入口 までの一部のみ融雪工事を行うなど冬季における車両のすれ違いは困難なままにしているから,本件エネルギー回収施設は本件大型車両対面通行可能条件を満たしてはいないのであり,本件工事は相当ではない。

(3) 談合

 本件入札は,1億1650万円(税抜)から1億2300万円(税抜)の わずかな価格差の範囲内で行われ,予定価格を下回って入札したのが予定価格の99パーセントで入札したA土建だけであるところ,本件工事のような工事は,多数の費目を積算して入札価格を決定するから,複数の業者がほとんど同じ価格になることや,1社だけが予定価格を下回るなどということは考えられない。よって,本件工事の入札は,違法な談合が行われていたものであるといえ,公序良俗に違反して無効であり,少なくとも,本件請負契約の代金額の10パーセントの範囲では公序良俗に違反して無効である。

 

(被告の主張)

 本件工事について,以下のとおり上山市長の判断に裁量権の逸脱又は濫用が あるといった特段の事情となるべき問題点は全く認められず,本件請負契約に 基づく公金支出は違法ではない。 

(1) 通行権等侵害

そもそも平穏生活権や通行権に対する侵害があるからといって,本件請負契約が公序良俗に違反し,無効となるわけではないし,原告らの平穏生活権 通行権は,以下のとおり,本件工事によって侵害されるものではない。

 原告らには,道路上のカーブ箇所という個別の部分ごとに無制限な通行権や平穏生活権が認められているものではない。

 国道13号から原告Bに至るには,本件市道前川ダム東線道路以外にも迂回路が存在する。

(ア)本件市道前川ダム東線道路の幅員は,7.4メートルから9.3メー トルあり,カーブ前後の直線部分では容易に大型車両同士のすれ違いが 可能である。
(イ)そして,本件市道前川ダム東線道路のカーブ箇所のうち,本件工事対象道路に含まれているのは,本件カーブ箇所③,本件カーブ箇所④及び 本件カーブ箇所⑤の各箇所であるところ,本件工事完成後は,これらのカーブ箇所において,車体全幅3. 1メートル,車両全体の長さ8. 16メートルの大型ダンプ車同士が支障なくすれ違い通行することが可能 である。
(ウ)また,本件市道前川ダム東線道路を大型車両が多く通行することになるのは,本件工事によるものではなく,エネルギー回収施設の建設によ るものである。さらに,国道13号から本件エネルギー回収施設の敷地には,市道前川ダム東線を利用するほかに迂回路によっても進入できる。
(エ)そのため,本件市道前川ダム東線道路において,大型車両の対面通行 に支障はない。

(2) 本件工事の経緯の不当性

 被告の主張(1)ウ(ア)にもあるとおり,本件市道前川ダム東線道路において,直線部分で大型車両同士がすれ違うことにより大型車両同上の対面通特を行うことが可能であるから,本件エネルギー回収施設の建設予定地は, 本件大型車両対面通行可能条件を満たしている。

 そして,道路とのアクセスについての調査評価は,本件大型車両対面通行可能条件を満たしていることを前提に行ったもので,原告らが主張するような条件のすり替えを特ったものではない。

 また,清掃工場候補地検討委員会は,道幅が狭い箇所については舗装幅員の拡幅により対応可能であることから,付帯意見を踏まえつつ,川口地区を候補地として選定したのであるし,上山市は,エネルギー回収施設の 候補地を選考したにすぎないのであるから,上山市が,エネルギー回収施設建設予定地とされるには不適当であった川口地区を実質的に不当な方法 で建設予定地として選定としたという事実はない。

 被告の主張(1)ウ(イ)にあるとおり,本件エネルギー回収施設の建設予定地は,本件工事後も本件大型車両対面通行可能条件を充足している。

(3) 談合

本件入札において談合を行ったことの根拠は一切示されていないため,そのような事実は認められない。

 

第3争点(本件請負契約に基づく支出の違法性の有無)に対する判断

1 地方自治法242条の2第1項4号請求について

 原告らは,本件請負契約が公序良俗に違反し無効であるから,本件支出が違 法である旨主張しているところ,本件支出は,支出負担行為である本件請負契 約の債務の履行の一部としてされているのであるから,本件請負契約が私法上無効といえる場合には,横戸が,本件請負契約に基づく本件支出を行ってはな らないという財務会計法規上の義務を負うことになるものというべきである。

(1) そこで,本件請負契約が公序良俗に反し私法上無効といえるか否かについて検討する。

ア 通行権等侵害について

(ア)原告らは,本件工事及び本件エネルギー回収施設の建設によって本件市道前川ダム東線道路を通行する大型車両が増加するにもかかわら ず,本件工事によっては本件市道前川ダム東線道路における大型車両 のすれ違いの困難さを完全に解消できない旨主張する。

(イ)しかし,前記前提事実(3)のとおり,本件工事は,本件工事対象道路について,工期を平成27年6月1日から平成28年3月18日とし て,掘削や盛土による道路改良,消雪施設設置及び直線部を中心とし た拡幅等を目的とする工事であるところ,本件工事により大型車両の通行量が継続的かつ大量に増加することを認めるに足りる証拠はない。 また,本件エネルギー回収施設には,8トンのロングダンプの出入りが予定されていることは当事者間に争いがないから,本件市道前川ダム東線道路において,今後一定の大型車両の通行量の増加が見込まれるものの,今後見込まれる大型車両の通行量の増加は,本件工事によ る本件市道前川ダム東線道路の利便性の改良等に伴うものではなく, 飽くまで本件エネルギー回収施設の建設に伴うものであると認められ る。

 そうだとすると,今後,本件エネルギー回収施設の建設に伴い大型 車両の通行量の増加が見込まれ,本件工事によっては本件市道前川ダム東線道路における大型車両のすれ違いの困難さを完全に解消できないとしても,それだけで本件工事が公序良俗に反するとはいえない。

(ウ)かえって,証拠(乙5の2)及び弁論の全趣旨によれば,本件工事完了後の本件市道前川ダム東線道路について,本件カーブ箇所①及び 本件カーブ箇所②は,そもそも本件工事対象道路に含まれていない結果,大型車両同上のすれ違いの困難さは解消されていないことが認められるものの,本件カーブ箇所③及び本件カーブ箇所④は,それらの カーブ箇所付近において車両全体幅3.1メートル,車両全体の長さ 8.16メートルの大型車両同士が容易にすれ違うことができることが認められるから,本件請負契約は,大型車両のすれ違いについて従前以上の対策を講じたものであるといえる 。なお,原告らは,本件力 ーブ箇所④において,車両全体幅2. 7メートルの大型車両のすれ違いが困難である旨主張し,これを裏付ける証拠として甲第23号証を提出しているものの,同号証によっても原告らの主張を認めることは できない。

(エ)よって,原告らのかかる主張には理由がない。

(オ)なお,原告らは,本件工事が,本件エネルギー回収施設の建設と連結した工事であるから,本件エネルギー回収施設の建設による通行量の増加を一体的に捉えるべきである旨の主張をしているところ,仮に原告らのかかる主張を前提としても,原告Bらの大型車両の通行及び緊急車両の通行が困難となったり,歩行者や軽車両の道路通行の安全が妨害されるといった程度にまで,本件市道前川ダム東線道路を通行する車両の通行量の増加があると認めるに足りる証拠はないか ら, 原告B及びその従業員らの平穏生活権並びに歩行者らの通行権が侵害されるとはいえない。また,原告らは,本件工事によって 本件市道前川ダム東線道路の全ての箇所において大型車両のすれ違いが可能とならなければ,本件市道前川ダム東線道路における大型車両のすれ違いの問題は解消されず,違法な通行権等の侵害となる旨の主 張をしているところ,本件市道前川ダム東線道路全ての箇所において大型車両がすれ違うことができなければ原告Bらの大型車両等 の通行が不可能ないし困難になるほどの,本件市道前川ダム東線道路 における通行量の増加があると認めるに足りる証拠はないし,仮に原告らに,本件市道前川ダム東線道路の大型車両の通行等に関 する何らかの権利があるとしても,本件各カーブ箇所において大型車両がすれ違うことに関する権利があるとまで認めることはできない。 よって,原告らのかかる主張は,上記結論に影響を及ぼすものではな い。

イ 本件工事の経緯の不当性について

(ア)原告らは,上山市が設置した清掃工場候補地検討委員会の本件エネルギー回収施設の建設予定地選定行為と上山市の本件請負契約締結行為は 一連の行為であるところ,上記選定行為は,実質的に不当な方法で行わ れているから,本件請負契約あるいは本件工事を含む全体として公序良 俗に反する旨主張する。

(イ)しかし,証拠(甲6ないし11)及び弁論の全趣旨によれば,上山市は,清掃工場候補地検討委員会を設置し,エネルギー回収施設の上山市内の候補地の選考及び調査評価を行い,これを受けて,山形広域環境事務組合が,他の市町の候補地と併せてエネルギー回収施設の建設予定地を検討した結果,川口地区を選定したものであり,本件エネルギー回収施設の建設予定地選定行為の主体は山形広域環境事務組合であることが認められる。このように,本件請負契約は,本件エネルギー回収施設の建設予定地選定行為と主体を異にするものであり,また,本件エネルギ 一回収施設の建設を事実上の契機として行われた本件工事を目的とする 請負契約にすぎないのであって,本件エネルギー回収施設の建設予定地 選定行為とは独立したものであると認められるから,仮に原告らの主張どおり,本件エネルギー回収施設の建設予定地選定行為に何らかの違法性があったとしても,そのことをもって,本件請負契約が直ちに公序良俗に反し私法上無効となるとまではいえない。

(ウ)また,原告らが主張するような,上山市が選定条件のすり替えを行ったと認めるに足りる証拠はなく,前記1(1)ア(ウ)及び前記前提事実(2)か らすると,本件市道前川ダム東線道路が,本件工事前及び本件工事後に 本件大型車両対面通行可能条件を満たしていないとまでは認められない。 そして,本件工事の内容が,本件市道前川ダム東線道路の全ての箇所に おいて大型車両のすれ違いを可能にするものでなければ ,本件工事が公序良俗に反するものとなるわけではないことは,前記1(1)アのとおり である。 (エ)よって,原告らのかかる主張には理由がない。

 

ウ 談合について

(ア)証拠(甲13)によれば,上山市は,平成27年5月29日,本件工事について,予定価格を1億1763万5000円(税抜)とする入札 を行い,A土建を含む10社が参加したところ,最高入札額は,1億 2300万円(税抜)で,最低入札額は,1億1650万円(税抜)で あったことが認められ,本件工事のような類型の工事における入札においては,工事業者が多数の費目を積算して価格を決定することは当事者間に争いがない。

(イ)原告らは,前記(ア)の認定事実によって本件入札における談合が推認される旨主張するが,前記(ア)の認定事実は,飽くまで入札結果にすぎず, 談合の具体的内容について明らかにするものではなく,他にA土建を 含む本件入札参加工事業者による具体的な談合の事実を認めるに足りる 証拠はない。

(ウ) よって,原告らの談合に係る主張には理由がない。

 

 したがって,本件請負契約が公序良俗に違反し私法上無効となる旨の原 告らの主張はいずれも採用できず,他に,本件請負契約が私法上無効とな ったり,本件請負契約を締結した市の判断に,裁量権の範囲の著しい逸脱又はその濫用があるといった事情も認められないから,本件請負契約が私法上無効であるとはいえない。

(2) したがって,本件請負契約に基づく上山市の義務の履行として,横戸が本件支出をしたことに財務会計法規上の義務に違反する違法な点はないというべきであるから,横戸が上山市に対して損害賠償責任を負うということはで きない。

(3) また,上記検討のとおり,本件請負契約が私法上無効であるとはいえない から,上山市は,A土建に対して不当利得返還請求をすることができない。

 

2 地方自治法242条の2第1項1号請求について

 契約に基づく債務の履行として行われる公金の支出について地方自治法242条の2第1項1号に基づく差止めを請求することができるのは,当該契約が私法上無効である場合に限られると解される(最高裁昭和56年(行ツ)第144号同62年5月19日第三小法廷判決・民集41巻4号687頁参照)と ころ,前記1(1)アで判示したとおり,本件請負契約が私法上無効であるとい う事情は認められないから,原告らのかかる主張は認められない。

 

第4 結論

 以上のとおり,原告らの請求は,いずれも理由がないからこれらを棄却することとし,主文のとおり判決する。

 

山形地方裁判所民事部
裁判長裁判官 松下貴彦
裁判官 曽我 学
裁判官 菅原光祥

 


 

 ※ 以下、判決のスキャンデータ

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上山市川口一般廃棄物焼却施設建設工事及び操業差し止め請求事件 訴状を提出いたしました | 山形県上山市川口清掃工場問題

速報

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 これまで山形県の環境と観光産業を守る会は、上山市川口に計画実行されている公称エネルギー回収施設(実質一般ごみ焼却施設)に関し異議を唱え、設置主体である山形広域環境事務組合、及び上山市(組合の構成員)、山形県を相手に刑事告発、住民監査請求、訴訟等を行って参りました。

 これ以前にも、平成24年より意見書や反対署名、話し合い等を繰り返しておりましたが、意見は平行線を辿るばかりで合意できなかったため、現在に至っております。上山市川口地区が一方的に候補地として浮上したのは、平成24年5月のことでしたが、川口に至る以前にも現焼却施設の老朽化という理由で、平成11年に山形市志土田地区、13年に山形市蔵王半郷地区、18年に上山市柏木地区、22年に上山市大石陰地区と候補地を定めながらも住民の反対運動が激しく、4度に渡り計画を断念した経緯があります。これまで実に17年を要しながら、組合は何故反対運動が起きるのかを真摯に検討することなく、突然候補地として指名し、ごり押しをするという強硬策を取り続けました。抜本的な解決の方策を模索する努力を怠り、同様のやり方で決定することは、行政としての職務怠慢ではないかと思えます。17年の間に時代は変化し、見直しをする必要性もあったはずです。
 また、建設地の決定を急ぐあまり、公共事業としての環境アセス、設計、入札、施工等においてあまりにも拙速で杜撰な工程ではなかったのか、今後の裁判で明らかにして行く所存です。

現在守る会は、下記4件の裁判を継続中です。

  1.  組合に対する新ちゅうかわ橋架橋工事公費返還を求める住民訴訟
  2.  山形県に対する一級河川忠川の河川占用許可取消を求める行政訴訟
  3.  上山市に対する上山市道改良工事の公費返還を求める住民訴訟
  4.  組合に対する敷地造成工事の公費返還を求める住民訴訟
  5.  組合に対する一般廃棄物焼却施設建設禁止を求める行政訴訟

 1~4について、守る会は平成27年1月より順次提訴し、現在も訴訟を続けております。そして、去る平成28年12月6日、新たに川口エネルギー回収施設本体工事禁止を求める訴訟を5として提起しましたので、ご報告致します。

 これまでの訴訟はすべて、この施設の周辺整備工事に関する差止を求める内容でしたが、今回の訴訟は、周辺住民の人権保護に基づく趣旨です。山形地裁に提出された訴状は100ページ以上に渡る内容ですので、全文を公開せずに訴状冒頭部と、最後尾の「結語」を掲載致します。全体の内容につきましては、訴状の目次としてご覧戴ければ概要がお分かり戴けるかと思います。この本体工事差止を求める訴訟は、山形広域環境事務組合に対し、周辺の被害を受ける原告は7名(守る会会員)となっております。

 この訴訟につきましては、ごみ弁連(たたかう住民とともにごみ問題の解決をめざす
弁護士連絡会)会長の梶山正三弁護士(理学博士)と、同事務局長の坂本博之弁護士に、原告側の弁護をお願い致しました。この裁判の日程等は未定です。

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12月6日に行われた裁判に提出された書類の公開 | 上山市清掃工場用地造成工事公金差止請求住民訴訟事件

10-3.裁判: 平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金差止請求住民訴訟事件

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 山形広域環境事務組合は、上山市川口の公称エネルギー回収施設敷地造成工事を、平成27年8月より開始しました。しかし守る会は、多くの理由からこの造成工事は不正として、支出した公金の返還を求めています。(これまでの経緯をご覧ください)。

 まずこの敷地は、南側を里山(通称物見山)、北側を奥羽本線山形新幹線)東側を一級河川忠川(上流前川ダムのコンクリート放水路)に囲まれた細長い三角形の土地です。

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 造成前この土地は、ほとんどが田んぼと、少しの畑でした。一般的に、この用途を変更して開発行為をおこなう場合、山形県に「開発許可」を申請する必要があります。この場所は「都市計画区域及び準都市計画区外の区域」ですが、開発区域が10,000㎥以上の場合は、通常開発許可が必要です。この敷地は約3.6ha(36,000㎥)ですが、エネルギー回収施設は、(3)公益上必要な建築物のための開発行為(法第29条第1項第3号)に該当するため、開発行為の許可は不要となっています。

 以上の理由で、組合が3.6haという広大な農地をごみ焼却場建設とする工事は、チェックを受けることなく造成工事を請け負った企業の計画に沿って進めることになりました。これだけの開発行為が「公益上必要な施設の建設」という理由で簡略に認められてしまうことは驚きです。とはいえ、発注者である組合には、発注者としての責任があります。

以上のような経緯で、組合は造成工事に着手しましたが、守る会はこの敷地が標高400m程度の里山や、前川ダム放水路に接している地形に危惧の念を抱いています。

 その理由の一つとして、まず里山に降った雨が、この敷地を通じてダム放水路(忠川)に排出されてしまうことが挙げられます。敷地自体は3.6haであるものの、接する里山に降る雨も含めた降雨面積は、組合の計算によると32.5haとなっています。これまで里山や田畑に降った雨は、地面の保水力に助けられ、一定量敷地に貯水されていました。しかし、敷地が開発されて保水力を失えば、32.5ha分の降雨が前川ダム放水路を通じて、前川に排水されることになります。

 近年は、想定外の豪雨も多く、平成25・26年連続して前川が溢水の被害を受けている現状を考えれば、これ以上の雨水や工場排水を放水路に流すことは危険です。造成工事において、この里山に降った雨については、山際に設けられた水路を通じて放水路に排水されます。東側で忠川に接するコンクリート護岸壁には、敷地から排水するための排水樋菅と排水口が設けられました。守る会は、上記前川ダム放水路(忠川)やその下流である前川に与える影響に鑑み「この排水計画は、河川法上違法」として、訴訟を続けています。いかに開発許可が不要であろうとも、敷地が接する一級河川に与える悪影響を、河川法の視点で検証しなかった組合の過失は大きい。下流域の人命や資産に関わることであり、産業活動をも脅かすことになりかねません。

 また、この前川ダム放水路のコンクリート護岸の劣化が近年著しく、特に造成工事を行っている面に、多くの亀裂が入っていることも問題点の1つです。これまで田畑のみを支える構造計算であった構造物が、このような土圧や工事の振動に耐えられるとは考えにくく、はなはだ疑問に思えます。

 去る12月6日に行われた裁判(平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金差止請求住民訴訟事件)において、守る会は、組合が行った雨水排水計算に誤りがあることを具体的に指摘し、本来敷地内に流量調整池を設けるべきであり、現計画は違法であると結論付けています。

 これまでの敷地造成工事の違法性に関する守る会の主張に対し、この裁判において被告である山形広域環境事務組合は第3、第4準備書面を提出しましたので、下記公開致します。この書面内容は、守る会にとって全く理解を超える内容であるため、次回裁判(平成29年2月14日)までに更なる反論を行う予定です。

 ※ 今回提出された準備書面は、「第3」「第4」準備書面で、これまで山形広域環境事務組合は2回(第1・第2)準備書面を提出しています。この第3・4準備書面は、これまでに原告・被告が提出した準備書面から連続した内容であるため、この内容を読むだけではよくわからないと思います。その場合は、当ブログの過去の記事を参考に、ご覧下さい。

被告提出 第2準備書面についてはこちら:

被告提出 答弁書についてはこちら:

 原告提出 訴状についてはこちら:

 

この裁判(平成28年(行ウ)第1号 上山市清掃工場用地造成工事公金差止請求住民訴訟事件)の概要:
 清掃工場(公称エネルギー回収施設)を建設するための造成工事(平成28年5月31日工事終了)が不適切であるため、すでに支出した公金の返還を求める訴訟です。 守る会は、組合の監査委員に対し住民監査請求を行ったものの、棄却されたため 住民訴訟を提起しました。 

準備書面とは:
 民事訴訟で、当事者が口頭弁論において陳述しようとする事項を記載して、あらかじめ裁判所に提出する書面です。原告・被告がこの書面にお互いの主張を書いてやりとりすることで裁判は進行します。


*内容はブログ用に編集しております。

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平成28年(行ウ)第1号上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

原告 *********
被告 山形広域環境事務組合管理者佐藤孝弘

第3準備書面

平成28年12月2日

山形地方裁判所 民事部 合議係 御中

被告訴訟代理人
弁護士  内藤和暁
同 古澤茂堂
同(担当)小野寺弘行

原告ら準備書面(2)に対する反論

第1 河川法違反との原告ら主張の不相当性
1 原告ら準備書面(2)の第3の一(2頁乃至4頁)は,
「・・・忠川及び前川については,河川管理者である山形県は,河川整備基本方針も河川整備計画も定めていない。・・・忠川及び前川については,このように河川管理を行うための基礎となる計画高水流量等の数値が定められていないのであるから,...忠川及び前川の流量に対して,従前よりも大きな負荷を与えることになる工事については,原則として,河川法に基づく河川管理方法に違反しているものと考えるべきであり,且つ,そのような河川法に違反する工事は,公共の安全性を害するものと推定され,民法上は公序良俗に違反するものと判断されなければならない。」(原告ら準備書面(2)の第3の一4《4頁下段》)
と主張している。

2 上記原告ら主張は忠川及び前川に関して河川盤備計画,河川整備基本方針が存在しないとしているが,実際には,忠川及び前川に関する河川整備計画,河川整備基本方針は存在するものである。
 すなわち,まず,河川整備計画については,山形県知事は,村山圏域の知事管理区間の河川整備計画として,平成15年9月24日に一級河川最上川水系村山圏域河川整備計画(知事管理区間)を策定し,平成25年3月1日にその一部変更を行ったものであるが,忠川及び前川は,この一級河川最上川水系村山圏域河川整備計画[変更](知事管理区間)の対象となっているものである(甲第20号証 一級河川最上川水系村山圏域河川整備計画[変更]《知事管理区間》13頁の「1-3-3 計画対象区間」,「村山圏域の知事管理区間149河川,延長775kmを計画対象区間とする。」との部分を参照)。
 河川整備基本方針についても,河川法第16条第2項に「河川整備基本方針は,・・・水系ごとに,その水系に係る河川の総合的管理が確保できるように定めなければならない」とあるように,河川整備基本方針は水系ごとに作成することとなっているところ,国土交通省は,一級河川最上川水系に含まれる河川に関する河川整備基本方針として,最上川水系河川整備基本方針(乙第5号証)を定めているものである。忠川及び前川も,一級河川最上川水系に含まれる河川であることから,国土交通省の定めた河川整備基本方針である,最上川水系河川整備基本方針(乙第5号証)の対象となっているものである。
 従って,忠川及び前川に関して河川整備計画,河川整備基本方針が存在しないなどとする上記原告ら主張には,そもそも理由がないものである。

3 また,上記原告ら主張は,「忠川及び前川の流量に対して,従前よりも大きな負荷を与えることになる工事については,原則として,河川法に基づく河川管理方法に違反している」,「そのような河川法に違反する工事は,公共の安全性を害するものと推定され、民法上は公序良俗に違反する」などとしているが,河川管理者ではない被告が行う本件のような一般の造成工事について,何故,河川の流量に負荷を与えることによって工事が河川法違反となるのか,原告ら主張の根拠及び論理関係が不明といわざるを得ないものである(河川の流量が増加すれば河川法違反とする上記原告ら主張によれば,一般の舗装工事等も全て河川法違反となりかねないものである。)。

4 よって,本件工事請負契約が河川法違反によって公序良俗違反となる旨の上記原告ら主張には,全く理由がないものである。

 

第2 山形県雨水排水対策指導要綱違反との原告ら主張の不相当性

1 原告ら準備書面(2)の第3の三(5頁乃至9頁)は,本件工事においては調整池の設置を行っていないことから,本件工事は山形県雨水排水対策指導要綱に違反して違法であり,本件工事請負契約は公序良俗違反により無効である旨を主張している。

2 原告ら準備書面(2)の第3の三2(1) (5頁)は,「本件清掃工場建設計画に関わる総面積は32.5 haであるから,『山形県河川流域開発に伴う雨水排水対策指導要網』に従って,調節池等を設置するなどの対策を取る必要があった」としている。
 しかしながら,被告第1準備書面第2の2(1)(8頁,9頁)の繰返しとなるが,「山形県河川流域開発に伴う雨水排水対策指導要綱」においては,同要綱が定める規定の対象となる,河川への排水量増加による河川の洪水処理計画への影響を検討する必要が生じる大規模な開発を,開発面積5ha以上の場合としているものである(乙第4号証 報告書の資料2「山形県河川流域開発に伴う雨水排水対策指導要綱」第3条)。これに対し,本件造成工事は対象面積3.6haであり(乙第4号証 報告書の別紙1)、上記基準未満であることから,そもそも,本件工事については,「山形県河川流域開発に伴う雨水排水対策指導要網」が定める規定の 適用はないものである。

3 原告ら準備書面(2)の第3の三2(4) (6頁,7頁),3(3)(8頁,9頁)は,「本件開発行為に伴って,前川に放流される最大流量が,開発前と比して1%を超える」ことから,「山形県河川流域開発に伴う雨水排水対策指導要綱」が定める調整池等設置基準(工事による雨水流出量の増加が計画高水流量の1%増となる場合には洪水調整池検討を必要とする,甲第16号証雨水排水計画20頁参照)に違反しており,本件工事は「山形県河川流域開発に伴う雨水排水対策指導要綱」に違反する違法なものである旨を主張している。
 そして,原告らは,かかる「前川に放流される最大流量が,開発前と比して1%を超える」ことの根拠として,甲第16号証の雨水排水計画の排水施設能力(基準点I 1.564㎥/s,基準点II 3.556㎥/s) (甲第16号証の19頁)と,原告らが山形県の河川整備計画の基礎資料となっている降雨強度式に基づいて算出した降雨確率年5年の降雨強度(mm/h)によって洪水流出モデルを使用して計算した流出量(基準点I 0.75㎥/s, 基準点II 2.19㎥/s)の差が計2.18㎥/sであり(甲第57号証の4頁乃至6頁),忠川の計画高水流量170㎥/sの1%を超えている旨を主張している。
 しかしながら,乙第4号証の報告書にあるように,甲第16号証の雨水排水計画の排水施設能力の流出量(基準点I 1.564㎥/s,基準点II 3.556㎥/s)の算出の前提となっている降雨は,降雨確率年10年の降雨強度(mm/h) による降雨であり(基準点Iにおいては降雨強度75.33mm/h, 基準点IIにおいては降雨強度64.62mm/hの降雨《乙第4号証の別紙3,4》),原告ら主張が挙げる降雨確率年5年の降雨強度の降雨(基準点Iにおいては降雨強度48.46mm/h, 基準点IIにおいては降雨強度48.56mm/hの降雨《甲第57号証の6頁》)とは異なっているものである。
 すなわち,本件工事前後の流出量の差が計2.18㎥/sであるとする上記原告ら主張は,甲第16号証の雨水排水計両が工事後の流量を降雨確率年10年の降雨強度の降雨で計算しているのに対し,工事前の流量については,これより大幅に降雨強度の低い,降雨確率年5年の降雨強度の降雨で計算を行っているものである。
 工事前後の雨水流出量の増加量を論じるに当たって,同一の降雨強度の降雨を前提にする必要があることは当然のことであり,異なる降雨強度の降雨による計算結果をもって,工事前後の雨水流出量の増加量を論じている上記原告ら主張は,そもそも,計算の前提を誤っているといわざるを得ないものである(さらにいえば,甲第57号証の6頁は,t=25.1分とt=33.9分の降雨強度が同一となっており,計算も誤っているものである。)。
 従って,「前川に放流される最大流量が,開発前と比して1%を超える」との上記原告ら主張にも,理由がないものである。

4 原告ら準備書面(2)の第3の三3(2) (7頁,8頁)は本件工事について,道路土工要綱ではなく山形県の河川整備計画の基礎資料となっている降雨強度式によるべきこと,降雨確率年5年の降雨強度とすべきこと,造成地の流出係数を0.6とすべきことを主張しているが,いずれも独自の見解を述べるに過ぎず,理由がないものである。

5 なお,原告ら準備書面(2)の第3の三2(2)(5) (5頁乃至7頁)は,「山形県河川流域開発に伴う雨水排水対策指導要綱」について,「この要綱を守らない流域開発計画は,開発区域の周辺や下流流域の住民に対して災害を誘発する恐れがあるということが推定されるものと言うべきであり,そのような開発行為を行うことを内容とする契約は,原則として,公序良俗違反となって無効となる」,「調節池の設置を行っておらず,その検討すらもしていない本件造成工事の計画は違法であり,それをもとになされた工事請負契約は公序良俗に違反して無効である」などとしているが,仮に「山形県河川流域開発に伴う雨水排水対策指導要網」の規定によれば調整池の検討が必要であったとした場合においても,調整池の点に留まらず,何故,本件工事の工事請負契約全体が違法となるのか,原告ら主張の根拠及び論理関係が不明といわざるを得ないものである。

6 従って,いずれにしても,本件工事が山形県雨水排水対策指導要綱に違反して違法であり,本件工事請負契約は公序良俗違反により無効であるとする原告ら主張にも,理由がないものである。

以上

 


 

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平成28年(行ウ)第1号上山市清掃工場用地造成工事公金支出差止請求住民訴訟事件

原告 *********
被告 山形広域環境事務組合管理者佐藤孝弘

第4準備書面

平成28年12月5日

山形地方裁判所 民事部 合議係 御中

被告訴訟代理人
弁護士  内藤和暁
同 古澤茂堂
同(担当)小野寺弘行

本件造成工事に係る財務会計行為

1 工事請負仮契約の締結
 被告管理者山形市長市川昭男(当時)は,平成27年7月3日,**建設・**土建建設工事共同企業体の代表者である**建設株式会社代表取締役****との間で,**建設・**土建建設工事共同企業体が本件造成工事を請負代金3億7098万円にて請負うとの工事請負契約の仮契約である,エネルギー回収施設(川口)敷地造成工事の工事請負仮契約書(乙第1号証)を締結した。同仮契約においては,被告議会の議決を経た時は本契約書に切り変わるものとされていた(乙第1号証 工事請負仮契約書1枚目)。

2 議会の議決による本契約書への切り変え
 平成27年7月24日,被告議会定例会において**建設・**土建建設工事共同企業体との上記工事請負契約の議決がなされた。 これにより,上記のエネルギ一回収施設(川口)敷地造成工事の工事請負仮契約書(乙第1号証)は同日をもって仮契約から本契約書に切り変わり,被告管理者山形市長市川昭男(当時)は、**建設・**土建建設工事共同企業体に対し,同日,その旨を通知した(甲第2号証 建設工事請負契約締結の議決通知書)。

3 前払金の支出
 被告管理者山形市長市川昭男(当時)は,平成27年8月20日,**建設・**土建建設工事共同企業体に対し,上記工事請負契約の前払金として1億4014万円を支払った(甲第3号証 請求書《支出調書》兼支出命令票《歳出簿》)。

4 工事請負仮変更契約の締結
 被告管理者山形市長佐藤孝弘は平成28年2月10日,**建設・**土建建設工事共同企業体の代表者である**建設株式会社代表取締役****との間で、上記工事請負契約の請負代金を974万520円増額するとの変更契約の仮契約である、第1回工事請負仮変更契約書(乙第6号証)を締結した。同仮契約においては,被告議会の議決を経た時は,本契約書に切り変わるものとされていた(乙第6号証 第1回工事請負仮変更契約書1枚目)。

5 議会の議決による変更契約の本契約書への切り変え
 平成28年2月17日,被告議会定例会において**建設・**土建建設工事共同企業体との上記変更契約の議決がなされた。 これにより,上記の第1回工事請負仮変更契約書(乙第6号証)は同日をもって仮契約から本契約書に切り変わり、被告管理者山形市長佐藤孝弘は,**建設・**土建建設工事共同企業体に対し,同日,その旨を通知した(乙第7号証 建設工事請負変更契約締結の議決通知書)。

6 出来高払い分の支出
被告管理者山形市長佐藤孝弘は、平成28年4月28日,**建設・**土建建設工事共同企業体に対し,上記工事請負契約の平成27年度出来高払い分として1億8343万8000円を支払った(乙第8号証 請求書《支出調書》兼支出命令票《歳出簿》)。

7 完成払い分の支出
**建設・**土建建設工事共同企業体は,平成28年5月27日,上記工事請負契約に基づくエネルギー回収施設(川口)敷地造成工事を完成させ,被告管理者山形市長佐藤孝弘に対し,その旨を通知した(乙第9号証 完成通知書)。 **建設・**土建建設工事共同企業体は,平成28年6月6日,被告の完成検査を受けた後,目的物の引渡しを行った(乙第10号証 目的物引渡書)。 被告管理者山形市長佐藤孝弘は,平成28年6月17日,**建設・**土建建設工事共同企業体に対し,上記工事請負契約の完成払い分として5714万2520円を支払った(乙第11号証 請求書《支出調書》兼支出命令票《歳出簿》)。

以上

今後予定されている裁判:

平成28年12月27日
平成27年(行ウ)第1号 上山市忠川河川占用許可取消請求事件

組合が設置した進入路に架かる新橋が、一級河川忠川を占用していることが不当として、山形県に対して許可取り消しを求める行政訴訟です。

平成28年12月27日
平成27年(行ウ)第2号 忠川橋梁建設公金差止請求住民訴訟事件

既に完成した敷地に入るための新橋設置工事に掛かった公金支出の差し止めを求める住民訴訟です。

 


以下は準備書面のスキャンデータです。

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